シャブリエのオペレッタ(プログラムの解説によれば、シャブリエ自身は、オッフェンバックにならって、オペラ・ブーフと呼んだらしい)の「エトワール(星占い)」が上演された。東京オペラ・プロデュースの公演。
国王ウーフ1世は、明日の祝日のイベントで「串刺し刑」に処するための罪人を探すために、変装して広場に出る。市民のあれこれに国王の評判をたずね、不敬の者を見つけ出そうとするが、市民はそれを察知して、国王をほめたたえる。そこに隣国の大使エリソンが、王女ラウラ、妻アロエス、秘書タピオカを連れてやって来る(かれらもわけあって全員変装している)。そこに行商の若者ラズリが現れ、旅の途中で出会った娘(実は王女ラウラ)への恋心を歌う。
変装した国王は、ラズリに国王の評判をきく。うるさがったラズリは、国王に平手打ちを喰わせる。やっと「串刺し刑」に処する罪人が見つかったと大喜びの国王。そこに国王の腹心で星占い師のシロコが現れて、「国王とラズリは同じ星のもとにあり、片方が死ねばもう片方も死ぬ」と言う・・・。
以上はさわりの部分だが、これだけでも、このオペレッタの面白さをわかってもらえるとよいが。
一言で言えば、国王という絶対権力者を揶揄しているオペレッタだが、風刺のとげはオッフェンバックのように毒を含んだものではなく、牧歌的なのどかさがある。
シャブリエの音楽は、明るく楽しい曲、パロディー風の曲、感傷的な曲と多彩で飽きさせない。
要するにこれは19世紀フランスの生んだ上質のオペレッタだ。
今回の上演台本は、演出の八木清市が書いたのだろうか(プログラムには明記されていないが)。地のせりふは日本語で、たとえば「定額給付金はばら撒きに終わったけれど、子ども手当は期待できるかな」などという具合に笑わせてくれる。
若者ラズリはソプラノの岩崎友美恵。若々しく颯爽としたズボン役で魅力的だった。フランス語の発音もよい。その他の歌手も、皆文句なし。
指揮は飯坂純というまだ若い人。快適なテンポが好ましい。普段は新国立劇場でコレペティトールやプロンプターをやっているとのことだが、劇場のことをよく知っている人だと思う。新国立劇場がこういう若い人を育てる場になっているとしたら素晴らしい。
東京オペラ・プロデュースは前代表が2008年2月に亡くなって、先行きが危ぶまれたが、その後も活動を続けていて、本年1月のヘルマン・ゲッツの「じゃじゃ馬ならし」、今回の「エトワール(星占い)」とヒットを飛ばしたことは、嬉しいかぎりだ。関係者の皆さんの熱意と努力に頭が下がる。
(2009.10.24.大田区民ホール・アプリコ大ホール)
国王ウーフ1世は、明日の祝日のイベントで「串刺し刑」に処するための罪人を探すために、変装して広場に出る。市民のあれこれに国王の評判をたずね、不敬の者を見つけ出そうとするが、市民はそれを察知して、国王をほめたたえる。そこに隣国の大使エリソンが、王女ラウラ、妻アロエス、秘書タピオカを連れてやって来る(かれらもわけあって全員変装している)。そこに行商の若者ラズリが現れ、旅の途中で出会った娘(実は王女ラウラ)への恋心を歌う。
変装した国王は、ラズリに国王の評判をきく。うるさがったラズリは、国王に平手打ちを喰わせる。やっと「串刺し刑」に処する罪人が見つかったと大喜びの国王。そこに国王の腹心で星占い師のシロコが現れて、「国王とラズリは同じ星のもとにあり、片方が死ねばもう片方も死ぬ」と言う・・・。
以上はさわりの部分だが、これだけでも、このオペレッタの面白さをわかってもらえるとよいが。
一言で言えば、国王という絶対権力者を揶揄しているオペレッタだが、風刺のとげはオッフェンバックのように毒を含んだものではなく、牧歌的なのどかさがある。
シャブリエの音楽は、明るく楽しい曲、パロディー風の曲、感傷的な曲と多彩で飽きさせない。
要するにこれは19世紀フランスの生んだ上質のオペレッタだ。
今回の上演台本は、演出の八木清市が書いたのだろうか(プログラムには明記されていないが)。地のせりふは日本語で、たとえば「定額給付金はばら撒きに終わったけれど、子ども手当は期待できるかな」などという具合に笑わせてくれる。
若者ラズリはソプラノの岩崎友美恵。若々しく颯爽としたズボン役で魅力的だった。フランス語の発音もよい。その他の歌手も、皆文句なし。
指揮は飯坂純というまだ若い人。快適なテンポが好ましい。普段は新国立劇場でコレペティトールやプロンプターをやっているとのことだが、劇場のことをよく知っている人だと思う。新国立劇場がこういう若い人を育てる場になっているとしたら素晴らしい。
東京オペラ・プロデュースは前代表が2008年2月に亡くなって、先行きが危ぶまれたが、その後も活動を続けていて、本年1月のヘルマン・ゲッツの「じゃじゃ馬ならし」、今回の「エトワール(星占い)」とヒットを飛ばしたことは、嬉しいかぎりだ。関係者の皆さんの熱意と努力に頭が下がる。
(2009.10.24.大田区民ホール・アプリコ大ホール)