Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

プロコフィエフ交響曲全曲演奏プロジェクトvol.4

2010年03月14日 | 音楽
 日本フィルが首席指揮者ラザレフと続けている「プロコフィエフ交響曲全曲演奏プロジェクト」の第4回。同プロジェクトはモーツァルトの楽曲とプロコフィエフの交響曲とを組み合わせてプログラムを組んでいる。今回は次のとおりだった。
(1)モーツァルト:ミサ曲ハ短調
(2)プロコフィエフ:交響曲第4番

 ミサ曲ハ短調は名曲だが、生できく機会は意外に少なく、私は今まで1~2度しか経験していない。今回は合唱に東京音楽大学の合唱団が入って、若い人たちの勢いのある歌声をきかせてくれた。これは前日にプロ中のプロ、新国立劇場合唱団をきいたせいで余計にそう思うのかもしれない。
 日本フィルも意欲的な演奏でこれに応えていた。過去3回の同プロジェクトでは、モーツァルトは音を整えるのに終始して、積極性に欠ける面があったが、今回はそうではなかった。

 第4曲サンクトゥスから第5曲ベネディクトゥスにかけては、休みなくアタッカで演奏された。なるほど――ベネディクトゥスの後半ではサンクトゥスの最後のオザンナが繰り返されるので――こう演奏することによって両曲が一体のものとして感じられる。これは一般的にやられていることなのだろうか。

 この曲は未完で、第3曲クレドには後世の補筆が入っているとのことだが、どこまでがモーツァルトの直筆で、どこからが補筆なのか。思えば、まったく認識のないまま過ごしてきてしまった。

 プロコフィエフの交響曲第4番は、過去3回と同様、深く踏み込んだ演奏。前回の難曲、第3番で大きな峠を越えたのだろうか、オーケストラには馴れと、幾分の粗さが感じられた。こうなると、第1回の第1番および第7番の緊張した演奏が懐かしい。
 第4楽章に入ってしばらくのあいだ、音の密度が薄まったように感じられた。オーケストラの緊張が続かなかったのか。

 この曲には原典版と改訂版の2種類があるが、この日の演奏は改訂版のほうだった。私は記憶がすっかり薄れていたので、事前にCDをきいてみた。改訂版のほうが面白かった。

 演奏会場ではプロコフィエフの短編小説集(!)が売られていて、思わず飛びついてしまった。プロコフィエフが小説を書いていたとは知らなかった。表紙の裏の宣伝文によれば、エッフェル塔が突然歩き始めたりするらしい。面白そうだ。プロコフィエフの発想や本質のなにかがわかるかもしれない。
(2010.3.12.サントリーホール)
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