横山幸雄さんの「ショパン・ピアノソロ全212曲完全奏破コンサート」。去年も同様のコンサートが開かれたが、曲数は166曲だった。今年は、遺作をふくめて、印刷譜として入手できるすべての曲を演奏する企画。スケールアップしての再挑戦だ。去年はパスしたが、今年は行ってみた。
開演は朝8時(!)。冒頭に大震災の犠牲になった人々のために、横山さんの自作曲が演奏された。ショパン的な甘美な曲だ。そしていよいよ212曲にむかっての挑戦が始まった。
プログラムは作曲年代順に組まれていた。最初はショパン7歳のときの作品。6歳のときに音楽の勉強を始めたというから、その1年後だ。モーツァルトの幼いころの作品のように、可愛らしい曲だが、はっきり発音しているのが印象的だ。
最初の演奏はピアノ・ソナタ第1番で締めくくられた。第4楽章の情熱ほとばしる演奏が圧倒的だ。なにしろ長丁場なので、スタミナ配分を考えて、最初はセーブするのではないかと思っていたが、そんなことはなかった。いつ、いかなる場合でも、手を抜かないプロ根性、あるいは良心のあらわれだろう。
ここまでが第一部のパート1。所要時間は1時間10分。休憩が15分あって、パート2が同じく1時間10分。もう一度休憩が15分。パート3も1時間10分。これで第1部が終了した。時刻は12時ちょうど。30分の休憩の後、12時30分から第二部が始まった。以降、同じペースが続いた(例外は第二部の後の休憩が1時間あったことだけ。)。
第四部は22時ちょうどから開演。わたしは、このときはまだ気合を入れて聴いていたが、演奏が進むにつれて、情けないことに、睡魔とのたたかいになった。けれども横山さんはますます好調。次々に出てくる大曲、名曲を、気迫をこめて、鮮やかに弾いていった。
横山さんはすべて暗譜。ハプニングがあったとすれば、1箇所だけ。第三部のパート1で1曲とばしてしまった。休憩のときに、聴衆は多少ざわついた。この曲はパート2の冒頭で演奏された。スケルツォ第2番。その演奏がまた見事だった。どうだ!と言わんばかりの名演。さすがは百戦錬磨の演奏家だ。
終演は26時(深夜2時)。こうして全作品と向き合ったことで、ショパンが(若すぎる)晩年には、音楽史のなかでも数人しかいない、真の大音楽家になったことが、よくわかった。
(2011.5.3~4.東京オペラシティ)
開演は朝8時(!)。冒頭に大震災の犠牲になった人々のために、横山さんの自作曲が演奏された。ショパン的な甘美な曲だ。そしていよいよ212曲にむかっての挑戦が始まった。
プログラムは作曲年代順に組まれていた。最初はショパン7歳のときの作品。6歳のときに音楽の勉強を始めたというから、その1年後だ。モーツァルトの幼いころの作品のように、可愛らしい曲だが、はっきり発音しているのが印象的だ。
最初の演奏はピアノ・ソナタ第1番で締めくくられた。第4楽章の情熱ほとばしる演奏が圧倒的だ。なにしろ長丁場なので、スタミナ配分を考えて、最初はセーブするのではないかと思っていたが、そんなことはなかった。いつ、いかなる場合でも、手を抜かないプロ根性、あるいは良心のあらわれだろう。
ここまでが第一部のパート1。所要時間は1時間10分。休憩が15分あって、パート2が同じく1時間10分。もう一度休憩が15分。パート3も1時間10分。これで第1部が終了した。時刻は12時ちょうど。30分の休憩の後、12時30分から第二部が始まった。以降、同じペースが続いた(例外は第二部の後の休憩が1時間あったことだけ。)。
第四部は22時ちょうどから開演。わたしは、このときはまだ気合を入れて聴いていたが、演奏が進むにつれて、情けないことに、睡魔とのたたかいになった。けれども横山さんはますます好調。次々に出てくる大曲、名曲を、気迫をこめて、鮮やかに弾いていった。
横山さんはすべて暗譜。ハプニングがあったとすれば、1箇所だけ。第三部のパート1で1曲とばしてしまった。休憩のときに、聴衆は多少ざわついた。この曲はパート2の冒頭で演奏された。スケルツォ第2番。その演奏がまた見事だった。どうだ!と言わんばかりの名演。さすがは百戦錬磨の演奏家だ。
終演は26時(深夜2時)。こうして全作品と向き合ったことで、ショパンが(若すぎる)晩年には、音楽史のなかでも数人しかいない、真の大音楽家になったことが、よくわかった。
(2011.5.3~4.東京オペラシティ)