恒例のアジア・オーケストラ・ウィーク2011は、韓国の大邱(テグ)市立交響楽団のほか、クライストチャーチ交響楽団と仙台フィルハーモニー管弦楽団が招かれた。本年2月22日に大地震が起きたクライストチャーチと3月11日の仙台。双方のオーケストラがわずか6カ月後に顔をそろえるとは、驚くべきことではないだろうか。明日は仙台で合同演奏会を開くというから、短期間のうちによくここまで準備したものだ。
ニュージーランドのオーケストラでは、北島の首都ウェリントンのニュージーランド交響楽団(日本フィルの首席客演指揮者インキネンが音楽監督をしている)が思い浮かぶが、クライストチャーチ交響楽団は馴染みがない。クライストチャーチを本拠に南島で活動しているそうだ。ともに大地震に襲われた者同士という意識があるのだろう、その演奏はひたむきで、初々しいほどだ。
指揮は音楽監督兼首席指揮者のトム・ウッズTom Woods。ひじょうに意欲的なプログラムを組んでいた。
1曲目は現代ニュージーランドの作曲家クリス・クリー・ブラウンChris Cree Brownの「アイススケープ(氷雪の風景)」。南極での体験を音にしたそうだ。氷山から絶えず氷の砕片が転げ落ちてくるような弦の動きが特徴的だ。氷山はゆったり洋上を漂い、こちらを威圧するように迫ってくる。
2曲目はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。独奏はジョン・チェンJohn Chen。1986年マレーシアのクアラルンプール生まれ。2004年にはシドニー国際ピアノ・コンクールに史上最年少で優勝したそうだ。まだ25歳の若者だ。若者らしく肩に力の入った演奏。若者はこのくらいでよい。アンコールにシューマンの「森の情景」から「森の入口」。
3曲目はラウタヴァーラの交響曲第7番「光の天使」。実はこの曲が聴きたくて出かけた。CDは持っているが、生で聴くのは初めてだ。生で聴くと、ラウタヴァーラのルーツにはシベリウスがあることがよくわかった。シベリウスの土壌に、息の長い、抒情的な旋律を育み、厳しさよりも優しさを志向し、音色的な流動性を添えたものがラウタヴァーラの音楽だ。
アンコールが2曲。ピアソラの「オブリビオン」とモートン・ローリゼン(1943年生まれのアメリカの作曲家。Morten Lauridsen)の「オー・マグヌム・ミステリウム」。後者のシンプルな音楽が胸に染みた。
(2011.10.3.東京オペラシティ)
ニュージーランドのオーケストラでは、北島の首都ウェリントンのニュージーランド交響楽団(日本フィルの首席客演指揮者インキネンが音楽監督をしている)が思い浮かぶが、クライストチャーチ交響楽団は馴染みがない。クライストチャーチを本拠に南島で活動しているそうだ。ともに大地震に襲われた者同士という意識があるのだろう、その演奏はひたむきで、初々しいほどだ。
指揮は音楽監督兼首席指揮者のトム・ウッズTom Woods。ひじょうに意欲的なプログラムを組んでいた。
1曲目は現代ニュージーランドの作曲家クリス・クリー・ブラウンChris Cree Brownの「アイススケープ(氷雪の風景)」。南極での体験を音にしたそうだ。氷山から絶えず氷の砕片が転げ落ちてくるような弦の動きが特徴的だ。氷山はゆったり洋上を漂い、こちらを威圧するように迫ってくる。
2曲目はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。独奏はジョン・チェンJohn Chen。1986年マレーシアのクアラルンプール生まれ。2004年にはシドニー国際ピアノ・コンクールに史上最年少で優勝したそうだ。まだ25歳の若者だ。若者らしく肩に力の入った演奏。若者はこのくらいでよい。アンコールにシューマンの「森の情景」から「森の入口」。
3曲目はラウタヴァーラの交響曲第7番「光の天使」。実はこの曲が聴きたくて出かけた。CDは持っているが、生で聴くのは初めてだ。生で聴くと、ラウタヴァーラのルーツにはシベリウスがあることがよくわかった。シベリウスの土壌に、息の長い、抒情的な旋律を育み、厳しさよりも優しさを志向し、音色的な流動性を添えたものがラウタヴァーラの音楽だ。
アンコールが2曲。ピアソラの「オブリビオン」とモートン・ローリゼン(1943年生まれのアメリカの作曲家。Morten Lauridsen)の「オー・マグヌム・ミステリウム」。後者のシンプルな音楽が胸に染みた。
(2011.10.3.東京オペラシティ)