Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ラ・フォル・ジュルネ(5月3日)

2015年05月04日 | 音楽
 ラ・フォル・ジュルネ2日目は2つのコンサートを聴いた。3日目はパスするので、今年はこれで終わりだ。

 まずアントニオ・ザンブージョAntonio Zambujo(1975‐)のリサイタルから。未知の歌手だ。プロフィールによると、「彼の音楽はポルトガルの大衆的音楽であるファドの基礎を持ちながらも、ボサノヴァや他の民族音楽などの影響も消化して、独特のものになっている。」とのこと。未知の音楽との出会いは、ラ・フォル・ジュルネの楽しみの一つだ。

 たしかにファドそのものではなく、現代的なテイストが加味されている。時々ファルセットの高音が混じる。囁くような曲から、ノリのよい曲まで多彩だ。10曲以上歌われたと思うが(曲名を書いたプログラムはなかった)、まったく飽きなかった。

 バンド編成は、歌とギターのザンブージョの他、ポルトガルギター(エキゾティックな味がある)、ベース、トランペット(普通のトランペットよりも低音の楽器との持ち替えあり)、クラリネット(バスクラリネットよりもさらに低音の楽器との持ち替えあり)各1名、合計5名だった。

 次にヴォックス・クラマンティスの演奏でアルヴォ・ペルトの「ヨハネ受難曲」を聴いた。昔FMでこの曲のさわりを聴いて(柴田南雄の解説だったような気がするが、記憶違いかもしれない)、今の時代にこんな曲があるのかと驚いた。すぐにCDを買った(ヒリヤード・アンサンブルの演奏)。生で聴くのは初めてだ。

 「ヨハネによる私たちの主イエズス・キリストの受難」と歌う冒頭の合唱の透明感がすばらしい。内側から光が発するようだ。続くソプラノ、カウンターテノール、テノール、バリトンの4人のアンサンブルが歌う福音史家もすばらしい。とくにカウンターテノールの艶のある高音が魅力的だ。

 ヴァイオリン、チェロ、オーボエ、ファゴットの4人の器楽アンサンブルは、福音史家のときのみ演奏する。主イエズスを歌うバス歌手とピラトを歌うテノール歌手、そして合唱のときはオルガンのみだ。そのことに今更ながら気が付いた。

 最後の合唱にも内側から発する光を感じた。冒頭の合唱よりもまばゆく感じた。ホールは静寂に包まれた。指揮者が手を下ろすと、大きな拍手が起こった。十分に準備されたすばらしい演奏だった。スタンディングオベーションをしている人が何人かいた。わたしもその一人だった。
(2015.5.3.よみうりホール、ホールC)
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