Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

高関健/東京シティ・フィル

2015年06月06日 | 音楽
 高関健が常任指揮者に就任してから2度目の定期。前回4月のスメタナの「わが祖国」が名演だったので、今回も期待が高まった。

 高関健のプレトークがあった。プレトークのやり方はさまざまだが、今回は開演直前の18:55にステージに登場して、短いトークを行うやり方。

 話題は2点に絞られていた。第1点は、プログラムの1曲目、オネゲルの交響曲第2番の第3楽章(最終楽章)のコラールについて。このコラールの出典は?というテーマ。この交響曲は弦楽合奏で演奏されるが、第3楽章の最後に出てくるコラールは、第1ヴァイオリンにトランペットを(任意に)重ねることができる。なにか意味がありそうなコラールだ。でも、出典は分かっていないという。

 高関健の調べたところによると、そのものずばりの作品はなかったが、バッハのコラールに冒頭と末尾の和声進行がそっくりな作品があったとのこと。その題名も言ってくれたが、残念ながら聞きとれなかった。パリがナチス・ドイツに占領された時期に書かれたこの曲。なにかのメッセージが込められているのかもしれない。

 第2点は、当日のメイン・プログラム、ベートーヴェンの交響曲第5番のある箇所について。ベートーヴェン自身が振った初演譜とライプツィッヒで出版された出版譜とのあいだに微細な違いがある可能性があり、出版譜のミスかもしれないとのこと。当日は「初演譜を推定して演奏します」。

 以上、簡にして要を得たトークだった。さて、いよいよ1曲目、オネゲルの交響曲第2番。張りのある音。いかにも20世紀の音だ。細かく組み込まれたディテールがよく把握されている。演奏に確信がある。歯切れがいい。

 2曲目はニールセンのフルート協奏曲。フルート独奏は竹山愛。東京シティ・フィルは昨年11月にはクラリネット協奏曲を演奏した。橋本杏奈のクラリネット独奏、阪哲朗の指揮だった。若い2人の女性がニールセンに取り組んでいることが頼もしい。ともに好演。なおフルート協奏曲では、オーケストラのクラリネットなどの細かい動きも光っていた。

 3曲目はベートーヴェンの交響曲第5番。冒頭のタタタターン、タタタターンの2番目のターンがディミヌエンドを付けて演奏された。なにか根拠があるのだろう。全体的に1曲目と同様、張りのある音でよく鳴っていた。ただ、第4楽章ではさらなる高みに上ってほしかった。
(2015.6.5.東京オペラ・シティ)
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