Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

テーマ作曲家<ハインツ・ホリガー>室内楽

2015年08月23日 | 音楽
 サントリー芸術財団サマーフェスティヴァル2015。これがあるので、バイロイトのお誘いは断った。もうこれで3年連続だ。来年は誘ってくれないかもしれない。悔いはない。

 初日はハインツ・ホリガー(1939‐)の室内楽の演奏会。1曲目はホリガーの作曲の師シャーンドル・ヴェレシュ(1907‐1992)の「ソナチネ」(1931)。バルトークやコダーイの作風を継ぐ曲だ。ホリガーのオーボエ、菊地秀夫のクラリネット、福士マリ子のファゴットの三重奏。ホリガーはもちろんだが、日本の若手2人の演奏も達者なものだ。

 2曲目からはすべてホリガーの曲。まずピアノと4つの管楽器のための「クインテット」(1989)。冒頭、オーボエ、クラリネット、ファゴットおよびホルンが一斉にピアノを威嚇する。ほとんど聴き取れない音で耐えるピアノ。でも、そのうちにピアノが自らの音楽を奏し始める。シェへラザードのようだ。

 ライヴの面白さ満載の曲だ。音だけ聴いていたら分からない面白さ。ピアノは野平一郎、ホルンは福川伸陽。

 3曲目は「トリオ」(1966)。オーボエ、ヴィオラ(ジュヌヴィエーヴ・シュトロッセ)、ハープ(高野麗音)の編成。3楽章構成。第2楽章は9つの部分からなり、「自由につなぎ合わせたり、組み合わせたりすることが出来る」(ホリガー自身のプログラム・ノート)。いかにも1960年代の曲だ。最近こういう曲が面白くなった。もちろん演奏がよければ、だが。昨日は面白かった。

 第3楽章は未知の領域に入るような終わり方だ。息をひそめて聴いた。アフタートークでホリガーが語ったところによると、「3つのパッサカリアが同時進行」していたそうだ。そこまでは聴き取れなかった。情けない。

 休憩後はヴィオラ独奏のための「トレーマ」(1981)。目が回るような激しいアルペッジョ音型が、途中で一息つきながら、何度も繰り返される。それらの音の活きのよさ。これもライヴでなければ分からない種類のものかもしれない。

 最後は「インクレシャントゥム」(2014)。ソプラノと弦楽四重奏のための曲だが、ソプラノ歌手が体調不良でキャンセルした。代わりにホリガーが声楽パートをオーボエで吹いた(一部は語った)。弦楽四重奏(クァルテット・エクセルシオの演奏)がどう書かれているかはよく分かったが、できれば声楽で聴きたかった。
(2015.8.22.サントリーホール小ホール)
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