Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

メナ/N響

2017年01月16日 | 音楽
 ファンホ・メナJuanjo Mena(1965‐)という未知の指揮者が振るN響の定期Cプロ。

 1曲目はファリャの歌劇「はかない人生」から間奏曲とスペイン舞曲。N響を無理なく鳴らしている感じがした。間奏曲での暗い音色もいい。ポピュラーな名曲だが、けっしてポピュラー・コンサート的な気楽な演奏ではなかった。

 2曲目はロドリーゴの「アランフェス協奏曲」。ギター独奏はカニサレス。以前ラ・フォル・ジュルネで聴いたことがあるが、そのときはフラメンコを中心にした鮮烈な演奏だった。今回は期待に反して、控えめな、自分の土俵で勝負していない感じがした。

 アンコールにカニサレスの自作曲(「時への憧れ」という題名だったと思うが、メモしてこなかったので未確認)が演奏された。これは正直言って、あまり面白くなかった。小さな酒場でお酒を飲みながら聴くにはよいかもしれないが、大ホールの最上階からしらふで聴くには物足りなかった。

 以上がプログラム前半。指揮者もオーケストラも、お互いに瀬踏みしているような気配があり、聴衆であるわたしも同様なところがあって、演奏との間の微妙な距離感が拭えなかった。

 ところが後半の1曲目、ドビュッシーの「映像」から「イベリア」で目を見張った。鮮明な音色で、スコアがどう書かれているか、クリアに再現された演奏だった。厳しく音がコントロールされているが、厳しさよりもむしろ音楽的な愉悦を感じさせる演奏。N響の優秀さもさることながら、メナという指揮者も優秀だと思った。

 最後はファリャのバレエ組曲「三角帽子」の第1部と第2部。久しぶりに組曲版を聴いたが、これはバレエ音楽からつなぎの部分を除いて、まとまった単位の音楽をつないで構成していることがよく分かった。つなぎの部分を取り除いた結果、ぎくしゃくした感じがしたことも事実だ。

 メナは、オーケストラと聴衆を盛り上げるためか、指揮台で軽快なステップを踏みながら指揮をしていた。終演後は拍手喝さい。

 メナという指揮者に興味を持ったので、翌日NMLをのぞいてみた。CDが何枚か入っていた。ウェーバーの交響曲第1番、同第2番とファゴット協奏曲を聴いてみた(オーケストラはBBCフィルハーモニック。メナは2011年から首席指揮者を務めている)。溌剌とした名演だ。実力のある指揮者かも‥。
(2017.1.14.NHKホール)
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