Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ジュリアン・オピー展

2019年08月07日 | 美術
 たまたま目にしたチラシに惹かれてジュリアン・オピー展へ。チラシ(↑)に掲載されている作品には5人の男女が描かれている。便宜上、左から順番に番号を振ると、一番左の「男1」はヘッドフォンでなにかを聴いている。その右の「女1」はお腹が大きい。その右の「男2」は肩に緑色のバッグをかけ、手には青いバッグを下げている。その右の「女2」はスマホを見ながら歩いている。その右の「男3」は帽子をかぶっているようだ。

 4人は右方向へ歩いているが、一人だけ(女2だけ)逆方向に歩いている。男2と女2の足の重なり具合を見ると、男2が奥にいて、女2はその手前にいる。同様に女2と男3を見ると、女2が奥にいて、男3が手前にいる。女2はこれから女1とすれ違い、そして男1とすれ違うが、だれにもぶつからずに、みんなスムーズに歩けそうだ。

 日常的で、穏やかな作品。会場に作品名は掲示されていないが(作家自身の意向だろう)、会場入り口で作品リストをもらえるので、それを見ればわかる。題名は「Walking in New York 1」。なんの変哲もない題名。それがかえって面白い。制作は2019年。今年の作品だ。先回りしていうと、本展の作品はすべて2018年から2019年にかけて制作された最新作ばかり。

 チラシ(↑)ではわからないが、実物を見ると、本作は絵ではなく、壁にパーツを一つひとつ貼り付けて作られていることがわかる。壁は黒地で、黒い輪郭線がそれだ。そこにたとえば女1(お腹の大きい人)でいえば、顔に当たるベージュの半円形のパーツ、襟、肩、右腕、左腕、胴体それぞれの灰色のパーツ、バッグの茶色いパーツ、スカートの深緑色のパーツ(これは2分割)、2本の足のベージュのパーツを、それぞれ貼り付けている。

 本作のサイズは、縦590.0×横671.0㎝という巨大なもの。そこにパーツを一つひとつ貼り付ける作業は、少しのズレも許されないので、(もちろんやりかたはあるだろうが)神経を使うのではないか。そうやって出来上がった本作は、いつまで見ていても飽きない味がある。

 本展の作品数は27点と比較的少なく、そのうち2点はサウンド作品(キーボード音楽)なので、美術作品は25点。そのどれもがシンプルな線と色でできている。カジュアルで楽しい。場内は広々としている。写真撮影も自由。

 ジュリアン・オピーJULIAN OPIEは1958年ロンドン生まれだそうだ。
(2019.7.30.東京オペラシティ・アートギャラリー)
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