Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

諸橋近代美術館「四次元を探しに―ダリから現代へ」展

2019年08月13日 | 美術
 ダリの作品のコレクションで知られる諸橋近代美術館ってどういう美術館だろうと、前から気になっていたが、やっと訪れることができた。場所は福島県の裏磐梯。多くの観光客で賑わう五色沼の入口にあった。写真(↑)で見るとおり、前面には小川が流れ、公園として美しく整備された敷地内にその建物はあった。

 同館のオープンは1999年。今年は開館20周年に当たる。それを記念して今年から来年にかけて開館20周年記念展が開かれている。わたしが訪れたときには第2弾「四次元を探しに―ダリから現代へ」展が開かれていた。

 本展はダリの作品と11人の現代アーティストの作品を並置するもの。それらの現代アーティストは、わたしには未知の人ばかりだが、11人もいれば感性に合う人もいて、偶然の出会いを楽しめた。

 わたしが惹かれたアーティストは、渡辺えつこ。本展のHPに「Blue-Red-Yellow-White House」の画像が載っているが、その作品を含めて、同様の傾向の「zoo」や「garden」に惹かれるものがあった。何にどう惹かれたかを説明するのは難しいが、あえていえば、たとえば「Blue-Red-Yellow-White House」の場合、極端に粗い画像のような画面に単純な色彩を施し、スナップ写真の加工処理のようにも見えるその画面から(実際には油彩画だが)、型板ガラスを通して見る現実の異化効果、あるいは型板ガラスで隔てられた現実と自己との距離感が感じられた。

 インターネットで調べたところ、渡辺えつこは1960年東京生まれ。武蔵野美術大学を卒業した後、ドイツの国立デュッセルドルフ・クンストアカデミーでゲルハルト・リヒターに師事。約30年間ドイツで活動した後、2013年に帰国。現在は武蔵野美術大学の非常勤講師を務めている。同大学の共通絵画研究室のHPに上記の「zoo」の画像が載っているが、これもひじょうに印象深かった。

 さて、ダリの作品だが、同館はダリの作品を「340点余り」所蔵している(同館のパンフレットによる)。そのうちの26点が展示されていた。過去に都内で開かれたダリ展などで見た記憶のある作品もあり、また初めて見る作品もあった。

 その中で一番惹かれた作品は、「アナ・マリア・ダリの肖像」というデッサンだ。アナ・マリアはダリの妹。本作はダリの22歳のときの作品だが、当時のダリは妹と大変仲が良かった。そんなダリの優しい感情と若い感性が表れた作品で、こういっては何だが、意外なナイーヴさが感じられた。
(2019.8.8.諸橋近代美術館)

(※)本展のHP
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