Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ヴィンツォー/読響

2024年07月10日 | 音楽
 読響の定期演奏会にカタリーナ・ヴィンツォーという若い指揮者が登場した。1995年、オーストリア生まれ。ウィーン音楽大学とチューリヒ芸大で学ぶ。2020年のマーラー国際指揮者コンクールで第3位。

 1曲目はコネソンの「ラヴクラフトの都市」から「セレファイス」。眩いばかりの色彩感にあふれた明るくポジティブな曲だ。ハリウッド映画の音楽のようだといったら語弊があるだろうが、最近の映画音楽は渋くて断片的なものも多いので、あえてハリウッド映画の音楽のようだと‥。そんな音楽をヴィンツォーは的確に振った。ヴィンツォーの読響デビューにふさわしい。

 話が脱線するが、コネソン(1970‐)は現代フランスの人気作曲家だ。記憶に新しいところでは、沖澤のどかが京都市交響楽団を率いた東京公演で、メインのプログラムにコネソンの「コスミック・トリロジー」を組んだ。「コスミック・トリロジー」も「ラヴクラフトの都市」も3曲で構成される。後でまた触れるが、ヴィンツォーもいっそのこと「ラヴクラフトの都市」全3曲でプログラムを組んだら(「セレファイス」は「ラヴクラフトの都市」の第1楽章だ)、ヴィンツォーの読響デビューは成功したかもしれない。

 2曲目は矢代秋雄のチェロ協奏曲。チェロ独奏はドイツのユリアン・シュテッケル。シュテッケルは2010年のミュンヘン国際コンクールの優勝者だ。読響のHPによると、矢代秋雄のチェロ協奏曲は読響からの提案だったらしい。深々とした見事な演奏だった。矢代秋雄のこの曲が世界に通用することを証明した。

 たぶん多くの方がそうだろうが、わたしもこの曲を堤剛のチェロ独奏、岩城宏之指揮N響のライブ録音で知った。枯淡ともいえる渋い音色で、集中力の極限まで行った演奏だ。その後、他のチェロ奏者の演奏でも聴いたが、初めに聴いた録音のイメージから離れられないでいた。だが今回のシュテッケルのチェロ独奏、ヴィンツォー指揮の演奏で、この曲が世界の演奏家の共有財として独り立ちする現場に居合わせたような気がした。なお、シュテッケルはアンコールにバッハの無伴奏チェロ組曲第1番からサラバンドを弾いた。意外なくらいに素っ気なく聴こえた。

 3曲目はブラームスの交響曲第2番。前2曲と共通するが、重心の高い、明るい音で前に前にと進む演奏だ。それはそれで良いのだが、あまりにも振りすぎる。正直に言うと、青少年オーケストラを振っているようだった。ブラームス特有の音のニュアンスは皆無だ。ブラームスのこの大曲は、ヴィンツォーには荷が重すぎた。前述したように、「ラヴクラフトの都市」全3曲のほうが良かったのでは‥と思った次第だ。
(2024.7.9.サントリーホール)

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