平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

キル・ビル

2007年07月22日 | 洋画
 タランティーノの作品ってイメージの世界。POPな世界。
 ストーリーやドラマより、映像を楽しめばいい。
 目のぜいたく。
 目の保養。

★展開されるイメージは
 「金髪の美女に日本刀」~主人公(ユマ・サーマン)
 「着物に小刀」    ~オーレン・イシイ(ルーシー・リュー)
 「制服に分銅つき鎖」 ~ゴーゴー・夕張(栗山千明)

 確かに今までに見たことがない女性キャラクター。
 「着物に小刀」は日本人には見慣れたものだけど。

 既存のものに何を掛け合わせるか?
 それでキャラクターメイキングが出来る。
 「金髪の美女×日本刀=ユマ・サーマンの主人公」だ。
 日本に例をとれば
 「女子高生×ヨーヨー=スケバン刑事」。

★あと展開されるのは「飛び散る血しぶき」
 腕が斬られ首が飛び、血が噴き出す。
 それが決して陰惨でない。
 様式化された一場の舞台を見ている様。
 これを不謹慎、不道徳と言ってはいけない。
 映画とはもともとイメージの遊び。
 ドラマやテーマ、ストーリーに縛られないで映像の中で遊ぶのも映画の見方だ。

★登場人物の名前も変。
 主人公のコードネームは「ブラック・マンバ」。
 名前はなぜか×××で伏せ字にされる。
 オーレン・イシイのコードネームは「コットン・マウス」。
 イシイの娘は「ゴーゴー夕張」。
 イシイを補佐する謎のフランス人は「ソフィ・フェタール」。
 主人公の闘う組織の名は「毒へび暗殺団」。
 主人公が乗る車は「プッシーワゴン」。
 なんだか頭がくらくらしてくる。

★描かれた日本的なるものに関しては違和感を感じることも多いだろう。
 ユマ・サーマンやルーシー・リューのたどたどしい日本語。
 劇中の演歌。
 ふすまや木造の日本家屋。
 タランティーノはこうした日本的なものに新鮮さを感じたのだろうが、日本人には違和感。

★その他
 主人公は銃弾を頭に受け目を覚ますことなく4年間寝ていた。その間、病院で彼女は75ドルで買われる性の人形に。4年後、彼女は目を覚ますが4年間筋肉を使わなかったため、立つことが出来ない。そのハンデを背負っての闘いは見どころがある。
 しかし、その後彼女がどんな訓練をしてあれほど闘える戦士になったかは描写されない(精神力で親指が動かせるようになる描写はあるが)。
 主人公がいかにしてあれほどの復讐心を持つに至ったかも描写されていない。
 通常の作家なら丹念に描くべきところを省略してしまうところがタランティーノタッチ。
 時間が前に行ったり後ろに行ったりというのも、タランティーノタッチだ。

★追記
・主人公のエンドタイトル名は「ザ・ブライド」~花嫁が復讐を行っていくという設定は、コーネル・ウールリッチの「黒衣の花嫁」を意識しているのか?
・イシイの過去を描くシーンでは日本のアニメスタジオ・プロダクションIGが手掛けたアニメーションが使われている。
・冒頭「故・深作欽二監督へのオマージュ」がテロップされる。


コメント (4)
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