平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

人生の目的 五木寛之

2008年07月12日 | エッセイ・評論
 「人生の目的」大仰でストレートなタイトルだ。
 「青年は荒野をめざす」「蒼ざめた馬を見よ」、タイトル上手な五木寛之さんには珍しい。
 どういうわけか手にとってしまった本だが、次の3つのビジュアルイメージが印象的だった。

★木箱のライ麦
 木箱に植えられた一本のライ麦の根。
 これを繋いでいくと細いものを入れて1万3000メートルにもなるらしい。
 これが指し示すことは何か?
 植物は必死に生きようとしていること。
 それに比べて人間はどんなに簡単に死を選んでしまうことか。
 生きることは自然、自殺することは不自然なのだ。

★川を流れる小舟
 川の流れとは人生や時代。小舟は人。
 人は時代の大きな流れには逆らえないし、生命が終わることにも逆らえない。
 例えば戦争の時代に生まれれば否応なく戦場に駆り立てられてしまう。
 軍隊に入らない、抵抗という道もあるが迫害を受ける。
 石油高騰の物価高、この時代の流れに一個人では抗せない。
 人は時代に流される。ゆっくり流される人、速く流される人の違いがあるだけだ。
 生命もそう。
 人は人生の終焉、死に向かって流されている。

★闇の中の光
 人が生きるとは荷物を背負って暗闇の中を歩く様なもの。
 確かにこの先何が起こるか予想できる人はいないし、自分の人生の指針をしっかり持って歩いていける人も少ない。
 そして背中の荷物は重い。
 しかしはるか彼方にわずかでも光が見えていたら……。
 足取りや荷物はずい分軽くなるだろう。
 五木さんはその光が宗教ではないかと言う。(ここは検討を要するが)
 その光を探すのが人生の目的ではないかと言う。

 難しいテーマでもこの様にビジュアルで語られるとストンと頭に入る。
 右脳で理解する。右脳で覚える。
 何か困難にぶち当たった時、これらのビジュアルイメージはきっと力を与えてくれるだろう。


コメント
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