平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第18回「上洛」~強い者に従う。真田はこうやって生き延びてきた

2016年05月09日 | 大河ドラマ・時代劇
 ばば様(草笛光子)は昌幸(草刈正雄)に言う。

「強い者に従う。
 真田はこうやって生き延びてきた。
 下手に出て牙を隠して爪を隠して、この先、秀吉の勢いに陰りが見えたら寝首を掻く。
 卑怯者で何が悪い」

 どんなに卑怯でもカッコ悪くても生きる。
 おそらく、これがこの作品のテーマなのだろう。
 世の中を悲観して命を絶ったり、名誉や主義主張のために死ぬなんて、バカバカしい。
 これが三谷幸喜さんの姿勢だ。

 屈辱を味わい、「わしはどこで間違った?」と苦悩する昌幸の心が立ち直っていく後半の過程も見事だった。
 まず、信幸(大泉洋)が現状を肯定する。
「父上は大名となり領地を守ったのです」
 つらい時の<現状肯定の言葉>ほど、癒やされるものはない。

 次に信繁(堺雅人)が松(木村佳乃)の生存を伝える。
 すると、昌幸は、
「生きておっただけでも儲けもんじゃ。
 つらい事があればその分、良いこともある。
 世の中、ようできとるわい」

 生きているだけで儲けもの。
 領地を守れただけで儲けもの。
 大名になれただけで儲けもの。
 家族がいるだけで儲けもの。
 国衆の真田家としては、十分に合格点ですよ。
 それらに比べたら、嫌いなやつに頭を下げるくらいは何でもない。
 心の中は自由で、牙を隠して生きていてもいいのだから。
 これが、したたかに生きるということだ。

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 とはいえ、ここで昌幸は第一線から退場するんでしょうね。
 これからは信繁と信幸の物語になっていく。
 戦国の混乱期が終わり、秩序の時代になっていったように、主役は昌幸から信繁たちに移行する。
 まだまだ戦場で暴れたい信幸が「自分たちは遅れて生まれてきた」と嘆いたのは、そのためだろう。
 豊臣→徳川→真田、という序列がうまれたのも、世の中が安定してきた現れ。
 これからは石田三成(山本耕史)のような官僚が幅をきかせる、静かな権力闘争に時代になっていく。
 武力で解決していく方法は後退し、政治と法と権威が物を言う時代になっていく。

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 最後は姉上。
 松はこんな人物だった。
・昌幸におんぶされると必ずしょんべんを漏らす(笑)
・カニで鼻を挟む(笑)
・高い木に登って、男の品定めをする(笑)
・干からびたカエルを渡す(笑)

 随所に入るさりげないツッコミが面白い!
 楽しい一家団欒でした!

コメント (4)
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