平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

篤姫 第20回「婚礼の夜」

2008年05月19日 | 大河ドラマ・時代劇
★家定様!
 家定(堺雅人)はやはり暗愚でなかった。
 せんべいの次にカステラを食べたあたりでそうではないかと思っていたのですけどね。
 家定は日本(せんべい)と異国(カステラ)を食べ比べることによって、開国を迫る異国を理解しようとしていた。
 彼は言葉でなく自分の感じたことで物事を理解するタイプ。
 風評・言説に惑わされる愚かさを知っている。
 だからハリスに会ってもいいと言った。
 自分の目で確かめたいからだ。

 家定は慣習やしきたりの愚かさも知っている。(ハリスに会えないのは慣習のせい)
 だから篤姫(宮崎あおい)との婚礼の儀を「疲れるぞ~」と言った。顔を見ても話しかけてもいけないのに。

 こうした聡明さを持ちながら「うつけ」を装った理由は何か?
 それが今後の興味になる。
 家定には醒めた何かがある。
 慣習やしきたりの愚かさを知りながら改革する意思を持たないのには、どうせ現実は変わらないといったシラケ・ニヒリズムがある。
 彼にその様な考えを抱かせてしまったのは何か?

★篤姫らしさ
 篤姫には「知りたいことは自分の目で確かめる」という考えが一貫してある。
 薩摩時代に調所広郷の所に乗り込んだのもそう。
 江戸でお由羅様の所に乗り込んだのもそう。
 今回は相手が公方様ということでそれが出来ず、「暗愚かそうでないのか?」ということを人に聴いてまわったが、最後にはいっしょにアヒルを追いかけて。

 考えてみると家定も自分の目で確かめてみなければ信用しないタイプ。
 前回のかくれんぼも篤姫を見に来たのだろう。
 いい夫婦になりそうだ。
 そして家定は篤姫によって変わっていくのであろうか?
 シラケ、ニヒルがなくなり聡明さを全面に出す日が来るのだろうか?
 篤姫VS家定の戦いは始まったばかりである。

★名シーン
 家定の正体が明らかになるシーンは視聴率24%の日本中が注目したシーン。
 あひるを追いかけ池に落ちそうになりそうになる篤姫。
 家定は一瞬迷うが、真面目な顔になり篤姫を抱き留める。
 「危ないではないか」
 すぐにおちゃらけ家定に戻ってしまうが、抱き留められて篤姫にはわかった。
 家定の聡明さは側室のお志賀(鶴田真由)も認識していた様だ。
 篤姫がわかったのをお志賀も感じたらしい。
 「あなたもわかったのね」と目で篤姫に語る。
 池に落ちそうになるくだりはマンガっぽいが、お志賀の視線を描くあたりはさすがプロの技。
 これで名シーンになった。


コメント (2)
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デトロイト・メタル・シティ

2008年05月18日 | コミック・アニメ・特撮
 人は様々な顔を持って生きている。

 夫の顔、父親の顔、会社員の顔。会社員の顔では部下に対するものと上司に対するものが違うかもしれない。

 「デトロイト・メタル・シティ」の主人公・根岸崇一もそう。
 普段は平和なギター好きな好青年だが、もうひとつの顔は悪魔系デスメタルバンド デトロイト・メタル・シティのヴォーカル、クラウザーⅡ世様。
 その歌詞内容は過激。
 CDの帯のセールス文句は「オレは音楽に感謝している。ミュージシャンになっていなかったら猟奇殺人者になっていただろうから」
 楽曲名は「SATUGAI」
 でも崇一が本当にやりたい音楽は「ラズベリー・キッス」という曲タイトルの音楽。
 でも、そんな音楽はつまらない、売れないと事務所社長に書き換えられてしまう。
 そのタイトルは「ラズベリー・ファック」!!

 この作品は様々な顔を持って生きなければならない現代人のつらさをうまくデフォルメして作品にしている。
 例えば会社の仕事で意に添わないこともしなければならないこともある。
 それは崇一が自分の本当にやりたい音楽をやれないのと同じだ。

 デトロイト・メタル・シティの曲が売れて、自分のやりたい曲が売れないのも皮肉だ。
 人間は社会的動物だから、人に認められることを欲する。
 お金を得るためにも認められなくてはならない。
 崇一の場合はクラウザーⅡ世の自分が認められ、素の根岸崇一はただの平凡な男。
 社会(事務所)のしがらみやお金のために『クラウザーⅡ世』を演じなければならない。
 また時としてクラウザーⅡ世を演じることが快感になる。
 クラウザーⅡ世が本当の自分ではないかと思えてくる。

 この作品はこうした『引き裂かれた自己』をうまくギャグにした作品。
 作品は時代を表現する。
 作品は時代の隠喩なのだ。


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ラスト・フレンズ 第6話

2008年05月16日 | 恋愛ドラマ
★人と向かい合うということ
 今回は瑠可(上野樹里)の心の壁の話。
 本当の自分を知られて嫌われるのがイヤで、瑠可は心の中のある一線を踏み込ませない。
 瑠可の知られたくない真実。
 それが瑠可のことを真剣に考える美知留(長澤まさみ)には謎で彼女は拒絶されていると感じる。
 それほど深く考えないエリ(水川あさみ)や真実を知っているタケル(瑛太)の様だと拒絶は感じないんですけどね。
 人と正面から向き合うこと、理解しようとすることって大変なことなのだ。
 向き合えば美知留が感じた様にどこか壁を感じる。
 だから人はエリの様な向かい合い方をする。
 表面だけを見て理解した気になっている。
 そうしないと日常生活は維持できないですし。

★群像劇の主役
 この作品の主役はタイトル表示から言っても美知留なんでしょうね。
 でも最近の主役は瑠可。
 瑠可の内面が掘り下げられて描かれているからだ。
 美知留は恋の熱情で客観的に見られない女の子。
 群像劇の主役は難しい。
 自己主張しないとすぐに主役を奪われてしまう。

★ふたつの印象的なシーン

 まずは怖いシーンから。
 美知留のことが心配で宗佑のマンションに行くタケル。
 果たして玄関のドアは開いていて、入っていくと眼帯をした美知留が。
 しかも目が虚ろで幽霊の様。
 美知留は語る。
 「宗佑といると自分がなくなってしまう。自分よりも宗佑の気持ちを優先して考えてしまうから、自分が何が好きで何が嫌いで、本当に何がしたいのかわからなくなってしまう」
 完全な洗脳状態。
 眼帯の痛々しさもそうだが、洗脳されて自分を失った美知留の姿から宗佑との生活の異常さが想像させる。
 DVのシーンを直接見せられるのも怖いけど、今回の様な描かれ方も怖い。

 次にさわやかなシーン
 「自転車を直しに来て、おいしいものを食べさせてあげるから」と瑠可に頼むタケル。
 しぶしぶ瑠可が行くと美知留がいて、無理やり二人乗り自転車に乗せられてタケルと競争。
 タケルの用意したおいしいものとはコンビニのサンドウィッチで瑠可は文句を言うが、美知留は「おいしいね」と言う。
 美知留と瑠可の出会いを演出したタケル。
 サンドウィッチをめぐるリアクションの違い。
 それぞれの人物が見事に描き分けられている。
 そしてさわやか。

 こういう対照的なシーンが同居しているのもこの作品の魅力のひとつだ。
 コメディはコメディシーン、サスペンスはサスペンスシーンしかない作品が多いからねぇ。


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メルシイ!人生

2008年05月15日 | 洋画
 妻とは離婚。
 息子からはバカにされ、同僚からは「いい人だけど、退屈よね」「体力も気力も魅力もない男」と言われている。
 会社創立の記念写真撮影では端にいてカメラに収まり切れないとわかると撮影からはずれてしまう人の良さ。
 主人公・ピニョン(ダニエル・オートゥイユ)はそんな男だ。

 ピニョン自身もそんな自分に悩んでいる。
 時には「こんな自分にうんざりだ。でも波風立てたくない」
 自分を称して「透明人間」。

 そんなピニョンが人生に立ち向かう試練が起こる。
 リストラ。
 彼は隣に住む男のアドバイスを受けて「自分はゲイだ」と主張する。
 実際はそうではないストレートなのだが、これはリストラ防衛策。
 ゲイを解雇すれば差別だと会社は非難されるからだ。

 ゲイだと表明してまわりの態度が変わる。
 女性社員の目が変わり「退屈な男」ではなくなる。
 人事のサンチィニ(ジェラール・ドパルデュー)はゲイ嫌いだが、差別者でないことをアピールするためにピニョンをヨイショ。サンチィニもゲイだと思われる。
 今までピニョンをバカにしていた息子は「カッコイイ!」
 会社のキャンペーンキャラクターにもなってしまう。

 作品はこうしたドタバタコメディの中で展開されていくが、ここで描かれているのは「自己主張のすすめ」。
 「いい人」をやめれば人生は開けて来るという主張。
 他人に気をつかい過ぎて透明人間になってしまったピニョン。
 しかし誰にも注目されないのは死んでいるのも同じこと。
 時には「困った人」になって生きてみよう。

 他人をわずらわすのが生きるということなのだ。
 他人をわずらわせて何かをしてもらえば、自分も返せばいい。
 そこに人の絆が生まれる。

 フランス映画らしい人生を感じさせるコメディでした。


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無理な恋愛 その3

2008年05月14日 | 恋愛ドラマ
★何かを得れば何かを失う。
 これが人生の法則。

 立木正午(堺正章)の人生もそう。
 自由に生きる道を選んだ彼は<家族>を得られなかった。
 オーディションが終わって親子3人で帰っていく後ろ姿を見つめる立木。
 娘の横に自分が父親としていたかもしれないことを思う。

 社会的に成功しても何か足りないと思ってしまうのが人間なんですね。
 自分にないものを求めてしまう。
 かえで(夏川結衣)に一生懸命になるのもつらい時そばにいてくれる人がいないから。
 愛を注ぐ対象がいないから。
 実に人間は欲深い。
 同時にそれが人間らしい。

 そんな人間や人生の真実をこの作品は描いてみせる。
 大人の作品だ。
 スザンヌ様に象徴される現役バリバリの10代、20代にはわからないでしょうね。

 ただし次回から立木は諦めから攻めに転じる様子。
 そうそう60歳はまだ若い。
 格好悪くてもあがいてほしい。

★パワー全開!50代
 今回はパワー全開な50代が登場した。
 かえでの母(高畑淳子)と立木の元妻・光代(夏木マリ)だ。
 ふたりは若い頃、立木の追っかけをしていたらしい。
 かえでの母は今もその情熱を忘れていない。

 好きなものを好きと言える。
 自分の想いを全うするのにためらいがない。
 そういう人は素敵ですね。
 世間の目なんか気にせずに自分の人生を楽しんでいる。

 彼女らの生活にも深く入り込んでみればいろいろ悩みはなるのでしょうが、このパワーは見習いたい。
 考えてみるとかえでに象徴される30代・40代が一番元気がない感じ。
 みんながそれぞれに人生を楽しむ様になれば、陰惨な事件など起こらないような気がします。


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CHANGE

2008年05月13日 | 職業ドラマ
★ニュース番組を見てて常々思うことがある。
 政治家や官僚は何で素直に謝らないんだろう?と。

 例えば後期高齢者医療制度。
 制度の不備や試算が足りなかったことを謝るべき。
 ムダな道路や公共工事。
 税金でムダな工事をしてしまったことを謝るべき。
 自らの間違いを認め、次に同じ間違いをしないことが改善、進歩に繋がる。
 そんな当たり前のことがなされていない。
 もちろん仕事だから間違い、失敗には責任が問われる。
 でも自分が全力でやって失敗したことなら責任を取っても本望だろう。

 「CHANGE」の朝倉啓太(木村拓哉)は謝る人。

 「父が皆さんを裏切ったことを息子として謝ります。本当に申し訳ございませんでした!」と謝る。
 それが結局選挙民の心に届いて当選する。
 これをドラマのウソで現実にはこんなことはあり得ないと片づけてしまうことは簡単だ。
 人には様々なしがらみ、利害があるし。
 でもね……。
 正直な人、謝る人が受け入れられない社会というのはやっぱり歪んでいる。

★ただし……。
 啓太が何の政策も持たないで議員になってしまうのは困りものだ。
 政治家になろうとする人は政策やこの国をこの様にしたいというビジョンや理想を持たなくては。
 今の段階で啓太は「ウソをついてはいけません」「間違っていたら謝りましょう」と教える小学校の教師だ。
 そんな彼が政治家としてどの様に一人前になっていくかは今後のドラマだが、第1話の雰囲気だと「ホカベン」ほどの深刻さ、葛藤はないだろう。
 「ホカベン」の主人公・灯は現実にぶち当たり「弁護士」という職業について真剣に考えている。

 ご都合主義の政治の上っ面を描いただけのドラマにならないことを望みます。
 政治って、欲望や利害が渦巻く一番人間くさい素材だと思いますから。


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篤姫 第19回「大奥入城」

2008年05月12日 | 大河ドラマ・時代劇
 第19回「大奥入城」

★篤姫、大奥を改革!
 篤姫(宮崎あおい)はやはり政治家。
 大奥に入るや早速改革を始めた。
 朝の髪すき。左が最初で次が右。
 長年の蓄積によって出来た慣習、習わし。
 こうして合理的でないムダがどんどん生まれていくのだろう。
 それは現代社会でも同じ。
 官僚は前例、慣習だからと言ってムダな行政を繰り返す。
 そこを改めようとしない。
 1000人の人間が働いているという大奥。
 斉昭(江守徹)は大奥が幕府の財政を圧迫していると愚痴をこぼしたが、篤姫によってその改革が始まりそうだ。

 また篤姫は家定の生母・本寿院(高畑淳子)に人間としてのつき合いを求めた。
 習わしでは生母と言えども本寿院は下座らしい。
 だが篤姫はそんなことを気にしない。
 何と言っても夫となる男の母親、自分の義理の母なのだ。
 身分、格式にとらわれず人として他人に対す。
 この姿勢は大奥でも変わっていない。

 それにしても老女の初瀬様、篤姫にいろいろ言われて大変ですね。

★家定様!
 大奥に入った篤姫は「変わった姫様」と評判をとったが、そんな篤姫が驚いたのは将軍・家定(堺雅人)。
 視聴者は、このふたりはどの様に出会うのだろうと期待していたが、今回ついに実現した。
 植木に不審な男。
 実は隠れんぼしている家定様だった。
 篤姫にお多福の面を渡して逃げ回る家定。

 僕は家定は聡明さを隠している人物だと思っているが、この行為も篤姫を見るために家定が敢えてしたことだと思っている。
 ハリスに会いたいというのも打ち払うべき敵として言われている外国人を自分の目で見たかったから。

 あなどれない家定様!

★尚五郎は篤姫の合わせ鏡
 これも毎回書いているが、尚五郎は篤姫の合わせ鏡。
 今回、尚五郎は恵まれた幸せな小松家での生活の中「自分は死んでいるのではないか」と言う。
 幕末で世の中が動いている中、取り残されている尚五郎の心情を吐露したものだろうが、裏の意味として『篤姫が動乱の世で役割を果たしているのに自分は何もしていない』という想いも考えられる。

 このふたりは一方が結婚すれば結婚し、一方が政治的役割を果たせば一方もそうせずにはいられない因縁で結ばれているのだ。
 ふたりは奥底で通じ合っている。
 面白い人物関係だ。

※追記
 身分、格式は窮屈なものだが逆に武器にもなる。
 今回、幾島(松坂慶子)は近衛家の姫であることを持ち出して滝山(稲森いずみ)を制した。

※追記
 大奥のセット、その豪華絢爛さには目をみはる。
 篤姫が入城した輿も見事。
 日本にはこういう文化が生活と共にあったのですね。
 着物の柄といい、これらを見るだけでも楽しい。


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ハチミツとクローバー(映画版)

2008年05月11日 | 邦画
 映画「ハチミツとクローバー」。
 テレビドラマの方を先に見ていたので見比べてみたかった。

★映画とドラマ、この作品で一貫して言いたかったのは『若さ』。
 『若さ』とは何かと言うと……

 無意味なことに突っ走れること。

 その象徴が竹本(櫻井翔)。
 彼は行く先も決めずにひたすら自転車を走らせる。
 オトナなら目的のない旅をしない。
 枠の中に収まった決められた旅。
 だが青年の旅は違う。
 行く先を決めずに走って出会ったことに自分は何を感じるか?どんな言葉を持てるか?
 それにワクワクする。
 感じたこと、得た言葉がすべて自分を形作る。

 竹本は「はぐみ(蒼井優)や森田(伊勢谷友介)の様な才能ある人間はない平凡な人間」だと自分を規定し「勝つとか負けるとかがイヤで、というより負けるのがイヤでリングにあがることをしなかった人間」だった。
 竹本は若さの可能性を否定してしまっている。
 既に自分の行き先を決めているオトナ。
 そんな彼が行く先のないをする。
 動機は目の前の苦しさから逃げるためであっても、竹本が初めて行った『若さ』の行為だった。

★その他の登場人物たちも『若さ』をひた走る。
 
 真山(加瀬亮)とあゆみ(関めぐみ)は報われないとわかっていても自分の恋に走らずにはいられない。
 オトナなら報われないならやめてしまうし、恋の熱情などとっくに消え失せてしまっている。

 はぐみと森田はオトナの世界と戦う。
 今まで自由に描いてきたはぐみをオトナはコンクールという枠にはめようとする。
 森田はオトナによって自分の納得いかない作品に500万の値を付けられる。

★そして物語のクライマックス。

 竹本は行く先のない旅を経て次の様な言葉を得る。
 「今逃げて全部なかったことにしてしまったら、君に出会ったことすらなくなってしまう」
 彼はリングに上がる。
 それがノックアウトされることであっても自分の生きた証として胸に刻まれる。
 上がらなければ不完全燃焼だ。

 真山とあゆみは共に報われなかった恋の戦士として心を通わせる。
 真山があゆみをおんぶしていくシーンは印象的だ。

 はぐみと森田はオトナの世界にはっきりとNoと言う。
 森田ははぐみの目の前で500万の彫刻に火をつける。
 はぐみに「おまえもオトナの世界に取り込まれるなよ」と燃やすことで伝える。

 作品としては映画版の方がテーマが凝縮している感じですね。

 いずれにしても『若さ』とは

・行き先のない旅に出られること(=報われないかもしれないことをやれること)
・恋の熱情に任せて走れること
・オトナの世界にNOと言えること



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ラスト・フレンズ 第5話

2008年05月09日 | 恋愛ドラマ
 今回はタケル(瑛太)と瑠可(上野樹里)の秘密を具体的なエピソードを描いた。
 タケルはエリ(水川あさみ)にセックスを求められて。
 瑠可は医者の診断を受けて。
 ちなみに瑠可は自分の肉体を嫌悪するほどの性同一障害らしい。
 TS(トランス・セクシュアリズム)。
 心だけでなく肉体も異性でありたいと思う心。(敢えて障害とは書きません。心の中の男性・女性は誰にでもあることだから)
 彼女がアメリカに行ってやりたいこととは性転換手術か。
 瑠可が美知留(長澤まさみ)に言ったせりふも印象的だ。
 「自分を取り戻してほしい」
 瑠可の戦いも「自分を取り戻す」戦いだ。
 心も体も男性になった時、彼女は自分になれる。
 できればその時、美知留も自分を愛してくれれば「本当の自分」になれるだろう。

 さて今回も『見つめる存在』であるタケル。
 「人は他人が思うほど単純じゃない」
 そう考えるタケルはいつも人を見つめる。
 人を単純に理解することはせず、見つめて深く理解しようとする。
 他人の心に踏み込むこともしない。
 「決めるのは他の人じゃない。自分だから」
 「君が誰を好きでもいい。君の喜ぶ顔、笑顔を見たい」
 これがタケルのスタンスだ。

 そして現代に生きる人はこの位の距離の取り方が心地いいようだ。
 タケルに関わる人、みんなが「タケルのそばにいると安心する」と言う。
 逆に宗佑(錦戸亮)の距離の取り方はNG。
 自分をぶつけて、相手を独占したいと思って、メチャクチャ近い距離。
 近すぎる距離が拒まれるのが現代。
 瑠可も美知留の心に踏み込みすぎた時、「あいつ(宗佑)の様だね」と言って反省する。

 この作品は人と人との距離の物語だ。
 距離が縮まり過ぎた時、軋轢・摩擦が起きる。
 その軋轢・摩擦をどう処理していいかわからない。
 これから起こる悲劇はそんな所にありそうだ。


 
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ホカベン 第4話

2008年05月08日 | 職業ドラマ
 「弱者救済をしたい」と灯(上戸彩)は言う。

 非常に抽象的な言葉だ。
 「弱者」とは何なのか?
 具体的に突きつめていけば、今回の佐々木光治(黄川田将也)の様にずるくてだらしない人間もいる。
 灯は『弱者救済』という理想に酔って、言葉を突きつめることを怠っていたわけだ。
 誰だってきれいごとは言える。
 だが現実の中に深く分け入っていくと、事態は複雑・混沌になる。
 何が正義で何が悪なのか?
 被害者と言うけれど非は被害者の方にもあるのではないか?
 大いに迷う。
 自分の信じていた理想とは何だったのかわからなくなる。
 灯の様に。

 そんな灯に杉崎(北村一輝)は言う。
 「世の中には救う価値のない人間がいる」
 「法で救えても人格までは直せない」

 まあ、この杉崎の様に割り切ってしまえば楽なのだが……。

 ひとりの人間の中には良い人格と悪い人格が同居している。
 その人間を取り巻く情況や関わる人間によって、人の人格は変わってくる。
 今回佐々木が裏切ったのだって、好きな女の子の存在や再就職の失敗という情況があったから。

 また『救う価値のある人間』『救う価値のない人間』とふたつに分けてしまうことは危険だ。
 差別につながる。
 ドラマ「医龍」の朝田は少なくともこういう分け方をしなかった。
 「目の前に苦しんでいる患者がいれば救う」
 だから野口センセイも霧島も助けた。
 (そう言えば霧島は北村一輝さんでしたね)

 さて「人は人を裏切る」という現実を知った灯はどんな結論を出すか?

 現実を知って彼女は甘い理想だけの人間ではなくなった。
 「あなたみたいな人を助けるために弁護士になったわけではありません」と灯は佐々木に言い、杉崎は「弁護士とは何か」と問う灯に「そんなに簡単にわかってたまるか」と言ったが。

 う~ん、深い内容だ。
 毎度言うが「7人の女弁護士」などより断然深い。
 気楽に楽しめるドラマがいいか、考えさせるドラマがいいかは個人の趣味ですが。

※追記
 闇金から助け出された佐々木はこう言う。
 「ありがとうございます。これで美加も戻ってくるかもしれない」→甘い現実認識。
 「(闇金を)とっちめて気持ちがよかった」→自分に何の反省もない。
 杉崎に否定されるとこうキレる。
 「どうせおまえらだって金で動いてるんじゃないかよ!」
 殴られた灯の想いは佐々木に伝わらなかった様だ。
 すごく空しくて悲しかっただろう。 


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