平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

監査法人 最終話

2008年07月20日 | 職業ドラマ
★公認会計士とは「企業の財務状況を的確に判断して企業経営に示唆を与えるもの」。
 言わば企業の『医者』。
 この様にこのドラマでは描かれている。

 そこには企業と会計士の対立がある。
 一方で癒着がある。
 例えば粉飾決算。
 企業にしてみれば粉飾することで企業をよく見せたい。あるいは税金を少なく払いたい。
 企業を防衛するという企業論理にしてみれば許容されること。
 一方、会計士。
 粉飾を発見した時どう対処するか?
 それを法と正義の名のもとに指弾するのは簡単だが、それで企業の存続が危ぶまれるかもしれない。見逃すことで来年は会社再生が出来るかもしれない。
 別の言い方をすれば、不況に苦しむ企業を救うためには多少の粉飾も見逃そうという「ぬるま湯監査」の立場をとるか、不良企業は切り捨ていかなる不正も認めないという「厳格監査」をとるか。
 そんな葛藤が会計士の中に生じる。
 これがドラマになる。

★主人公・若杉健司(塚本高史)は友人のプレシァス・ドーナッツの上場の監査を行うが、上場をするために無理をしている。
 フランチャイズの出資者に出資金を返さない。
 会社立ち上げと拡大のためにブラックマネーから金を借り、今はそれを返すために汲々としている。
 若杉はそんな財務状況では上場は認められないと判断するが、友人は上場が駄目になればブラックマネー筋から責め立てられると訴える。
 厳格監査をとるか、友情のためにぬるま湯監査をとるかに迷う若杉。

 やはりドラマは葛藤だ。
 同時に『企業の財務』という現在もっともタイムリーな素材をドラマにしたのも好感が持てる。

★ラスト、若杉が至った結論は『厳格監査』+『信頼』。
 『厳格監査』で企業を切り捨てることは簡単だ。
 そこには痛みも感情もない。機械的な切り捨て。
 しかし若杉はそれだけではダメだということに気づく。
 監査を行う企業の人間との信頼が必要だと気づく。
 企業の『医者』として妥協なく企業の財務状況を見るが、同時に企業が生き延びるために社員といっしょになって努力する。
 そこに生まれる信頼。

 NHKの土曜9時のドラマはバカにできない。


 
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コード・ブルー 第3話

2008年07月18日 | 職業ドラマ
★今回は6エピソード

・藍沢(山下智久)は55階から転落して助かったわがまま男を担当。
・恵(新垣結衣)は息子と対話する女性担当。
・美帆子(戸田恵梨香)は腫茎捻転の女弁護士を担当。
・藤川(浅利陽介)はストーカー男担当。
・黒田(柳葉敏郎)は別れた奥さんと息子の再会話。(←ナースあおい)
・そして4人で手術対応する泥酔男。

 海外ドラマ「ER」を意識したのだろうが、これでは散漫になる。
 その理由は彼らが自分自身の力で問題解決していないからだ。
・藍沢の場合はわがまま男をナースのはるか(比嘉愛未)が一喝。
・恵は患者さんが息子と話す理由を話してくれる。
・藤川はおならでストーカー男は離れていってしまう。
 いずれも事実の羅列でドラマになっていない。大して闘っていない。

 ドラマになっているのは美帆子のエピソードと4人で手術するエピソードだ。
 これは闘っている。
 美帆子の場合は弁護士と職業に対するプライドで共感。
 医者も弁護士も他人の不幸をネタにしてお金を稼ぐ商売。成功すれば感謝され、失敗すれば恨まれる因果な商売。
 だがそんなダーティな面を含めて仕事に誇りを持っているふたり。
 「苦しんでいる人のため」「弱者のため」と言ったきれい事で結びつくよりかっこいい!美帆子らしい。
 また4人の手術シーンでは、命のために力を合わせて闘う4人を描いてドラマにした。

★さて総評
 エピソードを多くしてスピード感と緊迫感を出したいのだろうが、描ききれないのならエピソードをしぼった方がいいのでは?
 ドクターヘリに乗ることがこの作品のウリなのにそれがないのも気になる。

 また藍沢達フェローという立場の医者はどんな医者なのだろう。
 開腹をしたことがないなんて。
 彼らは新人医師?救急でそれなりの実績を積んだ医師だと思ってた。
 だとしたら新人に当直を任せるのはまずいでしょう?
 設定自体がよくわからなくなってきた。
 人物設定を一回整理した方がいいと思った1話だった。
 人気役者を使っていてもキャラクターが立っていなければ、彼らの魅力が引き立たない。
 役者さんもどう演じていいのか迷っているのでは?


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正義の味方 第2話

2008年07月17日 | 学園・青春ドラマ
★槙子(山田優)の良村(向井理)獲得作戦。
 作戦はことごとく失敗?と思いきや……。

 オセロゲームに例えると●●●が物語後半で○○○にひっくり返る。
 そんな物語手法。

 良村は槙子の行動を次の様に解釈する。
・コンサートで爆睡→仕事でがんばって疲れているんだ。
・戦場の子供たちの写真展で足を踏まれてブランド靴が台なしになったことで涙→戦場の子供たちに涙している。
・海でゴミを捨てた人にクレイムまがいの意見→しっかり意見を言う人だ。
・仕事をさぼるために課長を病院に行かせる→結果、課長の腫瘍が発見され感謝される。
 戦場の子供たちとゴミを捨てた人への意見が後でプラスに働くことは予想できたけど、コンサートと病院のことまでがそうなるとは!
 この作品、やはりアイデアがすごい。

 槙子の手に落ちた良村に姉の正体を告げに行く容子(志田未来)のシーンも見事に裏切っている。
 「姉は……(悪魔です)」と言う所が「姉をよろしくお願いします」に変わる。
 良村がダマされることより姉が結婚して早く家を出ていってくれる方を優先したのだ。
 実に人間らしい。
 
★ジェットコースター・コメディ
 この様にこの作品、実にスリリングだ。
 アイデア満載でどこに時限爆弾が仕掛けられているかわからない。
 コンサートで寝たことや課長に病院行きを勧めたことまでが爆発する。
 ジェットコースターに乗っているかの様。
 テンポは速いし、容子は走りまわってるし。

 ただしジェットコースターに乗りっぱなしだと観客は疲れてしまう。
 悪魔の姉に翻弄される妹のパターンも繰り返されると辟易してしまう。
 全10話すべてがそれだったら逆にすごいけど。
 容子が槙子の弱みを握って逆襲するみたいな展開があるとメリハリがつくのだが、その辺今後どう描かれるか注目だ。


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学校じゃ教えられない!

2008年07月16日 | 学園・青春ドラマ
★深田恭子さんの演技はもっとメリハリが必要でしょう。
 「富豪刑事」の様なデフォルメされたキャラならいいが、舞は様々な解釈が出来るキャラ。
 天然を装っていて実は深いことを考えている女教師、女の魅力で社交ダンス部を作ろうとしている女教師など、様々なアプローチが可能。
 それが一本調子では、人物の深みが出ない。

★シナリオは連立方程式を解く様なもの。

 社交ダンス部が動き出すには様々な障害がある。
・学校の反対、他の生徒たちの笑いもの
・ひと癖もふた癖もある女性部員
・男性部員と女性部員の不仲
・そしてアイコラ事件
 唯一の希望がティバッグにつられた男性部員が協力的なことだが、その他は逆風。
 これをどうクリアしていくか?
 こみ入った難しい問題。
 「CHANGE」の様に首相補佐官が協力的なわけではないし、内閣府の官僚を呼びつければ解決する問題ではない。(←こうした点で「CHANGE」のドラマは薄い)
 解決するには『連立方程式』を解かなくてはならない。

 さてその解決方法。
 アイコラ事件は波紋を呼びさらに問題解決が難しくなる。
 吉澤可奈(柳生みゆ)は変態・きよし(柳沢太介)を完全に嫌っている。
 仲間から変態とつき合っていると言われるのも嫌らしい。
 きよしは女生徒達から「帰れ」コールをされる。
 絶体絶命。

 そこで最初に解かなければならない方程式は、可奈ときよしの和解。
 きよしは「君じゃなくちゃダメだ」と告白し、水木一樹(中村 蒼)は「好きだから頭に浮かんでくるのは当然だ」と女生徒たちに話す。
 これですぐに方程式が解けたわけではないが、二番目の「社交ダンス部」復活の方程式は解ける。
 部室に来る女生徒たち。
「弟が三人いて男がどういうものかわかってるから」
「女より男が好きだから」
「ハブられてる人間の気持ちはわかるから」
「わたしはあいつら(女生徒たち)のこと嫌いだから」
 鮮やかな展開だ。
 オセロの黒が一気に白に変わった様な展開。
 方程式がひとつ解けて、もうひとつの方程式も解決。
 社交ダンス部員が呼びに行き、可奈は自分を認めてくれるきよしのもとに。 

 この様にシナリオは数学。
 数学の問題を解くようなもの。
 脚本は「GTO」「女王の教室」の遊川和彦さん。やはりうまい。

 今後が楽しみな作品だ。
 一樹が好きなのは西川叶夢(森崎ウィン)?という『まさかの秘密』が各人にあるらしいし。
 惜しいのは深キョンの演技。改善してがんばってほしい。


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CHANGE 最終話

2008年07月15日 | 職業ドラマ
★朝倉総理(木村拓哉)のロングメッセージ。
 ノーカットだったけどカンペとかあったのでしょうか?
 固定されたカメラを前にして木村拓哉さん、ちゃんと涙も流せた。さすが役者~!
 他のカットの挿入もなく自分だけで20分持たせられる、そんな木村さんのナルシシズムも感じた。

 一方、メッセージとしては長いばかりで非常に薄い。
 その内容は
・今までのこと
・政治家や官僚の中にも信頼できる人はいる。
・国民主権~選挙に行こう
 小学校の社会の教科書まで持ち出しての説明だったけど、一国の総理が電波を使って語るべき内容ではない。
 そしてこれがこのドラマの貧困を象徴している。
 朝倉総理は最後まで道徳を大事にする小学校の先生だった。
 福祉やエネルギー問題、食料問題、教育問題、山積みされたこの国の問題には何も応えていない。
 それらはこの作品のテーマでないと言われればそれまでだが、政治ドラマとしては物足りない。
 あるいは作者の伝えたかったことは、国民主権すら理解されず実践されていない現代日本への皮肉だったのだろうか?

★朝倉総理のやったことは……
・クラゲ訴訟の解決
・火山被害の野菜農家の救済
・竜巻の指揮、慰問
・官邸連絡会議のお茶の廃止
 その他にもやったことがあるのだろうが、描かれたのはこれ。
 起こったことに対応しているだけでやはり大きなビジョンがない。

 最終回に行った『解散』が唯一大きな成果であると言えるが、選挙の結果はどうだったのだろう?
 神林に代表される旧い政治家が同じように当選したのか、啓太の様な政治家が当選したのか?
 それの結論は描かれていない。

 政治の上っつらだけをヒーローものとして面白おかしく描いたのがこの作品。
 政治ものの難しさはわかるが、これだけの役者さんを使い、これだけの番宣を打ち、放送日をずらしてまでやる内容ではない。
 結論が『選挙に行きましょう』ではね。
 視聴率として低かったのかもしれないが、現代社会の矛盾の中で悩む主人公を描いた「ホカベン」や「監査法人」を推す。


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篤姫 第28回「ふたつの遺書」

2008年07月14日 | 大河ドラマ・時代劇
 気持ちをどこに持っていっていいのか迷ってしまった。
 人がドラマを見るのって、泣きたいから、感動したいから、笑いたいから、怒りたいから、そして考えたいから。
 今回はどう見ても「泣き」。
 篤姫(宮崎あおい)、家定(堺雅人)の恋愛物語の一番の見せ場ですからね。
 ハンカチをもってテレビに向かった人も多いはず。
 史実として御台所が将軍の死の床に立ち会えないのは仕方がないかもしれないが、ふたりが最期に会う機会はあったはず。家定が召し出せばいい。
 幾島(松坂慶子)のことや斉彬の死の知らせが邪魔をして滝山(稲森いずみ)がなかなか言い出せないというのは視聴者をハラハラさせる作劇としてありだが、結局、家定と会えず仕舞いでは欲求不満が残るだけ。
 あるいはよくある手法だが、死んだ家定が篤姫の枕元に現れて話をするというエピソードを加えてもいい。
 ドラマとして盛り上がりに欠く家定の死だった。
 あざとく押してほしかった。

 原因は斉彬(高橋英樹)の死といっしょに描いてしまったことでしょうか?
 斉彬の死を描くために家定の死を描く時間がなくなってしまった。
 斉昭(江守徹)と慶喜(平岳大)の話も井伊(中村梅雀)の台頭の話も今回は不要。
 今回は中盤のクライマックスとなるエピソードだけに家定の死に特化して描いてほしかった。


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人生の目的 五木寛之

2008年07月12日 | エッセイ・評論
 「人生の目的」大仰でストレートなタイトルだ。
 「青年は荒野をめざす」「蒼ざめた馬を見よ」、タイトル上手な五木寛之さんには珍しい。
 どういうわけか手にとってしまった本だが、次の3つのビジュアルイメージが印象的だった。

★木箱のライ麦
 木箱に植えられた一本のライ麦の根。
 これを繋いでいくと細いものを入れて1万3000メートルにもなるらしい。
 これが指し示すことは何か?
 植物は必死に生きようとしていること。
 それに比べて人間はどんなに簡単に死を選んでしまうことか。
 生きることは自然、自殺することは不自然なのだ。

★川を流れる小舟
 川の流れとは人生や時代。小舟は人。
 人は時代の大きな流れには逆らえないし、生命が終わることにも逆らえない。
 例えば戦争の時代に生まれれば否応なく戦場に駆り立てられてしまう。
 軍隊に入らない、抵抗という道もあるが迫害を受ける。
 石油高騰の物価高、この時代の流れに一個人では抗せない。
 人は時代に流される。ゆっくり流される人、速く流される人の違いがあるだけだ。
 生命もそう。
 人は人生の終焉、死に向かって流されている。

★闇の中の光
 人が生きるとは荷物を背負って暗闇の中を歩く様なもの。
 確かにこの先何が起こるか予想できる人はいないし、自分の人生の指針をしっかり持って歩いていける人も少ない。
 そして背中の荷物は重い。
 しかしはるか彼方にわずかでも光が見えていたら……。
 足取りや荷物はずい分軽くなるだろう。
 五木さんはその光が宗教ではないかと言う。(ここは検討を要するが)
 その光を探すのが人生の目的ではないかと言う。

 難しいテーマでもこの様にビジュアルで語られるとストンと頭に入る。
 右脳で理解する。右脳で覚える。
 何か困難にぶち当たった時、これらのビジュアルイメージはきっと力を与えてくれるだろう。


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コード・ブルー 第2話

2008年07月11日 | 職業ドラマ
 第2話。4人が少しずつ成長している。
 挫折やぶつかり合いの中で若者は成長していく。

★藍沢(山下智久)はその傲慢さゆえ詳細な問診を行わず、八重(二宮弘子)を家に帰した。
 結果、意識不明に。
 傲慢・藍沢だが、人の命については強い責任感を持っているようだ。
 八重を真剣に診る。それは医療裁判を怖れてのことではない。医者としての悔恨と責任感。
 藍沢の過去にどんなことがあったのかますます知りたくなる。

★藤川(浅利陽介)は医者としての自分なりの方法を取得している様。
 自らもブラをつけて患者と信頼を結ぶ。
 藍沢たちでは出来ない患者への接し方。
 たとえヘリに乗れなくてもオンリーワンの医者であればいいと気づく日は近そう。

★恵(新垣結衣)は鼻柱を折られっぱなし。
 エリートの彼女は他人に本音をぶつけられるのに慣れていない様だ。
 ぶつけられて凹む。
 また自分の本音をぶつけることにも……。
 「きれい事ばかりで本音を語らない」と見抜かれている。
 自分と他人は違うし、世界は必ずしも調和していないと気づいたエリートお嬢様。
 彼女の成長は未知数。
 最後にどんな医者になるのか一番楽しみなキャラだ。

★美帆子(戸田恵梨香)は大挫折。
 妊婦と子供が衝突。
 子供も瀕死状態でひとりで妊婦に対しなくてはならない。
 そして「三井先生、できません」
 自分の限界を知った美帆子。
 しかしそれを乗り越えればいい。
 自分の実力のなさを痛感してさらに勉強すればいい。
 彼女も医者として大きくバケる可能性がある。

 この様に毎回成長していく4人。
 「医龍2」の林宏司さんの作品だけに今回も各キャラが自分の弱さを克服して成長していく話になりそう。
 そして「コード・ブルー」の大きな特徴は4人が仲良しクラブでないことだ。
 お互いがライバルで言いたいことを言い合う。嫉妬や反目もある。
 その中で培われる友情と成長。
 いい青春ドラマになっている。
 仲良しクラブの青春モノはイマイチきれい事の感じがするから。


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正義の味方 第1話

2008年07月10日 | 学園・青春ドラマ
 面白い!
 他のブロガーさんは否定的……。
 自分は感覚がズレてきているのかな?

★第1話は『悪魔の姉に翻弄される妹』の描写で終始。
 槙子(山田優)が放火魔を捕まえるというエピソードで物語の体裁をなし、エリートの良村(向井理)とのドタバタを期待させることで次回への期待を持たせた。
 面白いのは『悪魔の姉』の描写の徹底ぶりである。
・容子の彼氏に「容子はウンコしてる」
・変顔の痴漢撃退法
・肉団子3つに取り分けされたことで大クレイム。
・弁当を横取りされたことで警察に通報。しかも妹の名前を使って。
・恋の取り持ちのために、テニス部、相撲部に入らされ、骨折を要求される妹。
・きよしのズンドコ節のサビを教えてやったことを覚えていて、その見返りに弁当を買いに行くことを要求する。
・妹を助けて放火魔を撃退したと思ったら弁当のため。
 これでもかこれでもかと投入される姉の悪魔ぶり。
 次から次へと提示される悪魔ぶりのアイデア。
 この徹底した姿勢に感動する。よくぞここまで考えてくれた。

★途中、途中で挿入されるテロップも効果的。
「姉は悪魔だ」
「言い負かすことに命を賭ける」
「悪には天罰が下るはず」
「やられたらやり返す」
「悪をもって悪を制す」

★奇妙なズレ方もいい。
 友達や近所の人、そして両親までもがその悪魔ぶりに気づかない。
 結果、正義の味方になってしまう。
 弁当を買えなかったら殺されるという容子に良村はイジメと勘違い。
 学校イチのイケメン岡本くんとはいつも変な場面で接近遭遇。石狩熊子って。
 このズレ方。
 容子のまわりすべてが不条理、理不尽。
 高級な喜劇の手法だ。

★さらに槙子の描かれ方
 楠に「ウンコしてる」と言って別れさせたのは楠がチャラ男であることを知っていたから?
 放火魔を撃退した本当の理由は容子を助けるため?
 あるいは楠のことは偶然?
 放火魔のことは言葉どおり弁当が理由?
 そのキャラを謎にしている。 

 物語自体は薄いけれど、コメディとしては徹底していて面白い。
 志田未来さんのクルクル変わる表情を見ているだけでも楽しい。
 今期やっと面白いドラマに出会えた。


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シバトラ

2008年07月09日 | 推理・サスペンスドラマ
★作劇に工夫がない。
 逃げる竹虎(小池徹平)と美月(大後寿々花)。
 ストリートギャング・ヘルタースケルターに囲まれて「こいつ刑事ですよ」。
 このひと言でバレてしまう。これじゃ潜入捜査じゃない。
 ヘルタースケルターに潜入する経緯も「新入りの竹虎です」というだけで入れちゃう。
 人を介するとかもっと工夫があるでしょう。
 安易なご都合主義はさらに続く。
 竹虎にリンチ!次は美月で危機一髪!という所で、小次郎(藤木直人)と白豚(塚地武雅)が現れる。
 もう少し竹虎に頭脳を使わせないと。(竹虎は素直なストレートキャラで駆け引きや知恵を使うのは苦手な様ですが)

 この様にストーリーが安易に流れてしまっている。
 ギャグもすべりまくり。サイドカーから白豚が抜けない……。
 塚地さんの大げさな演技も気になる。(「間宮兄弟」じゃいい演技してたのに)
 初出勤で遅刻するというのもパターン。(日本のドラマの第1話で必ず目にする情景)
 千葉さくら(真矢みき)さんがいきなり銃を抜いたり床から出てくるのは今までの真矢さんのイメージを壊して新鮮だったけど、実写ドラマ向きじゃない。

★唯一のひねりは美月の父親が暴力の張本人だったこと。
 今までが安易に流れたドラマだっただけにこのひとひねりは面白い。
 しかし「のぞき屋」とかを見ている人には父親が怪しいことはすぐわかってしまう。
 「チェリーパイが嫌いになりそうだったから」というせりふでも深読みすればわかる。

 インパクトがあったのは美月が殺されるために家に帰ったこと。
 やはりドラマは心情描写だ。
 この美月の絶望は胸に迫る。
 人物の心情を深くえぐり出したからだ。
 それはウリをする少女の言葉もそう。
 「あたしたちもバカじゃない。やりたくてやってるんじゃない」
 やりたくもない売春をやることで居場所を確保している少女の現実。
 これはドラマだ。

 ドタバタでなく美月や売春少女の心情をもっと時間をかけて描けばもっと面白くなっていたのに……。
 というのが感想。
 脚本家の名前を見ると武藤将吾さん。
 「花ざかりの君たちへ」の人。
 あれも心情描写よりはドタバタの多い作品だった。


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