格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

山形知事選野党勝利「真正CHANGE」へ力強い一歩

2009-01-26 20:09:56 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

山形知事選野党勝利「真正CHANGE」へ力強い一歩
総選挙の前哨戦(ぜんしょうせん)として「与野党全面対決」の構図で戦われた1月25日投開票の山形県知事選で、無所属新人で民主、社民両党が支援した吉村美栄子氏(57)が自民党支援の現職で再選を目指した斎藤弘氏(51)を破り、初当選を果たした。


自民党王国の山形県での与野党全面対決の知事選で、自民党が支援した現職候補が敗れたことで、次期総選挙に向けて政権交代を求める国内全体のうねりが一段と高くなるのが必至の情勢になった。


敗れた斎藤弘氏は現職2期目の選挙で、敗北は異例である。加藤紘一元幹事長ら同県選出の三名の自民党衆院議員ほか、自民党県議の大半が支援に回った。公明党は自主投票を決定したが、選挙戦終盤では公明党も斎藤氏支援に動いた。


選挙戦終盤には民主党の小沢一郎代表が現地入りして「山形から政権交代を」と訴えた。選挙は終盤まで激戦だったが、当初は斎藤氏が優勢と見られていた。激戦の選挙区に足を運び、勝利を確保するところに小沢代表の強さが如実に示された。麻生政権にとっては極めて打撃の大きな結果になった。


当選した吉村氏は斎藤氏が実行してきた行財政改革の路線を行き過ぎた改革と批判し、「経済性が優先された県政を転換し、対話のある温かい山形を実現する」と訴えた。


小泉政権以降の自公政権が推進してきた「市場原理主義経済政策」、「財政収支改善を優先して国民生活支援を切り捨てる政策運営姿勢」が有権者によって否定されたものと理解できる。


次期総選挙の争点は以下の三点だ。
①「弱肉強食奨励」VS「セーフティネット重視」
②「官僚利権温存」VS「官僚利権根絶」
③「対米隷属外交」VS「自主独立外交」
である。


麻生首相が2011年度の消費税増税にこだわった結果、
④「消費税増税」VS「消費税増税阻止」
の争点が加わったが、実際に選挙戦に入ると、この4番目の争点がクローズアップされる可能性が高い。


新たに公表された毎日新聞および日本経済新聞の世論調査では、麻生内閣の支持率がさらに低下して2割を下回った。不支持率は日経新聞が76%、毎日新聞が65%の高率に達した。


麻生首相は1月25日の大相撲千秋楽の表彰式に参加し、朝青龍に内閣総理大臣杯を授与した。その際、麻生首相は「内閣総理大臣朝青龍明徳殿」と読み上げ、麻生首相が朝青龍関に首相の座を禅譲するのではとの憶測が蔵前では取り沙汰されているとも言われているとか。


小泉政権以降の自公政権は「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」の利益だけを追求する政策運営を続けてきた。一般国民の生活は破壊され尽くされてきた。個人所得税は増税され、年金や医療保険の保険料が引き上げられ、医療費の本人負担も大幅に引き上げられた。また、「障害者自立支援法」や「後期高齢者医療制度」が導入され、生活保護政策が圧縮されるなど、経済的弱者に対する冷酷な政策が推進されてきた。


派遣労働の製造業への解禁など、「資本の論理」に沿う労働行政が推進された結果、労働者が生存権を脅かされるような事態が生み出された。


「官(僚)」、「(大企)業」、「外(国資本)」の利益追求「政(治)」を「電(マスメディア)」支配による世論操作で推進してきた「政官業外電=悪徳ペンタゴン」の利権政治を刷新することが求められている。


政治の刷新は「本格的な政権交代」でしか実現しない。「本格的な政権交代」こそ、2009年の「日本版CHANGE」である。


自公政権は「官僚政治」そのものである。自公政権が「天下り」を根絶することは不可能である。小泉政権、安倍政権、福田政権が公務員制度改革を掲げても、「天下り」に手を入れることをしなかった。安倍政権、福田政権で行革相を担当した渡辺喜美氏も「天下り」を温存する制度改正を誘導した。


次期総選挙で自民党が惨敗する可能性が濃厚になるなかで、「悪徳ペンタゴン」は「次善の策」を模索し始めた。それが、民主党を巻き込んだ政界再編、大連立構想である。


既得権益を守ろうとする勢力は、とにかく与党の一角に何としても留まることに目標水準を引き下げた。


そのための戦術が渡辺新党の創設である。渡辺喜美氏が主張する「天下りの根絶」も「定額給付金の撤回」も民主党などの野党が主張してきたものである。渡辺氏が民主党の政策支持に方針を変更するなら、自民党を離党してそのまま民主党に入党すれば良いだけだ。


行革相に就任しながら、何の成果もあげられなかったことを反省するなら、三年くらいは謹慎する程度の真摯(しんし)さが求められる。


ところが、この渡辺氏をマスメディアがヒーローとして扱い、渡辺新党を全面支援する様相を示している。渡辺新党は民主党分断を狙っているように見える。


そこまで作戦が成功しない場合でも、次期総選挙で民主党、社民党、国民新党の野党三党に過半数を確保させなければ目的を達成する。この場合、渡辺新党がキャスティングボートを握ることになり、既得権益維持に動くだろう。


テレビ朝日番組「TVタックル」が渡辺新党の広報番組と化している。渡辺新党は「小泉一家」、「小泉チルドレン」、「脱藩官僚の会」、「民主党内市場原理主義者」、「自民系知事」の連携によって創設される可能性が高いが、「TVタックル」は完全にこの五つのグループのためのプロパガンダ番組になっている。


この番組に登場する民間人は、ほとんどがこれらのグループの「御用言論人」である。反対勢力には、ほんの申し訳程度の発言機会しか与えていない。


テレビ朝日では「サンデープロジェクト」および「ワイド!スクランブル」などが渡辺新党に対する偏向報道を展開している。


他方、日本経済新聞系列のテレビ東京が「週刊ニュース新書」で偏向報道を展開している。同番組は昨年秋以降、竹中平蔵氏、中川秀直氏、東国原宮崎県知事、渡辺喜美氏をゲストとしてスタジオに招いている。渡辺喜美氏については、昨年12月27日、本年1月10日に番組で取り上げた上で、1月24日に本人出演を実施している。


司会の田勢康弘氏は渡辺氏を絶賛するだけで、ジャーナリストとして渡辺氏に批評を加える姿勢を完全に失っている。テレビ局の報道スタンスが影響しているにしても、あまりにもお粗末な、田原総一郎氏並の番組運営振りである。


マスメディアは政権の移行が生じる場合に、それを自公政権から自民と民主による連立に誘導しようとし始めている。しかし、自民党あるいは偽装自民勢力が政権内部にとどまる限り、本格的な政治の転換、利権政治の刷新を期待することはできない。


民主、社民、国民を軸にする政権を樹立し、完全な政権交代を実現することが必要である。民主党は「資本の論理」を離れて、「労働者=一般国民の論理」を基軸に据えることを明確にした。「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」の利権を排除して「一般国民」の幸福を追求する政治を確立することが求められている。


民主党の山岡賢治国対委員長を攻撃するニュースが報道されているが、「悪徳ペンタゴン」は利権維持を目的に、手段を選ばぬ野党攻撃を仕掛け、「偽装CHANGE新党」を軸に、さまざまな揺さぶりを演じてくると考えられる。


国会議員削減、二院制廃止提案などの動きも「くせ球」の一類型である。あらゆる陽動作戦の本質を洞察し、本格的な政権交代実現に向けて総力を結集しなければならない。


山形県知事選挙結果に表れているように、「CHANGE」を求める国民の声は一段と強まっている。「偽装CHANGE」ではなく「真正CHANGE」を実現しなければならない。


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オバマ大統領のボスの思考パターン

2009-01-26 19:52:08 | オルタナティブ通信

オバマ大統領のボスの思考パターン



拙稿「米国次期政権の世界戦略」、

http://alternativereport1.seesaa.net/article/82443432.html


「毒入りギョウザの犯人」より続く。

http://alternativereport1.seesaa.net/article/93404258.html




書物短評 エドガー・ウィント 「ルネサンスの異教秘儀」 晶文社



 本書はルネサンス美術についての書物である。つまり米国大統領バラク・オバマの外交戦略について書かれた書物である。

近代学問の全ての源流になったとも言える中世ヨーロッパ・キリスト教神学。そのスコラ哲学の思考方法が、プラトン哲学、オルフェウス教、ゾロアスター教等に「因数分解」可能である事を本書は説得力を持って語っている。

キリスト教は、古代の諸宗教・哲学の「ツギハギ」である。それをゴマカシ、全ての始原が、キリスト教であり、キリスト教の「神」であるかのように見せかけるために、バチカンは宗教会議を繰り返し、証拠となる古文書を廃棄し、隠匿して来た。

そのためキリスト教を根源にまで遡るには、文書による証拠が存在しない。そこで様々な遺跡、生活用具、教会内部の宗教儀礼の備品、美術品を分析し、そこにバチカンが異端として排除してきた思考方法を見出し、それこそがキリスト教を「形成してきた事」を証明する必要に迫られる。

 ここで美術史は、政治権力が封印して来た「ヨーロッパ・アメリカによる世界支配原理」であるキリスト教の秘密を暴露する、「反権力の営み」となる。

 アフリカのライオンは、シマウマを食べる。「力関係」では圧倒的に、ライオンの勝ちである。しかしシマウマを食べ尽くし、「皆殺し」にしてしまうと、ライオンは食糧不足で種の絶滅の危機に立たされる。ライオンは決して自己の勝利を誇るために、シマウマを「大量虐殺」はしない。勝者は敗者を、「決定的に敗北させず」生かしておく。その事によって勝者も、「生き延びる事が出来る」。

勝者は決して「勝利宣言せず」、勝利に酔いしれず、敗者は滅亡するほど敗北せず、十分に豊かに生存を享受する。勝敗の「結論は永久に出ない」。

このライオン、シマウマ、2つの種は、対立したまま、自然界の秩序の中で「統一」されている。

勝敗は決せず、永久に対立・抗争が続く。「対立物は対立したまま、統一される」。

 様々な美術品において「男であると同時に女であり、男性器と女性器の両方を持つ人間」が描き出され、王様にして浮浪者の人間が描き出される思考方法は、ここから出て来る。

この思考方法を「矮小化し、単細胞化」すると、善と悪が2分し、善は常に善であり、悪は常に悪であり、最後は善が「必ず勝利する」と言う、キリスト教が出て来る。善は善であり、悪は悪であり、善が勝利する=「結論が明白に出る思考形態である」。

 「問題を提起し、その結論を提出する」。「結論が明白に出る」この思考方法の下では、「独裁者が社会を支配する」。正しい結論が決まっている以上、その結論を出した人間は「絶対的に正しく」、皆が、その意見に従うしか方法が無い。ここでは「正しい結論を出した独裁者」に、皆が従う社会が形成される。

近代科学の、この思考方法は、キリスト教から「もたらされ」、アメリカ合衆国は絶対的に正しいのだから、それに逆らうイラク・サダムフセインは絶対的に悪であり、戦争を起こし滅ぼし処刑して良い事になる。

 そのアメリカ一国支配(独裁支配)の時代は終わろうとしている。

キリスト教神学の支配に対し、美術史を武器に、この「問題提起、結論提出型」の思考方法の解体に挑む著者ウィントは、イコノロジー研究の始祖パノフスキーの弟子である。パノフスキーが、ギリシャ(ロシア)正教内の美術品、イコン研究に向かったのは、ロシアに、バチカンとは異なるキリスト教の源流思考が残っていたためである。

「途中から」キリスト教を国教とした古代ローマ帝国は、後に東西に分裂し、西ローマは早々に滅亡し、東ローマ帝国はビザンツ帝国と名前を変えた。その末裔として、1917年、ロシア革命で滅びるまでロマノフ朝ロシア帝国には、キリスト教化以前の文化・宗教が色濃く残って来た。バチカンは宗教儀礼について、しばしばギリシャ正教に問い合わせ「教えを請うている」。正統派の権威はロシアにあった。

ボスの権威と地位に「嫉妬したバチカン」と、ロシアの資源・美術品に「目がクランダ」ロスチャイルドによって、その使徒レーニンに使命が与えられ、ロシア共産主義政府が樹立された70年余りの「中断を経て」、2008年、プーチンはロシア帝国の復活を画策し始めている。その思考方法は、キリスト教の短絡思考ではない。「対立物を対立したまま、統一する」思考方法である。

プーチンは、日本、中国、アメリカと友好関係を持ちながら、平然と友好国に戦争を「ケシカケル」であろう。ロシアは、日本と戦争しながら同時に、日本に兵器と軍事用燃料を提供し、日本に核ミサイルを撃ち込みながら、日本がロシアに撃ち込む核ミサイルを日本に売るであろう。そこには何の矛盾も無い。「敵は味方であり、味方は敵である」。

ライオンが、シマウマを食い殺しながら、決して、シマウマを絶滅させないように、日本と戦争を行いながら、日本を滅ぼさないように兵器と燃料を与える。

永久に闘争を続ける事が大事である。永久に続く戦争は、永久に続く軍事産業の利益である。

 一方、キリスト教化以前の思考方法をユダヤ教タルムードから学んだ、オバマ大統領のボス=ズビグニュー・ブレジンスキーは、世界を米国・ヨーロッパ・アジアに分割し、「相互に永久に紛争と闘争を行わせる」事で、バランス・オブ・パワーによる世界秩序を形成しようと考えている。

永久に続く戦争によって、戦争は軍事産業による世界経済のエンジンとなり、冷戦であれば各地域での「徹底的な国内管理体制」の創出に寄与する事になる。また戦争が永遠に続く事によって「世界人口は適正規模に減少」し、食糧・エネルギー問題、二酸化炭素排出量問題も解決し、環境保護が実現する。

絶え間なく続く戦争によって人口・食糧・エネルギー・環境問題は解決する。それがズビグニュー・ブレジンスキーの思考方法である。

「人類を絶滅させる事が、人類存続の唯一の方法である」。虐殺は存続である。戦争の永久継続が、バランス・オブ・パワーによる世界平和である。戦争は平和である。



 なお、ロシア革命後、西側のスパイが多数、共産主義ソ連に入り込み、ロシア正教の美術品を購入し「保存してきた」。共産主義によって破壊・封印されようとする「思想・秘儀」を、自分達だけは「確保し伝授を受けよう」として来た。この美術品、「秘儀の確保者」の代表がロスチャイルドであり、ソ連に入り込んだスパイの代表が、雑誌「フォーブス」のフォーブス一族である(注1)。

そして、この秘儀の「収集・分析・分類」に当ったのが、ロスチャイルドの盟友=米国中央銀行FRBの創立者ウォーバーグ一族である。その活動は、著名な美術史家アビ・ヴァールブルク(ウォーバーグ)に印されている。ウォーバーグは、本書の著者ウィントの第二の師匠である(注2)。



*注1・・・この対ロシア諜報活動によって、フォーブス一族には根強くロシア復活・ロシア防衛を待望するグループが出現し、そのリアクションとして反米主義を強硬に主張する結果になる。日本で「評論家」として活動する元フォーブス・アジア太平洋支局長等が、その代表例である。

*注2・・・E・H・ゴンブリッチ 「アビ・ヴァールブルク伝」 晶文社

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