郷原信郎氏の指摘にしどろもどろの町村信孝氏
すべては時代の転換点に必然的に発生する旧勢力と新勢力の激しいせめぎ合い、権力闘争の一側面である。
鳩山由紀夫首相、小沢一郎民主党幹事長、菅直人副総理が率いる民主党を軸とする無血革命政権は日本政治刷新を推進している。これまでの自民党利権政治で利権を欲しいままにしてきた勢力が、徹底抗戦することはある意味当然かもしれない。
無血革命政権は以下の諸点において日本政治刷新を目指していると考えられる。
①「政治権力と大資本の癒着」の排除。経済政策運営における「資本の論理偏重」、「市場原理主義」の排除
②「官権政治」の「民権政治」への転換
③「対米隷属構造」の排除
④「政治権力による警察・検察・裁判所支配、メディア支配」の排除
⑤「郵政私物化・郵政米営化」の是正
これまでの日本政治を私物化してきた「政・官・業・外・電の悪徳ペンタゴン」が7月の参院選、本日の沖縄県名護市長選に向けて、なりふり構わず、目的のためには手段を選ばずに行動している。
郷原信郎名城大教授が指摘するように、検察が拠り所にしている水谷建設元会長の証言の信ぴょう性は低い。
東京痴犬地検は、昨年の「3.3事変(さんさんじへん)」で小沢一郎氏の公設第一秘書である大久保隆規氏を政治資金規正法違反で起訴した。起訴事実は虚偽記載である。大久保氏は献金を受けた「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」の名称を収支報告書に記載して提出した。
痴犬地検は二つの政治団体は架空団体=ダミーであるとし、資金の拠出者である西松建設の名称を記載しなかったことを「虚偽記載」だとして起訴した。
ところが、1月13日の公判で検察側が証人申請した西松建設元総務部長が検察側主張の核心を全面否定する驚愕の証言を行った。元総務部長は二つの政治団体に実体があったことを明確に証言したのである。二つの政治団体に実体があったのなら、大久保氏の収支報告は虚偽記載ではなくなる。大久保氏の無罪は確実な情勢になった。
もとより、この程度の問題で逮捕、起訴することが異常である。しかも、「3.3事変」が「3.3事変」と表現される理由は、政治情勢が政権交代をめぐり緊迫したさなかの強制捜査だった点にある。
政権交代実現を掲げる野党第一党の党首を狙い撃ちした検察の行動だった。この検察の行動が、これほど希薄な背景で実行されたのであるから、これを暴走と呼ばずに、いかようにも表現できない。
「1.15事変(いちいちごじへん)」での検察のさらなる暴走の背景は以下の三点であると考えられる。
①沖縄名護市長選への介入
②7月参院選に向けての工作
③大久保氏公判への援護工作
このような、なりふり構わぬ検察の暴走を許すことはできない。
検察は行政機関のひとつであり、鳩山首相が検察勢力と敵対することは論理的矛盾であるが、現在の状況は政権交代直後の混乱の一側面であり、その意味でやむを得ない面がある。無血革命政権が衆議院4年の任期を確実に確保できるなら、このような「過渡期の混乱」を収束することが可能になる。
この意味でも、本年7月の参院選が決定的に重要なのである。
鳩山首相は早急に行政機構に潜む守旧派勢力、利権勢力を一掃しなければならない。その際、利権勢力の後ろ盾、黒幕になっている米国勢力との対峙を覚悟しなければならない。
1.15事変の直接的なターゲットは本日の名護市長選にあると考えられる。米国が辺野古での海岸破壊滑走路建設に進むには、どうしても本日の名護市長選で建設推進派を勝たせなくてはならないからだ。
本日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」に出演した町村信孝氏は、出演者の指摘にしどろもどろになり、まったく反論できなかった。
町村氏は政治資金規正法の虚偽記載に対する罰則が「禁固5年以内」と極めて厳しいことを根拠に、小沢氏周辺の問題が悪質であると論じた、これに対して郷原信郎氏は、「禁固5年は上限規定である。虚偽記載の悪質性を個別に論じる必要がある」と論じた。献金の記載漏れなどは虚偽記載の一例であるが、これまで自民党議員で日常茶飯事として見られた事案である。この点を細野剛志衆議院議員が指摘したが、町村氏は一言も反論できなかった。
また、検察職員の違法な情報漏えいについて、これまで自民党が指揮権発動までちらつかせて牽制してきた事実を郷原氏が指摘した。これに対しても町村氏はまったく反論できなかった。
NHK日曜討論で自民党の川崎二郎国対委員長は、企業団体献金の全面禁止に踏み込めるのかとの問いに対して、「それはできない」と明言した。
企業献金にどっぷりとつかり、金権体質のど真ん中に居座るのは、民主党ではなく自民党である。鳩山首相は「政治とカネ」問題の根幹を刷新するために「企業献金全面禁止」に明確に踏み込むべきである。
「企業献金全面禁止」の旗を明確に掲げることにより、「政治とカネ」問題の根絶にどの政党が前向きでどの政党が後ろ向きであるのかが主権者国民の目にはっきり見えるようになる。
鳩山政権は政治謀略である検察の暴走を抑止するとともに、企業献金全面禁止の早期実現を目指す必要がある。