地を盗むと云は。農人が田畑の畔際をかすめ侵する類。水を盗むと云は。五六月旱魃の時。他の田作るべき水を我方に引く類。火を盗むと云は。暗夜に他の燈光をひき。寒天に他の炭火を妄に用ふる類。風を盗むと云は。炎暑の時。涼風を我屋に引く類。多般の事皆準じて知るがよい。又他の智慧をも盗む。禄をも盗む。其の功をも盗む。位をも盗む。官をも盗む等。みな此に例して知れ。
佛物を法に用ふるも盗じゃ。僧に用いるも盗じゃ。 . . . 本文を読む
弘法大師の災害論・・・「秘蔵宝鑰」中巻より
「・・それ災禍の興りに略して三種あり。一には時運、二には天罰、三には業感なり。・時運とはいわゆる陽九百六なり。(一元(4560年)の間に陽厄(旱魃)が五度、陰厄(洪水)が四度おこる。この陽陰九度の厄を陽九という。黄帝のときから百六年目にはじめて陽九がおこったから百六という。)尭の水、湯の旱、これにあたれり。このゆえに聖帝震に出て機をみて逆備せり(伏義 . . . 本文を読む
この人の世界に在る。上たる者は上相応の利あり。下たる者は下相応の利あり。君子は君子相応の利あり。小人は小人相応の利あり。是を互いに奪うべからずじゃ。禄位官爵にも此の戒あり。智愚にも此の戒あり。佛法僧三宝の境にも此の戒あり。地水火風空の五大に於ても。各此の戒具ると云ふことじゃ。
此中に上相応と云は百官の富。宮室の美。南面拱手して萬國の主となり。一人を以て億兆の上に居す。山海の珍味。華夷の玩好。目前 . . . 本文を読む
(大智度論釋初品中戒相義第二十二之一)(五戒と八戒の一日戒どちらが優れるか)
問曰「五戒 (不殺生、不偷盜、不邪淫、不妄語、不飲酒)と一日戒(八戒の不殺生、不偷盜、不邪淫、不妄語・不飲酒香油塗身戒・歌舞観聴戒・高広大床戒・非時食戒を一日守ること)、何者か勝れたるとなすや」。答曰「因縁あるがゆえに二戒倶に等し。但だ五戒は終身持つ。八戒は一日持つ。又五戒は常に持てども時は多くして戒は少なし。一日戒は . . . 本文を読む
田辺元「懺悔道としての哲学」・・・最終回
「・・・救いの媒介となって働く以外に仏國土はありえない。・・・へーゲルの弁証法はカントにおける理性の矛盾を自己の中に含めて現実を把え、理性の偉力で現実を貫いたがこれは正しく賢人賢者の道である。
私のような愚者凡夫は謝るほかない。しかし私は理性をこえた仏の世界、現実に働く大悲の世界に転ぜしめられた。・・・自己の救いは・・自己の渡る先に他を渡す以外に道はな . . . 本文を読む
又律蔵に。昔世尊。蘇羅婆國に遊び。大比丘衆五百人と共に毘蘭若國に至る。此処に毘蘭若婆羅門と云者有て。佛と五百羅漢とを一夏九旬の供養に請じ奉る。佛の常法黙然として請を受たまふ。婆羅門がその夜の夢に。七重の白氎(びゃくじょう)。城を囲繞すると見る。博士を呼て占しむ。此博士固より外道を信じ佛法を嫉む。正く福徳の相と知りながら。詐り告ぐ。此は大悪夢なり。若は強敵きて國をうばうふべきか。又自ら身命の終る相な . . . 本文を読む
(大智度論釋初品中戒相義第二十二之一)(六斎日の意味)
問曰「何以故。六齋日に八戒を受けて福徳を修すや」。答曰「是日は惡鬼、人を遂て人命を奪んと欲し、疾病凶衰人をして不吉ならしむ。是故に劫初の聖人、人に教へて持齋修善作福して以って凶衰を避けしむ。是時
の齋法は八戒を受けず。直に一日不食を以て齋となす。後に佛出世して之に教語って言はく、『汝當に一日一夜諸佛の如く八戒を持し過中不食なるべし。是の功徳 . . . 本文を読む
「懺悔道としての哲学」その5・・・「他の衆生の為に自己を捨てて役立てることが同時に私の救い・・仏とは自己の働きを通して他を救う事に他ならない」(最近、この言葉が身について考えられるようになりました。「衆生無辺誓願度」です。すべてがうまくいかないときはこの言葉をとなえるとうまくいきます。運勢好転の呪文は「衆生無辺誓願度」です。) . . . 本文を読む
福聚講護国寺定例参拝記録
日本列島を縦断し甚大な風水害で多くの人命を失わせ、家屋や電気ガス水道など生活インフラを破壊して、未曽有の災害を齎した台風が去り、久々に晴天に恵まれ、深まり行く秋の気配が漂い密厳国土を思わせる東京・文京の大本山・護国寺。11月16日(土)、福聚講(高原耕曻講元)は、護国寺定例参拝を行いました。
この日、護国寺の入り口の山門(仁王門)には、同寺で、「大茶会」を告げる大き . . . 本文を読む
(大智度論釋初品中戒相義第二十二之一)(五戒の受戒法)
問曰「云何が五戒を受く」。答曰「五戒法を受くるは、長跪合掌して言く、『我某甲、歸依佛歸依法歸依僧』。
如是に二たびし如是に三たびす。『我某甲、歸依佛竟歸依法竟歸依僧竟』。如是に二たびし如是に三たびす。『我は是れ釋迦牟尼佛の優婆塞なり、我某甲、今日より盡壽まで歸依することを證知し給へ』と。
戒師は應に言ふべし。『汝優婆塞、聽け、是の多陀阿
伽度 . . . 本文を読む
法として如是なるによって。菩薩は自ら偸盗せぬ。
又人を教て不偸盗戒を護持せしむる。若し士庶人ならば。堅く其分を守て踰越せず。此を身に用ひ。此を家に用ひて余あることじゃ。
若王公の位に在りては。此戒を以て人民を撫育する。是を國に用ひ。是を天下に布て余あるじゃ。富る者の其分を守る。華奢の身に益なきを知るじゃ。貧き者の其の限に安ずる。常に足て世に諂はぬじゃ。 . . . 本文を読む