今まで3回にわたり、選手評価の指標のうちOPSについて書いてきました。
これは「セイバーメトリクス」と言われるアメリカ球界で選手の評価として広く浸透しているものです。
投手についても、この評価指標がチームつくりに生かす手法があります。
QSとWHIPという指標です。
QS率(クォリティースタート)とは・・・・・
先発投手が6イニング以上を投げ、かつ3自責点以内に押えられた時の値です。
これは、タイガースの岩田投手が契約更改交渉の席に持ち込んだデーターで、余りなじみのないデーターとして話題になりました。
計算式 先発投手が6イニング以上を自責点3以内に押えた試合数 ÷ 先発登板数。
数値が大きいほど、先発として試合を作った割合が高いということになります。
WHIP(ウイップ)とは・・・・・
1イニングあたり何人の走者を出したかをあらわす数値。
防御率がどれだけ得点を奪われたかという結果に対して、WHIPはどれだけ打者を抑えたかという「投球内容」を表しています。
計算式 (被安打+与四球) ÷ 投球回数。
数値が小さい程走者を出さない安定した投手です。
2011年 セ・リーグ投手成績
防御率 勝 負 QS率 WHIP
1 吉見 (中) 1.65 18 3 88.0 ① 0.87 ①
2 内海 (巨) 1.70 18 5 80.8 ⑤ 1.08 ⑨
3 沢村 (巨) 2.03 11 11 86.2 ② 0.970 ③
4 館山 (ヤ) 2.04 11 5 72.0 ⑪ 0.969 ②
5 岩田 (神) 2.29 9 13 84.0 ③ 0.98 ④
6 バリントン(広) 2.42 13 11 80.0 ⑦ 1.11 ⑩
7 前田健(広) 2.46 10 12 80.6 ⑥ 1.023 ⑤
8 能見 (神) 2.52 12 9 75.0 ⑧ 1.028 ⑦
9 ネルソン(中) 2.54 10 14 74.2 ⑩ 1.05 ⑧
10 チェン (中) 2.68 8 10 75.0 ⑧ 1.026 ⑥
岩田について言えば、防御率はリーグ5位の成績ながら打線の援護に恵まれず、9勝13敗と大きく黒星が先行しました。
今までのデータでは、ここまでですが、QS率はリーグ3位、WHIPに至っては1.00を切れば一流と言われ、勝ち星だけの数値で評価されるより、このデータを合わせて見れば、投手の貢献度が浮かび上がってきます。
見方を変えれば、評価も変わってくると言えます。
しかし、野球は、数字だけで処理できるものではなく、心理的な要素も多く、いかに客観的なデータといえども色々賛否両論があるようです。
これら以外にも、多くの指標がありますが、得てして、自分の都合の良いデータだけを取り上げやすいのですが、やるからには、多くのデータを同等に評価する必要があるのではないでしょうか?
注 上記 表の丸数字は規定投球回数到達者の中のリーグ内順位。