彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」
【男子厨房に立ちて環境リスクを考える】
□ 今朝の家庭ごみ排出量 廃プラ排出量 4.7 ㎏
PETボトル 1.2 ㎏
【小父さんの園芸日誌:向日葵と秋桜の種蒔き】
□ 向日葵は少し深めに蒔く(腐る可能性がある)。
1.アオハデ 2.ウメモドキ 3.モチノキ 4.イヌツゲ
5.ソヨゴ
【樹木×短歌トレッキング:モチノキ×】
モチノキの名は、樹皮から鳥黐(とりもち)の原料を採ることに由来
し。花は小さく目立たないが、秋に熟す赤い果実が美しいことから庭
園樹として広く植栽される。雌雄異株で、果実は雌木にしかならない。
モチノキの仲間は、世界の熱帯や温帯に約400種があり、果実が美し
く園芸的にも栽培される種類が多いのが特徴。園芸的には、クリスマ
ス・ホーリー(セイヨウヒイラギ、Ilex aquifolium)、イヌツゲ(
I. crenata)、タラヨウ(I. latifolia)、街路樹としても植えられ
るクロガネモチ(I. rotunda)などの常緑樹と、庭木や鉢物として栽
培されるウメモドキ(I. serrata)、アオハダ(I. macropoda)など
の落葉樹に大別される。近年、茶として飲用されるマテ(I. paragu-
aiensis)も南アメリカ原産の常緑のモチノキの仲間。モチノキ(I.
integra)日本原産で、暑さにも強く、栽培は容易。よく生育すると
樹高が10mを超えるので、植え場所をよく吟味が必要で、刈り込みに
も耐えるので、ある程度小さく保つこともできる。via みんなの趣
味の園芸 NHK出版
【ポストエネルギー革命序論448: アフターコロナ時代 268】
現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」
● 技術的特異点のエンドレス・サーフィング
再生可能エネルギー革命 ➢ 2030 Ⅲ
✺ 離島で地域マイクログリッドによる100%電力供給実現
新型コロナウイルス禍とウクライナ侵攻を受けエネルギー・食糧不足
や先行きの不安心理(パニック)もあり、世界的な物価高・株安ある
いは27年ぶりのドル高・円を世界中の貧困層を直撃している。そんな
中6月8日、来間島地域マイクログリッド構築事業コンソーシアム----
株式会社ネクステムズ、沖縄電力株式会社 株式会社宮古島未来エネ
ルギー、宮古島市----は、経済産業省資源エネルギー庁補助事業であ
る「地域マイクログリッド構築事業」に取り組んでおり、2021年度末
より構築設備の運用を開始。2022年5月25日、来間島において、大元
の送配電ネットワークである宮古島系統から切り離し、一般の需要家
(お客さま)側に設置した太陽光発電と蓄電池、ならびに対象エリア
全体の需給調整を行う蓄電池(以下、MG蓄電池)の組み合わせのみで
電力を供給する地域マイクログリッド(以下、MG)の「実動訓練」を
行い、MGのみによる100%電力供給を実施。この訓練により、MG対象エ
リア内の太陽光発電が需要を上回る場合にはMG蓄電池にて充電し、下
回る場合にはMG蓄電池から放電する等、再生可能エネルギーの真の地
産地消となるMG運用を、96世帯の需要家を含む実系統において確認し
たことを公表。
■ MGを活用した電力供給の全体像と本実動訓練のイメージ
① 来間島(既設で 380kW の太陽光発電あり)に新たに242kW分の太
陽光発電と325kWh分の蓄電池を設置(宮古島未来エネルギー設備)。
② MG対象エリア全体の需要調整を行うMG蓄電池800kWh(沖縄電力設
備)を設置し MGを構成。
③ 平常時において、宮古島系統からMG 対象エリアに出入りする電力
が極力0になるよう、需要側EMSで需要家側蓄電池を、MG-EMSでMG蓄
電池を制御しMG対象エリアに電気を供給。
④ 大規模停電などの非常時において、条件が整えば、宮古島系統か
らMG対象エリアを切り離して需要側EMSで需要家側蓄電池をMG-EMS
でMG蓄電池を制御し、自立的にMG対象エリアへ電気を供給。
■ 設備概要
この報告を読み、このような社会的マイクロ実証実験が全国展開でき
ないのかとか、熱利用し地下水をくみ上げ無人で食塩製造し、食品の
みならずスマート畜養浸透圧剤販売できないのか、さらには余剰電気
で水素製造し、人工ナフサや肥料製造や液体水素製造、さらには海水
から電気泳動で有価物質の・濃縮・分離・回収などにチャレンジでき
るのにと思ってみた。これは面白い!
✺ 環境発電デバイスで、社会問題の解決 『充電なき世界』
IoTやデジタルデバイスが普及する中で、人々を悩ませているのが「
充電」の問題。携帯電話やノートパソコン、EV自動車などの連続稼働
には電気が欠かせないが、場所やタイミングによって電源が確保でき
ず、困ったことがある人も多いのではないだろうか。そこでニーズが
高まっているのが電源につなぐことなくデバイスが自ら発電を行う「
自立型電源」の技術だとわたし(たち)の同志でもあるリコーが提案
する。リコーは、SDGs事業の一環として、近い将来、使い捨て電池が
世界からなくなる流れの中で、自立型電源の技術は欠かせないものに
なる IoT社会に不可欠な電源確保の課題を、室内光を利用した発電技
術で解決する!と事業宣言し「充電のない世界」を目指した。ポータ
ブル機器が、家やオフィスなどの室内光で自動で充電することで、手
作業の充電をこの世界からなくす。それが、「色素増感太陽電池(DS
SC)」「有機薄膜太陽電池(OPV)」、そして「ペロブスカイト太陽
電池(PSC)」、中でもPSCは、前回までのブログでも、また、後程で
も掲載するように、ペロブスカイト/シリコンタンデム型太陽電池は、
変換効率は29.8%を達成、さらには光電変換半導体----六角形のポリ
タイプやヨウ化鉛含有物を含むナノスケールの相不純物----の分解劣
化を抑制することで耐久性を10年以上に高める手法が解明されており
サーファド(建材一体型)用途には欠かせない所望特性をクリアでき
つつある。ただ、直近の10年で、ある半導体の消費電力は100分の1
まで下がっており、スマホの自動充電も実現可能領域に入りつつある。
✺ オフィス/家庭用CO2回収装置「ひやっしー」
1月26日、超小型CO2直接回収装置である「ひやっしー」(第4世代)
の発売を開始。「ひやっしー」とは、地球温暖化を止めるため、これ
まで化学プラント等の大型のものが主流であった空気中の二酸化炭素
直接回収装置を小型化し、家庭やオフィスでも二酸化炭素回収に取り
組むことができる画期的な機器。 <>今回のリニューアルにおいて、
(1)システムの完全クラウド化、(2)ソーラーチャージ、(3)
CO2経済圏実現に向けた「ひやっしーマイル」正式運用開始、の3つ
によって空気中の二酸化炭素を見える化し、さらには二酸化炭素を集
めることでユーザーが消費行動を行えるようになる。現在CRRAでは、
ひやっしーで回収した二酸化炭素を合成し石油代替燃料を生み出す研
究を進めている。この技術が確立しひやっしーが全ての家庭・オフィ
スで普及していくと、二酸化炭素回収自体が新たな「価値」となり、
地球温暖化に対して個人・企業レベルで具体的なアクションを起こす
ことが可能になる。CRRAは、ひやっしーを通じて、温暖化に対する個
人レベルの意識改革と小型分散化による地産地消のカーボンニュート
ラル社会の実現を目指すという。via NHK「サイエンスゼロ」
表1 二酸化炭素分離・回収技術比較
【関連特許】
特許第7004881号 二酸化炭素回収システム 一般社団法人炭素回収技術
研究機構
【概要】家庭やオフィスや教育現場に配置され、その配置された周囲
の空気中の二酸化炭素を回収するシステムであって、塩化ナトリウム
水溶液を電気分解して水酸化ナトリウム水溶液を生成する電気分解処
理部と、前記電気分解処理部で生成された前記水酸化ナトリウム水溶
液に前記空気を供給し、その空気中の二酸化炭素を前記水酸化ナトリ
ウム水溶液中に溶け込まして炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを
含む水溶液を生成する吸収処理部と、その吸収処理部で生成された前
記炭酸ナトリウムと前記炭酸水素ナトリウムを含む水溶液に対し、前
記電気分解処理部で前記水酸化ナトリウム水溶液を生成した際に生じ
る塩酸を供給し、化学反応により前記炭酸ナトリウムと前記炭酸水素
ナトリウムから気体の二酸化炭素を取り出す取り出し処理部を備える
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
図1
● 回収二酸化炭素(CCU)用途と技術ステージの概観
近年、地球温暖化の原因と言われている二酸化炭素(以下 CO2)を削
減するだけでなく、発電や産業で排出される CO2や大気中のCO2を回
収し、回収したCO2を利用もしくは地中に貯留する技術「CCUS(Carb-
on dioxide Capture, Utilization and Storage)」が注目されている。CCS(
Carbon dioxide Capture and Storage:CO2回収・貯留)は、CO2を大量に削減
できる手段として長年研究されており、最近では年間100万トン以上
のCO2を回収・貯留する大規模プロジェクトも進んでいる。CCSと同
様長年研究されている CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:CO2
回収・利用)も、最近では気候変動問題を解決するイノベーション技
術として注目を集めるようになった。CCUは、従来の化石燃料由来の
燃料や化学品等の製品を、CO2を原料として製造した製品へと置き換
えることで低炭素化を図ることができる。さらに、CO2を耐久性のあ
る素材に変えればCO2を長期間固定でき、固定している期間はCO2ゼ
ロ排出といえる。
図 CCUの用途と各技術ステージの概観(●が各技術ステージの現
時 点を表す)
二酸化炭素から化学品・燃料等になるまでのフロー図
via みずほ情報総研レポート vol.20 2020
まさか、ウイングを「二酸化炭素の回収・有効利用」を広げるとは思
っても視なかった(その分掲載できない、書き残してしまった分がで
る)。いずれにしても膨大な読書・調査作業となり、眼精脳疲労は極
値にあることは確か。
Googleの技術者はチャボットAIが知覚力があると信じている
via Futuretimeline.2020.6.14
※ 知覚力➲あらゆる知的生産の最上流にあり、思考の前提となる
認知として、眼の前の情報を受け入れ、独自の解釈を加える能力。
※AIチャットボットとは?
「チャット」とロボットの略称「ボット」を合わせた言葉で、ロボッ
トに会話ルールをプログラミングすることで、自動的な受け答えが可
能となる。チャットボットとは、人間と会話しているような受け答え
を、ロボットが自動で行うコミュニケーションツール。チャットボッ
トは、ネットワーク上のコミュニケーションを示す。なぜロボットが
人間のようなコミュニケーションを取れるのか。その背景には「シナ
リオ」と呼ばれる受け答えの台本や、スムーズな受け答えを実現する
学習データ・AIの存在がある。チャットボットは、人間がシナリオを
設定する「ルールベース型チャットボット」と、ユーザーの自然言語
(話し言葉)による質問の意図を理解し、正しい回答を表示する「AI
搭載・機械学習型チャットボット」に大別される。
✺ ペロブスカイトPVの寿命に新たな知見
補足図10 FAが豊富なペロブスカイト膜に誘導される光化学的メカニ
ズム
a)局所相不純物での光誘起材料劣化の進行を示す概略図。ホールフ
ォトキャリアはヨウ化物の欠陥を酸化し、中性ヨウ素種の反応を引き
起こして分子状ヨウ素を形成。これはガスとして失われる。ヨウ素が
逃げると、より多くのヨウ化物が不純物領域に移動し、光誘起および
欠陥媒介イオン移動を補償。これにより、光励起電子によって容易に
還元されて光キャリアをさらに クエンチする金属Pb0クラスターを形
成できる非配位Pb2+がn近くに生成される。ヨウ化物イオンはフィルム
表面に向かって移動し、さらに劣化を助長し、最終的にピンホールを
形成。局所的にヨウ素が豊富な領域内では、I2-ラジカルおよび 三ヨ
ウ化物イオン(I3-)が、有機カチオンを還元することにより、隣接す
るペロブスカイト材料の分解をさらに触媒する可能性がある。(b)
の分解を示す概略図。エピタキシャルに整列したPbI2は、トラップ支
援レドックス反応を介して分解し、PbOと分子状ヨウ素を形成す。
(c)O2が豊富な環境での照射による表面鉛種のPbOへの変換を示す概
略図。分子状酸素は、サンプル表面の配位不足の鉛に吸着するため、
欠陥の多い領域に容易に蓄積。光励起された電子は、吸着された酸素
分子を還元してスーパーオキシドイオンを生成し、ハロゲン化物空孔
サイトで共有結合するか、ヨウ素格子間原子と反応してヨウ素酸塩を
形成することにより、表面トラップ状態を不動態化する。表面に結合
した酸素は、イオンの転位を抑制する。イオンの転位は、光化学分解
のためのハロゲン化物の「燃料」を提供し、したがって、粒子表面で
のヨウ素の損失を抑制する。光励起された電子との相互作用による結
合したスーパーオキシドのさらなる還元は、表面の鉛と容易に反応し
てPbOを形成することができる過酸化物を生成する。
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6月13日、ケンブリッジ大学と沖縄科学技術大学らの研究グループは、
ペロブスカイト太陽電池のエネルギー出力は、従来のシリコン太陽電
池と同等であり、多層構造のタンデム型においては、シリコン太陽電
池の効率を上回ることもあるが、寿命が限られていることが実用化へ
の大きな課題。住宅の屋根に設置されている一般的なシリコン系太陽
電池は、通常20~25年程度は性能が大きく低下することなく使用でき
る。 ペロブスカイト太陽電池は低コストで製造でき、製品寿命が短く
ても市場機会の可能性があるが、少なくとも製品寿命を10年以上に改
善する必要がある。未だシリコン系太陽電池と同等の安定性を備えた
ペロブスカイト太陽電池開発事例はない。
【要約】
ハロゲン化物ペロブスカイト光起電力デバイスの電力変換効率は、シ
ングルジャンクションで25.7%、タンデムペロブスカイト/シリコンセ
ルで29.8%に達した。ここでは、マルチモーダル顕微鏡ツールキット
を開発、主要なホルムアミジニウムに富むペロブスカイト吸収体にお
いて、六角形のポリタイプやヨウ化鉛含有物を含むナノスケールの相
不純物が、光励起キャリアのトラップであるだけでなく、それ自体が
性能を低下させることを明らかにした。これは、吸収体層の光化学的
分解の進行によるもので、群滞留欠陥に関連する相不純物の照明によ
る構造変化を可視化し、バルク測定では検出されない微量のこれらの
相でさえ、デバイスの寿命を損なうことを明らかする。これらの不要
な相介在物の分布は、薄膜組成と処理に依存、ポリタイプ----同じ化
学組成をもつ物質が異なった原子配列を示す多形の一種----の存在は
薄膜の光安定性阻害は甚大で。これらの欠陥相不純物を抑制ることで、
性能低下と固有劣化を軽減、これには局所的な構造的および化学的特
性の調整が必要とする。光線に敏感なエネルギー変換材料のナノスコ
ピックな複数の一連の流れは、半導体性能と動作安定性の局所的イメ
ージを提供できる。
【関連論文】
Macpherson, S., Doherty, T.A.S., Winchester, A.J. et al. Local Nanoscale Phase
Impurities are Degradation Sites in Halide Perovskites. Nature (2022).
https://doi.org/10.1038/s41586-022-04872-1
【ウイルス解体新書 123】
序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第3章 パンデミック戦略「後手の先」
終 章 「新冷戦時代」という神話
「集団免疫」獲得を目指したスウェーデン
ドイツ政府とは対照的に、非常に緩やかな規制を実施したにもかかわ
らず、国民の高い評価を得ている事例もあります。「集団免疫」を視
野に入れたスウェーデンのライト・タッチの感染症対策です。欧州で
は4月、5月に感染を抑えたとされる国でも、夏になってからふたた
び感染が増加する傾向が見られます。スウェーデンに比べて死亡者数
が遥かに少なかった北欧の隣国、デンマーク、ノルウェーなどでも増
加の傾向が見られるのです。ところがスウェーデンでは、8月に入っ
て感染者数が明確に減少しています。
スウェーデンのアプローチについては一点注釈が必要です。新型コ
ロナの感染が広まってから、世界中で「生命重視か、生活重視か」と
いう議論が活発になされました。感染拡大を防ぐための厳格なロック
ダウンという「生命重視」のアプローチを取ると、対人ビジネスが困
難になり、経済活動が大幅に低下します。それでは国民の生活が苦し
くなるので、「生活重視」の場から、厳しい規制を避けるべきだとい
う意見が起こるのです。ブラジルのボルソナロ大統領が生活重視の方
針を明言していますし、アメリカのトランプ大統領も、時にそのよう
な考えをほのめかしています。他の国でも生命を重視する医療専門家
と、生活を重視する政治家との意見の対立が激しくなり、新型コロナ
対策が、最終的には妥協の産物として決まる場合が多いようです。
ところがスウェーデンのケースは、生命重視と生活重視という二つ
の方針の間の妥協の産物といった事例とは一線を團すものです。スウ
ェーデンの感染症対策を決めるのは政治家ではなく、医療専門家だか
らです。この国では憲法によって、感染症対策を決める強い権限が「
公衆衛生局」に与えられています。しかも公衆衛生局の局長の権限が
強いために、スウェーデンの感染症対策は、アフリカでエボラ熟対策
などに当たり、感染症の専門家として知られるアンデシュ・テグネル
局長が、実際上一人で決めているのです。
フィナンシヤルタイムズは9月11日に、テグネル局長のインタビュ
ーを含めたスウェーデンの感染症対策の特集を組んでいます。そこか
らテグネル局長の言葉をピックアップしましょう。
テグネル局長は、自分の方針がボルソナロ大統領や、アメリカ共和
党の経済重視路線と一緒にされるのを一番嫌うようです。あくまで、
感染症専門家の立場から打ち出した方針なのだという点は譲れないの
です。
「感染拡大の初期段階で、われわれは『持続可能性』を目標にする
べきことを十分に議論しました。この目標は何とか達成されていると
思います。それに加え、安易な解決策に依存しないということ、これ
は簡単な問題ではないと理解すること、短期に終息する問題ではなく、
一つの方策だけによっても解決しないと理解すること、こうした点を
最初に考えました。長い将来にわたって対応していかなければならな
い疫病、その疫病への体制を築くこと、そのための方法を熟考したの
です」。
「集団免疫」とスウェーデンの対策との関係について、テグネル保
健衛生局長はニュアンスのこもった発言をします。
「今後、スウェーデンは低い感染率を維持するが、時折、地域的に
感染数のスパイクを経験することになるだろうと局長はコメントした。
『他の国で起こる事態はもっと深刻でしょう。こうした地域的な感染
スパイクが起こった場合、他の国ではその影響が拡がりやすいからで
す。止めを掛けることに十分なだけの免疫がない場合、影響が拡がり
やすいのです』と彼は言った。
『集団免疫』は、新型コロナ危機において最も激しい議論を生んだ
概念だった。
十分な数の国民がウイルスに接触し、感染率が低下するまで、ウイ
ルスの自由な拡大を認めることが、スウェーデンの感染症対策の目的
ではなかったという点を、テグネル局長は執拗に強調した。他方で、
スウェーデンの感染率が最近急落した理由のIつが免疫にあったこと
を認め、それを持だない隣国が今後どういう状況を迎えるかを問いか
けた。『現在、コペンハーゲンを保護しているものは、一体何でしょ
うか?注目したいと思います』」
テグネル局長は、何年にもわたって無理なく実行できるような政策
が必要だという点、「マスク」といったひとつの簡単な方法で複雑な
問題を解決しようとするのは間違いだという点を、繰り返し強調しま
す。新型コロナは容易に解決できる問題でも、短期的に解決できる問
題でもない。この認識が、ワクチンについての彼の考え方にも反映さ
れています。
「われわれの会話の最後の部分で、テグネル局長はふたたび一般に
広まっている考えを否定した。ワクチンが完成し、実用可能になった
としても、それは『魔法の弾薬(固守q帥巴回)』にはならないとい
うのだ。さらにこう付け加えた。『この点についてもそうですが、私
は複雑な問題に簡単な解決法を当てはめようとする考え方が嫌いです
し、ひとたびワクチンが完成すれば、かつてと同じような生活に戻れ
ると信じるのは間違っていると思います。そういうメッセIジを送る
のは危険です。なぜなら、問題はそう簡単ではないからです』」
スウェーデンのテグネル保健衛生局長が取った、厳密なロックダウ
ンとは正反対のソフト・タッチの方針は、経済優先主義から生まれた
ものでも、新型コロナに対する楽観主義に立ったものでもないようで
す。むしろ、われわれが今後、長いこと新型コロナとの共生を続けな
ければならないという、悲観的な見通しに立っていて、そのような宿
命を背負った以上、感染防止策も、無理のない範囲で続けていかざる
を得ない。「持続可能性サが何よりも大事なのだという判断が基本に
あると思われます。
ドイツでメルケル首相が進めた方針と、スウェーデンでテグネル保
健衛生局長が進めた方針とは大きく異なります。どちらの方針がより
賢明であるかは、いつの日か、新型コロナ感染が終息した時に初めて
分かるでしょう。こうした不確実性が存在する下での政府対応として
は、メルケル首相が明言するように、新しい情報や、知識に応じて、
政府がそれまでの方針を根本的に変える可能性があることを、あらか
じめ国民に伝えておくことが賢明だと思います。
現時点では、ドイツにおいてメルケル首相の方針への支持が強いの
と同じように、スウェーデンにおいてはテグネル局長の方針への支持
が強いのです。科学的な根拠のある意図がはっきりした方針を、政府
が責任を持って進める限り、国民はそれを支持するのではないでしょ
うか。生命重視の医療専門家と、経済重視の政治家の判断を足して二
で割ったような政策ではそのように行かないと思います。
この項つづく
ホニグスバウム,マーク【著】
NHK出版(2021/05発売)
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第10章 疾病 X ---- 新型コロナウイルス感染症
「それはやって来て去っていった。
大勢の若者の命を奪うハリケーンだった」
『タイムズ』紙、1921年
コウモリと多種多様なウイルス
地球上に暮らすあらゆる哺乳動物の種数の五分の一を占めるコウモリ
は、コロナウイルスのみの自然宿主ではない。マールブルグウイルス、
ニパウイルス、ヘンドラウイルスも保有することがあり、これらのウ
イルスがアフリカ、マレーシア、バングラデシュ、オーストラリアで
ヒトの病気やアウトブレイクを引き起こしている。コウモリは狂犬病
ウイルスも保有し、エボラの自然宿主と考えられている。コウモリが
なぜこれほど多種多様なウイルスに耐えられるのかについては現在研
究が進行中だ。一説によれば、飛行への適応と引き換えに(コウモリ
は翼を持つ唯一の哺乳動物である)、コウモリは免疫系の機能が低下
するように進化したとされる。免疫機能の低下は飛行のストレスに対
する適応かもしれないという。ストレスを受けるとコウモリの細胞が
破壊され、DNA断片が細胞外に放出される。通常ならこれらの細胞
断片は炎症を起こす原因となるが、免疫系が低下しているので炎症を
起こさないのだ。この仮説によれば、コウモリは細胞の断片による炎
症を起こさないのと同じ仕組みによって、異種のウイルスに感染した
ときに病気にならないという。ロンドン大学の動物学および寄生虫学
の博士号を持つダサックは、キャリアのほとんどを野生生物を巡る議
論に捧げてきた。当初、彼はコウモリがヒトの健康に大きな脅威であ
るという考えには懐疑的だった。ところが、2017年にエコヘルス・ア
ライアンスの生態学者ケヴィン・J・オリヴァルなどと.754種の哺
乳動物と586腫のウイルスのデータベースを作成し、どのウイルスがど
哺乳動物を宿主とし、これらの宿主にどのような影響を与えるかを解
析した。彼らの解析結果は『ネイチャー』誌に研究報告として掲載さ
れ、コウモリがその他すべての哺乳動物を足し合わせたよりかなり多
い人獣共通感染症の病原体を保有することを示した。実際、オリヴア
ルとダサックは、個々の種のコウモリがそれぞれ平均17種の未知の人
獣共通感染症の病原体を保有すると推測している。これに対して、鰯
歯類や霊長類では10種にとどまる。
しかし、彼らが突き止めたのはこれがすべてではなかった。『ネイチ
ャー』誌にこの研究報告を発表したあと、ダサックと勇敢なウイルス
ハンターたちは、中国その他の東南アジア諸国の洞窟などコウモリの
生息地を調査し続けた。これまでに、彼らは中国のコウモリだけで約
500種類の未知のコロナウイルスを発見している。2018年、広東省の4
か所の養豚場でアウトブレイクがあった。このアウトブレイクは、豚
流行性下痢によるものと特定されたが、ダサックらは、このときの病
原体が2007年に広東省と香港のキクガシラコウモリから分離されたコ
ウモリ由来のコロナウイルスとほぼ同一の未知のコロナウイルスだっ
たと報告した。興味深いことに、このアウトブレイクはSARSの初
発症例の自宅からわずか100キロほどしか離れていない場所で起きて
いた。
『パンデミックの世紀』
この項つづく
河出書房新社(2021/09発売)
サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
商品コード 9784309228303 NDC分類 345.1 Cコード C0022
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第18章 データ----税務当局の新たな味方
変化している。だが、堂々巡りは終わらない。
この項つづく
⦿ Album: 『ヘル・フリーゼズ・オーヴァー』(Hell Freezes Over)
『時は流れて 』; "Wasted Time" (Originally from Hotel California)
Writers: Glenn Frey, Don Henley Released in 1976
From The Album“Hotel California”
Well baby, there you stand
With your little head, down in your hand
Oh, my God, you can't believe it's happening again
Your baby's gone, and you're all alone
And it looks like the end
And you're back out on the street
And you're tryin' to remember
How do you start it over
You don't know if you can
You don't care much for a stranger's touch
But you can't hold your man
You never thought you'd be alone
This far down the line
And I know what's been on your mind
You're afraid it's all been wasted time
The autumn leaves have got you thinking
About the first time that you fell
You didn't love the boy too much, no, no
You just loved the boy to well, farewell ......
● 今夜の寸評:過猶不及是混亂的開始嗎!?
新中庸論(新君主論)を今朝の般若心経独唱に添えて。
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