極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

藻薄膜による金濃縮回収

2022年05月30日 | ネオコンバーテック

 

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる "招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」


1.シモツケ 2.マルバシモッケ 3.ホザキナナカマゾ 
4.シロヤマブキ 5.ヤマブキ

                      

【樹木と短歌トレッキング:八重山吹】

   七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞ悲しき
                  兼明親王『後拾遺集』

小倉の山荘に住んでいました頃、雨が降った日、蓑を借りる人がいま
したので、山吹の枝を折って取らせました。その人はわけもわからず
に通り過ぎまして翌日、(蓑を借りようとしたのに)山吹を折って渡
された意味がわからなかったということを言って寄こしてきましたの
で、返事として詠んで送った歌。
七重八重に(あでやかに)花は咲くけれども、山吹には実の一つさえ
もないのがふしぎなことです。わが家には、お貸しできる蓑一つさえ
ないのです。
                      『後拾遺和歌集新釈 下巻』笠間書院, 1997

ヤエヤマブキ Kerria japonica ‘Pleniflora’ ヤマブキの八重咲き
品種。ヤマブキよりも生育旺盛で樹高も高くなり、株は直立する。雄
しべは花弁に変化し,雌しべも退化しているため、結実しない。 



    Dreweatts
      天球瓶(中国帝国青釉金銀彩『蝙蝠鶴文瓶』)
   高さ約61.5cm、幅約42cm 落札価格;2億円
   
技術的特異点のエンドレス・サーフィング Ⅳ





 海底のゴールドラッシュ
東京から南へおよそ400キロ。伊豆諸島の青ヶ島周辺の海域で2015
年、東京大学の研究チームが海底から熱水が噴き出す「熱水噴出孔」
を発見。水深700メートルの深海のおよそ48平方キロメートルの
範囲に数百の熱水噴出孔があると見られています。噴き出す熱水の温
度は250℃ほどで、最大で40メートルを超えるものも確認。無人の
探査ロボットを使った5回にわたる調査で熱水や周辺の岩石、それに
噴出孔のチムニーと呼ばれる煙突状の鉱物も採取。岩石に含まれる金
の量を調べると、金の濃度が1番高いものでおよそ170ppmもある。
通常、陸上の金鉱山では数ッpmでも金があると採算がとれるといわれて
いる。熱水噴出孔は通常、1000メートルから3000ほどのとても深い海
の底にあり、高い水圧の影響で300℃を超える熱水となって噴き出す。こ
の温度だと熱水は銅や鉄、亜鉛などの金属を多く溶け込ませる。一方
の青ヶ島近くの熱水噴出孔は、比較的、浅く、熱水の温度も270℃低
いのが特徴。IHIの技術開発本部に勤める福島康之氏は、これをさらに、
藍藻を粉末にし薄膜シートに加工し、表面面積を大きくし、LED光を
照射させることで金を吸着量を増大させ藍藻表面の「マイナスイオン
」と金表面の「プラスイオン」が磁気結合を促進させ回収することに
実験することに成功(下写真)。このシートは2021年8月、青ヶ島の
熱水噴出孔に設置。2022年9月に回収される。


出所:NHK


【ポストエネルギー革命序論 440: アフターコロナ時代 250】
 現代社会のリスク、エネルギー以外も「分散時代」


 光により誘導される神経細胞の活動抑制物質の発見
 5月27日、京都大学と大阪大学は,光が神経活動を抑制する低分子量G
タンパク質3Gemを誘導し,これが体内時計の細胞の活動を抑制し,過剰に
動くことを防いでいることを明らかにした。体内時計には,約24時間周期の
サーカディアンリズムを生み出す仕組みだけでなく,このリズムのタイミング
を環境の明暗変動に一致させるシステム(同調機構)がある。これは,眼で
受けた光の明暗情報が視神経から体内時計中枢である視交叉上核に伝達
され,この時刻を動かすことで行なわれる。哺乳類では,時刻を一度に3時
間以上動かすことはできないことが知られている。しかし,その制限が作ら
れる仕組みについては分かっていなかった
【要点】
1.光刺激に反応して,時計細胞にカルシウムチャネルの抑制物質である
 Gemが誘導される。
2.誘導されたGemは,光刺激で時計細胞に発現したGemが,細胞が興奮
 するときに開く電位依存性カルシウムチャネル(VDCC)からのカルシウム
 イオンの細胞内への流入を抑制し,体内時刻が過剰にシフトしないように
 調節している。
3.VDCC阻害剤が各種脳疾患の新しい治療剤として活用できる可能性が
 広がるかもしれない。


図1.パーキンソン病の発症メカニズム
(左)従来知られていたαシヌクレインの蓄積によるPD
(右)今回新たに発見したTDP-43の蓄積を原因とするPD
 新しいタイプのパーキンソン病を発見
5月25日、大阪大学らの研究グループは、トランス活性化応答因子DNA
結合蛋白質-43(TDP-43)の異常蓄積単独により引き起こされたパーキ
ンソン病(PD)の症例を報告した(図1)。PDは、中脳黒質のドパミ
ン神経細胞の変性脱落により四肢のふるえ(振戦)、動作緩慢、筋肉
の硬さ(筋強剛)が出現する神経変性疾患。これまで、αシヌクレイ
ンという蛋白質の異常凝集がレヴィ小体を形成して中脳黒質にあるド
パミン神経細胞死を惹起し、これらの運動症状を発症することが知ら
れている(左図1)。今回の症例では、特徴的な運動症状を呈し、各
種検査所見や臨床経過等から臨床的にPDと確定診断された。ところが、
死後の神経病理検索では中枢神経内にαシヌクレインの異常蓄積は全
く見られず、また、同じくPDに類似する症状を惹起することが知られ
ているタウ蛋白の異常蓄積も見られませんでした。さらに、家族性PD
のほか、TDP-43に関連した神経変性疾患であるペリー症候群、筋萎縮
性側索硬化症、前頭側頭型認知症に関連した遺伝子の変異を網羅的に
検索しましたが、特に異常は発見されず、代わりに中脳黒質をはじめ
とした中枢神経の広い範囲にTDP-43の神経細胞内ならびにグリア細胞
内の異常蓄積が見られました。これらのことから、TDP-43に関連した
全く新しいタイプのPDであることが示された。
【要点】
1.筋萎縮性側索硬化症や前頭側頭型認知症といった神経変性疾患の
 病態に関与していることが知られていたトランス活性化応答因子DNA
 結合蛋白質-43(TDP-43)の異常蓄積により引き起こされるパーキン
 ソン病(PD)の症例を報告。
2.これまでPDの病態に関与することが知られていたαシヌクレイン
 の蓄積は全く見られず、TDP-43の異常蓄積が単独で中脳黒質のドパ
 ミン神経細胞死を引き起こし、PD様の神経症状を呈することを明ら
 かにした。
3.PDの病態解明や治療法開発を行ううえで、TDP-43の関与も念頭に
 置く必要があると考えられる。

  根から葉への光合成産物要求に知
5月26日、新潟大学と熊本大学の研究グループは,ダイズとシロイヌ
ナズナを用いた研究によってCLE2ペプチドとそのホモログが根から葉
に対して光合成産物を要求する長距離シグナルとして機能する可能性
を見出した。植物の成長を支える上で根の発達は重要であり、そのた
めには光合成を行う葉は十分な量の光合成産物を根へ供給し続ける必
要がある。本研究は植物における光合成産物の分配を制御する仕組み
を理解する上で重要な知見であり、農作物の環境ストレスに対する耐
性や収量の改善への応用が期待される。本研究成果は、2022年5月14
日にアメリカ植物生理学会の学会誌「Plant Physiology」の電子版に
掲載。
【要点】
1.CLE2ペプチドを根から地上部への物質輸送を行う道管滲出液から
 検出した。
2.CLE2およびそのホモログ遺伝子は根の成長やスクロース含量に影
 響を与える。
3.根におけるCLE2およびそのホモログ遺伝子が葉のSUC2スクロース
 輸送体遺伝子の発現量に影響する。


【展望】CLE2 ペプチドの受容体やその下流で機能する因?を特定するこ
とで、CLE2 ペプチドを介した?距離シグナル伝達系の解明が進むこと
が期待できる。また、このシグナル伝達経路を制御することで根と地
上部の間の光合成産物の分配を制御することができれば、根の発達を
促進することにより乾燥への耐性を強化したり根菜類の収量を向上さ
せたりすることなどが期待できる。

ドライバーの認知能力低下、車が検知
▶ 2021.5.20 読売新聞オンライン
ホンダは、国の量子科学技術研究開発機構と共同で、磁気共鳴画像(
MRI)やセンサーを使って、運転者の脳や目の動きを分析る。事故
につながるミスの原因を探るためで、運転者の視線をカメラで検知し、
横断する歩行者の見落としを警告する技術を開発。こうした技術を応
用し、車が左右にふらついたり、車間距離が短くなったりする傾向が
出た場合に、認知機能や空間を把握する能力が低下していることを知
らせる機能を開発する。センサーやカメラにAIを組み合わせ、運転
支援だけでなく、体調や病気の疑いの分析に踏み込む。
例えば、信号への反応が遅れるようになった場合は、視野が狭くなっ
ている恐れを伝える。緑内障に多く見られる症状だが、進行が遅く、
自覚は難しい。今回の開発は、運転者に事故のリスクを通知する。運
転者は症状を自覚する前に、体の異変に気づくきっかけになる。運転
免許の保有者は4人に1人が65歳以上となり、高齢ドライバーが起
こす事故を減らすことが課題になっている。技術の開発により、能力
の低下に気づけば、運転を控え、免許を返納する動きにもつながるか
もしれない。自動車各社は、日頃の運転データを蓄積、分析し、安全
運転に生かす技術の開発でしのぎを削っている。

トヨタ自動車➲運転者の視線や顔の向き、まぶたの開き具合をカメ
ラでとらえ、AIが異常を検知するシステムを一部の車種に搭載した。
走行中の脇見や眠そうな表情を感知すると、警告音を鳴らしたり、シ
ートベルトを振動させたりして注意を促す。
マツダ➲カメラとセンサで、居眠りや急病を検知し、車を減速・停
止させる機能を開発し、22年以降に新型車への搭載を目指している。
ホンダ➲もっと早い段階から異変に気づくことを狙う。



【ウイルス解体新書 117】
 

序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学 
第1節 各国の動向と対策の特徴
第7節 新型コロナウイルス
7-1 新型コロナウイルスのライフサイクル
7-2 変異ウイルス
7-2-1 感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コ
  ロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について(第9報)
7-2-2 オミクロン株の特徴

第8節 感染リスク
1.感染力
2.致死率・重症化
第9節 感染予防・検査・治療
9-1 検査方法・装置設備
9-2 ワクチン
9-3 新型コロナ治療薬 
第10節 ウイルスとともに生きる
10-1 バイオハザード対策の発展史
10-2 高度隔離施設の現場へ
10-3 病原体の管理基準
10-4 根絶の時代から共生時代
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第1節 各国の動向と対策の特徴
第3章 パンデミック戦略「後手の先」
第1節 新型コロナパンデミックから生まれたもの
1-1 進化する感染判定技術装置
1-1-1 汗から感染症を検出するウェアブルセンサ
1-1-2 「測定時間1分」と「超高感度」、2種のウイルス検出
 
1-1-3 新型コロナ感染を9分で判定、精度はPCR以上    
▶2022.5.26 毎日新聞
新型コロナウイルスの感染をPCR検査と同程度以上の精度で素早く検
出できる装置を、理化学研究所や東京大などの研究チームが開発した。
検体のサンプルを入れてから陰性や陽性の判定が出るまで全自動で、
9分以内に結果が分かる。現在のPCR検査では、最短でも1時間程度か
かる。チームは民間企業と連携して、早ければ今年度中にも実用化す
る。




⮚opn-SATORI装置は、ウイルスRNAを「1分子」レベルで識別して世界
最高速度で自動定量し、さらには、陽性判定、変異株判定へとつなげ
ることができる革新的なウイルス感染症診断装置です。また、opn-SA
TORI装置のランニングコストは1検査あたり約2ドルで、PCR検査法や
抗原検査法とほぼ同等であるため、安価で素早く多種のウイルス感染
症を正確に診断できる次世代の感染症診断装置となることが期待され
ている。まぁ、わたし(たち)の目標では1分以内で判定できること
であったが、この時点で「合格」となる(ナマ言って、ごめん!)。
1-2 予防技術
1-2-1 不活化技術
1-2-1-1 エアーカーテン
⛨ コロナを不活化するエアカーテン
⮚20212.5.16 新型コロナウイルスの不活化を実現する卓上型エアカー
テン装置を開発



河出書房新社(2021/09発売)
サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
商品コード 9784309228303 NDC分類 345.1 Cコード C0022
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第16章 暗号通貨----税務署職員の悪夢

コインベースのIRSとのいざこざが物語る、仮想通貨と政府の未来
 ビットコイン・コミュニティは、ビットコインの非常に大きな可能
性から目を背ける批判者たちを指していう、独自の呼称をつくってい
る。ノーコイナー(nocoiner)である。ノーコイナーは、ビットコイ
ンが「あまりにも大きく」なれば、政府によって違法化されるだろう
と主張する。マネーロンダリングや闇市場に使用されかねないことを
考えれば、政府がその違法化の決断を正当化する理由はいくつもある
だろう。実際のところ、おもだった取引所を閉鎖することも、金融機
関に対してビットコイン関連会社の口座の維持を禁止することも、ビ
ットコインの使用を違法とすることも政府には可能である。だがビッ
トコインを廃止することは不可能だ。そのわけはビットコインの基本
構造にある----それは、中心
に障害点のない分散型ネットワークであ
る。どの領域にも、どの組織にもつながっていない。それに、違法化
によってその使用を止められるわけではない。麻薬戦争を見ればわか
ることだ。他のピアツーピア・ネットワーク----少し前の動画共有サ
イト----を閉鎖する試みもうまくいかなかった。政府がビットコイン
の使用をやめさせようとしても、国民は匿名で通信できるVPNとT
orを使って取引を行なうか、保有するコインをオフライン環境に移す
だろう。しかし、仮想通貨はいまや数十億ドル規模の産業を打ち立て
ている。禁止すれば訴訟をいくつも起されることになる。ブロックチ
ェーン技術の開発により、現金を代替するオンライン通貨のシステム
とどまらないアプリケーションが無数につくられているに----その多
くに関しては、廃止する根拠になる要素は見当たらない。独裁主義的
な政府ならば何がなんでも禁止するだろうが、そうなればこのニュー
エコノミーは、歓迎してもらえる国や地域に移転するのみだろう。そ
の国や地域は新しい科学技術とともに到来する経済成長を享受し、独
裁主義的な政府のほうは後れを取ることになる。たとえ世界の国々の
政府が手を組み(ありえないことだろうが)、全世界で仮想通貨が非
合法になったとしても、止めることはできないと思われる。政府はそ
れを地下に追いやることはできる。しかし、すでに発明されたものを
なかったことにはできない。もはや手遅れなのだ
  それでも政府は、おもだった仮想通貨取引所に対して報告義務を諜
すだろう。2016年、IRS
はアメリカ最大の仮想通貨取引所であるコイン
ベースに対し約50万人分の顧客記録を侵出するよう勧告した。税金の
申告漏れを訓告するためである。コインベースはこの勧告について法
廷で争った。IRSは要求を緩め、2万ドル以上のビットコインの取引履
歴のあるアカウントの詳細な記録のみを提出することとした。コイン
ベースはこの要求も不当であると主張しようとしたが、判決はIRSに
有利なものだった。この判決に賛成した連邦地方判事のジャクリーン・
コーリーは、「韓国は、仮想通貨として得た利益の連邦税納付を怠っ
ているかもしれないい顧客の調査という、IRSの正当な目的にかなう
ものである」と記している。結果として命じられたのは、当初よりも
ずっと少ない1万4,355個のアカウントの詳細な取引履歴と、900万件
以上の取引記録を引き渡すことだった。
 そもそもIRSが勧告するに至ったわけは 税金の不払いだった。2013
年から2015年までに、ビットコインの価格は13ドルから100ドル以L
にまで上昇したが、税金を適切に申告したアメリカ国民はたった802
人だった。おそらく、多額のキャピタルゲインを手にしか人びとの総
数からすれば、これはほんのわずかな人数だろう。この話にはいくつ
かの教訓がある。第一に、仮想通貨、とりわけキャピタルゲインとし
て得るものにかかる税金の脱税はひんぱんに行なわれている。第二に、
政府は未払いの税金をできるだけ取り立てようとする。仮想通貨の価
格が上昇すれば、もっと積極的に取り立てようとする。第三に、一つ
の国もしくは地域集中型のコインベースのような取引所は、争いを法
廷に持ちこんだとしても、弱い立場に立だされやすい。税務当局から
の要求に屈することになるのである。しかし、仮想通貨の取引をもっ
と安全な国や地域の取引所、あるいは分散型の取引所で行なうように
すれば、要求を押しつけられにくくなる。当事者がノマドであればな
おさらである。



1990年代のファンドマネジャーニ人の予言が実現
 ジェイムズ・デイヴィッドソンとウィリァム・リース=モグは、1997
年の共著『独立個人;The Sovereign Individual』のなかで、国民国
家は消滅に向かっていると主張した。500年前、教会は監督機関だっ
た。今日の政府が提供する公的サービス----たとえば、教育や貧困者
救済などの多くを提供していた。「政治(politics)」という言葉が
まだなかった時代のことである。だが、活版印刷などの新技術の発明
により、情報が解き放たれ、教会の力は徐々に弱まった。空白を満た
したのは国民国家だった。そして今日、インターネットの発明により、
国民国家もその政治力も弱まりつつある。
 税金の観点から見れば、この論にはすんなり納得できる。体制はま
すます多くを要求するようになっている。その燃料として必要である
税収はどんどん少なくなっている。
 デイヴィッドソンとリ-ス=モグによれば、国民は一定の自由をあ
きらめて税金を納付し、一定の権利を確保している。国家は国民の信
頼を維持するために統制力を必要とするが、通貨、国境、情報、企業、
犯罪、そして何より信用を統制できなくなれば、社会通念は崩壊して
しまう。国民との取引は終わる。産業基盤の社会から情報基盤の社会
への転換によって、国民は解き放たれ、政府は力を弱める。国民国家
はいまある形のままでは存続できない。勝者になるのは、抜け目のな
い者、進取の気性に富む者、迅速に動ける者である。サイバースペー
スは所在にかかわらないチャンスをつくりだす。国境は重要ではない。
政府の強制力の届かないところで資産をつくるほうが容易になる。過
去に例のない経済的自立が可能になる。居場所がどこであれ金を稼げ
るならば、重税を諜される国、自由を制限される国に住む必要はない。
いまいる環境加わずらわしくなれば、さっさと荷物をまとめ、別の場
所に行けばいい。「独立個人」は明日にも荷造りしてどこかに移住で
きる。ソフトウェア会社もそうだ。だが、製造会社となるとそうはい
かない。あ圭りにも多くの負担を強いる政府は、事実上、上得意を逃
がしてしまうことになる。今後、国家の主権は商品化される。人びと
は、保険を選ぶのと同じようにに国や地域を選ぶように国や地球を選
ぶようになる。程よい価格で適ご切なサービスを提供することのない
国や・地域は、要領の悪い企業と同じく、破産の圧力にさらされる。
 ますます多くの事業や財がオンラインに移り、国境も形もないデジ
タル資産に切り替われば、それだけ政府の税収は減ってしまうだろう。
税収がもっと多いと予測して借金をしている国にとって、これは頭の
痛い問題である。やがて金融危機が起こり、政変につながるかもしれ
ない。それ自体、国民国家の未来に不利益をもたらすことになる。
 間違いなく、デジタル・ノマドはデイヴィッドソンとリース=モグ
のいう「独立個人」である。彼らがやりとりするお金は仮想通貨だ。
明らかに、彼らが描いてみせた未来像は現実になりつつある。

スマートフォンと科学技術のスケーラビリティ
いまどきは、テロ攻撃や、なんらかのパニックが発生すると、かなら
ず誰かがスマートフォンで動画を撮影するようである。数分もしない
うち、その動画はアップロードされ、拡散され、大勢の人の目にさら
される。プロのニュース番組制作チームは移動に時間がかかるので、
スマートフォンを持った通行人に先を越されてしまう。つまり、世界
中で、あるいはインターネットに接続できる場所ならばどこででも、
いま起こっている出来事を知ることができるのだ。
 想像してみてほしい。第二次世界大戦中、塹壕のなかの兵士たちが
スマートフォンを持っていたら。いまの人びとと同じように、目の前
でくりひろげられている光景を撮影したはずである。毎日、数千、数
万もの言語に絶する残酷な映像がネット上に送信され、共有される
ただちに戦争をやめてほしいとヨーロッパ中の人びとが懇願していた
に違いない。
 テクノロジーによって、民衆は力を千にする。指導者の責任を問い
ただすことも可能になる。つまらないことまで細かく調べられ、お世
辞程度のたわいのない嘘まで暴かれる。些細な違反も衆目にさらされ
てしまう。
 いまや、かつては不可能だった非常に多くのことが可能になってい
る。無尽蔵の情報に無料でアクセスできる。世界中のほぼ誰とでも、
コストなしで連絡を取りあえる。20年前ならば数百万ドルの予算を必
要としたであろう映画を製作できる。スマートフォンさえあれば。
 先日の朝、私がトラファルガー広場に面したセント・マーティン・
イン・サ・フィールズ教会の前を通りかかると、ホームレス向けの慈
善事業が行なわれていた。寝袋や身の回り晶を持った二〇人ほどが壁
にもたれて座り、朝食が配られるのを待っていた。なんと、その八割
がスマートフォンをいじっていた。ホームレスでさえスマートフォン
を持っているのだ。知識、コミュニケーション、メディアはすでに社
会に浸透している----医療・教育よりもずっとうまく、つまり、それ
らは、ほぼコストなしで、誰でも医療・教育にでも手に入れられるよ
うになっている。しかも、政府の関与なしで。国連の2013年の訓告に
よれば、世界には、自宅にトイレが設置されている人よりも、携帯電
話を所有している人のほうが多い。また、ソニー・エリクソン社によ
れば、2023年までに、携帯電話のほとんどがスマートフォンになる。
世界の人口は80億人、スマートフォン台数は70%に達するという(契
約数とユーザー数はかならずしも一致しないが、ユーザー数は契約数
の90億件に達するという----人口よりも多くなるわけである。人口の
ほぼ全てがオンライン接続できるようになる。世界中の貧しい人びと
の多くにとって、スマートフォンは初めてインターネットを体験する
ツールになるだろう。突然、発展途上諸国の人びとは膨大な量の情報
----先進諸国の人びとにとっては当たり前のもの----アクセスできる
ようになる。それまでは、通信手段がないせいで不可能だったことで
ある。手に入れた新しい知識を、彼らはどのように利用するだろう?
以前ならば不可能だったことを可能にしてくれるアプリがたくさんあ
る。インターネットが彼らの世界を広げようとしている。これから新
たに知りあう人、新たに加わるネットワークとともに、彼らは何をす
るだろう? おそらくもっと垂要なのは、いまやファイナンシャル・
インクルージョン〔金融包摂〕の好機がもたらされたことである。
 発展途上国の都市をぶらぶらしていると、話しかけてくる人、何か
を売りつけようとする人、持っているものを交換したがる人が引きも
切らない。世界には、学習したい、交流したい、商売したいと思って
いる人が犬勢いる。さらに、自分の境遇をよくしたいと思っている人
も。だが、ファイナンシャル・エクスクルージョン〔金融排除〕----
金融機関に口座を持っていないため、金銭をやりとりする手段がない
ことにより、近所以外の場所で商売に携わることができない人は多い。
金融排除は、携帯電話の契約数とは異なって、固定電話の契約数が伸
びていないおもな原因である(固定電話契約数は2006年の12億6000件
をピークに年々減りつづけている)。固定電話を引くには銀行口座が
いる。途上国の人びとの大半は銀行口座を持っていない。電話会社か
ら投資に見合う場所と見なされておらず、インフラの整備が行なわれ
なかった。だが、携帯電話に銀行口座は必要なく、現金さえあればい
い。携帯電話を手に入れられる人びとは増え、需要に応じてその供給
量も増えている。結果、携帯電話のおかげで、生まれて初めて大量の
情報にアクセスできるようになったばかりか、金融排除の問題から解
放された人びとも増えている。今日も世界人目の30%以上20億人が銀
行口座を持っていないが、たった三年前には世界の約半数が持ってい
なかった。金融テクノロジーとインターネットのおかけで、その人数
は急速に減りつつある。
そんなわけで、世界中の貧しい人びとは、かつてならばありえなかっ
た可能性を手にしている。自己学習、新たな交流、創作、売買。一方、
先進諸国は、仕事の委託、商品の販売、商品の購入の相手になりうる
人びとを新たに数十億人得たことになる。たいへんな数の取引が行な
われるようになる。取引と交換によって、われわれは進歩するのだ。
 しかし、初めてのスマートフォンでネット環境を手に入れた人が金
融サービスを利用しようとするならば、仮想通貨を使うのがもっとも
手っ取り早い。数秒もあればウォレットを持ち、商品やサービスの対
価として仮想通貨を受けとれるようになる。初めてネットに接続した
途上国の人びとが真っ先に仮想通貨を使えるようにする意味はきわめ
て大きい。市場での売買は大きく進歩しつつある。たとえば、中部ア
フリカで仮想通貨を通じた売買が行なわれるようになった。国際通貨
になりうる仮想通貨のスケーラビリティは、国内でしか使用できない
国内通貨のそれよりもずっと大きい。今後、わくわくするような面白
い時代がやってくる。スマートフォンはその人目である。世界の貧困
の解決のために政府がどれだけ多くの援助をしても、スマートフォン
とそれに付随する科学技術のほうが大きな効果を上げる。取引と交換
が可能になることで、人びとは繁栄に向かう利用できなかった下水設
備などの基本サービスを利用できるようにもなる。

  

 人口の多さを考えれば、今後の可能性はとてつもなく大きい。私の
意見では、いまわれわれは歴史上まれに見る世界的好景気の入り口に
立っている。産業革命は多くの人びとを地方での貧乏暮らしから脱出させ、
一世代のうちに中庸階級どいう新たな杜カ的階級を創出したが、いま
それと同じようなことが、もっとずっと大規模に進行しようとしてい
る。この好景気は、おもにサイバースペース、無形商材の取引、課税
しにくいデジタル商品およびサービスの領域で生じるだろう。非政府
通貨を使うことの多い国境がはっきりしない世界である。
 もちろん、すべての進歩が「善」であるとはかぎらない。新たに発
見した力を不行な目的に利用する者も少なくないだろう。だが、大ま
かな流れは有益で、革新的であるはずだ。それから、進歩は平等に訪
れるわけではない。おそらく、政府が専制的、あるいは抑圧的であっ
たり、地理的条件が不運であったりするせいで、なかなか前に進めな
い国や地域もたくさんある。その場合、進歩は遅れることになる。だ
が、大いに繁栄し、進歩しているその他の国を見れば、これは戦争で
あり、国民を抑えこむ国は負けてしまうということがわかる。そして、
この繁栄はすぐに訪れるわけではない。時間がかかる。これは世代交
代である。とはいえ、これは人の成すことの避けがたい潮時なのだ。
 世界的な好景気は税収の増加につながるが、経済活動が活発化して
いる領域のほとんどが実体のない、ボーダーレスなデジタル世界に属
するならば、そうともかぎらない。また世界的な好景気は、ますます
多くの人びとが科学技術の恩恵によってさまざまな情報を得られるよ
うになり、国境を超えた取引が増え、政府への期待がより高まり、政
府への責任追及がより容易になることにもつながるのである。

                        この項つづく

風蕭々と碧い時代


Jhon Lennone Imagine 


 Their Greatest Hits (1971–1975) 

"Take It to the Limit" (from One of These Nights) 
テイク・イット・トゥ・ザ・リミット  (1975年11月15日) 
アルバム「呪われた夜」からシングルカット
ジャンル ソフトロック 演奏時間:3:48
Song Writers:ランディ・マイズナー,ドン・ヘンリー,グレン・フライ

All alone at the end of the evening
And the bright lights have faded to blue
I was thinking 'bout a woman
Who might have loved me
I never knew
You know I've always been a dreamer (spent my life running round)
And it's so hard to change
Can't seem to settle down
But the dreams I've seen lately
Keep on turning out and burning out and turning out the same
So put me on a highway
Show me a sign
Take it to the limit
One more time
You can spend all your time making money
You can spend all your love making time
If it all fell to pieces tomorrow
Would you still be mine?
And when you're looking for your freedom (nobody seems to care)
And you can't find the door (Can't find it anywhere)
When there's nothing to believe in
Still you're coming back
You're running back
You're coming back for more...
Put me on a highway
Show me a sign
Take it to the limit
One more time......

「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」は、1975年11月15日にサー
ドシングルとしてリリースされた4枚目のアルバム「呪われた夜」の
イーグルスの曲。米国のビルボードホット100で4位になり、イーグル
スの英国でのその時点までの最大の成功は、チャートの12位になった。
ビルボードはそれを1976年の25曲としてランク付けした。この曲はイ
ーグルスのメンバーであるランディ・マイズナー、ドン・ヘンリー、
グレン・フライによって書かれました。リードボーカルを歌ったマイ
スナーは、この曲は彼のソロ作曲として始まった。呪われた夜のアル
バムを録音する時期が来たときは未完成のままだったので、ヘンリー
とフレイはマイスナーの完成を手伝う。マイスナーの曲の演奏はイー
グルスのコンサートで聴衆に人気があったが、それを演奏することへ
の彼の抵抗をめぐる論争はまた、マイスナーのバンドからの離脱に直
接つながる。

Randy Herman Meisner 

ランディ・マイズナー(1946年3月8日生まれ)は、引退したアメリカ
のミュージシャン、シンガー、ソングライター、イーグルスの創設メ
ンバー。彼のプロの音楽キャリアを通して、マイスナーの主な役割は、
グループメンバーとセッションミュージシャンの両方として、ベーシ
ストとバックハイハーモニーボーカリストの役割。 彼はイーグルスの
ヒット曲「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」を共同執筆し、そ
れも歌った。


 


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4 コメント

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