先日はマンチェスターを中心としたレイヴ・カルチャーの中で活動したバンド群を紹介したが、今回はよりひっそりと、しかし確実に音楽シーンに影響をもたらしたスコットランド中心の「アノラック・サウンド」を紹介しよう。
「おマンチェ・ブーム」と違って全世界を巻き込む大きな動きにはならなかったが、「アノラック・サウンド(トゥイー・ポップとも言う)」は、1980年代初頭雪国グラスゴーでアノラックを着込みドタバタしたジャングリー・ギターにヘロヘロ・ヴォーカルという素人同然のロックを奏でたスティーヴン・パステル率いるザ・パステルズを起源とするロックの総称である。ザ・パステルズは「どんなにギターがヘタクソでもセンスさえよければいい曲が作れる」ということを証明したバンドであり、彼らに勇気付けられ音楽を始めたバンドは数多く存在する。BMXバンディッツ、ティーンエイジ・ファンクラブ、ヴァセリンズ、タルーラ・ゴッシュ、ショップ・アシスタンツなど数多くの愛すべきDIYバンド達がスティーヴン・パステルの設立した53rd&3rdレーベルからデビューを飾っている。彼らのサウンドはニルヴァーナのカート・コバーンによって世界的に紹介され、数多くのロック・バンドが影響を受けることになった。日本ではフリッパーズ・ギターとか。
スティーヴン・パステルは後にGeographicレーベルを設立し、マヘル・シャラル・ハシュ・バズや渚にてといった日本のバンドもリリースしている。
現在でも脈々と続く「アノラック・サウンド」の影響力は、打上げ花火のように花開き消えていった「おマンチェ・サウンド」よりも奥深いものがあるのではなかろうか。
アノラック
着てちゃギターが
弾けないよ
アナザー・サイド・オブ・80'sロックとして再評価の進むシーンである。
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