A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【寫眞集天國】『佐藤ジン:Underground GIG 東京1978 – 1987』『爆裂女子写真集:Riot Girls』『Gallery Nomart:アートの奇跡』

2019年09月03日 02時32分43秒 | 書物について


自分でも忘れかけていたのだが、筆者は中学1年の時「写真部」に入っていた。放課後に活動する部活ではなく(そちらは軟式テニス部だった)、授業のひと枠のクラブ活動の時間だったと思う。特に写真が好きだった訳ではないが、子供の頃集めたTVヒーローのブロマイドや大阪万博の絵はがきが好きで、写真に憧れはあった。デジタルカメラやスマホが普及した現代からは信じられないが、昭和50年代は写真は金のかかる趣味だった。小中学生で自分のカメラを持っているのは金持ちのボンボンだけだった。だから写真部に入れば親のカメラを自分の物にできるし、写真屋に出すと高価な現像やプリントが自分で出来るので、安上がりで楽しめると考えたのかもしれない。オートマチックカメラを手に意気揚々と撮影に臨んだのだが、カッコいい被写体が思い浮かばず、近所の原っぱで遊んでいる妹や、テレビ漫画の画面を撮影する程度だった。学校の暗室で丸い缶に現像液と撮影済みのフィルムを入れてかき混ぜるのだが、蓋のしめ方がユルくて光が入ってしまいダメにしたり、上手く現像できても印画紙に投影する時に焦点が合わずボケ写真になったりで、結局まともな写真は出来なかった。悔しくて、奇麗に出来た他人の写真をくすねて、自分の写真と偽って親に見せた暗い思い出がある。



それ以来写真熱は冷めてしまい、大学時代の自分のバンドの写真もあまり残っていない。特に吉祥寺GATTYに出演していた即興ユニットOTHER ROOMの写真が1枚もないのは返す返す残念でならない。80年末に一眼レフを買って(もちろんフィルム式)子供を中心に家族写真をたくさん撮った。90年代には「写るんです」等使い捨てカメラが人気になり写真を撮る機会も増えた。増え続ける写真を、最初のうちはアルバムに整理していたが、次第に面倒くさくなり、子供が中学に進学して以降は段ボールに詰め込んだまま放置してある。



2000年代からデジタルカメラが普及しはじめ写真屋に現像を頼む必要が無くなり、さらにスマートフォンの写真機能の向上により、いつでもどこでも高度な写真/動画が撮れるようになった。しかし今度は撮り放題撮り過ぎてスマホの中の写真は万単位の枚数になり、もはや整理どころか見返すことも大仕事になった。無尽蔵に増える写真データをどうにかしてまとめてお気に入りの写真集を作ることを夢みてはや何年も経つ。そんな筆者の手元にほぼ同時期に素晴らしい写真集が3冊届いた。ジャンルもテイストも異なるが、筆者が愛好する世界を凝縮した感慨深い写真ばかりである。家へ帰り食事や風呂やブログ執筆を終えてから、お気に入りのレコードを聴きながら写真集のページを捲るのが、筆者の秋の夜長の理想的な過ごし方になるだろう。



●佐藤ジン『Underground GIG Tokyo 1978 – 1987 Action Portrait by Gin SATOH』


灰野敬二の1stアルバム『わたしだけ?』のジャケット写真を撮影したことで筆者が最大にリスペクトするカメラマン佐藤ジンは、70年代末に発生した日本のパンク/ニューウェイヴ/地下音楽のシーンを、楽器やマイクの代わりにカメラで記録した、というより描き出した。つまり「行動する肖像(アクション・ポートレート)」である。86年刊行のオリジナル版『GIG』が週刊誌を思わせるザラ紙の印刷だったのに比べ、新装版は高品位紙の印刷なのでかなり質感は異なる。しかし佐藤ジンにより描き出された行動する写真の迫真性は、変わらないどころか、30年以上の時間を経て、より鮮烈・鮮明に心と魂に刺激を与える気がする。実物を見た記憶はどうしても時間と共に変化してしまうが、写真を見る=記憶を感じることは、実体験を超えるほどリアルなエクスペリアンス足り得ることを実感する。

Friction フリクション Rare VHS Clip / Japanese Rock 軋轢

版元ドットコム


●爆裂女子写真集『Riot Girl』


デビューして1年半のパンクロックアイドル爆裂女子の初のオフショット写真集。2019年1月7日新宿ロフトで開催されたデビュー1周年ワンマンライヴ『No Future Idol?』の写真集は、激し過ぎるライヴパフォーマンスの魅力をそのまま記録したパンクなフォトドキュメントだったが、今回の写真集は「女の子」であり「アイドル」である4人の笑顔を自然体で捉えたハッピーなフォトブックである。タータンチェックのステージ衣装でソファの上で戯れるセッションは、仲のよい4人の笑いの絶えない楽屋風景を思わせるし、多摩川の河原で撮影したという私服のアウトドアセッションではそれぞれのメンバーの魅力を最も良く引き出すシチュエーションで、最もいい表情を撮ったキュートなポートレートばかり。ライヴの激しさと写真集の愛らしさの落差は、筆者の推しメン都子ちゃんの「ライヴはストロング、心はセンチメンタル」というキャッチフレーズそのもの。こんなに素敵な写真の数々を形に残せる幸せを心に刻んだ4人の、今後の躍進に期待が高まるばかりである。

爆裂女子 2019.7.28「爆裂地獄バスツアー」@ライブバス

まんだらけ公式サイト


●ノマル30周年記念BOOK『アートの奇跡』


橋本孝之とsaraからなるコンテンポラリーミュージックユニット.es(ドットエス)の本拠地である大阪のギャラリーNomart(ノマル)は、1989年大阪で版画工房としてスタートした。その後デザイン編集スタジオ、現代美術ギャラリー、前衛音楽のレーベルと拡張を続け、現代を生きるアーティストたちと共に創造し続けるノマルの30年間の記録をまとめた書籍。写真も多数あしらわれているが、写真集というよりは記録集と呼べるだろう。残念ながら筆者はまだノマルを訪れたことはないが、橋本孝之が言うには超アンダーグランドな基本理念を貫き通す希有なギャラリーの膨大な関連作品カタログや展覧会記録をページを捲って行くに連れて、大阪のみならず日本、アジア、世界中のアートの闘いの歴史を俯瞰するような気持ちになる。なによりも嬉しいのはノマル・ディレクターの林聡をはじめ、写真に写るアーティストやミュージシャンたちの表情がみな充実した笑顔で輝いていることである。

.es(ドットエス 橋本孝之 Takayuki Hashimoto & sara) 2019/8/3 Gallery Nomart

Nomart Store

『アートの奇跡』の表紙に記された「人はアートがなくても生きられるが、活きるためにはアートが必要である。」という言葉は、アートをミュージックに置き換えても真理である。その意味ではこの3冊の写真集は、「人」が本当に生きる(活きる)ために必要なものが何なのか、雄弁に語ってると言えるだろう。少なくとも筆者にが活きるためにこの3冊がこの上なく励みになることは確かである。

地下音楽と
アイドルとアートの
写真集

  



 
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フリーペーパー【Rooftop12月号】『地下音楽への招待』インタビュー&レビュー掲載(リンク有り)!!!!

2016年12月03日 02時30分52秒 | 書物について


Rooftop(ルーフトップ)という名のフリーペーパー。判型:B5/頁数:40頁(オールカラー)/定価:無料/発行形態:月刊/発行部数:55,000部/発行日:毎月1日/配布店:全国の大型CD店、書店、雑貨店、ライブハウス等 約350店舗


【インタビュー】鼎談:剛田武×加藤彰×地引雄一
「地下音楽への招待」の主人公は人でも音楽でもなく場 / その時代の影響を強く受けているからこその凄み/ 地下音楽と地下アイドルは似ている


【レビュー】地下音楽への招待 / 剛田武
日本のロック、パンクの裏面史を理解したい人には絶対の本。40周年を迎える新宿ロフトのオーナー平野悠氏による"ライヴハウス目線”のブックレビュー。

対向面
畑中階段
インタビュー

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【地下音楽への招待】特設サイト&インタビュー:A-Musik/ハナタラシ/Chris Pitsiokos/ネクロ魔

2016年11月17日 02時50分55秒 | 書物について



特設サイトはコチラ

●コメント執筆者(11/17現在)(順不同)

多田雅範(musicircus / JazzTokyo)

橋本孝之 .es(ドットエス)/サックス奏者

サミー前田 (VOLT-AGE records)

JOJO広重

沼田順(doubtmusic)
............順次追加予定

●連載コラム「今週の地下音楽への招待」まもなく公開予定


著者・剛田武インタビュー「行き過ぎることを恐れない」(JazzTokyo)

インタビューはコチラ


▼インタビューに登場するアーティスト
A-Musik


HANATARASH


クリス・ピッツイオコス CP Quartet


NECRONOMIDOL



【レビュー掲載】
ミュージック・マガジン12月号(松山晋也さん) レコード・コレクターズ12月号(行川和彦さん)
[2016/11/18追記]






地下音楽
謎への招待状
差し上げます

●同時開催中!ナゾトキ街歩きゲーム「地下謎への招待状2016」


【ゆる募】コメントを執筆いただける方はTwitter @mirokristelからメッセージを下さい。
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【正誤表、追加情報】『地下音楽への招待』刊行記念/ネクロ魔『久坂華恋』卒業 2016.10.16(sun)

2016年10月17日 02時21分53秒 | 書物について


●「地下音楽への招待」刊行記念イベント
2016年10月16日(日)
OPEN 18:30 / START 19:30
予約¥2500 / 当日¥3000【学割】¥1500(共に飲食代別)

【出演者】剛田武(「地下音楽への招待」著者)、加藤彰(「地下音楽への招待」編集)
【ゲスト】宮沢章夫、山崎春美、宇田川岳夫



『地下音楽への招待』正誤表、追加情報(2016年10月16日現在)→コピペ印刷用
*イベント入場者に配布された資料です。青字部分は剛田武による追記。

166ページ11行 CD→アルバム
183ページ9行 不出者→不失者
198ページ・キャプション 1978年→1979年
219ページ終3行 接点ができんです→接点ができたんです
237ページ終3行 消化器→消火器
286ページ9行 内藤正邦→中藤正邦
310ページ終1行 重なり合あう→重なり合う
408ページ下段終1行 我妻哲光→我妻啓光

・「第2章 第五列の行動と思想 藤本和男の体験と記憶」の42ページ終6〜5行に「マイナーでの藤本は〔中略〕東京で知り合った園田佐登志などの演奏家とライヴ活動を行なうようになる」とありますが、藤本氏が園田氏と初めて会ったのは1977年9月26日、園田氏が上洛して「どらっぐすとぅあ」に顔を出したときであるとの指摘を藤本氏本人からいただきました。お詫びして訂正いたします。なお、その際の園田氏の肩書は「Free Music Revolution主宰」だったとのことです。

・「第4章 音、言葉、情動の奥底へ 竹田賢一の体験と記憶」の97ページ註23に「園田〔佐登志〕が町田のジャズ喫茶「カラヴィンカ」を訪れた行き帰りの駅のホームでは、ほぼ毎回、近藤〔等則〕のトランペットの音が遠くから聞こえてきたという」という文章がありますが、これには事実誤認があるとの指摘を園田佐登志氏から受けました。当時、町田市の小田急線鶴川駅近くの高台にあるアパートに住んでいた園田氏は、昼頃になるとどこからともなくトランペットのスケール練習らしき音が聞こえてくることを気に留め、後日この件について近藤等則氏に尋ねたところ、それは確かに近藤氏がまた別の高台の上で練習をしていたときの音であるのが判明したとのことでした。一方、この時期、園田氏は終電後の鶴川駅の構内で、改札から駅員がいなくなるのを待つかのようにホームの端の暗がりの中にたたずむ近藤氏を見かけたことが何度かあったそうです。これらのエピソードは本書での園田氏へのインタビューの際にも少し語られましたが、上記のような経緯をよく確認せずに事実を混同して脚註の文章を作成したことによる誤りでした。お詫びして訂正いたします。

・「第6章 マイナーの申し子として 工藤冬里の体験と記憶」の142ページ関連年表と143ページ註2で、工藤冬里と大村礼子とのユニット、ノイズのアルバム『天皇』は2014年8月にアルケミーレコードから再発されたとしていますが、これは2005年3月の間違いでした。アルケミーレコードのJOJO広重氏よりご指摘いただきました。お詫びして訂正いたします。
さらに追記:ノイズ『天皇』は1997年にパタフィジックレコードからCD、続いてオルグレコードからLPで再発されています。どちらもボーナストラック2曲入(1曲は同じ曲)。

・「第8章 ヨコハマ・サイケデリック 原田淳、増田直行の体験と記憶」の210ページ註15に「パラレルハウスは東京・高円寺にあったレンタル・レコード店で、店長の樋口泰人(現在、映画配給、書籍・音盤制作会社のboidを主宰)が慶応の学生としてイベントにかかわっていた」とありますが、樋口氏は同店を切り盛りしていたけれども、いわゆるオーナーではなくメイン・スタッフの立場だったとの指摘を藤本和男氏から受けましたのでお知らせいたします(なお、オーナーは園田佐登志氏と明治大学で同窓だった野口是人氏で、園田佐登志名義のCD『耳抜き』の初回特典ブックレットに回想録を寄稿しています)。

・「第8章」の216ページ註24に「園田佐登志のユニット「シダ」」とあるのはVelというユニットの誤りでした(「シダ」はVelによって演奏された楽曲の名前で、『耳抜き』に収録されています)。園田氏よりご指摘いただきました。お詫びして訂正いたします。

・「第12章 そして「椅子物語」はつづく 園田佐登志の体験と記憶(その3)」で取り上げてられている「テン・ミニッツ・ソロ・インプロヴィゼイション・フェスティバル」について、これを観ていた方からツイッターで「当日はトリが吉沢元治氏で、竹田氏の今日は山崎氏は来ませんでしたというアナウンスがあったので、山崎春美氏は出演していないのでは?」という旨の質問がありましたが、竹田賢一氏とともにフェスティバルを主催した鈴木健雄氏による以下の回答(ツイート)がありましたのでお知らせします。「山崎春美さんは、10ミニッツに遅刻して、当日終了してから来ました。せっかくなのでやってもらい、10分過ぎても終わらないので、竹田さんとぼくとで、山崎さんの(痙攣しながら)座っていた椅子に蹴りを入れて終了。だから、出てます」。なお、特典CDに収録されている山崎氏のパフォーマンスは、このフェスの模様を録音したカセット・テープ(事後パンフレットとともに発売されました)からのものです。

・「第13章 わたしはこの本を認めない 山崎春美の体験と記憶」の337ページに、「だから知ってる思うけど、あの『渋谷陽一vs宝島』の時」で始まる一節がありますが、これについては補足説明が必要だったと思われ、以下に経緯をたどっておきます。
 まず、『ロッキング・オン』1981年6月号に、同誌編集長の渋谷陽一によるSF映画『アルタード・ステーツ』の評文(見出しは「60年代サイケデリック・ブームを今だに引きずってちゃ駄目」)が掲載され、それに対して『宝島』8月号にソーマ・ヒカリというライターが「アルタード・ステーツの映評、キノコじゃなくてトカゲとは 渋谷陽一氏の場合、何を考えておるのか?」という文章を寄稿し、映画の中の一場面について渋谷陽一が見間違いをしていることを罵倒。すると『宝島』9月号に渋谷陽一が反論として「対決から逃げ回り自らの駄文の後処理もできぬソーマ・ヒカリは自己批判せよ」を寄稿(337ページ10行「激怒した渋谷陽一が、その『宝島』に書かせろ、と言って書いたのは」がこれにあたります)。対してソーマ・ヒカリが『宝島』10月号の「自らの保身にQQし、見るも触れるもおぞましい駄文を書いた渋谷陽一を、徹底粉砕せよ」(後日、同記事は山崎春美によるリライトを経たものであることが判明)で反論し、同号では山崎春美の連載記事『ヲンナコドモ新聞』において渋谷陽一に対する揶揄もなされ、これらを受けて同誌11月号に「『宝島』の読者に向けて」(渋谷陽一)、対談「渋谷陽一vs関川誠(本誌編集長)」、「『宝島』の読者にむけて」(関川誠)の3本の記事が掲載されることで一連の「論争」は集結。そして、『ロック・マガジン』82年8月号の雑誌内雑誌『HEAVEN』に、「渋谷陽一直撃インタビュー!! by 山崎春美」が掲載され、「この不毛のバトルの最終の顚末は〔中略〕インタビューという形で渋谷陽一と「話の平行線」の確認をしている」(山崎春美著『天國のをりものが』収録の「ヤマザキハルミの懺悔! ザンゲ! ゲゲゲのThank Gay !(ざんげ!)」より)として決着がつけられました。

各インタビューの日付・場所は以下の通りです。
園田佐登志 2013年3月2日 総合荻窪病院内食堂、2014年2月23日 東中野・ポレポレ坐
鳥井賀句  2013年3月23日 新宿・らんぶる
藤本和男  2013年6月1日 代々木・TOM
我妻啓光  2013年6月12日 吉祥寺・くぐつ草
安井豊作  2013年7月13日 西荻窪・それいゆ
生悦住英夫 2013年7月27日 明大前・WIRED CAFE
竹田賢一  2013年8月25日 千葉・竹田氏自宅
山崎尚洋  2013年9月7日 渋谷・エクセルホテル東急・エスタシオンカフェ
成瀬(仮名)2013年9月22日 吉祥寺・くぐつ草
白石民夫  2013年10月29日〜12月26日 ニューヨークと東京の間でのメールによるインタビュー
原田淳・増田直行 2014年1月19日 丸の内カフェ ease
工藤冬里  2015年1月12日 阿佐ヶ谷・ハーネス
山崎春美  2015年3月15日 新宿・ロフトブックス

文責:加藤 彰(『地下音楽への招待』編集・註執筆・関連年表作成)


●ネクロ魔【久坂華恋卒業公演】@渋谷チェルシーホテル


出演:NECRONOMIDOL
op9:30/st10:00
入場料2000円+1D



日曜の朝早いイベント、しかも対バンなしのネクロ魔単独公演だというのに大勢のファンが集まり、凄まじい盛り上がりを見せた。推しアイドルグループのメンバーの卒業を経験するのは初めてだったが、目が潤んだのは最後の「旅立つ日に」斉唱の時だけ。普段通りに特典会は進行し、明るい昼間の渋谷の街に魔ヲタたちは消えて行った。





夜ネイキッドロフトでの打ち上げを終え、帰宅する電車の中で久坂華恋ツイキャスのラスト配信がはじまっていた。配信しながら、ツイッター、インスタグラム、ブログなどSNSのアカウントを一つ一つ消して、最後はツイキャスアカウントを消し配信終了。久坂華恋というアイドルが存在停止する瞬間、頭に浮かんだのは映画『2001年宇宙の旅』で、ディスカバリー号船長ボーマンによりモジュールを一つ一つ引き抜かれ機能停止していく人工知能『HAL 9000』が最後に歌う「デイジー・ベル」のメロディーだった。



Deactivating Hal 9000 HD (COMPLETE)


人生に
正誤表は
ありません

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剛田武著『地下音楽への招待』発売記念イベント情報:本日19:00 DOMMUNE/10/16 Naked Loft

2016年09月28日 02時12分28秒 | 書物について


【LIVE STREAMING PROGRAM】
実写版「地下音楽への招待」〜パンクよりも自由な世界へ
2016年9月28日 (水) 19:00~21:00 THE FINAL MEDIA DOMMUNE

70年代後半から80年代前半の日本に興った特異な音楽とその目撃者=体験者による遍歴の記録
出演:加藤彰、園田佐登志、松村正人、松山晋也 and ゲスト?



伝説のフリー・ミュージック・スペース「吉祥寺マイナー」に関わっていたミュージシャンや関係者の証言を元に70年代後半から80年代前半の日本のアンダーグラウンドミュージックを深く掘り下げた書籍『地下音楽への招待』(剛田武著、ロフトブックス刊)の発売を記念して、この本の編集加藤彰、登場する園田佐登志、解説の松村正人、「吉祥寺マイナー」の常連だった松山晋也によるトークイベント。貴重な未発表音源や図版も用意している。

■開催日時 09/28 (水)  ★スタジオ観覧ご希望の方は予約フォームからお申し込みください!

■ WEB上での「DOMMUNE」番組視聴については、予約なしでご覧いただけます。
■ 番組の視聴をご希望の方は、配信時間に DOMMUNE にアクセスしてください。



【TALK LIVE】
『地下音楽への招待』刊行記念イベント
2016年10月16日(日)ネイキッドロフト
OPEN 18:30/START 19:30

出演:剛田武(『地下音楽への招待』著者)、加藤彰(『地下音楽への招待』編集)
ゲスト:宮沢章夫、山崎春美

予約 2,500円/当日 3,000円/学割 1,500円(共に飲食代別)
※予約は店頭電話およびweb(予約フォームはこちら)にて受付中。
※学生の方は当日入場時に学生証をご提示下さい。
問い合わせ:ネイキッドロフト 03-3205-1556(16:30〜24:00)



AMAZON 「地下音楽への招待」剛田武 著、加藤彰 編集


ケラに勝ち
サエキに負けた
地下音楽

「弾くテンテンコ singsハルメンズ」クロスフェード
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【発売中】剛田武著『地下音楽への招待』特典CD曲目公開

2016年09月22日 02時25分00秒 | 書物について


パンクよりも自由な世界へ。70年代後半から80年代前半の日本に興った特異な音楽とその目撃者=体験者による遍歴の記録。書籍『地下音楽への招待』(剛田武・著)がロフトブックスから9月22日発売
amass「70〜80年代の日本に興った特異な音楽とその目撃者による遍歴の記録 書籍『地下音楽への招待』が発売」




『地下音楽への招待』
体裁:A5判、並製、424頁、特典CD付(18曲76分 未発表音源収録)
定価:3,000円+税
発売日:9月22日(木)
ISBN :978-4-907929-14-5
Cコード:0073
発売:LOFT BOOKS
著者:剛田武
編集:LOFT BOOKS

1978年、吉祥寺に開店した一軒のジャズ喫茶は、その一年後「Free Music Box」を名乗り、パンクよりもっと逸脱的(パンク)な音楽やパフォーマンスが繰り広げられる場となっていく──「Minor Cafe」として海外でも知られるようになったこのスペース、吉祥寺マイナーの“伝説"は近年とみにマニアたちの関心を惹くものとなった。しかし、そこには前史や後史、あるいは裏面史など時間的にも空間的にもさらなる広がりと深さを持った、さまざまな出来事と人物たちの「流れ」と「つながり」があったことは、あまり、否、あまりにも知られていないのではないか。本書は、そうした現場の一端に立ち会ってきた一人の目撃者=体験者が、ミュージシャンやパフォーマー、オーガナイザーたちとの再会や対話、またメディアの再検証を通じて、日本のメジャーな音楽シーンが80年代の多幸症に向かうなか、そのパラレルワールドのようなものとしてあった「地下音楽」の世界を描き出す、初めての試みである。

○列伝形式による人物の体験と記憶の紹介──園田佐登志/藤本和男/鳥井賀句/竹田賢一/白石民夫/工藤冬里/原田淳・増田直行/安井豊作/生悦住英夫/山崎尚洋/山崎春美etc.
○吉祥寺マイナー、高円寺ブラック・プール、横浜 夢音、法政大学学生会館、モダーンミュージックなど伝説のスペース、『ロック・マガジン』『フールズ・メイト』『ZOO』『マーキームーン』『HEAVEN』など伝説の音楽誌、サブカル誌にまつわるエピソードを多数掲載
○間章、阿部薫、高柳昌行ら今は亡き伝説的人物、灰野敬二、裸のラリーズなど今もなお地下音楽の世界に君臨するアーティスト、また若き日の坂本龍一、近藤等則、町田康らの活動と、その時代背景や文脈を詳細な註釈で解説紹介
○吉祥寺マイナーほかの秘蔵フライヤーを誌上公開
○CDは全18曲(うち14曲は未発表音源)・計76分を収録

*書店によっては入荷が遅れる場合があります。ご了承ください。



特典CD『Japanese Underground Music in the Late 70S and 80s』Special Sampler CD

①「Free Music Rev. vol.1」より
霜月〔岩永多旗夫(g)、皆川修(ds)、河野優彦(fl,tp)〕

1976年11月21日、明治大学駿河台校舎5号館地下踊り場

②「Free Music Rev. vol.2」より
芦川聡(syn)・服部達雄(vln)Duo

1977年4月30日、明治大学和泉校舎6番教室

③「インプロヴィゼーション」(overdubbed)
GALAPAGOS〔清水一登(p,b-cl)、桜井良行(bs,g)〕

『GALAPAGOS TAPES(’73.12~’78.7)』SideA-4(1977年10月)より抜粋

④「INTERVIEW; NEXT QUESTION PLEASE」
Anode/Cathode

『PUNKANACHROCK』(ピナコテカレコード、1981年2月)より

⑤「ファースト・ライヴ」
白石民夫とダメなあたし〔白石民夫(as,g)、篠崎順子(vo)、南條麻人(g)、緒巻健一(ds)〕

1981年8月21日、横浜・ミッキー

⑥「釜山港へ帰れ」
A-Musik〔竹田賢一(大正琴)、工藤冬里(vo, kbd)、西村卓也(b)、箕輪攻機(ds)〕

1983年11月12日、大阪・スタジオあひる

⑦「阿頼耶の世界から」より
GAP〔佐野清彦(p)、多田正美(p, org)、曽我傑(b)〕、三浦崇史(as)、火地風水(ds etc.)

1978年6月18日、吉祥寺マイナー

⑧「まり」
工藤冬里(kbd)、大村礼子(vo)

1979年5月12日、吉祥寺武蔵野ビリヤード

⑨「マイナー・セッション」
渡辺敏子(ds)、佐藤隆史(b)、工藤冬里(syn)、園田佐登志(g, tape, monkey toy)

1979年6月20日、吉祥寺マイナー

⑩「Flying Baby Festival」より
大木公一(g)、曽我傑(b)、秋葉裕子(kbd)、ベンソン富塚(tp)ほか

1979年6月24日、東京・明大前・キッド・アイラック・ホール

⑪「妥協せず」
陰猟腐厭〔増田直行(g)、大山正道(kbd)、原田淳(ds)〕

『妥協せず』(クラゲイル・レコード、1981年3月)より

⑫「Turn You Cry 1986 PSF Alternate Mix Version」
ハイライズ〔南條麻人(vo,b)、成田宗弘(g)、Dr.Euro(ds)〕

1986年、東京・JAM STUDIO プロデュース:南條麻人

⑬「LACRYMOSA」
ラクリモーザ〔Chihiro S.(Aria Pro II RSB 9000 bass)、佐々木政博(ds, perc)、山崎尚洋(p)、Ash(vln)、中川つよし(recorder)、山崎慎一郎(as)、小山景子(vo)〕

1985年7月、9月、東京・四谷STUDIO DIG 作曲:山崎尚洋 編曲:Chihiro S. プロデュース:Chihiro S.、高沢悟 エンジニア:ササキ・ミチアキ 『LACRYMOSA』(LLE、1985年)より

⑭「アンヘドニア 」
VEL〔園田佐登志(g)、中村わかめ(vo)、上中恭(vln)、西村卓也(bs)、篠田昌已(as)、中尾勘二(tb)、高橋幾郎(ds)、ひろ新子(vo,vln)〕

1986年2月2日、東京・スーパー・ロフトKINDO「<鳥の歌 1986 → 山谷> 山谷(やま)やられたらやりかえせ」より

⑮「山谷越年越冬わっしょいデモ」
山谷争議団

1984年12月〜1985年1月、台東区・玉姫公園周辺

⑯「ウェーベリアン小骨」
園田佐登志(tapes, sampling "toy" keyboard)

1988年、Narihira Plant

⑰「テン・ミニッツ・ソロ・インプロヴィゼイション・フェスティバル」より
山崎春美

1981年9月6日、東京・豊島公会堂(フェスティバルのカセット・テープより)

⑱「遠い部屋」
Other Room〔Takashima(g)、Goda(s)、Miyawaki(ds)〕

1982年11月11日、渋谷・ラ・ママ

こんな本
読んでくれれば
ありがたす



「地下音楽への招待」刊行記念イベント

日程:2016/10/16
会場:新宿ネイキッドロフト
出演:剛田武、加藤彰
ゲスト:山崎春美、宮沢章夫(劇作家)
時間:OP 19:00 ST 20:00
料金:前売り¥2500 当日¥3000
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【近日刊行】剛田武著『地下音楽への招待』(LOFT BOOKS) 9/22(木) 発売

2016年09月12日 00時15分15秒 | 書物について


地下音楽への招待

パンクよりも自由な世界へ
70年代後半から80年代前半の日本に興った特異な音楽とその目撃者=体験者による遍歴の記録

体裁:A5判、並製、424頁、特典CD付(18曲76分 未発表音源収録)
定価:3,000円+税
発売日:9月22日(木)
ISBN :978-4-907929-14-5
Cコード:0073
発売:LOFT BOOKS
著者:剛田武
編集:LOFT BOOKS



1978年、吉祥寺に開店した一軒のジャズ喫茶は、その一年後「Free Music Box」を名乗り、パンクよりもっと逸脱的(パンク)な音楽やパフォーマンスが繰り広げられる場となっていく──「Minor Cafe」として海外でも知られるようになったこのスペース、吉祥寺マイナーの“伝説”は近年とみにマニアたちの関心を惹くものとなった。しかし、そこには前史や後史、あるいは裏面史など時間的にも空間的にもさらなる広がりと深さを持った、さまざまな出来事と人物たちの「流れ」と「つながり」があったことは、あまり、否、あまりにも知られていないのではないか。本書は、そうした現場の一端に立ち会ってきた一人の目撃者=体験者が、ミュージシャンやパフォーマー、オーガナイザーたちとの再会や対話、またメディアの再検証を通じて、日本のメジャーな音楽シーンが80年代の多幸症に向かうなか、そのパラレルワールドのようなものとしてあった「地下音楽」の世界を描き出す、初めての試みである。



○列伝形式による人物の体験と記憶の紹介──園田佐登志/藤本和男/鳥井賀句/竹田賢一/白石民夫/工藤冬里/原田淳・増田直行/安井豊作/生悦住英夫/山崎尚洋/山崎春美etc.
○吉祥寺マイナー、高円寺ブラック・プール、横浜 夢音、法政大学学生会館、モダーンミュージックなど伝説のスペース、『ロック・マガジン』『フールズ・メイト』『ZOO』『マーキームーン』『HEAVEN』など伝説の音楽誌、サブカル誌にまつわるエピソードを多数掲載
○間章、阿部薫、高柳昌行ら今は亡き伝説的人物、灰野敬二、裸のラリーズなど今もなお地下音楽の世界に君臨するアーティスト、また若き日の坂本龍一、近藤等則、町田康らの活動と、その時代背景や文脈を詳細な註釈で解説紹介
○吉祥寺マイナーほかの秘蔵フライヤーを誌上公開
○CDは全18曲(うち14曲は未発表音源)・計76分を収録



目次
まえがき 002
第1章 自由なる音楽とその空間 園田佐登志の体験と記憶(その1) 
第2章 第五列の行動と思想 藤本和男の体験と記憶 
第3章 「場」と「状況」の創出 鳥井賀句の体験と記憶 
第4章 音、言葉、情動の奥底へ 竹田賢一の体験と記憶 
第5章 愛欲人民がうごめく夜 白石民夫の体験と記憶 
第6章 マイナーの申し子として 工藤冬里の体験と記憶 
第7章 「フリー・ミュージック・ボックス」の誕生と崩壊 園田佐登志の体験と記憶(その2) 
第8章 ヨコハマ・サイケデリック 原田淳、増田直行の体験と記憶 
第9章 交流の結節点──法政学館とロックス・オフ 安井豊作の体験と記憶 
第10章 「日本一アンダーグラウンド」なレコード店 生悦住英夫の体験と記憶 
第11章 音楽誌『マーキームーン』の試行錯誤 山崎尚洋の体験と記憶 
第12章 そして「椅子物語」はつづく 園田佐登志の体験と記憶(その3) 
第13章 わたしはこの本を認めない 山崎春美の体験と記憶 
第14章 無名者のオデュッセイア 剛田武の体験と記憶 
解説 ザ・ロスト・アンダーグラウンド 松村正人 
あとがき 



アナルキス『ラモーンズ』

歌 : 山崎春美  ギター : 大里俊晴 & 園田佐登志  ベース : 浜野純  ドラム:佐藤隆史

失って
見つけて来たよ
地下音楽

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【書評】ドッキリ!〜日本の自主制作音楽 1976-1989 歴史と案内/加藤デイヴィッド・ホプキンス

2016年08月11日 01時25分52秒 | 書物について


Dokkiri! Japanese Indiews Music, 1976-1989 A History and Guide
Kato David Hopkins / Public Bath Press Nara, Japan

『ドッキリ!』は日本のユニークな地下音楽の世界の豊潤な歴史を紐解く。実験的ロックからサイケからパンクからノイズまで。それをデイヴィッド・ホプキンスほど素晴らしく有機的に行える者はいない。ホプキンスはシーンの始まりから立ち会った生粋の歴史家であり、今でもそこに住み誰も覚えていないストーリーを詳細に語り続けている。マニアも初心者も、ココから始めよう!
デイヴィッド・ノヴァック/『Japanoise』著者


Inu "Meshi Kuuna"


アメリカの地下音楽に居る僕自身や僕の友人たちにとって日本のアンダーグラウンド音楽は単なるエキゾチックを超えてる。まるで火星から来たみたいだ。時折僕らが手に入れる日本からのサンプルや、滅多にないコンサート体験は陶酔的だった。すべてのバンドは強烈な個性を持ち、活動的なシーンで培養され、僕らがアクセスできず知ることも出来ない彼らの伝説や外伝の中に終結するのかもしれない。僕らは作品やコンサートを前にして呆然とするしかない。僕らが聴いたバンドたちは驚異的だった。まったく異質であると同時に馴染み深く、ミュージシャンは卓越したテクニックを与えられると同時にテク放棄することを強いられる。彼らは皆、西洋のバンドが近づくことすら出来ない方法で、芸術的であると同時に非芸術的である。僕は長年彼らの物語を知りたかった。そして今『ドッキリ!』のお陰でやっと垣間みることが出来た。この本は今まで知り得なかった日本の自主音楽シーンへの認識と、実際耳に出来るサウンドや歌詞そして個性との間のギャップを埋める。日本の地下音楽の部外者(アウトサイダー)として、それを築き上げた人たちへの感謝をあたらにして、ココに書かれたことへの忠誠を誓う。
スティーヴ・アルビ二


INU - Inrohtakin


70年代後半に世界を襲ったパンク/ニューウェイヴの嵐が日本に於いて如何に摂取され、拡大解釈・曲解され、如何に多くの畸形を生み出したか。主に関西における流れを米国人社会学者が詳細に分析した自費出版本。
79年から奈良に住み、関西アンダーグラウンドを発見し、レコ―ドを集めライヴに通ううちに、自らが送り手となり89年自主レーベル「Public Bath」を立ち上げ、ボアダムス、ハナタラシ、赤痢等の作品をリリース、所謂ジャパノイズを世界に知らしめる急先鋒となった。そんな“日本文化の布教使”の信念を貫き、本書は全編英語で刊行された。
日本のアンダーグラウンド・ロック・シーンに多大な影響を与えた阿木譲の『ロック・マガジン』の根本にはカタログ好きのヲタク気質がある、と看破する筆者自身稀代のレコード&資料収集家であり、掲載された自主盤コレクションは写真を見るだけでも楽しい。
ボケと突っ込みと関西NO WAVE、校内暴力と竹の子族とハードコア・パンクを結びつける視点は外国人によるユニークな日本観が伺えて興味深い。
自ら渦中にいた関西シーンに比べ、“ルーツを持たない街”と呼ぶ東京に関する記述は、若干物足りなくもないが(元々関西オンリーの本にする予定だったという)、そこは後進の登場を待ちたい。
剛田武/『地下音楽への招待』著者


ULTRA BIDE - '1979!' - from 'Dokkiri Record' comp LP 1980


西洋と東洋
関西と関東
大阪と東京

パンクは果たしてハードコアを目指す。
70年代半ばにニューヨークのボヘミアン文化の中で生まれ、76年にロンドンへ飛び火しロック界の一大ムーヴメントとなったパンク/ニューウェイヴは、当時、巨大になり若者からかい離していたロック(オールドウェイヴ)へ反発であり拒絶であると言われた。しかしロックが生まれたのは50年代であり、パンク革命まで25年しか経っていなかったことを考えると、パンク誕生から40年経った現在までにロックやパンクがどこまで変化したか?その答えはそこに或る。

ハードコア不法集会 Hardcore Unlawful Assembly (1984)
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『ラジカセ for フューチャー: 新たに根付くラジカセ・カセット文化の潮流』6月10日発売

2016年05月30日 22時19分29秒 | 書物について


■タイトル: 『ラジカセ for フューチャー: 新たに根付くラジカセ・カセット文化の潮流』
■編著: 松崎 順一 + 熊谷 朋哉
■判型: ABサイズ・176ページ
■出版社: 誠文堂新光社 (2016/6/10)
■価格:2,300円+税
■ISBN978-4-416-71613-7

■企画について
世界的に、ラジカセとカセットテープへの熱い視線が集まっている。
ラジカセの中古市場価格は高騰し、レコードショップではアナログに続いてカセット売り場が新設され、また、世界各地にカセットテープ専門店が新たに出現。人気ミュージシャンたちもこれまでのCDやダウンロードに加え、カセットでのアルバムリリースを行い始めた。デジタル全盛の中、ラジカセやカセットテープというアナログなカルチャー/テクノロジーへの注目はなにを意味しているのか?
このブームの日本における仕掛け人のひとり、松崎順一(家電蒐集家)を中心に、2016年、最も新しいものとしてのカセット/ラジカセの現在と未来とを明らかにする。


■書籍内容詳細
アナログ・ルネサンス
いま、なぜラジカセとカセットか?/松崎順一
対談・宇川直宏 × 松崎順一 ── 声なき声を受信するラジカセ+カセットのエクトプラズム
ラジカセあるいはBoombox、もしくはゲットー・ブラスターとその復権/椎名謙介
デジタルのゲットーを破壊せよ ── 中西俊夫の語るラジカセとその未来
“チーズボイガー!”パンクとヒップホップが出会った時/椎名謙介
ヒップホップ小史 ── ラジカセが鳴らしたヒップホップ/水谷光孝
カスタム・ブームボックス・ムーヴメント/椎名謙介
ラジカセのグラフィズム/大和田良
あの頃のソニー、そしてラジカセ ── 音響機器の未来に向けて/清水潤一
YOU THE ROCK★ ── ラジカセ・マッドマックス
カセットを“弾き鳴らす”フランスの注目アーティスト ── テープトロニックの冒険
メディアとしてのカセットテープ~カセットテープの復権/佐藤薫
今野裕一 × 佐藤薫 ──『夜想』カセットブックを語る
“オルタナティヴ・ファッション・ワールド”としてのカセットブック ── TRA/ミック・イタヤ
“滑氷梨”── いま明かされるスケーティング・ペアーズの全貌/小暮秀夫
NEdSレコードからの挑戦
duenn
Zombie Forever
ヤン富田: Audio Science Laboratory Archives
C.E Cassettes
サード・ウェイヴのカセットテープ、そしてZINE/永井秀二
バーガー・レコーズ ── 新たなアメリカ・ミュージック・サクセス・ストーリー/井上由紀子
めくるめく地下音楽 ── 幻のカセットレーベルをめぐって/剛田武
カセットテープの音質あれこれ/白川幸宏
カセットテープの熱狂2016/岡村詩野
HMV record shop SHIBUYA 渋谷的カセット事情最前線/竹野智博
K太郎兄さんに捧ぐ、カセットの魔力と不思議/今村方哉


■著者について
松崎 順一:
家電収集家、そしてデザインアンダーグラウンド工場長。1960年東京生まれ。2002年にデザイン会社を退職し、2003年にデザインアンダーグラウンドを設立。東京・足立区内にファクトリーを構える。日本製ラジカセやレトロ家電の魅力を伝える“レトロフィッター”として、主に1970年以降の近代工業製品を発掘・蒐集し、整備・カスタマイズしてイベントやアート展を企画。

熊谷 朋哉:
編集者、プロデューサー。株式会社スローガン代表取締役。アート/音楽系の書籍や広告/イベント/展覧会等を数多く手がける。編著書に『Yellow Magic Orchestra×SUKITA』『四代目市川猿之助』『坂本龍一+編纂チーム/いまだから読みたい本・3.11後の日本』『デヴィッド・ボウイ・アーカイヴ』『中西俊夫自伝/プラスチックスの上昇と下降、そしてメロンの理力』、展覧会に『Time - David Bowie by Masayoshi Sukita』等多数。


■撮影: 大和田良
■デザイン&DTP: 渡部伸(SLOGAN PK2)
■協力: 石塚康彦、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

■販売リンク:
AMAZON
http://www.amazon.co.jp/dp/4416716133
楽天
http://books.rakuten.co.jp/rb/13854553/
セブンブックス
http://7net.omni7.jp/detail/1106654591
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【再録書評】竹田賢一/山崎春美/JOJO広重~80年代カオス文化を象徴する著作三編

2014年08月08日 00時15分15秒 | 書物について




竹田賢一著『地表に蠢く音楽ども』
山崎春美著『天國のをりものが 山崎春美著作集1976-2013』
JOJO広重著『非常階段ファイル』


伝説のベールが取り除かれ、80年代カオス文化の真相が明らかになるか
時を同じくして出版された80年代=変革の時代の3人の立役者の著作


70年代後半にニューヨークとロンドンから発生したパンク・ムーヴメントは、ロックに留まらず芸術及び文化全般に大きな革命をもたらした。忘れられた初期衝動を取り戻そうという試みであり、権威主義・商業主義に対するアンチテーゼであり、若者らしい反抗精神の発露であったパンク革命の最大の功績は、「DIY」=Do It Yourselfの精神を広く浸透させたことだった。元々日曜大工を意味するDIYを、「やる気になれば誰でも出来る」、さらに「自分で行動しなければはじまらない」と読み替えて、技術や財力が無くても誰でも表現行為が可能で、自分でそれを伝えることが出来ると宣言した結果生まれたのが80年代サブカルチャーだった。
日本でも既成のシステムから落ちこぼれたアンダーグラウンドな音楽家たちが、自らの活動の場を創設し、自主レーベル/自主コンサート/自主メディアを創り出した。特に東京と大阪の二大都市の底辺にカオスのように沈殿する地下音楽シーンは、決してメジャーに浮上することはなかったが、じわじわと90年代以降の芸術文化に影響を与えてきた。
そんな変革の時代の立役者3者の著作が時を同じくして出版された。21世紀も10余年が過ぎ、時代がカオス化しつつある現在、30数年前のカオスに学ぼうという機運が高まっているのかもしれない。

 

書名:地表に蠢く音楽ども
著者:竹田賢一
版元:月曜社
初版:2013年7月10日
定価:本体3800円+税

『地表に蠢く音楽ども』は70年代半ばから音楽評論家・演奏家として活動する竹田賢一の初の評論集。間章の紹介で書き始めた『ジャズ』誌の連載タイトルから取った表題の通り、マイナーと呼ばれ、悶々と蠢くばかりで、一向に顧みられることの無い現代音楽、フリージャズ、前衛ロック、民族音楽などを拾い上げ理論的に分析する冷静かつ愛情溢れる視点で書かれた小論集。坂本龍一と「学習団」を結成し、演奏・映像・演劇等を総合したイベントを企画したり、即興演奏集団「ヴァイブレーション・ソサエティ」、自主学習組織「ヴェッダ・ミュージック・ワークショップ」、バンド「A-Musik」を結成し自らエレクトリック大正琴を弾き演奏活動を行ったり、雑誌「同時代音楽」を発行したりした竹田の活動は、文筆家というより運動家と呼ぶ方が相応しい。70年代末には、地下音楽の東京に於けるメッカ(掃き溜め?)だった吉祥寺のライヴハウス「マイナー」周辺人脈に名を連ね、東京アンダーグラウンド・カルチャーの中心で活躍する。マイナーには灰野敬二、吉沢元治、工藤冬里など個性派ミュージシャンに加え、有象無象の自称ミュージシャンや得体の知れないパフォーマーが巣食っていた。本書に収められた評論は、単なる音楽論ではなく、文化・社会・政治との関わりに重点を置き、権威に対する闘争精神に貫かれた檄文といえるかもしれない。

 

書名:天國のをりものが 山崎春美著作集1976-2013
著者:山崎春美
版元:河出書房新社
初版:2013年8月30日
定価:本体2400円+税

山崎春美はパンク・ムーヴメントと同時期に登場した音楽家・文筆家・編集者。パフォーマーとしては前衛ロックバンド「ガセネタ」や、不定形ユニット「タコ」で知られる。坂本龍一や佐藤薫(EP-4)、遠藤ミチロウ(スターリン)や町田町蔵(INU/現・町田康)、細川周平や野々村文宏など80年代を象徴するカルト・スターが参加したタコの1stアルバムは自主制作ながら大きな話題になった。山崎が1982年に企画した「自殺未遂ギグ」では、室内アンサンブルが葬送曲を演奏する中で、自らの身体を包丁で切り刻み流血するパフォーマンスを披露、その現場を目撃してしまった私の心に大きなトラウマを植え付けた。しかし私にとって山崎は、そうしたセンセーショナルな活動以上に、80年代サブカルチャーを象徴するアジテイターという印象が強い。文筆活動では、1976年にロック雑誌「ロック・マガジン」でデビュー、松岡正剛「工作舎」に参加、自販機本「Jam」「HEAVEN」の編集、「宝島」「遊」などのサブカル誌への寄稿で、サブカル界に多大な影響力を持っていた。数々の雑誌に執筆した文章をまとめた初の著作集が『天國のをりものが 山崎春美著作集1976-2013』。80年代カオス・カルチャーの担い手らしく、したり顔で大言壮語を喧伝する饒舌な文章の大部分は、空虚なロジックと無意味なレトリックの垂れ流しだが、独特の美意識に貫かれた流麗な文体が読む者の心を捉えて離さない。当時山崎のマインドコントロールに似た魔性の文章に惑わされた少年少女は相当数いるに違いない。かく言う私もそのひとりである。

 

書名:非常階段ファイル
著者:JOJO広重
版元:K&Bパブリッシャーズ
初版:2013年8月17日
定価:本体3000円+税

竹田と山崎の著作が既出記事のアーカイブであるのに対し、関西アンダーグラウンドを代表するノイズ・バンド、非常階段のリーダーJOJO広重の『非常階段ファイル』は全編書き下ろしのドキュメンタリーである。結成30周年を記念して2010年に出版された『非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE』は30年の歴史をメンバーと関係者への取材と資料をもとに記録したドキュメントだったが、そのサイドストーリーと言える本書は、「○○階段」として行われた他のバンドとのコラボレーション企画について広重本人が綿密に詳細を記した回想録である。というと普通の評伝やヒストリー本に比べてマニア性が高いと思われるかもしれないが、非常階段というバンドを軸にして、地下音楽シーンの多様性とその変遷を鮮明に描き出し、さらに演奏行為とは何ぞや?という表現者の本質をも明らかにする貴重なドキュメントなのである。非常階段の大音量即興ノイズ演奏の原点は「ジミ・ヘンドリックスのフィードバックがずっと続く音楽があればいいのに」という広重の少年時代の夢であり、山下洋輔トリオを聴いた時「求めていた音楽が実際にあった!」と驚喜したという。「○○階段」のコラボ企画のきっかけも「森田童子の歌のバックがノイズだったらいいのに」という広重少年の夢想だった。メロディーもリズムも無い「ノイズ」だからこそ、コラボレーション相手のジャンルを選ぶ必要は無い。面白いと思ったらまずやってみる、というDIY精神を体現するように、パンク、ハードコア、サイケデリックに始まり、ジャズ、ボーカロイド、アイドルと縦横無尽に展開される「○○企画」の多くが、実は成り行き任せだったと明かす。中でも興味深いのは、山下洋輔トリオに鼓舞されて演奏を始めた広重が、活動当初フリージャズ・ミュージシャンから嘲笑・罵倒され、その反発をエネルギーにノイズという独自の方法論で活動を続け、30年経ってJAZZ非常階段として坂田明と豊住芳三郎と共演し、ジャズの殿堂である新宿ピットインに出演したというストーリーである。すべて成り行き任せだった活動が、まるで運命の糸に操られるように繋がっていった事実。「なんとかなる」「どうにかなる」「その時はその時」が処世術と語る関西人らしい肩の力が抜けたフットワークの軽さがバンドを続ける秘訣だろう。

それぞれの著作を読んだ印象では、80年代サブカルチャーに於いて、竹田は頭脳(理論)、山崎は顔(宣伝)、広重は手足(行動)と喩えられる。いずれも現代サブカルチャーに大きな影響を及ぼし、カリスマとして伝説的に語られる存在であるが、著作の出版により、伝説のベールを取り除き、80年代カオス文化の真相が明らかになることを期待したい。また、現役ミュージシャンである広重は勿論、竹田と山崎の現在の活動にも注目して欲しいと願う。(2013年9月16日記:剛田武)









「価値観の社会的不適合者」だった元少年少女たちの前にそびえ立つ「時間の止まった壁」

この三者
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