現代音楽の大家ジョン・ケージのことを書くのは多少荷が重いのだが、以前紹介したイタリアン・ロック・バンド、アレアを擁するクランプス・レーベルからリリースされた有名なキノコのジャケットが紙ジャケCD化されたので、このアルバムの印象を書いてみようと思う。
アルバムはマルセル・デュシャンのための音楽で幕を開ける。ピアノの弦の間に木片やゴム、ボルトなどを挟み音を変態化したプリペアド・ピアノでの演奏である。ガムランの打楽器を思わせる東洋風のメロディーの曲で不思議に心が和む。次はコロンピロンという音色のおもちゃのピアノのための音楽で、幼児が玩具を弄っているような曲。実際牛の鳴き声の出るおもちゃなども使われている。間の取り方が絶妙で、この子供は幼くして「わびさび」の境地を習得しているようだ。アンビリーバボー・チャイルド!(実際はプロのピアニストの演奏)。次はラジオ・ミュージック。様々なラジオ番組、電波ノイズをコラージュした電子音楽。私は十代の頃FMラジオを聴いていて同じような電子音楽を偶然耳にし、ラジオが狂った!と衝撃を受けた覚えがある。想えばこれはNHK FMの伝説的番組「現代音楽をあなたに」で流れたミュージックコンクレートだったのだろう。今ではこのアルバムの中で一番聴きやすい曲だと思っている。成長したものだ(変態音楽に関しては)。
続いて有名な「4分33秒」。演奏者は楽器の前に座り、4分33秒の間一切音を出してはいけない。その間に演奏者や聴衆の立てるノイズを鑑賞しろという禅問答的な試みだ。CDの収録時間は実際には4:38になっているが、細かいことは言いっこなし。これは革命的なトラックなのである。心落ち着く時間である。短すぎるか長すぎるかは聴き手次第。私には短すぎる気がする。最後は声による無伴奏演奏。歌うのはアレアのデメトリオ・ストラトスである。発声練習、もしくは狂人の呻きを延々と聴かされる身にもなってみろ、と言いたい。でも実際に歌うためには相当なテクニックが必要なんだろうな。
現代音楽の古典ではあるが、この作品を愛聴する人はごく少数だろう。クランプス・レーベルの「nova musicha」というシリーズの作品だが、このシリーズ、全てこの手合いである。
この世には誰も聴く事の適わない音楽が無数に存在する。それを考えれば、このキノコ・ジャケットが世に残され名盤といわれているのは奇跡的なことなのかもしれない。
ジョン・ケージ
灰野敬二じゃ
ありません
ジョン・ケージはキノコの専門家でもあったのだが、その理由は辞書でmusicの前がmushroom(キノコ)だったから、というのも伝説的な話だ。
アルバムはマルセル・デュシャンのための音楽で幕を開ける。ピアノの弦の間に木片やゴム、ボルトなどを挟み音を変態化したプリペアド・ピアノでの演奏である。ガムランの打楽器を思わせる東洋風のメロディーの曲で不思議に心が和む。次はコロンピロンという音色のおもちゃのピアノのための音楽で、幼児が玩具を弄っているような曲。実際牛の鳴き声の出るおもちゃなども使われている。間の取り方が絶妙で、この子供は幼くして「わびさび」の境地を習得しているようだ。アンビリーバボー・チャイルド!(実際はプロのピアニストの演奏)。次はラジオ・ミュージック。様々なラジオ番組、電波ノイズをコラージュした電子音楽。私は十代の頃FMラジオを聴いていて同じような電子音楽を偶然耳にし、ラジオが狂った!と衝撃を受けた覚えがある。想えばこれはNHK FMの伝説的番組「現代音楽をあなたに」で流れたミュージックコンクレートだったのだろう。今ではこのアルバムの中で一番聴きやすい曲だと思っている。成長したものだ(変態音楽に関しては)。
続いて有名な「4分33秒」。演奏者は楽器の前に座り、4分33秒の間一切音を出してはいけない。その間に演奏者や聴衆の立てるノイズを鑑賞しろという禅問答的な試みだ。CDの収録時間は実際には4:38になっているが、細かいことは言いっこなし。これは革命的なトラックなのである。心落ち着く時間である。短すぎるか長すぎるかは聴き手次第。私には短すぎる気がする。最後は声による無伴奏演奏。歌うのはアレアのデメトリオ・ストラトスである。発声練習、もしくは狂人の呻きを延々と聴かされる身にもなってみろ、と言いたい。でも実際に歌うためには相当なテクニックが必要なんだろうな。
現代音楽の古典ではあるが、この作品を愛聴する人はごく少数だろう。クランプス・レーベルの「nova musicha」というシリーズの作品だが、このシリーズ、全てこの手合いである。
この世には誰も聴く事の適わない音楽が無数に存在する。それを考えれば、このキノコ・ジャケットが世に残され名盤といわれているのは奇跡的なことなのかもしれない。
ジョン・ケージ
灰野敬二じゃ
ありません
ジョン・ケージはキノコの専門家でもあったのだが、その理由は辞書でmusicの前がmushroom(キノコ)だったから、というのも伝説的な話だ。