親愛なる音楽様 申し訳ないけど あなたの中に 灰野敬二という種子を植えつけさせていただきます
My lord Music, I most humbly beg your indulgence in the hope that you will do me the honour of permitting this seed called Keiji Haino to be planted within you.
Label: Purple Trap / Black Editions
Catalog: BE-1004/PT005
Format: Deluxe 2LP / Digital Download
発売日 2022年3月14日
25年以上にわたって、灰野敬二はハーディ・ガーディという楽器を使って暗黒の世界を表現し、中世の時代と未来とをつなぐ音楽を創造してきた。9曲からなる組曲 「My Lord Music...」は、灰野の楽器に対するアプローチの驚くべき個性と幅の広さを示している。不協和音の中に催眠術のような効果があり、ドローンがダイナミックに展開する音楽は、灰野の音楽的センスと身体性が常に存在し、紛れもないものである。
「My Lord Music...」は、灰野とBlack Editionsとの共同制作で新たに再開したPurple Trapの最初のリリースで、灰野敬二自身が監修している。Purple Trapは、灰野敬二の作品を過去のアーカイブと新録音の両方を通して紹介し、すべて初回プレスのみのLPと、デジタルプラットフォームでリリースされる予定である。
灰野敬二 - ハーディ・ガーディ
Keiji Haino - Hurdy Gurdy
Credits
Recorded April 7, 2019 at Zebulon, Los Angeles, California
Recorded and mixed by Toshi Kasai
Mastering by Elysian Masters
Photographs by Kazuyuki Funaki
Design by Takuya Kitamura
Translation by Alan Cummings
Mika Yoshitakeのキュレーションによる「パレルゴン:1980年代、1990年代の日本のアート」展の一環として、ブラック・エディションとブルム&ポー・ギャラリーがプロデュースしたライヴ・パフォーマンス。
息の渦
回して鳴らす
手風琴
灰野敬二 Hurdy Gurdy Solo@PIT INN 2013/09/12 Keiji Haino
KUTTEKOP(クッテコップ)
Dennis van Geldrop デニス・ファン・ゲルドロップ - vocals, bass, noise
Sjak van Bussel ジャック・ファン・ビュセル - noise, bass, guitar
Kikanju Baku キカンジュ・バク – drums
フリージャズからノイズ、グラインドコアまでロンドンのアンダーグラウンド・シーンでゲリラ的に活動するドラマーKikanju Bakuがオランダのノイズ・インダストリアル・シーンの名手二人と組んだ新ユニット。Dennis van Geldropは90年代からグラインドコアバンドNee!やDeathtomusicでヴォーカル&ベースとして活動。Sjak van Busselは80年代半ばからJacinthebox、DMDN名義で宅録アーティストとして活動しつつノイズロックバンドIncubus、Lewdでベーシストとして活動。いずれもオランダのアンダーグラウンド・シーンの顔役である。2020年春ヨーロッパ全土にコロナ禍の緊急事態宣言が発令されてすぐに結成。リモートで共演し音源制作を行ってきた。2021年コンピレーション・カセット『MENDACITY MOGUL』に参加。2022年3月にデビュー・アルバム『TRANSVERSE TOXOSPUMOSIS(横紋筋融解壊死症)』をアナログLPオンリーでリリースする。KUTTEKOPとはオランダ語でCUNT HEAD(おま●こ頭)のこと。
Adam Rudolph / Go: Organic Guitar Orchestra
Resonant Bodies
Meta Records – Meta 026
As heard stereo from left to right(ステレオ再生時に聴こえる左から右の順序):
Liberty Ellman – electric guitar
Nels Cline – electric guitar
Joel Harrison – electric guitar, national steel guitar
Jerome Harris – electric and bass guitar, lap steel guitar
Miles Okazaki – electric guitar
Damon Banks – electric bass guitar
Marco Cappelli – acoustic guitar
David Gilmore – electric guitar
Kenny Wessel – electric guitar
Adam Rudolph – handrumset (on Deneb only)
1. Parallax
2. Albireo
3. Eta
4. Mira
5. Fawaris
6. Dolidze
7. Cygnus
8. Gliese
9. Deneb
Music composed and spontaneously conducted by Adam Rudolph
Interpretation and realization by the ensemble
Recorded live at Roulette Intermedium, Brooklyn, NY on November 23, 2015 by Caley Monahon-Ward
Mixed and mastered by James Dellatacoma at Orange Sound Studio, NJ
Organic arrangements and orchestration by Adam Rudolph
アダム・ルドルフは1955年シカゴ生まれ。アフリカ系の住民が多い地区で幼少の頃からブルースやジャズに親しんで育った。10代の頃にハンド・ドラムを演奏しはじめ、シカゴやデトロイトでセッションやライヴ活動をするようになり、1973年にMaulawi Nururdinのアルバム『Maulawi』にコンガで参加する。1978年にアフリカのミュージシャンとともにThe Mandingo Griot Societyを結成、ワールド・ミュージックの先駆者となる。1988年にサックス奏者ユーゼフ・ラティーフと出会いドラマーとして共演するとともにプロデューサーとしてもコラボレーションする。自己のグループAdam Rudolph's Moving Pictures、Hu: Vibrational percussion group、Go: Organic Orchestraなどで活動。これまでにDon Cherry, Jon Hassell, Sam Rivers, Pharaoh Sanders, L. Shankar, A.A.C.Mの共同創始者のFred AndersonとMuhal Richard Abrams, Wadada Leo Smith, Omar Sosaなどと共演している。
ルドルフは2002年から“21世紀の未来型オーケストラ”=Go Organic Orchestraとして様々な編成のビッグバンドによる作品を発表してきた。初期は11人のパーカッショニストと11人のフルート/クラリネット奏者の編成だったが、2005年に弦楽や金管楽器を含む30人編成になり、2015年の『Turning Towards The Light』はギターのみの編成だった。民族楽器も西洋楽器も区別なく取り込み、特定のスコアを使わず個々の演奏者の感性に任せた即興的なアンサンブルを尊重するスタイルは、異文化のミクスチャーとしてのワールド・ミュージックではなく、人類共通の音楽表現から生まれる多様性を包括したヒューマン・ミュージックと呼ぶにふさわしい。
本作はギター編成によるGo Organic Guitar Orchestraの2015年11月23日のファイナル・コンサートのライヴ録音。9人の演奏者合計で63本の弦と108のペダル(エフェクター)を使ったという。ルドルフは演奏者たちに、自分がギタリストではなく、例えばオーボエ、シンガー、モーグ・シンセ、鳥の群れをプレイしていると想像するよう要望した。別の楽器のスタイルやテクニックにインスパイアされて新しい音を生むことができるように。その結果生まれたのは、創造性と多様性に満ちた異次元のアンサンブルだった。楽曲タイトルは白鳥座の星の名前になっている。アルバム・タイトルの『Resonant Bodies(共鳴体)』とはギターのボディであるとともにヒューマン・ビーイング(人間)のボディ(身体)をも指す。ルドルフは語る「サン・ラは“Space Is The Place(宇宙こそその場所)”と語った。さらに私は場所が広がるほど共鳴の余地が増えると付け加えたい。それは物理の領域だけでなく、人間の意識に於いても真実だ」。
#1 Adam Rudolph Go: Organic Guitar Orchestra Live @ FringeArts, Phila 11-22-2015
●2021年10月18日(月)『盤魔殿Spiritual Lounge vol.3』@四谷三丁目CON TON TON VIVO
『Spiritual Lounge vol.3 ~Halloween Special live ritual presented by 盤魔殿+哲学者の薔薇園』でのライブ。MOGRE MOGRUというユニット名が決まって初のステージ。黒い瞳側のフロアから撮影されたレア映像が公開。メンバーはもちろん、お客さんも観ることができない不思議な角度からの映像はちょっぴりセクシー!?。
MOGRE MOGRU:
剛田武 Takeshi Goda: flute, clarinet, accordion, percussion, etc.
Tanao (INIBURA):guitar
黒い瞳 Aura Noir:musical saw, glockenspiel, recorder, percussion, etc.
MOGRE MOGRU live 2021.10.18
●2022年1月8日(土) 『マーク・ロウ・ワンマンライブ』@大久保水族館
マルチアーティスト、マーク・ロウ Marc Loweのワンマンライブの第3部にMOGRE MOGRUの剛田武とTanaoがゲスト参加。マーク・ロウ作詞作曲の「Only Three」と「Chaos」の2曲でコラボした。「Chaos」では即興パートを挟みアンビエント&フリー・インプロ・セッションを展開した。
【出演者プロフィール】 豊住芳三郎 Sabu Toyozumi (drums) from Tokyo
1960年代、日本フリージャズの勃興時から活躍したドラマー、パーカッショニスト、二胡奏者、豊住芳三郎(通称サブ)。その活動領域は日本にとどまらない。若き日から世界を旅し、シカゴではAACM(Association for the Advancement of Creative Musicians)と行動を共にし、またヨーロッパ即興シーンの猛者たちと国内外で共演を積み重ね、多数のミュージシャンと演奏、招聘にも尽力している。ジョン・ラッセル氏とは日本人でもっとも親しく、共演数が多い。2005年のLondon Mopomoso Fes= "Sabu Toyozumi Project" をはじめ4回共演。Duo演奏のCDは日本のChap Chap Records、フランス、台湾のレーベルから3枚リリース。海外Fesはベルギー、フィンランド、台湾ほかパリのクラブでも共演。
イノック ・ライト(Enoch Light)は1940年代からヴァイオリン奏者、バンド・リーダー、録音エンジニア、レーベル・オーナーとして活躍し、アメリカのイージー・リスニングを語る上では欠かせない重要人物。彼が1959年に設立したレコード・レーベルがコマンド・レコード(Command Records)である。78回転のSPレコードから33回転・45回転のLPレコードが主流となり、録音がモノラルからステレオへと進化する中、イノック・ライトのプロデュースによる「サウンドを解放する試み」として革命的なステレオ録音技術を駆使したレコード・シリーズを発売し、全世界のオーディオ界に大きな話題を投げかけた。1959年の『Persuasive Percussion 邦題:コマンド・ステレオの革命(打楽器の説得力)』と『Provocative Percussion 邦題:コマンド・ステレオの新境地』はビルボード・チャートに入るヒットとなった。Enoch Light And The Light Brigade、Terry Snyder And The All Stars、The Command All-Starsなどいくつかの名前を使っているが、メンバーの多くは重なっており、実在の楽団というよりイノック・ライトが集めたスタジオ・セッション・グループと考えたほうがいい。日本ではキング・レコードが配給しており、ほぼすべてがコマンド・オールスターズ名義による日本編集盤としてリリースされていたようだ。
オーディオメーカーSANYOが制作した10インチLP。価格表示がないので、おそらくSANYOのステレオ機器購入者に配布されたものだと思われる。A面1曲目「ステレオ装置の調整」は左右のスピーカーのバランスを取るための楽器の音や効果音。時代がかった女性ナレーションが妙に生々しくていい。それ以降はミュージカルやジャズのスタンダードやシャンソン、ラテンのナンバーで、サウンドの分離がよく、左右の楽器が入れ替わったり、音が移動したり、実験的な録音技術によるステレオ効果が楽しめる。90年代のモンド・ミュージック・ブームの文脈でこの手の音楽がSpace Age Popと紹介されていまひとつピンとこなかったのだが、アメリカとソ連の宇宙開発競争と同時代の技術革命の産物と考えれば、確かに宇宙時代の音楽だと納得した。
【出演順】
1. DJ Athmodeus a.k.a.持田保
2. DJ Bothis a.k.a.山田遼
3. DJ Vaby a.k.a.大場弘規
4. DJ BEKATAROU a.k.a.伊藤元
5. DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda
6. DJ Paimon a.k.a. Moppy
7. DJ Necronomicon a.k.a.剛田武
8. DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫
➀ 海外レーベルを含む日本の地下音楽の再発活性化
MLD(仏CAMISOLE RECORDS)、佐藤允彦(英Finders Keepers Records)、Portray Heads(米Minimal Wave / Bitter Lake Recordings)、まついいっぺいあきつゆこ(英All Night Flight)など日本でもほとんど知られていない地下音楽のレア音源が海外のレーベルからリリースされることがとみに増えた。日本の環境音楽やシティ・ミュージックが、ネットの力で海外で再評価され、日本へ逆輸入される現象と同じ流れだろう。それは大いに歓迎したいが、一方でヘンリー川原(EM Records)、渡邉浩一郎(Super Fuji Disc)、長谷川時夫(Experimental Rooms)など葬り去られていた地下音楽を積極的に発掘する心あるレーベルが日本に存在することが心強い。
② レジェンドから若手へ継承される地下音楽の遺伝子
PHEW、白石民夫、Grim、Jack Or Jiveといった日本のパンク、地下音楽、ノイズ・インダストリアルのオリジネーターが意欲的に新作をリリース。特にNON BANDが40年ぶりのセカンド・アルバムをリリースしたことは2021年を象徴する事件といえるであろう。勿論、伝説的な地下音楽の遺伝子は、Linekraft、脳Brain、たたらの目、分水嶺、Information overloaded unitといった現代のアーティストに受け継がれている。
③ 国や地域の垣根のない異端音楽の輪
海外アーティストのノミネートは多くはなかったが、少数精鋭のなかで、Joakim Skogsberg(スウェーデン)、Zaliva-D(中国)、Arushi Jain(インド/アメリカ)、Hans Uran(ドイツ)と国も地域も文化圏もバラバラなアーティストが選ばれたことは、異端音楽のネットワークが世界中に張り巡らされていることの証であろう。➀で述べた日本の音楽の逆輸入の反対で、海外の知られざる異端音楽を日本発信で世界へ逆輸出する現象が起こっても不思議はない。我らが盤魔殿がその最先鋒になりたいものだ。