A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

100%サブカルポップ陰謀論~きゃりーぱみゅぱみゅ「キミに100パーセント/ふりそでーしょん」

2013年01月31日 00時30分13秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


きゃりーぱみゅぱみゅの4thシングルが届いた。年明け早々からテレビやラジオで20歳誕生日記念ソング「ふりそでーしょん」がガンガン流れて♪はたちーはたちーはたちーはたちー♪のサビが頭にこびりついておりコチラがメイン曲だと思い込んでいたらクレヨンしんちゃんのテーマ曲「キミに100パーセント」が1曲目だったので意外な気がした。しかし世間一般の流行動向を考えるとこれは正しい選択である。デビュー当時からニコニコ動画に幼児による"きゃりーぱみゅぱみゅ踊ってみた"動画が投稿されていた。「PON PON PON」や「つけまつける」は全国幼稚園のお遊戯会や運動会での定番曲だという。昨年のクリスマスには100人の幼児とその母親だけのための船上クリスマス・ライヴを敢行。きゃりーの人気が低年齢層に深く根付いていることが判る。「クロネコのタンゴ」「およげたいやきくん」「おどるポンポコリン」「だんご3兄弟」「おしりかじり虫」などNHKみんなのうたやアニメ主題歌の大ヒットを支えているのは圧倒的に10歳以下の幼児とその親であった。大人にCDが売れないならばこども市場を狙えというのが流通業界の合言葉である(その一方で40~50代のシニア世代市場も有望である)。「クレヨンしんちゃん」という全国いや世界的に有名なアニメの主題歌というアドヴァンテージを甘く見ない方がいい。2月9日ベルギーからスタートするワンマンライブツアー「100%KPP WORLD TOUR 2013」の海外公演のチケットは即完したという。文字通り世界レベルの人気アーティストとなりつつあるきゃりーの快進撃をてこ入れするのが「キミに100パーセント」なのである。



きゃりーの100%ソングは前作「ファッションモンスター」のカップリング曲「100%のじぶんに」に続く第2弾。♪100%のじぶんを じぶんらしいと言えるようになーる♪という前曲が自我同一性の希求であることは以前考察した。♪キミの本気の何パーセント いつも全力100パーセント/ボクの気持ちの100パーセント 届け届けキミに♪という一人称と二人称の二重螺旋構造に仕掛けられた罠に秘められた意味に関しては賢明なる読者諸子に改めて説明する必要はあるまい。




ここでは「100%」に潜むフリーメイソン的象徴主義に関して検証したい。

<論考1>
第1項で述べた「こどもヒット」の中で「100%」を標榜するのはこの曲である。



忍者という日本古来の裏社会の内状告発アニメ番組でローラースケートというマニアックな特殊技能に精通した伝説のアイドル=光GENJIによって歌われたという事実の裏に隠された秘密に想いを馳せて欲しい。


<論考2>
筆者が100%と聞いて最初に頭に浮かぶのはニューヨーク地下音楽の首領によるこの曲である。



偏執狂の現代音楽家グレン・ブランカ主宰のギターオーケストラをきっかけに結成されNYオルタナ・ノイズ・ロックの中心として活動するソニック・ユースが世界中の地下音楽シーンを結ぶシンジケートを牛耳っていることは公然の秘密である。長らく「無冠の帝王」と呼ばれてきた彼らが1990年にメジャーデビューしたことが全世界のオルタナ・シーンに与えた影響は計り知れない。彼らがいなければ現在のロックシーンは全く別モノになっていただろう。2000年代後半に再び地下に潜り極秘工作に精を出している。


<論考3>
日本のヲタク文化とロックの親和性を象徴する100%アーティストがこの人である。



ノイジーなギターサウンドに甘くポップなメロディーを乗せたパワーポップの第一人者であるマシュー・スウィートは腕に「うる星やつら」のラムちゃんのタトゥーを彫るほどのマンガ好きで「100% ファン」の初回盤ブックレットには好きなマンガBEST10が掲載されている。「AKIRA」「ダーティペア」「うる星やつら」「コブラ」「アウトランダーズ」「クライング フリーマン」「バブルガム・クライシス」「らんま1/2」「風の谷のナウシカ」「キャラバンキッド」。当時「AKIRA」と「風の谷のナウシカ」は映画が海外上映され高く評価されていたが高橋留美子2作を始めとするその他の作品は海外では極小規模のマンガ/アニメ・サークルやコミケ等で密かに流通していたと思われ世界的なポップ・アーティストがその世界に魅了されたということは現在のアキバカルチャーの海外進出を20年前に予見していたと言えるだろう。

<結論>
思いつくままに100%ソングを挙げてみたがそこに共通するのは以下の事実である:

1 通常の社会では決して主流にはなり得ない秘密結社によるヒット
2 現代ポップカルチャーの源流として再評価されるべき存在
3 一度聴いたら即カラオケで歌えるほどの覚え易さ=ポップさ
4 どの演奏者も現在水面下に身を隠し雌伏して時の至るのを待っている

<考察>
中田ヤスタカを始めとするきゃりーぱみゅぱみゅを巡るスタッフが100%ソングの象徴的意味合いを綿密に研究し作品として世に送り出していることは間違いない。そこには世界征服の野望と共に地下潜伏中の盟友たちを再び野に放つべく陰謀を貼り巡らす薔薇十字団の友愛と誓いが隠されている。

薔薇卍
地獄の火クラブ
虎の穴

<補足>
きゃりーがアートワークやPV、グッズに於いて好んで用いる目玉の意匠がフリーメイソンの象徴であるプロビデンスの目と酷似しているのは決して偶然ではない。







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まずは 音で虚無に色をつけようか!!~.es「void」(ドットエス「ヴォイド」)

2013年01月30日 00時31分43秒 | 素晴らしき変態音楽


2012年初頭の邂逅以来大阪のコンテンポラリー・ミュージック・ユニット.es(ドットエス)には煽られっぱなしである。"驚く"でも"感動"でも"刺激的"でもなく高速道路を走行中に後ろから真紅のポルシェにパッシングされるように"煽られる"のである。傍観者面して音楽蘊蓄を語っていていいのか。ロケンローで何もかも忘れて踊り狂えばいいのか。安穏とした毎日に満足していていいのか。それじゃあ反原発デモに参加しろとか社会に反逆の狼煙を上げろとかいうレベルの話ではない。この世に生を受けここに存在する「私」とは一体何者か。何のために息をしてメシを喰らって糞をしてあくせく働いて愛を交わして寝床につくのか。What Am I? Why Me? How Should I Exist?..... 様々な「?」(クエスチョン)を置き去りにしてただ存在する生命体でしかない「私」。I Am Iと開き直るしかないのか。.esの音に接する度(=旅)に究極の「?」を突きつけられる。

彼らの紹介は過去記事に記したので参照されたい。
→「オトデイロヲツクル
→「Resonance」。
→.esについてはコチラ
→現代美術ギャラリー「ギャラリーノマル」についてはコチラ
今の私にとっては.esのバイオ/プロフィールはあくまで付随情報に過ぎない。彼らの厳然とした「音=存在」の前では予備知識は無用である。心を空っぽ=voidにして彼らの音と対峙したい。

▼2012年10月7日無人セッション@ギャラリーノマル



"音(おと)とは、物の響きや人や鳥獣の声、物体の振動が空気などの振動(音波)として伝わって起す聴覚の内容、またはそのもととなる音波を指す。心理学的には聴覚的感覚を「音」と呼ぶため周波数が人間の可聴域にあるもののみを指すのに対し、物理学的には音波そのものを音と呼び超音波や低周波音も含める。"
(Wikipediaより)

フロイトやユングの精神分析に興味未満の憧れを持っていた私は大学で2年間の教養課程を終えると専攻課程に心理学科を選んだ。てっきり「夢判断」や「アイオーン」を紐解き性的一元論や自我と無意識について議論するのかと思ったら文系でありながら基礎実験に明け暮れる日々だった。学内外で被験者を募り実験用マウスやラビットの棲む獣臭い地下の暗室や無響室で一日中黙々と実験を繰り返しコンピューター(パソコンではない)にデータを打ち込む。当時はコンピューターのプログラムやインプットは特別な言語を使わねばならなずコンピューター言語講座にも通った。今更ネズミに餌と電気ショックを与えパブロフの犬を検証しても意味がないと思ったが基礎心理学とは過去の実験の追実験から始まると言われればやるしかない。

無響室とは音が一切反響しないように天井・床から四方の壁まで部屋中に体育用マットを貼り巡らした部屋である。そこで生まれて初めて無音の世界を体験した。全身をねっとりと包む空気の重みを感じ魂がフッと宙に浮く異次元体験だった。以来興味はサイコ(=精神世界)からトーン(=音)に移り何故空気の振動に過ぎない音波が音楽に聞こえたり雑音(=ノイズ)に聞こえたりするのか解明したくなった。ある日無響室の主の先輩の紹介で西武池袋線沿いの某大学で開催された日本音響学会聴覚研究会に出席した。そこで北海道大学の大学院生が発表した「メロディ認知スキーマについての研究ー終止音導出課程のシュミレーションー」という研究に心惹かれた。簡単に説明すると人がどういう音の並びを「メロディ」として判断するかを調べる実験だった。しかし未完の音列を聴かせそれを完結させる音程を選ばせるという実験法は被験者の音楽体験の差異に大きく左右されるものであり、それをもっと経験値に無関係な方法で実証してみようとしたのが私の卒業研究「終止音導出を手掛かりとしたメロディ認知における調性感の研究」である。難しい話は辞めるが100人余りの被験者に1ヶ月かけて3つの実験を行った結果を3日徹夜して100ページの論文に仕上げた。自分で書いたとは信じ難い微に入り細に入り詳細にして晦渋極まりない文章だが、結論は<調性感の高いメロディの要因は「そのメロディを通じて中心となる特定音高が心理的に存在すること」である>ということらしい。らしい、というのは今となっては何を意味していたのか全く忘れているからである。大学4年間の勉学が社会生活に何の糧にもなっていないことの証明である。ちなみにこの卒論は教授に高く評価され卒業パーティーで名指しで褒められたそうである。そうである、というのはパーティーの前日に30日間のヨーロッパ卒業旅行から帰国した私は時差ぼけで眠りこけ出席出来なかったからである。人生の晴れ舞台を逃さないためには海外旅行から一日早く帰国せよという教訓である。

延々と回想モードに入り記事の論旨をすっかり失念してしまったが、.esのサウンドには「音楽とは何なのか、楽音と噪音に違いはあるのか」という根源的な疑問への鍵が内包されているように思えてならない。最新作「void(ヴォイド)」は昨年7月ギャラリーノマルに於ける美術家今村源の同名の展覧会でのライヴ録音である。冒頭から吹き鳴らされるアルトのいななきが鋭い刃物になり「これが"音"だ!お前に判るか!」と挑戦状を叩き付ける。それに応えるために阿部薫や浦邊雅祥のレコードを引っ張り出す必要はない。音であろうがなかろうが確固として存在を主張する波動。残酷なまでの生々しさで再生機のウーハーから弾け出て拡散して行く音波。可聴範囲に留まらないが周波数測定器で計っても解明されない感情の渦。

▼2012年9月2日「美川俊治×.es」@難波ベアーズ



ライナーノーツで坂口卓也氏がiPS細胞を引き合いに「初期化される音」という文章を寄せている。その通り.esは学究的に分析してみたいという欲求が喚起される存在である。音楽の秘密とは?という疑問に答えられるのは灰野敬二だけかも知れないが、素人研究家の分析を待つまでもなく.esのCDを聴けば手掛かりの端緒くらいは掴めるかもしれない。「.esの秘密を知りたい」というのが今私が最も興味未満の憧れを抱くテーマなのである。

無に還る
あっちとこっちの
その隙間




.esの全音源を録音日順にインポートしてiTunesで再生していたら何故か直後に私が30数年前に多重録音した音源が流れ出した。一体何が起ったのか判らず暫く呆然としてしまった。
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灰野敬二withやくしまるえつこ&菊地成孔@東高円寺UFO CLUB 2013.1.27 (sun)

2013年01月29日 01時49分39秒 | 灰野敬二さんのこと


【U.F.O.CLUB 17周年記念 灰野敬二ワンマンライブ】
LIVE:灰野敬二 [ゲストミュージシャン: 菊地成孔, やくしまるえつこ]

19日にDJ灰野敬二としてのイベント出演はあったが演奏家としての灰野さんの2013年初ライヴ。昨年12月発表と共に大きな話題になり早々にソールドアウト。DCPRGを始め様々な音楽ユニット及び執筆家として八面六臂の活躍をする菊地成孔と相対性理論等のヴォーカルだけではなくイラスト・朗読など幅広い芸術活動でサブカル系の圧倒的人気を誇るやくしまるえつこ。世代の異なるふたりのポップ・アイコンとの共演が話題にならない筈がない。それぞれイベントでの対バンはあったが四つに組んでのガチンコ対決は初めて。楽しみな一方でふたりの高い知名度と個性の強さが灰野さんの世界と相容れるのかどうか一抹の不安もあった。

二日連続のU.F.O. CLUB。開場40分前に行きギリギリロビー内の列の最後尾に入れた。私より後の人は寒い戸外に並んでいる。前日よりも客足が早いのはやくしまるがトップに出るからだろうか。男性客が多くキノコホテルの実演会を思わせる。前日同様最前列を確保。この日はDJがおらず意図的に無調の電子音楽が流れている。その中で開演まで1時間じっと待つのはある意味苦行。お一人様の客が多いのか話し声も殆どないシビアな空間だった。開演時間になると灰野ライヴでお馴染みのヴァイオリンのSEに変わる。カーテンの向こうに人の気配がする。

15分後カーテンが開く。左にPCを前に座ったやくしまる、右に譜面台とギターを持った灰野さんが立っている。灰野さんの微弱音のギターと呟くような歌とやくしまるの聴き取れない囁き。手にしたdimtaktが光る度にノイズが発せられる。灰野さんが譜面を覗き込んでいる。ふたりが呟き歌っているのはやくしまる作の詩(物語?)らしい。♪~何故かネコとカエルが多い~♪♪~3分の2をお返しします~♪といった言葉が聴き取れる。深いリバーヴの海に沈み込むギターは波のように次第にうねりを増しやくしまるの電子ノイズと重なり合うが爆音には至らず再び沈殿する。折り重なる波間に溺れるまま深海魚に飲み込まれるように20分のセットは終了。両者の世界がどちらも遮蔽されることなく共存した演奏は見事という他ない。



続いて菊地成孔とのデュオ。DCPRGでは指揮とサンプラー担当なので菊地のサックスを聴くのは久々。元々はテナーだが今回はアルトを吹く。ファッション誌にモデルとして登場する彼らしくU.F.O. CLUBには珍しくシャレオツな服装。やくしまるのいた位置にマイク一本立てて演奏。灰野さんはギター。オクターバーをかけたギターと流暢なサックスからスタートするが、すぐにギターが鋭く切り込み高密度の爆音セッションに突入。菊地は音階の上から下まで自在に駆け巡るプレイ。美しく澄んだ音だからギターがどんな轟音で迫ろうが埋没することなく屹立している。「解体的交感」での阿部薫と高柳昌行の集団投射を思わせるお互い一歩も引かないピーンとした緊張感に満ちた演奏だが"1+1=10"に拡張された交感は単なるセッションを遥かに凌駕した魂の絡み合いそのもの。灰野さんのギターが次々表情を変え演奏の色彩を変化させるが、それに歩み寄らずかと言って離れもせず見事にリアクションする菊地のプレイが素晴らしい。彼が優れているのはどんなに激しく演奏しても安易なフリークトーンに走らず一音一音丁寧にフレーズを紡いでゆくことである。今まで何度か菊地のサックス演奏を観てきたがこの日ほど激しく吹き捲くるのは2009年山下洋輔トリオ復活祭ゲスト出演時以来かも。激しいバトルは60分にも亘った。



最後に灰野ソロ。照明を落としハーディーガーディー~エアシンセ~ブルガリ~ギター~ヴォイス・パフォーマンスという流れで灰野ワールドを90分に亘って繰り広げる。ShowBoatでのワンマン・ライヴを短い時間に凝縮したようなステージ。セッションの時から気がついていたがU.F.O. CLUBの音響は素晴らしい。アコースティック楽器の微細な生音から耳を圧する爆音までどんな音も澱みなくクリアに再生する。特に灰野さんが産み出すサウンドはどんなに重厚なノイズの壁であっても聴き手を優しく包み込む音だから会場の音響の善し悪しが重要な鍵になる。今まで意識したことはなかったがU.F.O.のPA機器の性能及びエンジニアの腕は都内のライヴハウスではピカイチではなかろうか。終演後灰野さんも音の返りが良くてとてもやり易かったと満足げな様子だった。


(撮影・掲載については出演者の許可を得ています)

2013年灰野さんの初ライヴは3つの場面がそれぞれ違った魅力に輝いていて一粒で3度おいしい素晴らしい夜だった。

やれること
やってみようよ
この一年

前日にムッシュかまやつを観た話をしたら「今度共演したいな」と灰野さん。ライヴハウス関係の方やプロモーター/オーガナイザーの皆様、ご検討をなにとぞ!!!

<灰野敬二ライヴ・スケジュール>
2月上旬 スペイン、ポルトガル・ツアー(判明した公演のみ掲載)
-2.3 (日) La Casa Encendida, Madrid, Spain ソロ
-2.5 (火) Sala dos Espelhos do Palacio Foz, Lisbon, Portogal  ソロ
-2.8 (金) Tanned Tin 2013, Teatre Principal, Plaza Paz, Castellón, Spain ソロ

2.23 (土) 六本木SuperDeluxe ギャスパー・クラウス「序破急」リリース・パーティー
出演:ギャスパー・クラウス (cello)/石橋英子 (vo,pf)/西原鶴真 (薩摩琵琶)/SachikoM (sinewaves)/ジム・オルーク/友川カズキ (vo,gt)/灰野敬二 (gt,vo)/レナード衛藤 (和太鼓)/梅津和時

3.11 (月) 代官山 晴れたら空に豆まいて Flags Across Border 20130311 プロジェクトFUKUSHIMA!自主連動企画 vol.ii 3.11後の世界、音楽の虹の橋
灰野敬二×スガダイロー

3.17 (日) 六本木SuperDeluxe 灰野敬二+ジム・オルーク+オーレン・アンバーチ
コメント (3)
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ムッシュかまやつwithザ・トランプ/キノコホテル/松石ゲル&サイケV@東高円寺UFO CLUB 2013.1.26 (sat)

2013年01月28日 01時02分08秒 | ロッケンロール万歳!


【U.F.O.CLUB 17周年記念 BEAUTIFUL HUMAN LIFE SPECIAL!!!】
LIVE:ムッシュかまやつ with ザ・トランプ, キノコホテル, 松石ゲルとサイケV(名古屋)
DJ:フミヤマウチ, レコゲバ(グルーヴサウンズ・名古屋)

U.F.O.CLUBのブッキング担当鈴木やすしを中心にU.F.O.CLUB常連バンドの選抜メンバーによるセッション・バンドとして1999年に結成されたザ・トランプ主催の自主イベントが「BEAUTIFUL HUMAN LIFE」。"ゴーゴー喫茶のハコバン"をイメージした彼らの志向が貫かれまことにU.F.O.CLUBらしい昭和でサイケな企画である。20数年前私のバンドFLOWER TRIPが企画した自主イベント「アートロック宣言」はサイケ系バンドを集めたかなり近い趣向のイベントだった。当時U.F.O.CLUBがあったらハマっていたと思う。

昨年共演したムッシュかまやつに加えキノコホテルを迎えたスペシャル版なのでチケットは完全ソールドアウト。早めに並んで最前列を確保出来た。場内禁煙なので誠に居心地がいい。DJの選曲も英米サイケ~昭和歌謡~ガレージロックとイカしてる。キノコホテルの「砂漠」のカヴァー(オリジナル?)が流れて誰なのか気になったが確かめるのを忘れた。どなたか判る方がいたら教えて下さい。
[1/28追記:「砂漠」は中山千夏がオリジナルであることを教えていただきました。「ゴールデン☆ベスト 中山千夏」で聴けます。]
[1/28追記2:さらにこの日U.F.O. CLUBで流れたのはザ・スピンドルスという大阪のバンドによるカヴァー・ヴァージョンだったことも判明。ご協力ありがとうございました!]

トップは名古屋の松石ゲルとサイケV。松石ゲルは名古屋大須の"ゲバゲバ・ハレンチ・ロック"バンド、ザ・シロップのリーダーにして現代日本のサイケ・シーンの重要人物。サイケVは彼の数多いプロジェクトのひとつで60,70年代ロック&ソウルのカヴァー・バンド。60年代ゴーゴー喫茶・ディスコティークの雰囲気を再現するというコンセプトはまさにこのイベントにぴったり。白いスーツのいかさま師っぽいヴォーカリスト+サックスを含む5人組バンド+ふたりのゴーゴーダンサーでジミヘン、ビートルズ、ストーンズ、JBなどのカヴァーをノンストップで演奏。「本気で演奏するつもりならオリジナルをやるけど、今日は皆を踊らせるために名古屋から来ました!」とのMC通りのイケイケなステージにフロアが盛り上がる。1969年GSバンド、ザ・バーンズによる「R&B in Tokyo」というノンストップ・カヴァー・アルバムを彷彿させると思ったら物販でサイケVによる同じタイトルのCDを売っていた。



続いてキノコホテル。U.F.O.CLUBに出演するのは3年ぶりとのこと。今年既に3度目のキノコだがサイケな内装の小さなクラブで観るのは格別。タワレコ・イベントで間近で観たマリアンヌ支配人の眼光の鋭さにはビビったがこの日眼前に迫る支配人の迫力はそれ以上だった。昔のキノコの実演会はココや新宿JAMといった100人規模のクラブばかりだったがメジャー・デビューから3年経ち自信に溢れた演奏力の凄まじさに改めて感動する。「久しぶりに出たけどやっぱり狭いわねぇ」と言いつつも気合いの入りまくったステージ。支配人は2回、ケメちゃんも1回客席に乱入。映画「ゴジラ対ヘドラ」のテーマ曲「かえせ!太陽を」も演奏。キノコ・ヴァージョンを聴くのは初めて。この曲は小学生の頃大好きで口ずさんでいた思い出の曲なので滅茶苦茶アガる。一時期キノコの前列はモッシュの嵐でキツかったがこの日は最前列で圧迫されることもなく楽しめてサイコー(Psycho)だった。支配人がオルガンに乗ろうとして崩れそうになりスタンドを押さえたのも昔やったような覚えが。



<Set List>
1 エレキでスイム
2 業火
3 キノコノトリコ
4 ノイジーベイビー
5 悪魔なファズ
6 セクサロイドM
7 かえせ!太陽を
8 #84
9 キノコホテル唱歌

キノコで盛り上がった後もお客が殆ど帰らずムッシュかまやつの登場を待つのはU.F.O.CLUBならでは。カーテンが開きザ・トランプの演奏に乗ってムッシュ登場。トレードマークのニット帽+ストーンズ50周年記念Tシャツにスタインバーガーのギター。いきなり「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」。74歳という高齢を全く感じさせない堂々とした歌と演奏。様々な若手ミュージシャンからリスペクトされるカリスマ性と気軽に対バン,共演するフットワークの軽さは間違いなく日本のロックの(我が)良き兄貴に他ならない。スパイダース・ナンバーを中心にザ・トランプのサイケ感たっぷりの演奏も素晴らしい。ザ・トランプの女性ヴォーカル松江サキやサイケVのヴォーカル&ギターも交えたステージは文句なしに楽しい。アンコールはサイケVのメンバー全員とマリアンヌ支配人とケメちゃんも加わり「フリフリ」で踊りまくって終了。会場にはザ・スパイダースのオリジナル・ベーシストの加藤充も来ていた。






U.F.O.CLUBならではの妖艶な一夜を堪能。昭和って、サイケって素晴らしい!!! IT'S A BEAUTIFUL DAY!!!

高円寺
妖しく燃える
悪魔なファズ

ムッシュはTwitterでは炎上を恐れて食べ物のことしかつぶやかないらしい。


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吉川友@品川ステラボール 2013.1.25 (fri)

2013年01月27日 00時55分32秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


アイドル戦国時代に一輪咲いたソロアイドル「きっか」こと吉川友がニュー・シングルをリリースした。人気ボカロP・SmileRの書き下ろしによる新曲「世界中に君は一人だけ」と、松任谷由実の1989年発売アルバム「LOVE WARS」に収録された「Valentine's RADIO」のカバー、そして松浦亜弥の2009年のシングル「チョコレート魂」のカバーとのトリプルA面。以前紹介したアルバム「ボカリスト?」は全曲80~90'sアイドルソングのカバー・アルバムだったし、この二十歳の娘は見事なほどアイドル王道路線を突き進んでいる。



そんなきっかが昨年2月から始めた「きっかフェス」はその場でセットリストを決めたりバンド編成でライヴをしたり毎回テーマを変えてファンを楽しませている。UST配信で観たがきっか本人やスタッフも同じように楽しんでいる様子が伝わってきて微笑ましい。グループアイドルのようにことさらに特色や個性を打ち出すことはしないが正統派ならではの遊び心がこうした挑戦的なライヴイベントに色濃く表れている。

今回は「きっかフェス 6 ~ザ・リクエスト・アワー~」と題してサイトでファンが投票したリクエストを集計しトップ10を歌ってしまおうという企画。「ザ・ベスト・テン」風に10位から順番に歌って行く。アゲアゲの曲が続いたりバラードが連続したり通常のコンサートではあり得ないセトリだがそれを見事に歌いこなすきっか。ソロだから歌も踊りもMCもすべてひとりでこなさなければならない。気を抜く暇がなくかなり緊張が続くに違いないが笑顔を絶やさないプロ根性はさすが。半ばでトップ10から外れた曲のDJ NONによるダンスミックスがプレイされるが、これがまたクラブでかかったらフロア爆発間違いなしの素晴らしいミックス。元曲がポップ度満点だからテクノビートによく似合う。

MCでの天然ボケっぷりと清楚な美人のイメージとのギャップが面白い。会場ロビーに並ぶポスターを見るとどれもきっか本人が落書きしたもの。きゃりーぱみゅぱみゅのヘン顔に通じる弾け方が現代っ子らしい。




リクエスト トップ10順位:
10位 ダーリンとマドンナ



9位 きっかけはYOU!



8位 水色



7位 冬空花火



6位 Early Snow



5位 ヒラヒラ星



4位 Sweetie



3位 さよなら涙



2位 Twinkle Days



1位 こんな私でよかったら



アイドルは
体力勝負
鍛えましょ

平日イベントに関わらず満員、しかも女子率が意外に高かったのが面白かった。
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パティ・スミス@渋谷オーチャードホール 2013.1.24 (thu)

2013年01月26日 00時57分29秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


パンクロックを最初に聴いたのはいつだったろうか。当時の情報源はラジオか音楽雑誌だった。特に渋谷陽一のFM番組を愛聴していたのでググったら何と1976-78年放映NHK-FM「渋谷陽一のヤングジョッキー」のオンエア・リストを発見。おお懐かしいと見ていたら1976年9月19日放送でラモーンズがかかったのがパンク初オンエア、その次に1977年2月20日にヴァイブレイターズ、テレヴィジョン、ミルクン・クッキーズ、1977年半ばからピストルズ、ウルトラヴォックス、パティ・スミス、ディクテイターズ、ストラングラーズ、ジャムなどがかかるようになる。最初に買ったテッド・ニュージェントが表紙の「ミュージック・ライフ」1977年3月号には「ロンドンで人気フットウ!セックス・ピストルズ」という記事が出ているし、同じ年(月不明)の「音楽専科」には「2大パンク激突!ブロンディ対ランナウェイズ」としてパンク紹介記事が載っていた。異論はあるだろうが一般的にはダムド、クラッシュ、ピストルズ、ジャム等ロンドン・パンク勢が続々デビューした1977年が日本に於ける「パンク元年」だったのではなかろうか。

その年の暮れ12月30日(先ほどのリストでは31日となっているがカセットにはこの日付が書いてある)同番組の年末スペシャルのエアチェック・カセットがパンクガイドとして重宝した。ザ・フー、ストゥージズに続いて流れたのがパティ・スミス「マイ・ジェネレーション」だった。荒々しいライヴ録音で"I don't need their fuckin' shit"(奴らのくそったれなお世話はいらないわ)という過激な言葉をヒステリックに叫ぶパティのヴァージョンはザ・フーが優等生に思えるほど刺激的だった。この曲は1stアルバム「ホーセズ」CDのボーナス・トラックとして聴ける。次にテレヴィジョン「ヴィーナス」がかかったのは番組の流れとしては妥当。



高校生だからレコードは滅多に買えずもっぱらラジオを聴く日々だった。当時パティの曲を他に聴いたかどうかは記憶がない。レコードで入手したのは1979年3月初の海外旅行で訪れたローマで購入した「Punk Collection」というコンピだった。ラモーンズ、ザ・ボーイズ、イーター、エレクトリック・チェアーズ、イギー・ポップ、ポリス、トーキング・ヘッズ、デッド・ボーイズ等英米混合の選曲のラストがパティの「ピス・ファクトリー」だった。ジャズっぽいピアノ演奏+詩の朗読の実験的な曲に「これがニューヨークパンクの神髄か」と納得した覚えがある。



アルバムを聴いたのは1982年貸しレコードが一般的になってからである。1st「ホーセズ」は印象的なジャケットのポートレイトと相まって激情パンクとは異質の「言葉=詩」中心のとても文学的で理知的な世界だった。大好きだったテレヴィジョンと同じ知性派ロック。丁度エリオット・マーフィーが復帰作「Affairs」「Murph The Surf」をリリースし言葉の重みに惹かれ同じニューヨークのロック詩人として相通じるものを感じた。しかし入れ替わりにパティが主婦業に専念するため隠遁してしまった。

久々にパティの名前を聞いたのは1988年9年ぶりの新曲「ピープル・ハヴ・ザ・パワー」だった。♪私達は世界を変えることが出来る 私達は地球を革命出来る 私達には力がある 人々には力がある♪という力強いメッセージは正真正銘パンク詩人の本領発揮だった。



その後再び沈黙が続き再び9年後の1997年にアルバム「ゴーン・アゲイン」を発表しデビューから22年ぶりの初来日公演を果たす。2000年代にはフジロックを始め何度か来日しているので今回の来日公演は久々という感慨はないが単独ツアーとしては10年ぶりとのこと。3.11震災後初めての来日で8年ぶりの新作アルバム「Banga」リリースと自伝「ジャスト・キッズ」と詩集「無垢の予兆」の翻訳版発売という話題が重なり気分がアガる。被災地の仙台公演は特にパティの強い希望で実現したとのこと。ツアー開始に先立ち出版記念サイン会が開催されたことは先日書いた通り。前日の渋谷AX公演はかなり激しいステージでオールスタンディングの会場全体で盛り上がった模様。レポートはコチラ

オーチャードホールは2008年9月山下洋輔出演のSymphonic NEW YORK以来4年半ぶり。前から5列目ど真ん中という最高の席。客の年齢層は高いが先日代官山に集まったようなオシャレ&ちょいワルな人が多い。ベストがプリントされたTシャツに黒ジャケット、腰にバンダナを下げたパティと4人組バンドが登場。レニー・ケイはステージで観る方が断然カッコいい。前半は比較的スロー~ミッドテンポのじっくり聴かせるナンバー中心。震災を唄った「フジサン」や♪仙台で海岸の被災地を訪れた 漁船が取り残されていた 無事だった神社に登った 潮を浴びた不毛の大地♪と唄う即興的な曲も披露。ここで唄われた"神社"はたぶん昨年秋従兄弟に連れて行ってもらった閖上湊神社のことだろう。瓦礫は片付けられていたが見渡す限り土台だけの原野が広がっていた。


33万円集まった震災募金抽選会を経てレニー・ケイ・コーナーがあり「日本にはガレージロックのファンが多いね。君たちのために演奏するよ。It's A Nugget If You Dig It!」とMCしてガレージパンクのカヴァーをメドレーで演奏。個人的にはココがハイライトだった。終盤は大ヒット曲「ビコーズ・ザ・ナイト」から「ピープル・ハヴ・ザ・パワー」まで檄を飛ばしつつライヴハウス状態でヒートアップ。

アンコールのMCで「原発が必要かどうかは我々が決める!」と言った時、官邸前デモの常連でどんなライヴでも腕組み地蔵状態の友人が突然腕を振り上げ叫び出したのが面白かった。 「ロックンロール・ニガー」~「グローリア」。最後に指でギターの弦をすべてぶち切ったパティの勇姿に会場中が大いに沸いた。66歳になってもパンク精神を貫く姿勢が眩しかった。





伝説は
生きているんだ
今ここに

5月のテレヴィジョン来日ツアーが発表された。パティ&レニー~トム・ヴァーラインと繋がるニューヨーク・ロック・サークル、あとはリチャード・ヘルとエリオット・マーフィーが来てくれればサイコーだね!

★おまけ:パティ・スミス1979年ドイツTVでのライヴ映像16曲



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ネコも満足、夢の国の旋律~ドリーム・ポップ最前線

2013年01月25日 01時03分35秒 | ロッケンロール万歳!


ビーチ・ハウスの夢の浜辺に遊んで以来ドリーム・ポップと呼ばれる音楽に心惹かれ様々なインディーロック系サイトをネットサーフィンしている。そこで判るのはまもなく来日するマイブラを始めとするシューゲイザーの影響が非常に濃いこと。そして同じく90年代に勃興したビョークやシガー・ロス、カーディガンズなど北欧産インディーロックもそのルーツとして挙げられる。

現在のロックシーンで高く評価されるドリーム・ポップ・バンドを紹介しよう。

●Deerhunter
2001年ジョージア州アトランタにてブラッドフォード・コックスとモーゼス・アーチュレッタによって結成された4人組ディアハンターはビーチ・ハウスと並ぶ現代ドリーム・ポップの代表格。マルチ楽器奏者ブラッドフォードを中心とする大海に漂うようなサウンドはシューゲイザーの文脈でも評価が高い。2008年の3rdアルバムからドリーム・ポップ/シューゲイザーの本家4ADからリリース。来日経験もある。




●Asobi Sekusu
2001年ニューヨーク・ブロンクスでユキ・チクダテ(ヴォーカル/キーボード)とジェームス・ハンナ(ギター/ベース/ヴォーカル)を中心に結成されたアソビ・セクス。ユキは両親共日本人だが幼少からアメリカで育った。ニューゲイザーの代表格と呼ばれるが自ら「ドリームポップワールド」と名乗る。轟音ギターの壁の中浮かび上がるようなキュートなヴォーカルは文字通りドリーミー。日本のヘヴィロック・バンドBorisとツアーし日本でも高い人気を誇る。




●Still Corners 
スティル・コーナーズは、グレッグ・ヒューズ(コンポーザー/プロデューサー)とテッサ・マレー(ボーカル)を中心とするイギリスのユニット音楽。残響感が強めのサイケデリックなサウンドを主体に、どこか憂鬱で儚げなヴォーカルが全体を覆う。キーボード・メインの打ち込みサウンドはドリーム・ポップの典型である。




●Grimes
グライムスことクレア・ブーシェはカナダの女性アーティスト。大学在学中から実験的な音楽の制作をはじめ、エレクトロニックやインダストリアルの影響を受けながら自身の音楽性を深める。美しい浮遊感をもつあどけないヴォーカルと無機質で乾いたテクノ・サウンドが茫洋とした広がりのある夢世界を形作る。



●Memoryhouse
メモリーハウスは2010年結成のカナダのグループ。メンバーはコンポーザーのEvan AbeeleとヴォーカリストDenise Nouvionの男女二人組。瑞々しい透明感とノスタルジーな雰囲気を漂わせる歌とオールディーズを思わせるシンプルなドラムビートにポップでカラフルなシンセが絶妙に配された新世代ドリーム・ポップ。




●Wild Nothing
ワイルド・ナッシングは、ジャック・テイタムによるアメリカのドリーム・ポップ・バンド。ケイト・ブッシュのカバーが話題となりレコード会社と契約。2010年発表のデビュー・アルバムは煌びやかなギターと清新なヴォーカルの融合が素晴らしい。



●Craft Spells
クラフト・スペルズはカリフォルニア出身のJustin Vallesterosを中心とする4人組で、現在はシアトルを拠点に活動中。70'sや80'sのポップ・ミュージックを思わせる打ち込みドラム、ふわりとしたボーカルやシンセが躍るような楽曲はどこか懐かしげな雰囲気を醸しだしている。


●Twin Sister
ツイン・シスターはニューヨーク州出身のバンド。2008年に結成しEPを2枚リリースし2011年にデビュー・アルバムを発表。ドリーム・ポップらしい甘美なメロディや雰囲気をもちながら、細かな音使いに様々な工夫が感じられるサウンドは中毒性を持つ。



●東京酒吐座(Tokyo shoegazer)
PlasticTree、殻、Presence of soul、A101といった日本のインディーバンドのメンバーにより2010年一夜限りのプロジェクトが好評につき活動継続。日本のシューゲ・シーンの代表バンドとなる。今年からZEPPET STOREのギタリストが加入さらにパワーアップした。轟音ギターと天上に遊ぶヴォーカルはまさにドリーム・ポップ。



探し物
夢の世界で
見つけたよ

マイブラの来日まで後2週間。耳を鍛えて待っていよう。
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百鬼夜行の回想録~洋楽ロック編第2回:パレ・シャンブルクと歯科大の思い出

2013年01月24日 00時32分34秒 | 素晴らしき変態音楽


タワレコの再発コーナーにパレ・シャンブルク(以下パレシャン)のデビュー・アルバムがあったので思わず購入してしまった。80年代ノイエ・ドイチェ・ヴェレの代表的バンドの彼らは昨年オリジナル・メンバーで再結成され来日公演を果たした。7月6日代官山UNITでのオールナイト公演のチケットは購入していたが、陰猟腐厭の記事で書いたように岐阜の叔母の見舞いで東京から離れざるを得ず無駄にした。音楽サイトや雑誌の記事によるとかなりいいステージだった様子。残念だが仕方ないと諦めていた。


以来すっかり忘れていたところへデラックス盤再発。LPは持っているがライヴなどレア音源集CD付きとはありがたい。リリース当時特に大きな話題になった訳ではないパレシャンだが2000年以降のクラブ・ミュージック~インディーロックの文脈で再評価され30年ぶりの再結成ツアーは若いファンが熱狂的に迎えたという。UNIT公演の模様はele-kingのレビューに詳しいのでお読みいただきたい→コチラ

「大きな話題になった訳ではない」ということを証明する資料が手元にある。1986年発行の「INDIES 世界自主制作レコードカタログ」という300ページに亘るカタログ本である。当時キャプテンレコードを主宰し気を吐いていた雑誌「宝島」と六本木に日本初のメガストアを構えレジデンツなどUSオルナタティヴ、アイシュトュルツェンデ・ノイバウテンやATATAKレーベルなどのノイエ・ドイチェ・ヴェレ、グリーン・オン・レッドやレイン・パレードなどのペイズリーアンダーグラウンドのレコードを配給していたレコードショップ&レーベル「WAVE」の共同編集によるこの本は80年代インディー盤総カタログという意義に加え当時の音楽観を知る歴史的資料として極めて有用である。日英米欧豪1500タイトル近い自主制作盤が紹介されているがその中にパレシャンは入っていない。WAVEが国内盤をリリースしていたホルガー・ヒラーのソロ「腐敗のルツボ」のコメントで触れられているだけ。ざっと眺めただけでもドイツの無名のアーティストが多数紹介されているにも関わらずである。勿論このカタログだけで当時の音楽シーン全体を判断することは出来ないが80年代最先端の音楽を紹介していた宝島とWAVEからオミットされていたことはパレシャンの一般的認知度がゼロ以下だったことを物語っているのではなかろうか。

蛇足ながらその8年後の1994年音楽之友社発行「 [アルバムガイド800] ロック・オルタナティヴ~パンク/ニューウェイヴ&80'S」では巻末のアルバム・ガイドで野田努(ele-king編集長)によるパレシャンのレビューが掲載されている。 しかしあくまで80年代ニューウェイヴの名盤のひとつという扱いであり、昨年の来日や今回の再発での「多大な影響力」「歴史的名盤」というヒステリックな程の高評価には結びつかない。21世紀に入りCAN、シルヴァー・アップルズ、クラスター、ワイアー等リリース当時低評価または無名に近かったアーティストが再評価される傾向が高いのはCD時代になり幻の作品が次々発掘・再発され最新の作品と同列に提示されたことの影響であろう。特にDJ・クラブ方面の発掘熱は凄い。そのお陰で知られざるアーティストが蘇ることは悪くない。

私がパレシャンを知ったのは1983年秋。名前も顔も何処で知り合ったのか忘れたが歯科大の学生から借りたのである。彼は二人組のバンドをやっており、美大の友人の授業の課題でプロモビデオを撮影することになりギタリストがもう一人欲しいとのことで私が出演することになった。撮影は八王子の歯科大学のキャンパスで行った。石鹸の泡で髪をモヒカンに立てて破いたTシャツで撮影に挑んだ。大学から使用許可を得たらしくボイラー室や研究室や地下倉庫などでピンスポやストロボを使って深夜まで撮影した。雨が降り折角立てた髪が萎れてしまったのを覚えている。

数週間後ビデオが完成したというので田無の彼の学生寮で観た。萎れた髪は残念だったが思ったよりプロフェッショナルな出来で感心した。私はギターを構える位置がジミー・ペイジばりに低かったので画面にギターが映らず口が半開きの表情で腕を上下させる姿が○○カキみたいだと笑われたのを思い出す。その後私の学祭でデュオをやろうと彼を誘ったが当日ドタキャンされひとりでギターノイズと歌をテープエコーで変調し楽器破壊パフォーマンスをした。以来彼とは会っていない。

彼のバンドは今思えばティアーズ・フォー・フィアーズやバウハウスっぽい耽美派エレポップだった。ネオサイケやノイエ・ドイチェ・ヴェレに詳しくエコバニのライヴテープやノイバウテンの7インチを貸してくれた。彼がおススメと貸してくれたのがパレシャンの1st LP。ノイバウテンは雑誌やラジオ/テレビで紹介されておりそれほど驚かなかったが、この名も知らぬバンドの観光写真のようなジャケットのレコードには一聴してぶっ飛んだ。硬質なファンクビートに絡み付くホーンと捩じれたドイツ語の響き。こんな音は聴いたことがなかった。音響的にも経験したことのない不思議な浮遊感がある天上の音楽。ノイバウテンに「新人類(1/2 MENSCH)」というアルバムがあるがパレシャンはいわば「異人類」。人間のようで人間じゃない異形の存在に思えた。再発CDを入手するまでデヴィッド・カニンガムのプロデュースとは知らなかったが、彼のスタジオワークでは間違いなく最高作。この一作でホルガー・ヒラーが脱退し二度とこの奇蹟が再現出来なかったのは必然である。前衛芸術とロック美学とポップ感覚が見事に融合した幸福な瞬間。ニューウェイヴが産んだ最良の果実である。それにも拘らずクラブDJが発掘するまで埋もれていた金塊(NUGGET)である。現在この捻くれまくった感性を継承する者はいるのだろうか?



ポストモダン
ニューアカデミズム
構造主義者

あのプロモビデオがまだ存在するなら是非観てみたいものである。

★おまけ:80年代日本のインディーズのレア音源がコメント欄で試聴出来ます。









コメント (3)
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一晩3人斬り~キノコホテル、パティ・スミス、リサ・ローブ 2013.1.21 (mon)

2013年01月23日 00時30分18秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


この日は3つのイベントのハシゴ。どれも女性アーティストというのが最近の当ブログの傾向に沿っていて面白い。


●キノコホテル@渋谷O-East


Guidance~導き導かれる人生~ 8th Anniversary
Live:中村達也+MASATO(HELLBENT) / アーバンギャルド / キノコホテル DJ:ALTZ

Guidance~導き導かれる人生~」というイベントは初めてだがその8周年企画が3日間開催された。その最終日となるO-East公演はキノコホテルとアーバンギャルドという応えられない組み合わせに中村達也まで出演という途轍もなくおいしいイベント。リサ・ローブがなければこれ1本で満腹だったが仕方がない。事前に出演順を確認するとキノコが最初、アーバンがトリとのことでキノコだけでも観ようと参戦した。実は1月19日(土)に渋谷タワレコのイベントで前から2列目支配人の真正面でキノコ始めをしたばかり。久々に間近で観るマリアンヌ様の眼光の鋭さとカリスマ過ぎるパフォーマンスに骨抜きにされてしまった。新従業員ジュリエッタ霧島の超絶テクに昇天。胞子として実演会は可能な限り通わねばと気を引き締めた。



アーバンギャルが多数交じり女子率の高い客層はキノコの実演会には珍しい光景。ムチと拡声器を振りながら現れた支配人に女子からも歓声が上がる。タワレコイベントは購入者対象だったので世間的には今回が仕事始め。マスコットのマリアンニャ様ぬいぐるみを手に「あけましておめでとう」と腹話術の声色でMC。カルメン・マキの「ノイジーベイビー」のカヴァーに加え、24日に対バンする戸川純を意識したのか♪~セクサロイド♪という歌詞の新曲?も披露。「#84」ではタンバリンを手に客席に乱入、目の前で床に伏して悶える支配人。ジュリエッタ加入でバカテク集団と化した新生キノコはますますグルーヴィーにロックする。今年もキノコノトリコだわ。次のイベントのために終了次第退出。物販でマリアンニャ様ぬいぐるみを求めると「たった今マリアンヌ様がお使いになったものですよ!」とのこと。これは春から縁起がいいや。アーバン始めは次の機会に。


<Setlist>
1 キノコホテルのテーマ
2 球体関節
3 ノイジーベイビー
4 もえつきたいの
5 セクサロイドM
6 悪魔なファズ
7 #84
8 キノコノトリコ



●パティ・スミス トークショー&サイン会@代官山蔦屋書店


8年ぶりのオリジナルアルバム「Banga」と共に来日ツアーを行うパティ・スミスの初の自伝「ジャスト・キッズ」と詩集「無垢の予兆」出版記念イベント。前日タワレコ渋谷でも開催されたが早々に予約締切になったので話題の代官山蔦屋で購入し参加券をGETした。開演時間ギリギリに着くと立見含め満員。トークをしているが姿は人の頭の間からチラ見、声は殆ど聞こえず。トークの最後に1曲アコースティック演奏。全然見えないけど深みのあるいい声だった。



トークショー終了後サイン会。何処で待ったらいいのか判らず佇んでいたら背の高いヒョロッとした外人男性が「Hello Hello」と言いながらウロウロしていた。今アコギを弾いていた人?ってもしかしてと思いおそるおそる「レニー?」と尋ねたら「Yes」という返事。どっひゃ~!何とレニー・ケイだよ!と感激。「あなたの監修した"Nuggets"大好きです」と口走ったら「Oh Thank you!」と言って今ギターを弾いていたピックをくれた。"LENNY KAYE"の刻印と"IT'S A NUGGET IF YOU DUG IT!"(掘ってみれば金塊かも)と記されている。ガレージパンクやヴェルヴェッツやエリオット・マーフィーのことを話したかったが咄嗟のことで頭が働かない。他のお客さんも気がついて集まってきたので記念撮影と握手をして別れた。パティにもサインをもらいホクホク。詩人らしい理知的なオーラを持った女性だった。




●リサ・ローブ@六本木ビルボードライブ東京


メガネ美人シンガーソングライター、リサ・ローブが8年ぶりのオリジナル・アルバムを引っさげて2年ぶりの来日公演。



丁度1年前2012年1月23日に同じビルボードライブ東京でスザンヌ・ヴェガの来日公演を観た。80年代にヴェガやトレイシー・チャップマンが切り開いたネオ・フォーク系女性シンガーソングライターの流れを汲むアーティストが90年代次々登場したことは昨年9月「ハーフコインの花園~90's女性シンガーソングライター特集」で紹介した通り。1994年レコード会社未契約で全米No.1ヒット放ち話題になったリサ・ローブも90年代女性SSWの代表格である。当時活躍したアーティストの多くが現在も健在で活動しているのはアコギ1本で演奏出来るシンプルさと歌詞のメッセージの普遍性故である。リサのライヴを観るのは初めてだが1997年スザンヌ・ヴェガの東京公演にたまたま同時期に来日していたリサがゲスト出演したのを観た記憶がある。ライヴは観てなくてもメガネが素敵なリサの顔は当時洋楽を聴いていた人なら印象深いに違いない。「ステイ」「アイ・ドゥ」「トゥルースフリー」「ドゥ・ユー・スリープ?」といったヒット曲はラジオやMTVでもよく流れ心に刻み込まれている。



2000年代はポップシンガーとしての活動と平行して子供のためのプロジェクト「キャンプ・リサ基金」を設立し子供達にサマー・キャンプ体験の機会を与えると共に子供向けの楽曲作りをしてきた。またトレードマークを活かして「リサ・ローブ・アイウェア」というメガネブランドもやっている。そんな訳で20年近い活動歴にしてはオリジナル・アルバムは5作と意外に寡作である。

新作「ノー・フェアリー・テイル」はメロコア・バンド、ニュー・ファウンド・グローリーのチャド・ギルバートをプロデューサーに"poppy-punky-rock album"として制作された。この日のステージにはジョニー・サンダースで有名なレスポールTVモデル(色は茶色)で登場しG,B,Dsのロックトリオをバックに堂々としたアメリカン・ロックを聴かせてくれた。途中でアコギに持ち替え往年のヒット曲を連発、独特の鼻にかかった甘い歌声とトークに満ちた70分のステージをを堪能。



ビルボードライブにはベテランの洋楽アーティストが多数出演するが毎回その演奏力の高さに感嘆する。単に年配ファン向けというだけではなく質の高さ・現役感を備えたアーティストを厳選していることがよく分かる。終演後にサイン会が開催されることが多いのも大きな魅力。リサに1年前ここでスザンヌ・ヴェガを観たことを話すと「彼女には15年前に日本で会ったわ」と当時を覚えていたのが嬉しかった。

一晩で
女性ロッカー
三世代

2013年もやはりガールズ・アーティストから目を離せない。



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ビーチ・ハウス@恵比寿リキッドルーム 2013.1.20 (sun)

2013年01月22日 00時59分32秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


BEACH HOUSE
JAPAN TOUR 2013
GUEST:DUSTIN WONG

ボルティモア出身のドリーム・ポップ・デュオ、ビーチ・ハウス待望の単独ツアー!

2000年代以降興味が日本のロック中心になり洋楽ロックを疎かにしてきたのでインディーロック、ポスト・ロックについては余り詳しくないのだが、ゴッド・スピード・ユー!ブラック・エンペラー、アニマル・コレクティヴ、クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー、マキシモ・パーク、ヤー・ヤー・ヤーズなど気になったバンドはチェックしていた。また2011年のインディーロック・フェス「I'll Be Your Mirror」で多くの未知のバンドに触れたのもいい体験だった。

一昨年から渋谷WWWに行く機会が増え、そこで入手した「THE RAY」というフリーペーパーの21世紀インディーロック中心の記事作りに驚いた。メジャーな音楽誌が若者の活字離れを意識して年配ファン向けの誌面作りにシフトしたことが私の洋楽離れに拍車をかけたのだが、THE RAYはメジャー誌が見捨てた"今この時代の"アーティストだけ取り上げている。さらにフリーペーパーにしては豪華過ぎるオールカラーで広告が一切掲載されていない。度々糾弾されてきた音楽誌の広告と記事の癒着問題から完全にフリーである。一体どのように収入を得ているのか不思議だが素晴らしい写真も含め作り手の情熱と愛情が溢れた内容は若いロックファンの心を鷲掴みにするに違いない。THE RAYのWeb版が読めるインディーロック情報満載サイトはコチラ

THE RAYを参考に輸入盤店の試聴機でインディーロックの新譜をチェックしていて出会ったのがビーチ・ハウスだった。女性ヴォーカルのヴィクトリア・ルグランは名前が示すようにミシェル・ルグランの姪だという。CDショップのコメントに「2000年代後半のドリーム・ポップムーブメントの中心的なバンド」とありその括りに興味を惹かれたのは昨日のブログに書いた通り。昨年発売された最新作「Bloom」はポストモダンなジャケットとその真逆を行く叙情的でメロウなサウンドの組み合わせが如何にもポスト・ロック的。このアルバムがビルボードの7位にランクインしたことはアメリカの音楽市場の変容を如実に物語っている。デヴィッド・リンチの不条理ドラマのようなPVを観ても今ひとつ実態が判らず絶好のタイミングの来日公演を楽しみにしていた。


全米TOP10ヒットとはいえメジャー音楽誌からは無視されラジオやテレビで紹介される訳でもない彼らが1000人キャパのリキッドルームを埋められるのかと思ったら何とチケットはSold Out。客層は明らかに20代中心の小綺麗でオシャレな若者が多い。男女比は半々。

サポートアクトはビーチ・ハウスの全米ツアーでもオープニングを飾ったというダスティン・ウォング。一見ミュージシャン風じゃない地味な青年がテレキャスを抱えて登場しいきなり日本語でMCを始めたので外人名を芸名にした日本人アーティストかと思ったが後でググるとハワイ生まれの韓国系アメリカ人で幼少から日本で育ったとのこと。大学進学でボルティモアに移りアヴァン・ロック・バンド、ポ二ーテイルで活動、ボアダムズを引き合いに評価されたという。一昨年からソロ活動を開始。一台のギターに様々なエフェクターをかけてループさせ分厚いアンサンブルを展開する奏法に唖然とする。ほぼインストだが熊追い歌のようなヴォイスも聴かせる。1970年代にマイク・オールドフィールドがスタジオに引きこもり2400回のダビングを重ね作り上げたサウンドがたったひとりでライヴで再現されることに驚愕。まさにテクノロジーの進化を武器にした新世代=ポスト・ロック。この音楽を言葉にしようにも江戸時代の人がパソコンを語るのと同様にそもそも共通言語がないことに気づく。40分に亘る演奏に大きな拍手が沸いた。



いよいよビーチ・ハウスの登場。ステージ左からアレックス・スカリー(G)、ヴィクトリア・ルグラン(Vo.Key)、サポートドラマーの3人だけのシンプルな編成。後ろから照明が照らされシルエットになったメンバーの表情は判らず仕舞い。生ドラムがいるのにチープなリズムマシンを使うのはポスト・ロック的拘りだろうか。興味深いのはオーディエンスの反応。曲を熟知している様子でイントロが始まった途端に歓声が上がるのだ。ビーチ・ハウスがレンタルCD店にあるとは思えないのでCDを買うかダウンロードするかでアルバムを聴き込んでいることが判る。若者の音楽離れが指摘されCDが売れないという嘆きが聞かれて久しいが少なくともこの日集まった1000人の若者は熱心なロックファンなのだと実感。CDより肉感的で色気のある演奏で深く沈み込むスローナンバーばかりなのにヴィクトリアが時々髪振り乱してヘッドバングするのが興味深い。日本ツアー用に用意したというキラキラ光る衣装も面白い。もしかしたら彼女はハードコアパンクやデスメタル好きなのかも知れない。



現代ドリーム・ポップの深遠な世界に触れると共に静謐なサウンドの裏に潜んだ熱い情熱が感じられるライヴだった。

燃えている
夢の世界の
海の家

今日もCDショップで未知のインディーロックを漁るとしようか。

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