山本精一さんのBar Isshee3ヶ月連続ライヴの最終回。「完全ギターインプロヴィゼーション」~「弾き語り」ときて最後は「カバー曲歌唱LIVE」。友人から精一さんのカバー曲は替え歌の歌詞が面白い、と聞いていた。過去2回は事前予約制でどちらもすぐにSold Outになったが、今回は精一さん本人の意向で予約制ではなく、入場順をくじ引きで決めるというゲーム感覚を取り入れた方法に。ただしくじ引きに参加するためには当日17:00にBar Issheeに集合しなければならない。仕事中なので諦めようかと思っていたが、会社のある青山一丁目から渋谷までは10分もかからないので、やりくりして仕事を中抜けしくじ引きに参加できるよう調整した。地下鉄でTAKE's Home Pageの管理人のタケダ氏に会う。彼もくじ引きに向かうところだった。
Bar Issheeには30人くらい並んでいた。いつもライヴで会う馴染みの顔がちらほら。驚いたことに8割は男性。精一さんには女性ファンも多いはずだが場所柄かくじ引き時間が都合悪かったのか?一人一名分しかくじ引き出来ないので全員が「おひとりさま」である。知り合いと世間話をするのが躊躇われるほどの静けさだ。店長のイッシーさんはくじ引き用にわざわざおもちゃのビンゴゲームを用意していて遊び感覚たっぷり。意気込んでボタンを押したら一回目は失敗。再度トライして出た番号は49番。くじは50番まで準備していたようだからほぼ最後の入場順だ。渋谷に来たついでにシアターN渋谷に寄って映画「ドキュメント灰野敬二」の前売り券を購入。フライヤーと同じ写真があしらわれた素敵なチケットにときめく。
それにしても狭いBar Issheeに50人も入れるのだろうかとツイートしたらイッシーさんから"前回が43人。今日はこんな感じで大丈夫かと。"と送ってきたのがこの写真。なるほど、考えたね~。体育座りで精一さんを観賞するのもオツかも。
そのまま会社へ戻り、中抜けした分余計に仕事をこなす。
19:30に再び渋谷へ。先ほどと同じく観客が階段に並んでいる。各自本を読んだり携帯を弄ったりしているが、一切会話がなくライヴ待ちの列とは思えない不思議な状況。開場時間を過ぎてもサウンドチェックが続いていて、15分押しで入場開始。イッシーさんひとりで受付とドリンク・オーダーをこなすのでなかなか前へ進まない。まあ精一さんのライヴだしのんびりしようと覚悟を決める。予想通り私が最後尾。まだ隙間があるかと店の奥へ行くとちょうど精一さんの椅子の真ん前に一人分のスペースがある。残り物には福がある、と遠慮なく座り込む。最後に入場して最高の席をゲット。普通なら先に来た他のお客さんの顰蹙を買うところだが、くじ引きだから誰も文句を言わない。
照明が前回同様最小限に落とされ、精一さんが登場。"今日は今まで一度しか歌ったことのない歌とか珍しい曲をたっぷりやります"と言ってアコースティック・ギターでトム・パクストン/日本語詞:高石ともやの曲でスタート。優しい歌声に聴き入る体育座りのお客さん達。1960年代末~70年代半ばのフォークソング中心に、重ねた譜面から順番に抜き出して歌う。3曲目からはエレキ・ギターに持ち替え、時にディストーションやエコーをかけての演奏。「あの素晴らしい愛をもう一度」、"この曲分からへん"と言いつつ歌った「殺し屋のブルース」、革命歌でソ連国歌の「インターナショナル」では"左翼の方は一緒に歌いましょう"と笑いを取り、そこからプロテスト・ソング大会に突入。ピート・シーガー/日本語詞:中川五郎、五つの赤い風船、弘田三枝子、はちみつぱいと続く。曲間のMCでは"時代が僕にこういう歌を歌わせるのでしょうか""徴兵制の復活とか言ってる人がいるけどよく考えんとあかん"など右傾化する社会への不安を語る。アンコールではヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニール・ヤング、早川義夫などその時代の曲に混じって"この曲メチャクチャ難しいねん"とスピッツの「ロビンソン」を歌ったのには驚いた。そういえば10年程前スピッツのトリビュート・アルバムに羅針盤で参加してたっけ。今回の選曲の中では浮いていたがスピッツの曲の素晴らしさを再認識した。ラストのアメリカ公民権運動テーマ・ソング「ウィー・シャル・オーヴァーカム」では間奏で「君が代」をジミヘンばりに演奏。
演奏が終了しイッシーさんが最近問題になっている風営法によるクラブ摘発に関する反対署名への協力をアナウンスすると、いきなり精一さんが"今何時?10時か。じゃあ踊ろう。"と再びギターをかき鳴らす。精一さんは大阪のライヴハウス難波ベアーズの店長なのでクラブへのガサ入れは他人事ではない。暫く風営法に関する話で盛り上がる。実際ベアーズにも警察から"ミラーボールはあるか?"という問い合わせが入ったという。そこかよ!と笑ってしまうが実はベアーズにはミラーボールがあるとのこと。ジム・オルークがミラーボール無しでは歌えないらしい(笑)。その後も橋下大阪市長への愛憎入り交じった気持ちや、JOJO広重さんや大友良英さんのことなどここには書けない熱い話が20分余り続いた。
帰りに精一さんに挨拶しブログに何処まで書いてもいいですか、と尋ねると"ネタバレや余りヤバい話はオフレコで"とのこと。演奏曲について確認しようと思ったが精一さんの気持ちはすっかり風営法に行ってしまっていて音楽の話は一切出来なかった。
[6/7追記]
<Set List> thanks to TAKE's Home Page
1.ランブリング・ボーイ(トム・バクストン 詞:高石ともや)
2.私に人生といえるものがあるなら(アメリカ民謡 高石ともや)
3.冬のサナトリウム(あがた森魚)
4.トラベシア(ミルトン・ナシメント 詞:鈴木慶一)
5.あのすばらしい愛をもう一度(加藤和彦・北山修)
6.殺し屋のブルース(中川五郎)
7.インターナショナル(日本語詩版)
8.腰まで泥まみれ(ピート・シーガー 詞:中川五郎)
9.まぼろしのつばさと共に(五つの赤い風船)
10.砂に消えた涙(弘田三枝子)
11.ぼくの倖せ(はちみつぱい)
12.野の人の野のうた(ラヴジョイ)
(アンコール)
13.Candy Says (Velvet Underground)
14.Don't Cry No Tears (Neil Young)
15.ロビンソン(スピッツ)
16.サルビアの花(早川義夫)
(再アンコール)
17.さらば恋人(堺正章)
18.We Shall Overcome(ピート・シーガー)
アブナいよ
ライヴハウスが
潰される
精一さんは6/24(日)に東高円寺UFO CLUBに出演するが、かなり面白い企画を考えているらしい、とだけ書いておこう。乞うご期待!