A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【私のドクターズ・オブ・マッドネス溺愛史】第2回:『虚構の美学』『修正論:狂気の医師団1975-1978』

2016年08月31日 01時55分46秒 | 素晴らしき変態音楽


80年代半ばにロックの情報を入手する手立ては雑誌とラジオと口コミしかなかった。日本盤が2枚出たとはいえ、殆ど話題にならないまま解散したドクターズ・オブ・マッドネスの情報がメディアに載ることはなかった。「NME」「SOUNDS」「Melody Maker」といったイギリスの音楽新聞を購読することなど貧乏学生には夢のまた夢だった。だからその当時、ドクターズが何枚レコードをリリースしたかすら筆者が知っていたとは思えない。だから『ドクターズ・オブ・マッドネスII』という邦題でリリースされた2ndアルバム『Figments Of Emancipation(虚構の美学)』を入手できたのは、中古レコードハンティング中に遭遇した幸運だったと言っていい。

●ドクターズ・オブ・マッドネス『虚構の美学』
Doctors Of Madness / Figments Of Emancipation (Polydor Japan 1976)
(1984.10.5/¥1400/新宿Disk Union)


レコード漁りは常に一人で行っていたが、この日は珍しく友人と二人で新宿にレコードハンティングに出かけた。最初に行った西新宿KINNIEでツァムラ・マンマズ・マンナのスウェーデン盤2枚組LPを6000円出して購入した筆者の財布はあっという間に軽くなり、出来たばかりの東京ディズニーランドで稼いだバイト代で高価なヨーロッパ盤を何枚も買う友人を羨ましく眺めるだけだった。西新宿を何軒か見終って友人も満足したが、せっかく新宿に来たのだからと、ついでに寄った東口のディスクユニオンでこの青いジャケットと出会ったのである。見慣れた『精神錯乱』のジャケットと同じタッチのイラストに電撃ショックを受け、電車代とお茶代を除いた全財産1400円で購入したのである。今度はちゃんと解説書が付いていて、やっとドクターズの経歴が明らかになると内心興奮しながら帰宅して、ザムラそっちのけでプレイヤーにセットしたレコード盤から流れ出したドクターズ・サウンドにゾクゾクしながら解説を読み耽った。

多くのファンが最高傑作に挙げる『虚構の美学』はジャケット通りのパラノイアックな世界観が全開した完成度の高さが魅力だが、筆者にとっては1st『精神錯乱』が最も好きなアルバムである。バイオも歌詞も判らないまま音だけで想像を膨らませた聴取体験は「自殺の町(Suicide City)」への入口だったのかもしれない。『精神錯乱』の裏ジャケットに書いてある「This Record to be played with the gas full on.(このアルバムはガスを充満させて聴くこと)」というクレジットが、「このアルバムを聴きながらガス自殺しろ」という意味だと知ったとき、ドクターズと出会って絶望から救われたのは自分だけじゃないと確信した。

doctors of madness - suicide city



●ドクターズ・オブ・マッドネス『修正論:狂気の医師団1975-1978』
Doctors Of Madness – Revisionism / The Doctors of Madness: 1975-1978 (Polydor Special Price 2478 146)
(1985.6.18/新宿EDISON UK)


『虚構の美学』を購入した1ヶ月後に80年のリチャード・ストレンジ(キッド・ストレンジ)のソロ・アルバムを手に入れて、ドクターズが既に解散したことを知ったのだと思う。しかし実際に何枚のアルバムをリリースしたのか確信が持てないでいたところ、プログレ専門店だった新宿EDISON UKの2階の格安盤コーナーで出会ったのがドクターズのベスト盤。裏の解説を読んで、彼らが3枚のアルバムを残して解散した事実を理解したのである。KIDの文字型ギターを構えるキッド・ストレンジの勇姿はアメリカの変態バンド、チューブスを彷彿させるパラノイアぶりである。収録曲は全曲3枚のアルバムからの選曲で、未発表曲やレア・ヴァージョンはないが、長尺ナンバー「メインライン」がA面1曲目とB面ラストに分割エディットされているのが新鮮。曲目が2003年の来日ライヴのセトリとかなり重なっているので、おそらく活動当時のライヴ・フェイヴァリットを集めたものと思われる。3枚のアルバムはそれぞれ個性が異なり、1stと2ndはメドレーで組曲風の構成になっているが、こうしてバラして並べてみると、ドクターズ・カラーに彩られた世界観があぶり出しのように浮かび上がる。これは単なるベスト盤ではなく、パンク革命の影に葬られようとしていたドクターズ・オブ・マッドネスの名誉回復を目的とした修正論に他ならない。なお、『修正論:狂気の医師団1975-1978』という邦題は筆者の妄想である。

Doctors of Madness - Mainlines


ドクターズ
まだまだ続く
回顧録



【ドクターズ・オブ・マッドネス来日公演まであと4日】



“ゴッドファーザー オブ パンク” from London!!
Doctors of Madness Japan Tour 2016

日程
9/3(土)新代田FEVER (イベント出演)
9/5(月)渋谷ラストワルツ
9/7(水)京都西院ウーララ
9/8(木)京都西院ウーララ
9/11(日)新宿JAM

チケット予約、お問い合わせ
sisterpaul@jcom.home.ne.jp
https://www.facebook.com/sisterpaul
https://twitter.com/MACKii1234



★9/3(土) 新代田FEVER "ROCK市ROCK座"
フリマ15:00~、ライブ16:00~
前売り3,000円 当日3,300円
※イベント出演。プロモーションでショートライブを行います。

★9/5(月) 渋谷ラストワルツ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Cuddly ToyZ
キンキーサロン
DJ: Tsuneglam Sam & Keiji Ronson

★9/7(水) 京都西院ウーララ
18:15オープン/18:45スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
カチコチ虫
HONEY MAKER
リキッドスクリーン
DJ: マーチン(夜想)

★9/8(木) 京都西院ウーララ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Hamah Moh
Baby Dolls
DJ: メリケン

★9/11(日) 新宿JAM
18:00オープン/18:30スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Flashlights
Anisakis
BabyBlue
DJ

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【私のドクターズ・オブ・マッドネス溺愛史】第1回:『精神錯乱』『サンズ・オブ・サヴァイヴァル』

2016年08月30日 01時56分04秒 | 素晴らしき変態音楽


筆者が初めてドクターズ・オブ・マッドネスのレコードを買ったのは1981年2月16日吉祥寺TONYという中古レコード店(神保町TONYの支店)だった。76年のデビューLP『精神錯乱』の帯なし国内盤で1000円。発売から5年経っており何処にも彼らの情報はなかった。それにも拘らず何故このレコードを買ったかと言うと、イラストの4人の不敵な面構えにパンクっぽさを感じたことはもちろんだが、解説カードが半分千切れていて、バンドの写真と曲目しか入っていなかったのを見て、そうとは知らずに「国内盤なのに解説も歌詞も付いていないとは何と大胆不敵(=パンク)な!」と興味を惹かれた、という勘違いが大きな理由だった。幼い頃からの謎を求める性向がもたらした偶然の出会いと言ったら美化し過ぎだろうか。

●ドクターズ・オブ・マッドネス『精神錯乱』
Doctors Of Madness / Late Night Movies, All Night Brainstorms (Polydor Japan MPF 1008 / 1976)
(1981.2.16/¥1000/吉祥寺TONY)


謎のパンクバンドを見つけたとワクワクしながらターンテーブルに乗せて針を落として飛び出した1曲目のヴァイオリンロック「ウェイティング」には興奮したが、残りの曲はパンクらしくないフォーク調のスローナンバーばかりで戸惑いを覚えた。しかし謎めいたこの4人組の世界を理解しようと聴き込むうちに、キッド・ストレンジの独特の訛のあるヴォーカルに魅了されて行った。B面最後の15分に亘る「メインライン」の途中の、演奏が徐々にフェードアウトして無音になった瞬間に叩き出されるブレイクには、何度聞いても驚いて心臓がドキドキしてしまう。歌詞カードがないので自分で聞き取ろうとして、"Mainline Resistance is Low"というコーラス部を"〜Love"と聞き違えて<抵抗の本道は愛である>というロマンティックな曲だと思っていた。本当は<麻薬注射への抵抗は低いものだ>という絶望的な歌だと知ったのは92年にCD化されたときだった。

Doctors of Madness - Waiting



●ドクターズ・オブ・マッドネス『サンズ・オブ・サヴァイヴァル』
Doctors Of Madness / Sons Of Survival (Polydor Super 2383 472 / 1978)
(1984.4.19/¥1400/新宿Disk Union)


次に手に入れたドクターズのアルバムは78年の3rdアルバム。実はこのアルバム・ジャケットは吉祥寺コスモビルの2Fにあったレコード舎という輸入レコード店のパンクコーナーの主として馴染みがあった。レコード舎に通い始めたのは78年頃だから新譜として入荷したのだろう。他のパンクのジャケットに比べ、何となく年寄りに見えて買う気はなかったが、いつまでも売れずに残っていた。そのレコードがドクターズの物だと認識したのはこれまた5年後の84年のことだった。どうも僕は5年遅れでドクターズと出会う運命らしい。1stに比べてスローナンバーが少なく、パンキッシュな曲が多かったので、パンク少年にとっては喜ばしいアルバムの筈だが、当時の筆者はすでにパンクやニューウェイヴよりもサイケやプログレに興味が移っていたので、狂喜乱舞とは行かなかった。それでも陰影の深いヴァイオリンの音色と、労働階級訛り丸出しのヴォーカルには、ネオサイケにはない不気味なダークネスを感じて愛聴した。裏ジャケのクレジットに、歌詞が知りたい場合はマネージメントオフィスに問い合わせるよう書いてあるのに気がついたが、古いアルバムだからと諦めるしかなかった。92年ポリドールのCDには不完全な聞き取り歌詞と対訳のみ、2009年のエアー・メイル・レコーディングの紙ジャケには英詞のみ。次回再発の際には完全な対訳を望みたい。また、このアルバムだけ邦題が付いていないのが残念でならない。今なら『生存衝動』という日本語タイトルをつけたいところである。

Doctors Of Madness - Sons Of Survival


ドクターズ
来日記念の
連載です






“ゴッドファーザー オブ パンク” from London!!
Doctors of Madness Japan Tour 2016

日程
9/3(土)新代田FEVER (イベント出演)
9/5(月)渋谷ラストワルツ
9/7(水)京都西院ウーララ
9/8(木)京都西院ウーララ
9/11(日)新宿JAM

チケット予約、お問い合わせ
sisterpaul@jcom.home.ne.jp
https://www.facebook.com/sisterpaul
https://twitter.com/MACKii1234



★9/3(土) 新代田FEVER "ROCK市ROCK座"
フリマ15:00~、ライブ16:00~
前売り3,000円 当日3,300円
※イベント出演。プロモーションでショートライブを行います。

★9/5(月) 渋谷ラストワルツ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Cuddly ToyZ
キンキーサロン
DJ: Tsuneglam Sam & Keiji Ronson

★9/7(水) 京都西院ウーララ
18:15オープン/18:45スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
カチコチ虫
HONEY MAKER
リキッドスクリーン
DJ: マーチン(夜想)

★9/8(木) 京都西院ウーララ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Hamah Moh
Baby Dolls
DJ: メリケン

★9/11(日) 新宿JAM
18:00オープン/18:30スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Flashlights
Anisakis
BabyBlue
DJ

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【来日直前インタビュー】リチャード・ストレンジ(ドクターズ・オブ・マッドネス)

2016年08月29日 00時54分49秒 | 素晴らしき変態音楽


ドクターズは常にリアルライフ(現実の生活)を歌って来た。精神錯乱、政府の統制、革命、反抗などをね。
〜リチャード・ストレンジ(ドクターズ・オブ・マッドネス)

来日直前インタビュー
RIchard Strange of Doctors Of Madness
2016.8.25 メールにて/質問作成:剛田武 Takeshi Goda

1. 前回(2003,2004年)の日本ツアーで最も印象に残っていることは何ですか?

僕にとっては、日本ツアーの実現に至る経緯のすべてが心に残っているよ。当時、ドクターズ・オブ・マッドネスの他のメンバーとは何年も会っていなかった。1978年に解散して以来バンドとして演奏したことはなかったからね。そこへキャプテン・トリップ・レコードがドクターズのラスト・ライヴの音源をリリース出来ないか、とコンタクトしてきて、契約を結んだ。すると続けて日本ツアーは出来ないかと聞いてきた。僕は、他のメンバーとは連絡が取れないけど、友人のマルチ楽器奏者デヴィッド・コールターと一緒にアコースティック編成で日本ツアーをしたい、と伝えたんだ。

デヴィッドと僕がツアーのためのリハーサルを始めたところへ、東京に僕らの曲を全部知っているバンドを見つけた、という連絡が届いたんだ。それがシスター・ポールだった。僕は嬉しくて、きっと素敵な冒険になるに違いないと思い、挑戦を受け入れることに決めて、デヴィッドとふたりで日本へ旅してシスター・ポールに会った。彼らは素晴らしかったよ!僕が書いた曲をすべて知っていて、曲にピッタリのエナジーとダイナミズムで演奏してくれた。最初の2003年のツアーの翌年2回目のツアーが続いた。全てのショーがとてもい楽かったし、オーディエンスはとても親切だった。

2. ドクターズ・オブ・マッドネス以外の活動歴を教えてください。

1978年にドクターズが解散して以降、僕はエキサイティングで挑戦し甲斐のあるプロジェクトにたくさん関わってきた。ワンマン・ショーは『The Live Rise of Richard Strange』 (1980 ZE Records/PVC Records)と『The Phenomenal Rise of Richard Strange』 (1981 Virgin Records)という2枚のアルバムになった。ロンドンのソーホーで『キャバレー・フューチュラ(Cabaret Futura)』というミックス・メディア・ショーのクラブをオープンし、1981年から83年にかけて、最初期のデペッシュ・モード、ソフト・セル、ザ・ポーグス等が出演した。プロデューサーとして、Way Of The West、トム・ロビンソン、The Nightingalesのレコードを制作した。

それから俳優になり(今でも俳優だよ!)、『モナリザ』(86)、『バットマン』(89)、『ロビン・フッド』(91)、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(02)、『ミスター・ロンリー』(07)、『ハリー・ポッター・シリーズ』(01~)などの映画に出演した。役者として1989年に来日し、東京・銀座セゾン劇場や札幌でウィリアム・シェークスピアの『ハムレット』の舞台公演に出演した。

リチャード・ストレンジ&ジ・エンジン・ルームというバンドで2枚のアルバム『Going Gone』(1986 Another Side/Interphon)と『The Rest Is Silence』(1989 Ausfahrt)をリリースし、シングル「Damascus」がヨーロッパとイスラエルでヒットした。
ドイツの"ワールド・ミュージック"バンドのインターナショナル・ノイズ・オーケストラの2枚アルバム『Listen To The Earthbeat』(1987 Ausfahrt)、『The Dark And Bright Side Of The Globe』(1989 World Music)にゲスト参加した。

2001年に自叙伝『Strange- Punks and Drunks and Flicks and Kicks』を著し、音楽、演劇、映画、イベント企画、実演、作曲といった多種多様な芸術形態で活動するアーティストとしての自分の人生を書き綴った。

歌手としては、最近はアメリカの有名なプロデューサー/アレンジャーのハル・ウィルナーがオーガナイズした一連のコンサートに参加している。特に有名なのはジャーヴィス・コッカーのメルトダウン・フェスティバルの一部としてロイヤル・フェスティバル・ホールで開催されたウォルト・ディズニーの曲を歌うプログラム『Stay Awake!』。このショーは、ニューヨークでも、グレース・ジョーンズ、ニック・ケイヴ、スティーヴ・ブシェミ、ピート・ドハーティ(The Libertines、Babyshambles)、シェイン・マガウアン(The Pogues)、ジャーヴィス・コッカー、ベス・オートン等が出演して公演が行われた。

また、2008年7月にロンドン・バービカン・シアターで開催されたウィルナーの『Rogues Gallery~海賊の歌の夕べ』にティム・リボンズ、シェイン・マガウアン、マーサ・ウェインライト、スザンヌ・ヴェガと一緒に出演した。ハル・ウィルナーがプロデュースした同名アルバム『Rogues Gallery』(2006)にもジョリー・ホランドとデュエットした『Grey Funnell Line』で参加した。

2006年にドクターズのストーナー(b)と再会し、ザ・アドヴァーツのTVスミスも一緒に数回コンサートを行った。TVスミスとは1978年にアルバム用の曲を共作した間柄だ。

One Chord Wonders - TV Smith, Richard 'Kid' Strange & Stoner


コンテンポラリー・ダンス・カンパニー「プロテイン・ダンス」のために楽曲制作を行っている。2010年、30年ぶりにミックス・メディアの草分け「キャバレー・フューチュラ」を再開した。2011年にグラスゴーでの「ニュー・テリトリーズ・インターナショナル・フェスティバル・オブ・リヴィング・アート」でキュレーターを務めた。

一方で月に一度ソーホーの聖バルナバス教会で主催している『A Mighty Big If(とてもでっかい”もしも”)』というくだけた雰囲気のトークショーは、ロンドンの芸術文化ガイドで人気イベントとして定評がある。最近のゲストは、映画監督のマイク・フィッギス、作曲家のマイケル・ナイマン、演劇の巨匠ロバート・ウィルソン、プロデューサー/作曲家のナイル・ロジャーズ、ゲイリー・ケンプ、マーク・アーモンド、ピーター・キャパルディ、ブライアン・コックス、そして芸術家のコーネリア・パーカー、リチャード・ウィルソン、ギャヴィン・タークなど、それぞれの分野の巨匠たち。

2012年にハリウッド映画『ダーク・ハーツ 紅く濡れた裸婦(Dark Hearts)』のエンディング・テーマ曲を委嘱され、「Blood Brother」を提供した。映画は2012年カンヌ国際映画祭で上映された。

Dark Hearts The Richard Strange song "Blood Brother" plays through the closing credits of this film.


僕が新進気鋭の芸術家ハルーン・ミルザ(Haroon Mirza)とコラボレーションして制作したアート作品「A Sleek Dry Yell」は、2012年に国立現代美術協会(Contemporary Art Society)が購入し、現在イギリス各地のアート・ギャラリーで巡回展が行われている。

Haroon Mirza-Richard Strange A SLEEK DRY YELL Hamburg Perf.m4v


教育・学問の世界への参加が増えていて、ロンドンのインスティテュート・オブ・コンテンポラリー・ミュージック・パフォーマンス(ICMP)で学士課程の学生に創造的音楽演奏を教えていて、国立音楽教育プログラム「ミュージック・フォー・ユース」の教師もしている。国外では昨年「香港デザイン協会(HKDI)」の給費派遣研究員に昇進した。そこでは講義をと共同制作プロジェクトを担当している。僕はまた国内に350人しかいない「高等教育アカデミー」の博士研究員でもある。

2013年にフランク・ザッパの『200モーテルズ』のイギリス初演にナレーターとバリトン歌手で出演した。超満員のロイヤル・フェスティバル・ホールで公演し、あらゆるメディアで賞賛された。バービカンで開催されたハル・ウィルナーによるフェリーニ映画の作曲家ニーノ・ロータへのトリビュート公演『アマコルド』に、マーク・アーモンド、ニティン・ソーニー、ケイト・セント・ジョンと共に出演した。

作曲家のギャビン・ブライヤーズとのコラボレーション・プロジェクト『Language Is A Virus From Outer Space(言語は外宇宙からのウイルスである)』はウィリアム・バロウズの人生と作品に基づいたカンタータだ。バロウズ生誕100年にあたる2014年10月11日にロンドンのクイーン・エリザベス・ホールでの世界初演は、ソールドアウトでスタンディングオベーションを受けた。僕自身が想起し、キュレートし、共作し、監督したこのショーは、長年のドクターズ・ファンであるデフ・レパードのジョー・エリオット、ギャヴィン・ターク、サラ・ジェーン・モリス、ルパート・トムソン、ジェレミー・リード、ハルーン・ミルザ、アンニ・ホーガン、デヴィッド・コールター、セブ・ロッシュフォード、そしてドクターズ・オブ・マッドネスが出演した。イベントを記録した長編フィルムを現在編集中で、今年中にリリースしたいと思っている。

Doctors of Madness reunion with Joe Elliott


3. アーバン・ブリッツと再会したきっかけは?彼はドクターズ解散後どうしていたのでしょうか?

先述したウィリアム・バロウズのイベントのために、ドクターズの他の3人のメンバーに一夜限りの再結成を持ちかけることにしたんだ。70年代初期にバンドを結成した時に僕らはウィリアム・バロウズから膨大な影響を受けたからね。嬉しいことに3人とも熱心に協力してくれて、一回限りのショーの為にリハーサルと演奏をしてくれた。3人の女性コーラス・シンガーを決めるのに侃々諤々の論議をして、リリバッド・ディアスリ−、サラ・ジェーン・モーリス、イジー・ワーナーに決まった。ライヴでは8曲演奏した。「Doctors of Madness」, 「Billy Watch Out」,「Suicide City」 (ジョー・エリオットがステージに登場して僕とデュエットした)、「Mitzi's Cure」、「Sons Of Survival」, 「Triple Vision」そして「Marie and Joe』。

アーバン・ブリッツはドクターズ解散後、建築業界でエンジニアとして技術面の仕事をしていた。

with Joe Elliott at the William Burroughs show


4. 1975年にドクターズを始めた頃、40年後もドクターズとしてライヴをしていることを想像しましたか?

他の多くのミュージシャンと同じように、ドクターズを結成した頃は、2年より先のことは何も期待していなかった。誰もロックミュージックがどこへ行くのか知らなかったし、自分の一生のキャリアに成り得るのか判らなかった。1975年にセックス・ピストルズが僕らのサポートをしたときに、僕は何か新しいことが起こっていることを感じたんだ。後に「パンクロック」として知られるようになる音楽の要素の多くは、実際はドクターズが発明したものだった。だけど僕らは、ピストルズ、クラッシュ、ジャム、バズコックス、ダムド、アドヴァーツや彼らを取り巻くキッズに比べて年上の世代だったんだ。そんなバンドの多くは僕らのファンや友達だったんだけどね。僕はダムドのデイヴ・ヴァニアンの結婚式の介添人だったし、アドヴァーツのTVスミスとは一緒に曲を作った。ジャムは何度もドクターズのサポートをしたし、ジョイ・ディヴィジョン、スキッズ、シンプル・マインズもそうだった。

振り返ってみれば、ドクターズが彼らのように商業的に成功しなかったことは、幸運だったと思う。だってロックンロールだけしか経験できなかったら、こんなに面白く、やり甲斐があり、楽しめる人生を送ることは出来なかっただろうからね。

5. あなたの音楽が日本のファンにアピールするのはなぜだと思いますか?

僕はいつも“現実の”生活をテーマに書いてきた。精神錯乱、政府の統制、革命、反抗など、決して時代遅れになることがないテーマばかりだ。それが“リアルライフ(現実の生活)”なんだ。日本の音楽ファンは知的だし、自分の生きる状況にフィットするバンドを探してきた。そうやって僕らを発見したんだ。

6. 前回の日本ツアーの後にあなたのヒーローのルー・リードとデヴィッド・ボウイが亡くなりました。あなたの気持ちを聞かせてください。

とても悲しいよ。ルー・リードを失ったことは大きな損失に違いないけど、僕は彼はもはや最高の作品は作れなかっただろうと思う。僕にとってはヴェルヴェット・アンダーグラウンドが今までで最も重要なバンドであり、僕(とドクターズ・オブ・マッドネス)に与えた影響は膨大だった。

デヴィッド・ボウイはパフォーマーとしては僕にとってはより重要だった。『スペース・オデッティ』以来のファンだった。彼が亡くなったのと同じ1月11日に僕の兄が亡くなった。僕には途方もなく悲しい日だった。それに続いてレミー、プリンス、ジョージ・マーティン。音楽の巨人が3人も逝ってしまった。

7. 今現在最も気になるミュージシャンやアーティストは?

PJハーヴェイの新作が好きだ。フランスのグループ、クリスティーヌ&ザ・クイーンズもよく聴いている。彼らはとても興味深い。特に音楽、演劇、コンテンポラリー・ダンス、パフォーマンス・アートの要素を取り入れたステージングが面白い。僕がコラボしている音響彫刻家のハルーン・ミルザも、お気に入りの新しい芸術家の一人だね。

PJ Harvey - The Wheel


Christine and The Queens - Christine (Clip Officiel)


8. 日本でライヴ以外に楽しみにしていることはありますか。

日本での滞在はいつも楽しいよ。今回初めて妻も同行する予定なんだ。短い期間で残念だけど、東京と京都は西欧の旅行者にとって、とても新鮮で刺激的な場所なんだ。他のアーティストに会いたいと思うし、アート・シーンで何が起こっているか知りたいと思っている。新しいバンドを聴くのも楽しみだ。そしてもちろん、古い友人のシスター・ポールと一緒にプレイすること。

9. 今回のライヴの見どころは?

本当の楽しみ、新たなエナジー、音楽への完全な献身。最近ロンドンで、アーバン・ブリッツと僕にシスター・ポールを加えて演奏した時のステージのエナジーは、自分が常にライヴを愛している理由を思い出させてくれた。僕の曲はライヴで一番輝くんだ!

Sister Paul with Doctors Of Madness at The Paradise #1


10. 最後にBrexit(イギリスのEU脱退)についてのコメントをください。

イギリスの選挙民の投票の結果がEU脱退に決まったことを聞いたときはすごく困惑した。僕はイギリスだけでなく「世界の市民」であり、これまでスペイン、フランス、イタリア、ドイツ、そしてスカンジナヴィアや旧共産圏のポーランドやハンガリーで受けた影響や思想を愛している。僕は他の国との意見交換やコラボレーションや共同体感覚を望んでいるから、イギリス国民が孤立を選択し、21世紀には役に立たない大英帝国を夢見ていることにガッカリした。ドクターズはフランス、ドイツ、オランダ、ベルギーで人気があるし、今こそ国と国の境界を減らす必要があると感じている。増やすのではなくてね。

ありがとうございました。



英国の
狂気の医師団
やってくる



“ゴッドファーザー オブ パンク” from London!!
Doctors of Madness Japan Tour 2016

日程
9/3(土)新代田FEVER (イベント出演)
9/5(月)渋谷ラストワルツ
9/7(水)京都西院ウーララ
9/8(木)京都西院ウーララ
9/11(日)新宿JAM

チケット予約、お問い合わせ
sisterpaul@jcom.home.ne.jp
https://www.facebook.com/sisterpaul
https://twitter.com/MACKii1234



★9/3(土) 新代田FEVER "ROCK市ROCK座"
フリマ15:00~、ライブ16:00~
前売り3,000円 当日3,300円
※イベント出演。プロモーションでショートライブを行います。

★9/5(月) 渋谷ラストワルツ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Cuddly ToyZ
キンキーサロン
DJ: Tsuneglam Sam & Keiji Ronson

★9/7(水) 京都西院ウーララ
18:15オープン/18:45スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
カチコチ虫
HONEY MAKER
リキッドスクリーン
DJ: マーチン(夜想)

★9/8(木) 京都西院ウーララ
18:30オープン/19:00スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Hamah Moh
Baby Dolls
DJ: メリケン

★9/11(日) 新宿JAM
18:00オープン/18:30スタート
前売り¥3500/当日¥3800 (+1drink)
*チケットご予約の方全員に缶バッジプレゼント
<共演>
Flashlights
Anisakis
BabyBlue
DJ

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でんぱ組×Vegas@ZEPP TOKYO 2016.8.25(thu)+【えいたそ野性時代】八の巻『輝きの彼方』

2016年08月27日 23時43分46秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


JOYSOUND presents
はやぶさかがやきツアー2016
supported by ナタリー
ファイナル・ZeppTokyo
Fear, and Loathing in Las Vegas
でんぱ組.inc



7月6日、同じZEPP TOKYOからスタートしたでんぱ組『はやぶさかがやきツアー2016』のツアーファイナル。チケットの整理番号はA22。見たことがないほど若い番号だが、もしかしたらその前にS1〜1000があって、そのあとの入場かもしれない、と疑ってかかる用心深さはこれまで何度も痛い目に会って来た数字時不信家の自己防衛本能。ところがどっこい、滅多に微笑まないツンデレの幸運の女神の気紛れか、正真正銘前から22番目の神チケットだった。夢の最前列GETか?とドキドキしながら係員の導くままに入り口から会場内まで列を守って牛歩で進む。引率されて最前列のブロックまで来たところで解放され、無我夢中で隙間を見つけて縋り付いた手摺は、ステージ中央やや左寄り、おそらくえいたそ所定ポジションの真正面と思われる。走ってもいないのに心臓バクバク、息が荒い。気を失いかけても柵にしがみつけば大丈夫と高を括って、隣のみりんちゃん/ねむきゅん寄りのハコ推し青年とダベって時間を潰す。後ろに立っていた女子から、Fear, and Loathing in Las Vegas(以下べガス)の時だけ場所を代わってくれませんか、と懇願されたがモッシュに巻き込まれる恐れがあると断固拒否。すると隣のハコ推し青年が快く場所を譲ってあげた。「何て心の狭い利己主義野郎」と思われたかもしれないが、もし譲っていたとしたら、自分の身が流される恐怖に晒されたに違いない。それほど激しいベガスファンのノリ。頭上を転がるクラウドサーファーと引き摺り降ろす警備員との攻防に、頭を蹴られたり殴られたりしながら柵にしがみついて耐える。目の前のお立ち台で入れ替わりでメンバーがアピールしたり、ヴォーカリストが頭上を飛び越してオーディエンスの中に突入するのは楽しかったが、ドラムの音しか聴こえなかった。

Fear, and Loathing in Las Vegas - Party Boys (Live)



べガスの嵐の後の静けさの転換中、列車絡みの選曲のSEが会場を和ませる。ブルーハーツ「TRAIN TRAIN」で手拍子とコーラスが起こり面白かったが、次のドゥービー・ブラザース「ロング・トレイン・ランニング」は世代的に古過ぎたようで沸いたのは筆者だけだった。ドゥービーがフェードアウトし客電が落ちて、でんでんバンドが演奏スタート。ねむみりピンもがえいりさの順に登場するメンバーを間近で見て、余りのかわいさに身悶えしたいが身動きできない。えいたそが真っ先に筆者を見つけて微笑んでくれた(気がする)。ベガス以上の圧縮で手摺がお腹に食い込むが、意識は高く舞い上がり高揚感しか感じない。自己紹介の時のえいたその立ち位置に、この会場中で最も近い場所に居る幸せを噛み締めるのも束の間、見境もなくコールとケチャに明け暮れた60分であった。えいたそはもちろん、メンバーみんなの表情や仕草の一分の隙もない完成度にプロの神髄を見た。そこには生まれ育った地下アイドルの魂が間違いなく刻まれている。「でんでんぱっしょん」のエンディングの輝きは、ロックもアイドルも関係なくすべての観客を熱く照らし出した。



【えいたそ野性時代】八の巻『輝きの彼方』

観客(ファン)と共に生きるでんぱ組,incが創り出す六つの光のお祭り空間は『はやぶさかがやきツアー』の成功とともにますます輝きを増すばかり。今の輝きはもちろん6人メンバーの成長の証であるが、2017年1月の5日間のアリーナ公演を成功させる為には、その先を目指して更に輝くしかない。その原動力は「バリ3共和国」で「キラめけ!輝け!みなぎれ!ときめけ!」と歌われる「僕らの新たな太陽!」=えいたそ☆成瀬瑛美さんであることは説明するまでもなかろう。



"かばんにドドッと輝き詰める系女子"えいたそが、今の輝きの彼方のマキシマムな輝きに到達するための手引きとして、「輝き」の秘密を音楽心理学の見地から徹底的に解き明かしてみよう。

●Friction『Kagayaki』


ニューヨーク帰りのレック(b,vo)とチコ・ヒゲ(ds)を中心に78年に結成され、東京ロッカーズと名乗り日本にパンクムーヴメントを巻き起こしたフリクションの79年の1stEP『Crazy Dream』に収録された。ギターはツネマツマサトシ。

筆者にとって輝きソングの筆頭に上がるのは、日本のパンクの草分けフリクションの疾走ナンバー。高校2年の夏に吉祥寺ジョージアJR店で購入した時、店員が「ヘッドフォンで聴くと最高ですよ」と言った。ヘッドフォンでもスピーカーでも弾丸のように迫ってくるサウンドは、生のロックを真空パック。本人も気付かなかった「輝き」が、アイドルになることで世界に知られることになったヲタク女子の心の歌と言えるかもしれない。

Friction - Kagayaki



●アグネス・チャン『草原の輝き』


「草原の輝き」(そうげんのかがやき)は、アグネス・チャンの3枚目のシングルである。同曲のタイトルは、エリア・カザン監督の1961年の映画『草原の輝き』に由来する。累計売上は100万枚を突破。また、翌1974年3月には第46回春の選抜高等学校野球大会の入場行進曲にも選ばれた。

アイドルやタレントを「異性」として意識し出したのはいつからだろうか。幼児の頃にも異性への興味はあったが、それは自分とは異なる身体の仕組みへの生物学的な関心に過ぎなかった。女性アイドルを「かわいい」と思うのはペットや漫画のキャラクターを愛でるのに似ていた。小学生の頃好きだった桜田淳子やアグネス・チャンも愛玩動物だった。ところが性に芽生えた中学3年生でファンになった石野真子に性的昂奮を覚えなかったと言ったら嘘になる。

Agnes Chan 陳美齡 アグネス・チャン 草原の輝き



●ジャッキー吉川とブルー・コメッツ『草原の輝き』


「草原の輝き」(そうげんのかがやき、英題:Summer Grass)は1968年6月30日に発売されたジャッキー吉川とブルー・コメッツの楽曲である。作詞は橋本淳、作曲は井上忠夫によるもの。当時、新進気鋭の作・編曲家として売り出し中であった筒美京平が編曲を手がけている。この曲は『第19回NHK紅白歌合戦』(1968年)の際の出場曲で、同時にグループとしては最後の出場曲でもある。

『草原の輝き』(原題:Splendor in the Grass)は1961年のアメリカの青春映画。世界大恐慌時代の悲恋を描いたストーリーは日本でもヒットし、同名の楽曲が制作されることになった。ビートルズ日本公演の前座で「ウェルカム・ビートルズ」を歌ったブルー・メッツは、13枚目のシングルにこのタイトルを盗用した。短髪スーツの銀行員ファッションで、不良の音楽グループサウンズを歌謡曲に転化させた主犯格である。

草原の輝き / ジャッキー吉川とブルー・コメッツ



●カーペンターズ『青春の輝き』


青春の輝き(I Need to Be in Love)は、1976年にカーペンターズが発表した楽曲、及びシングル。リチャード・カーペンターによれば、生前のカレン・カーペンターが最も気に入っていた曲だったという。オリジナル・シングルは全米チャート最高25位、日本のオリコンで最高62位と振るわなかった。しかし、1995年に日本のテレビドラマ『未成年』でエンディングテーマに取り上げられ、カレン(1983年2月4日死去)を知らない世代にも大好評を博した。

人の一生のうちで最も輝く時期は「青春」という気がする。「私は愛にする必要があります(I Need to Bo in Loveのgoogle翻訳)」を「青春の輝き」と訳した担当者は、リア充だったに違いない。恋と無縁の青春時代を送った筆者にとっては、青春とは鬱々と性に関する知識と想像を逞しくするだけで、実際には何も得られないまま過ぎ去った冬眠期だった。そんな輝きの無い中学生の頃、金沢実践倫理会館にカーペンターズが来た。他に金沢公演をした外タレはベンチャーズだけだった。

青春の輝き / I Need To Be In Love [日本語訳付き]  カーペンターズ



●アイカツ『輝きのエチュード』


2014年12月公開の劇場版アニメ『アイカツ!』に収録されたナンバー。歌手:わか from STAR☆ANIS 作詞:こだまさおり 作曲:石濱翔 。普通の女の子・星宮いちごがトップアイドル・神崎美月に憧れアイドルとなり、美月に助けられ見守られながらやがて同じトップアイドルへと成長していく。そんな美月への恋に似たような気持ちを込めた曲「輝きのエチュード」。

TVアニメ「アイカツ」の主題歌/挿入歌を歌う為に結成されたアイドルユニットSTAR☆ANIS はでんぱ組と同じ秋葉原ディアステージ所属。「輝きのエチュード」を歌うきりしまわかはでんぱメンバーと同期のディアガールである。アイドルを目指す女子を描いたストーリーは、輝きの彼方を目指すでんぱ組の姿とオーバーラップして、涙なしでは聴けない。

アイカツ!ミュージックビデオ『輝きのエチュード』をお届け♪



●°C-ute『僕らの輝き』


℃-ute の2ndアルバム『②mini〜生きるという力〜』(ツーミニ いきるというちから/2007年4月18日リリース)に収録。作詞・作曲:つんく/歌:梅田えりか・岡井千聖・有原栞菜/編曲:小倉健二

つんくが総合プロデューサーを務めていたハロー!プロジェクト所属の°C-uteは、モーニング娘。、Berryz工房と並ぶアイドルユニットとして活躍。でんぱ組メンバーにとっても憧れの存在のひとつだったろう。しかし2017年6月のさいたまスーパーアリーナでの単独公演をもって解散することが2016年8月20日に発表された。アリーナ公演をするにも、それで終わりのキュートと、輝きの彼方を目指すでんぱ組では、微笑む女神のオーラが異なる。

C-ute - Bokura no Kagayaki [Legendado]



●夢みるアドレセンス『はじめての輝き』


2012年8月に始動した「夢みるアドレセンス」のインディーズデビューシングル!荻野可鈴、志田友美、山田朱莉、岡美咲、小林玲、京佳など現役ピチレモンモデルを中心とした夢アドメンバーの初オリジナルCDです。

「カワイイだけじゃダメなんですか!?」をキャッチコピーとする夢アドは、デビュー当時は思春期(アドレセンス)の少女たちだった。デビュー曲ではじめて輝き、二十歳になった現在まで輝き続けてきたのは、夢みる女子のパワーの賜物である。ちなみに「夢見る」「夢眠る」ではないので注意。

#はじめての輝き(PV)/夢みるアドレセンス



●グッドモーニングアメリカ『輝く方へ』


快進撃を続けるグドモ!ガチ名曲オンリーの新作発表!
昨年10月ツアーファイナル代官山UNITをソールドアウトさせ、年末のカウントダウンジャパンにも出演。2012年2月には自主企画フェス「あっ、良いライブここにあります。2012」も1200人ソールドアウトさせた「グッドモーニングアメリカ」がその勢いをそのままにサードミニアルバムを発売!セカンドミニアルバム「ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ」で見せたロックでダンサブルな楽曲から、心に染みるバラードまで今作も完全に健在!全曲名曲間違いなしの超濃厚な7曲!


でんぱ組との対バン歴もあるロックバンド「グドモ」が先に輝きの方へ向かって行った。筆者としては男子バンドについては特にコメントなし。心の中ででんぱも続け!と叱咤激励するのみである。

グッドモーニングアメリカ「輝く方へ」PV



●フィフス・ディメンション『輝く星座』


アメリカ5人組のヴォーカル・グループ、フィフス・ディメンションが歌ったロック・ミュージカル『ヘアー』の挿入曲。「アクエリアス」と「レット・ザ・サンシャイン・イン」の2曲からなるメドレー。1969年に発表され全米ビルボード・シングルチャートで1位を記録、世界的な大ヒットとなり1970年グラミー賞最優秀レコード賞も受賞。

夜空に輝く星が集まり形になったのが星座と言われるが、形に見えるのはプラネタリウムヲタクの特殊能力以外の何者でもない。歌うグループの名前は「5次元」。2.5次元伝説りさちーこと相沢梨紗の二人分ということになるが、だからといって萌えるかと言えば、そんなことマジありえるない。

フィフス・ディメンション 輝く星座 The Fifth Dimension Aquarius



●クイーン『輝ける7つの海』


「輝ける7つの海」(Seven Seas of Rhye)は、イギリスのロックバンドのクイーンが、1974年にリリースした楽曲。シングルで発売され、イギリスのシングルチャートで10位に入った。後にバンドのセカンド・アルバム『クイーン II』に収録された。作曲はフレディ。タイトル及び歌詞の中に登場する"Rhye"はフレディが子供の頃に想像したファンタジー世界の名前である。

もちろん地球の表面積の70%を占める海(Sea)ももちろん輝く。ましてや全地球的に考えれば、7つの海の輝きを集めて火をつければ、丁度2年くらいは保つエネルギーになるかもしれない。複雑な方程式や科学的根拠は説明しようはないが、フレディ・マーキュリーが7つと言ったら7つなんだよ!と言い放つ自信についてだけは、誰にも文句は言わせない。

Queen - Seven Seas Of Rhye (BMG Mix)


地球規模
大災害に
負けないぞ

でんぱ組.inc 『台中市でのライブ』(2016.08.27)[2016.8.29 11:20追加]



「KAGAYAKI」
歌詞:レック/演奏:フリクション

おまえは まるで ウソみたいに

振る舞うけど

そのひとみはもう少しで

ダイヤモンドの かがやき

ダイヤモンドの KAGAYAKI

だけどもだれも そいつにゃ気がつかないで

おまえはまるで ウソみたいにころがる

うそみたいに転がる






おまえはまるで天使みたいに

とんでるけど

その瞳はヤミをさまよって

あくま の かがやき

甘い KAGAYAKI

だけど だれも そいつにゃ知らんぷりして

おまえは まるで 天使みたいにおちてゆく

天使みたいに おちてく

輝き 輝き 輝き 輝き




吐く息の中に見える…

ほんの少し

ほんのうんざり




かがやき

かがやき

かがやき

KAGAYAKI

KAGAYAKI

KAGAYAKI

HEY!
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マスク萌えだけじゃない。本気のメロディック・ハードコア・アイドル『マルコム・マスク・マクラーレン(MMM)』

2016年08月26日 02時52分09秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界



「マスク萌え」という言葉がある。この場合のマスクとは「タイガーマスク」や「ガスマスク」や「ジェイソンマスク」ではなく、花粉症や風邪対策の医療用マスクである。白いガーゼが基本だが、素材や色にはヴァラエティがある。どれにせよ、顔の半分を覆う柔らかい布地に憧れる。筆者もご多分に漏れず「マスク萌え」の気があり、7年前に臆面も無くマスク礼賛記事を書いていた。
マスクは素敵を演出する(2009年02月21日記)

その頃はせいぜい歯医者の治療中に薄目を開けてナースをチラ見するしかマスク欲を満たす方法はなかったが、まさか7年後にアイドルヲタとして堂々とマスク女子への想いを捧げられる現場に身を置けるとは思ってもみなかった。



その名も「マルコム マスク マクラーレン/Malcolm Mask McLaren(以下MMM)」という三人組アイドルユニット。ネクロ魔の対バンで初めて見た時は「マスク女子」ということよりも80年代バンドブームの流れを汲むビートパンクを切れのあるダンスで歌う姿に新鮮な感動を覚えた。パンク系/爆音系アイドルは数多いが、大抵振り付けはフリースタイルに近く、MMMほどダンスのセンスを発揮するグループはいない。また、これはネクロ魔も同じだが、デスヴォイスのシャウトがまったくないことも気に入った。カワイイ女の子が形相を変えて絶叫すると萎えてしまう臆病者には、飾らず無理せず自分らしく歌う娘が相応しい。
ネクロ魔/MMM(Malcolm Mask McLaren)@新宿club SCIENCE 2016.7.28 (thu)



TIF2016で観た15分のステージは、灼熱の中激しいモッシュが起こり、ライヴが中断する事態に。メンバーはマスクのせいで表情が分からないので、傍目には平然と成り行きを見守っているようにみえた。
2016.8.7 sun【或る魔ヲタの一日】ネクロ魔/MMM/絶叫/首振りDolls/メンテナンスetc.

神々しいその立ち姿に真夏の女神を見た気がして、mone、ai、naoから成るMMMのことをもっと知りたくなり、毎週水曜日に新宿レッドノーズで開催されている定期公演「メロディック・ハードコア」に8/17、24の2週連続参戦。約40分のライヴは入場SEのセックス・ピストルズ「アナーキー・イン・ザUK」でスタート。まさかパンクの神曲で手拍子をするとは15歳の頃は考えられなかった。しかしそれも笑顔で許せてしまうのは、三人の力一杯のダンスと秀逸なパンクナンバーの魅力故。誰が音楽制作をしているのかは知らないが、ツボを心得た作曲センスはただ者じゃない。第2部はユルユルのトークコーナー。三人のキャラのすれ違いが不思議なコラボを醸し出し、汗だくのライヴのあとのチルアウトを和ませる。

Malcolm Mask McLaren 「アイドル甲子園」 (2016-04-17)

公式サイト

「マスク萌え」という理由だけでMMMを推す訳ではない。「まだまだ未熟。もっともっと上手くなりたい」と語る三人が顔を半分隠して、呼吸困難に陥りながら全力で踊り歌い上げる姿に漲る『女子の本気』に心を撃ち抜かれるのである。歌のフレーズの中に強固な魂。それこそまさに「メロディック・ハードコア」精神。三人の強烈過ぎるハードコアパワーをマスクで制御しているのかもしれない。

でんぱヲタも魔ヲタも耕作員もゆふぃすとも
見ればきっと
気に入るさ

Malcolm Mask McLaren/myself(MV)


Malcolm Mask McLaren 2nd ワンマンライブ
「Melodic Hardcore 1st Anniversary ONE MAN」

【開催日程】2016年9月22日(木・祝) 開場 11:30 開演12:00
【会場】渋谷 club asia
【チケット料金】 前売り¥2,500
※3歳以上チケット必要 
※入場時、別途ドリンク代必要
※再入場不可
チケットはこちら


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【私の地下ジャズ愛好癖】トルコの有機栽培コンボ『KONSTRUKT(コンストラクト)』の新作3点

2016年08月24日 01時30分56秒 | 素晴らしき変態音楽


これまで何度か採り上げてきたトルコのオーガニックジャズコンボ『KONSTRUKT(コンストラクト)』が益々精力的に活動している。2016年頭にドラムとベースがメンバーチェンジし、今まで以上にサイケデリックで拡張的な世界を志向するようになった。エレクトロニクスやドラムマシンを使ったダークなサウンドも研究し始めた。サーストン・ムーアにアプローチしたところ、サーストンはコンストラクトのレコードをコレクションしていたらしく意気投合し、今年6月にイスタンブールでコラボレーションした。これまで共演したペーター・ブロッツマン、エヴァン・パーカー、ジョー・マクフィー、坂田明、ウィリアム・パーカー等とは明らかに異質の非ジャズ実験音楽家が、トルコ有機共同体とどんな交歓模様を描き出したのか興味深い。



秋にはUKツアー、ヨーロッパツアーも予定され、活動の幅を広げるコンストラクトの新作が同時リリースされた。録音時期・形態はそれぞれ異なるが、即興音楽をベースに活動する彼らの現在進行形のオーガニックミュージックの奥深さを味わうことが出来る。

●Konstrukt feat. Peter Brötzmann, Hüseyin Ertunç, Doğan Doğusel, Barlas Tan Özemek ‎– Eklisia Sunday
(Holidays Records ‎– HOL-095 2016)


トルコの海辺の街グムスルクの教会で2011年5月15日に行われたセッションを収めたライヴ盤。2013年にポーランドのレーベルからリリースされたCDのアナログ化。サックスのヘラクレス、ペーター・ブロッツマン、コンストラクトの4人、トルコの音楽家3人総勢8人による集団即興は、エーゲ海の風光明媚な環境の中で、リラックスし互いの生命感を讃え合う色彩溢れるポジティブワールドを展開している。

●Konstrukt feat. Graham Massey & David Andrew McLean ‎– Live At Islington Mill
(Astral Spirits ‎– AS031, Monofonus Press ‎– MF124 2016)


2015年8月13日イギリス、マンチェスターのイズリントン・ミルズでのライヴ録音、カセットのみのリリース。コラボしたのは808STATEのグラハム・マッシーとマンチェスターのサックス奏者デイヴッド・マクリーン。宇宙的な包容力のあるコンストラクトのサウンドに乗って、グラハムのギターやベースが歪みを癒す。人力テクノのグルーヴ感が、ノイズに頼らずフレーズを奏でるベースとサックスの対位法により、無視できないほど膨れ上がった。カセットの再生音域の限界が、逆に怒濤のインプロを拡張して拡散して拡大する拡声器の役割を果たす。

●Hüseyin Ertunç / Doğan Doğusel / Cem Tan / Umut Çağlar ‎– Gümüşlük Sessions: At Lon's
(Holidays Records ‎– HOL-100 2016)


2015年9月29,30日、コンストラクトのUmut Çağlarを含むトルコの即興音楽実力派4人がグムスルクに集って二日間開催されたコンサートのライヴ盤4枚組ボックス。基本はサックス、ピアノ、ベース、ドラムのカルテット編成だが、様々な楽器を使い、自由な空気の流れを塞き止めることを警戒している。自由度の高いまったり感は、スピードを目指す昭和の即興ともダンス主導の90年代DJカルチャーとも異質な統制ルールの適用に依る。4枚を通しで聴くのは試練かもしれないが、朝昼晩に各1面頭空っぽにして聴き流せれば、至福のフライングエナジーに触れることが出来るかもしれない。



Konstrukt & Friends (feat. McPhee & Brötzmann)


オーガニック
イスタンブール
ウナセラディ

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ネクロ魔(2現場)/ブクガ/TADZIO/Taiko Super Kicks/山本精一@高円寺他2016.8.21 (sun)

2016年08月23日 01時19分48秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


RYUKYU IDOL死闘10番勝負

2016年8月20日(土)東京都 新宿SAMURAI

出演 RYUKYU IDOL / BELLRING少女ハート / ライムベリー / NECRONOMIDOL / ハッピーくるくる / クマリデパート / ヤなことそっとミュート / 地球人 / あヴぁんだんど / じゅじゅ / 2&

琉ドル死闘十番勝負~六番勝負~
前売/当日 ¥2000/¥2500(入場時D代600円別途)
開場/開演 14:20/14:40
出演:RYUKYU IDOL / NECRONOMIDOL

沖縄のアイドルグループRYUKYU IDOLが朝の10:00から夜21:00まで10組のアイドルグループと対バンする死闘ライヴ。何故またそんな無謀なことを!などと目くじらたてるだけ野暮。アイドルたるもの不可能への挑戦を諦めては進化しない。つき合うヲタもヲタだが、無謀こそアイドルの定め。

●NECRONOMIDOL(ネクロ魔)


勝負事なら萌えるのがアイドルヲタの定めかもしれないが、勝とうが負けようが推しであることは変わらない。「アイドルの定めをぶち壊す」のが魔の宿命だから。タイツアー帰り初めてのネクロ魔現場は、団結力の高まった5人のパフォーマンスの渦に巻き込まれるまま、気迫に満ちた刺激に全身全霊タイ式マッサージされるかのような悦楽に満ちた神現場であった。終演後の特典会は雨の中徒歩10分のビルの7階の狭いバーでネクロ魔&琉ドル同時に行われ、密着するヲタの熱気が充満する蒸し暑さで、タイツアーの疑似体験のようであった。






FORT DUM-DUM PARTY

2016年8月21日(日)東京都 東高円寺二万電圧 / 東高円寺 ロサンゼルスクラブ / U.F.O. CLUB / 満州王
OPEN&START 15:00

<出演者>
東高円寺二万電圧
トリプルファイヤー / 洪申豪(透明雑誌) / uri gagarn / TADZIO / NECRONOMIDOL / ヒャクショウイッキ / どついたるねん / クリトリック・リス

東高円寺 ロサンゼルスクラブ
突然少年 / バレーボウイズ / ペドラザ / MANGA SHOCK / Taiko Super Kicks / SUPER SHANGHAI BAND / Mammoth / Boys Age / シーツ / 水中図鑑

U.F.O. CLUB
Maison book girl / フィロソフィーのダンス / エレクトリックリボン / 仮谷せいら / DJ 掟ポルシェ / YOLZ IN THE SKY / 百々和宏 / 山本精一 / Phew

満州王
禁断の多数決(DJセット)

近年各地で開催される複数ライヴハウスの周回イベントが東高円寺でも開催。サマーソニックと被っているが、東高円寺を住処とする地下ロック系ピープルと地下アイドルヲタにとっては夏フェスなんか関係ない。筆者の地下アイドル四天王のうち2つがそろい踏みの神フェスである。天気も然程暑くなく、気持ちのいい東高円寺散策でもあった。

●Maison book girl(ブクガ)
コショージメグミの前髪カットをツイッターで知り、実物はどんなだろうと興味津々で息を飲むうちに、見慣れたUFO Clubのステージに現れたコショを見て、マリアンヌ東雲にも似た斜めカットの前髪の、卒倒しそうなほどの神々しさに心を撃たれた。サイケの聖地で聴く変質的ミニマルチューンは、他現場よりもしっくり来る。それだけにモダンダンス仕込みの優雅な踊りのユニークさが際立つ結果に。終演後の特典会では、コショージの美少女ぶりを褒め讃えることに無我夢中で、「愛の真実」について論じる時間が無くなってしまった。

●フィロソフィーのダンス

デビュー直後に何度か観たファットバットシックなアイドルユニット、フィロのスは1年ちょっとで人気を高めた。ソウルやシティポップス風味の楽曲は沸きにくい横ノリが多いが、それをコールやケチャ乱れるドル現場に転用するのはメンバーの力。しゃれ乙過ぎて推し切れないが、いいグループには違いない。

●洪申豪(透明雑誌)
路上で会ったりさちー推しの友人に推薦されて二万電圧へ。台湾のスーパーカーと呼ばれる透明雑誌のメンバー洪申豪は、力の抜けたシューゲサウンドが心地よい。

●uri gagarn

友人のおすすめはユーリガガーリンという3人組。前のバンドとは真逆のテンション高いギターロックは、70年代NO WAVEやワイアーを思わせるポストパンクに、思わず最前列でヘドバンしちる自分に気がついた。身に染み付いた激ロック志向が満たされたが身体疲労気味。

●Taiko Super Kicks


D.A.N関連でYouTubeで見つけて以来、気になっていたリゾート感覚ロックバンドを観にロサンゼルスクラブへ。練習スタジオを併設したこの会場は若手バンド中心のラインナップで客筋も若い。タイコスーパーキッズも見るからに若そうな4人組。ドラム女子に頬を弛めるオヤジ一名。とりわけ個性的とは思えないのに何故か耳からは慣れない。眼鏡男子のヴォーカルの艶のあるハイトーンは、例えば草野正宗を初めて聴いたときと同じ違和感ショックを感じる。もう少し聴いていたかったが、3曲聴いてTADZIOに会うため二万電圧へ。

●TADZIO(タッジオ)


二万電圧に着いたら既にセトリ半ば。ピンクヘアーのリーダーのエロかわいさを観ると、アイドル畑にハマる前のバンド女子萌え時代を思い出し何ともいえない郷愁に狂う。もし太もものタトゥーに触れていたなら、えいたそやコショージやネクロ魔に心奪われることは無かったかもしれない。そう考えるとバンド女子のツンデレぶりに感謝したくもなる。前回観てから2年経って、暴虐サウンドに磨きがかかった二人を陰ながら見守って行きたい。

●NECRONOMIDOL(ネクロ魔)


元カノTADZIOのあとに今の溺愛相手ネクロ魔が登場。郷愁とか心の愛とか言っている場合じゃねえ、とばかりに物見遊山のバンドファンを尻目に全力応援モード。二万電圧を圧倒するネクロ電圧が大音量でPAを震わせる。前日に増して強烈なパワーのパフォーマンスは、アイドルよりも大きな相手を迎えて5人の力が引き出された証拠であろう。敵がでかいほどネクロ魔の戦力がアップする。シン・ゴジラにも負けないパワーで目にもの見せてくれ。次のヒャクショウイッキという女装アイドルのステージが延びたため、バタバタの中行われた特典会は、戦地に向かう恋人との最後の逢い引きを思わせる、刹那的な接触だった。

●山本精一


UFO CLUBに戻って山本精一。思ったより客が少なくて、前方の列でよく見えた。千住宗臣をドラムに迎えたデュオ編成で、時にリリカルな爪弾き、時に暴力的なディストーションと変幻するギタープレイがエモーションを掻き立てる。それより胸に迫るのは朴訥と諧謔が入り交じった歌の世界。単純な構成にも拘らず歌い方で多様な意味を含ませる、持っての他の精一ワールドが展開された。また全曲カヴァー曲のライヴも聴いてみたいものだ。

6時間立ちっぱなしで流石に疲れ切って、最後のPHEWは見ないで帰路についた。心のポケットに推しとの甘い時間をそっと仕舞ったままで。

暗黒の
中心円の
その中心

Taiko Super Kicks - 釘が抜けたなら (Live Video)
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グンジョーガクレヨン/インキャパシタンツ/ドットエス@六本木SuperDeluxe 2016.8.20(sat)

2016年08月22日 00時54分03秒 | 素晴らしき変態音楽


グンジョーガクレヨン「グンジョーガクレヨン」リリースライブ

開場 19:00 / 開演 19:30
料金 予約3000円 / 当日3500円 (ドリンク別)

ポスト・パンク、インダストリアル、エレクトロ、ノイズ、ジャズ……。すべての言辞を置き去りにして疾走する、硬質な音群……。

今、最も創造的な場として、静かに浸透しつつあるエクスペリメンタル・ミュージック・シーン。そのシーンの中に異形のアイコンとして君臨する、組原正(g)の即興の強度。結成37年にして強力に甦る、グンジョーガクレヨンの新たな次元。

日本のフリー・フォームなノイズ・ミュージックの嚆矢グンジョーガクレヨン、22年ぶりのニュー・アルバム『グンジョーガクレヨン』の発売記念ライヴ。

出演:
Gunjogacrayon:宮川篤(ds)、組原正(g)、前田隆(b)、中尾勘二(sax, etc.)
INCAPACITANTS:T.美川 (electronics, vo), コサカイフミオ (electronics, vo)
.es:橋本孝之(alto sax, guitar)+ sara(piano, others)



六本木SuperDeluxeにて筆者の地下音楽四天王のうち三組がそろい踏みの神イベ。とは言っても当然ながら筆者を喜ばす為に集められた訳ではなく、日本大衆芸能の末裔たる軽音楽に分類されながらも、音も精神も存在も耐えられない重さを持つ闇音響の地下水流が、何の気紛れか六本木の地下に存する<超絶豪華>倶楽部に流れ込み、冠水したトリプル極端音楽の人工災害に対しては、トリプル台風の自然災害と違って注意を促す警戒警報は発令されなかった。

この三者の交歓日記をを筆者のブログより紐解くと、
① 2012年7月21日に南池袋ミュージック・オルグで開催された組原正『inkuf』レコ発ライヴで、組原+T.美川+前田隆、組原+宮川篤志+中尾勘二の二つのセッション。
組原正 レコ発@南池袋 ミュージック・オルグ 2012.7.21 (sat)
② 2012年9月1日大坂ギャラリーノマル、9月2日難波ベアーズで.esとT.美川の共演ライヴが開催(その音源は香港のRe-RecordsからCDリリースされた)。
【特集 .es(ドットエス)】Part 1~T. Mikawa & .es 『September 2012』ディスク・レビュー
③ 2013年7月7日八丁堀七針で組原とT.美川がデュオ共演。
FUMICS PYOSHIFUMIX 展:組原正+美川俊治/三浦モトム+小川直人@八丁堀 七針 2013.7.7(sun)
④ 2013年12月14日新大久保Earthdomに於ける.es [dotes] LIVE IN TOKYO 2013東京ツアーで.esとインキャパシタンツが対バン。
.es(ドットエス)/インキャパシタンツ/魔術の庭@新大久保Earthdom 2013.12.14(sat)
⑤ 翌日12月15日池ノ上GARI GARIではT.美川 & .esで出演、コサカイフミオのTangerine Dream Syndicateも対バンで出演。
T.美川+.es(ドットエス)/Tangerine Dream Syndicate/浦邊雅祥/冷泉@池ノ上GARI GARI 2013.12.15(sun)
⑥ 2014年7月23日阿佐ヶ谷Yellow Visionにてグンジョーガクレヨン(組原、前田)+橋本孝之の共演。
グンジョーガクレヨン+橋本孝之(.es)@阿佐ヶ谷Yellow Vision 2014.7.23(wed)
⑦ 2015年9月3日西麻布BULLET'Sにて橋本+コサカイがデュオ共演。
橋本孝之/コサカイフミオ/ふぅちくぅち/KO.DO.NA&人魂@西麻布BULLET'S 2015.9.3(thu)

こうした野合の如き蜜月期間を経て産み落とされたのがグンジョーガクレヨン22年ぶりの新作『Gunjogacrayon』であったが、蓋を開けてみれば橋本孝之唯一人が羊の皮を被った野獣三匹の責め苦に恍惚と喘ぐ結果となったのである。長らく不適切なほど親密な関係にあったにも拘らず、証拠となる音盤を残せなかったセフレ(Session Friends)を懐柔する慰みものとして今宵の六本木の緊縛の夜が企画されたわけではなかろうが、体液のように生暖かい湿り気を帯びた地下音楽の深みに嵌まり込むには絶好の真夏の夜の夢であった。


【DISC REVIEW】"脱ロック37年"グンジョーガクレヨンの新作『Gunjogacrayon』
JazzTokyo CD/DVD Disks #1311 『グンジョーガクレヨン / Gunjogacrayon』

●.es:橋本孝之(alto sax, harmonica)+ sara(piano)

(ライヴ写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

.esのパフォーマンスは昨年あたりから東京でも年に何度か観られるようになった。そのたびに印象が異なるが、演奏する場に応じて変幻するのではなく、場をも演奏に取り込んでしまう食虫植物並みの能力を持つことに気がつく。これまで観た会場の中では最も広いSuperDeluxeでは、No Mic/No PAの完全アコースティック生演奏。ハーモニカのリップノイズ、掌で撫で回す鍵盤のスクラッチ、楽器を持ち変える直前の躊躇にも似た間隙、途切れた音を置き去りに飛び去る時間の風速。聴こえない音も聴こえる筈の無い音も聴いてはいけない音も聴こえさせられてしまう。背後で鈴をつけた猫が徘徊しているのか、と思ったらsaraが仕込んだ弦の振動の仕業だった。

●INCAPACITANTS:T.美川 (electronics, vo), コサカイフミオ (electronics, vo)


ピアノを片付けた空間がぽっかり空いたフロアの奥に、巨人と小人の二人の男子が最初は慎ましやかに、徐々に昂奮して野蛮に、さらに持ち場を離れて暴れ太鼓を叩くが如し。その間音量を上げたり、不協和音も協和音もない二重唱を高めたり、電圧を浪費する電子機器を追加したりといった素振りはない。最初の5分で機能することを諦めた聴覚を視覚が支配して、脳内シナプスを在り得ないほど刺激し続ける。人間の知覚容量の限界を極める音響版ロールシャッハ・テスト。客席前のスペースをフル活用して狼藉を見せつけた挙句の機材テーブル破壊は、星一徹のちゃぶ台返し以来のローテクノロジースーサイドのエクスタシーだった。

●Gunjogacrayon:宮川篤(ds)、組原正(g)、前田隆(b)、中尾勘二(tb)+橋本孝之(sax)


RIO五輪のシンクロナイズドスイミングや新体操とシンクロした組原のメイキャップは、奇を衒ったものではなく、65年の月日を重ねた年輪から滲み出る樹液の馨しさ。ソロギターが電気系統の断線で中断された真空地帯に生じた聴き手の飢餓状態を、ラズウェル・ラッド五重奏団を彷彿させるクインテットは、如何様な前衛ジャズや現代音楽とも断絶した白熱時代の集団投射を提示するように思われた。しかし此処にあるのは唯只管音を出すことでしかお互いの存在を知覚し得ない片輪者の鳩首協議ではない。中でも宮川の60年代山下洋輔トリオの森山威男を思わせる容赦のないドラミングは、ポストパンク世代に分類されて居心地悪そうな面持ちのグンジョーガクレヨンの本質を垣間見せる。アルバムに続きゲスト参加の橋本のサックスと新加入の中尾勘二のトロンボーンの非楽器感が際立つ。両脇から駆け込もうと触手を伸ばす前田のベースと組原のギターも迂闊に手を出さない。そんなやり取りは勿論のこと筆者の後付け妄想に過ぎない。

グンジョーガクレヨンレコ発ライブ “Gunjogacrayon” Release Live[2016.8.28 9:52追加]


三者三様
録らぬ音楽
皮算用


(Facebook Sara Dotesさんの投稿より転載)
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新世代ガレージ・ロック・バンド、ザ・パロッツが「Let's Do It Again」のMV を公開!

2016年08月20日 01時32分59秒 | ロッケンロール万歳!


D.I.Y.かつローファイなガレージロックを掻き鳴らす新人トリオ、ザ・パロッツ が9月14日(水)に発売されるデビュー・アルバム『ロス・ニーニョス・シン・ミ エド~恐れなき子供たち~』から「Let's Do It Again」のミュージックビデオ を公開!

映像についてメンバーは以下のように語っている。
「この曲は友情と忠誠心について歌ったものだよ。ある夜にコンピューター・ウ イルスに感染したかのように馬鹿な事をしたくなって、翌日その事をすごく恥ず かしく感じるみたいな。笑」

彼らが語る通り本ミュージックビデオでは、ビールを片手に仲間たちと過ごす楽 しい夜が描かれている。お酒を飲む人では誰もが経験するであろう、ひどい二日 酔い…昨晩のことはよく覚えていないけれど、最高だったのはハッキリ覚えてい る。ヴォーカルのディエゴがしゃがれた声で歌う「Let's Do It Again(もう一度 やろうぜ)」。

何にも縛られずに自由を謳歌する彼らを象徴する1曲となっているので、ぜひ聞 いてほしい。

The Parrots - Let's Do It Again (Official Video)


The Parrots - No me gustas, te quiero (Official Video)




■リリース情報
アーティスト:The Parrots(ザ・パロッツ)
タイトル:Los Niños Sin Miedo(ロス・ニーニョス・シン・ミエド~恐れなき 子供たち~)
レーベル:Heavenly / Hostess
発売日:2016 年9月14日(水)
品番:HSE-3862
価格: 2,100円+税
※日本盤はボーナストラック2曲、歌詞対訳、ライナーノーツ付

<トラックリスト>
1. Too High To Die
2. Let’s Do It Again
3. No Me Gustas, Te Quiero~好きじゃなくて、愛してる~
4. A Thousand Ways
5. Jame Gumb
6. Casper
7. E.A. Presley
8. The Road That Brings You Home
9. Windows 98
10. Los Ninos Sin Miedo~恐れなき子供たち~

*日本盤ダウンロードボーナストラック
1. I Am A Man
2. I Did Something Wrong

■バイオグラフィー
スペインはマドリード出身の3人組ガレージ・ロックバンド。大学在学中に意気 投合しバンドを結成。メンバーは、ディエゴ・ガルシア(ヴォーカル/ギター)、 アレックス・デ・ルーカス(バス)、ラリー・バルボア (ドラム)。 2015年、リ ヴァプールのギターポップバンド、フートン・テニス・クラブとツアーを実施。 2016年5月にはUKの大型フェスティバル、The Great Escapeに出演。9月にデ ビューアルバム『ロス・ニーニョス・シン・ミエド~恐れなき子供たち~』をリ リースする。

スペインの
ガレージロックは
トロトロロ

The Parrots - Tenement TV
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【真相解明】二次元のその先へ。暗号化する女子・でんぱ組.incに学ぶ理想郷への野望

2016年08月18日 02時37分51秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


アイドルからシンボルへ。暗号化する女子たち。

以前女子二次元化現象について考察したが、もはや単なる二次元化では満足できず、その先を目指す女子が出現した。その代表例が二次元女子の象徴的存在のでんぱ組.incである。その巧妙に計画された野望への策略を2015年夏以降のシングル盤の変遷から詳らかにして行こう。
【時事放談:女子二次元化問題】でんぱ組/大森靖子/ネクロ魔/Perfume/じゅじゅ/やくしまるえつこ
【追跡!女子二次元化現象】えいたそ☆成瀬瑛美/でんぱ組/スピリッツ/おそ松さん/酸欠少女さユり

【13th】おつかれサマー!

【発売日】2015年6月17日 【オリコン最高位】3位

夏歌・タオル曲・バカソングの三要素を備えたポジティブヒット曲。ジャケットにはこれまでヲタク女子からリア充前進、キャラ思いきり作って夏ガールに変身したデーハーな写真を使用。大胆な変身ぶりもコスプレの応用編だと考えれば左程理解不能ではない。


でんぱ組.inc「おつかれサマー!」MV Full


ポケムヒもったでんぱ組.incと、ハローキティ『ムなさわぎのヒみつ⁈』


【14th】あした地球がこなごなになっても

【発売日】2015年9月16日 【オリコン最高位】2位

二次元を愛する女子にとって最大の憧れのひとつが、漫画の世界のヒロインになること。しかも人気漫画家の手で二次元化するとなれば、満願成就・昇天確実に違いない。人気漫画家浅野いにおがジャケットはもちろん、作詞とギター演奏でコラボしたこのシングルを出したことで、彼女たちの二次元願望は絶頂を迎えた。これ以降シングル盤のフィジカルリリースが途絶えたことは、フィジカル(肉体的)な関係よりも、デジタル(電脳的)な刺激を求め始めたことを意味している。


でんぱ組.inc「あした地球がこなごなになっても」MV Full


でんぱ組.inc「アキハバライフ♪」MV Full


【愛踊祭】でんぱ組.inc『とんちんかんちん一休さん』(short ver.)


【Digital 1】永久ゾンビーナ

【配信開始日】2015年10月9日

デジタルリリース第1弾は季節ソング。ハロウィンという輸入文化を萌えジャパンに取り入れることで、世界の祭りを呑み込まんとする貪欲性の発露である。2.5次元伝説りさちーこと相沢梨紗のペンになるジャケットは、二.五次元による二次元化という小数点以下切り捨てメタモルフォーゼ。消え失せた0.5次元のエントロピーの方程式は、動物や悪魔の歌と謎多き歌詞の中に隠されている。


永久ゾンビーナ でんぱ組.inc 高音質


【Digital 2】Dem Dem X'mas

【配信開始日】2015年12月18日

定番のクリスマスソングも、非リアのヲタ女にとっては火の蓆(むしろ)。その煉獄を乗り越えたでんぱ組は「似合わなくない?」と自問自答しながらもまんざらではなさそう。再び0.5次元を燃やして相沢画伯が描いたアートワークは、実はクリスマス衣装のデザイン画を元にしたもの。つまり「二.五次元が三次元用に描いた二次元」という三重螺旋構造となっている。凡人には到底思いもつかないコンプレクシティ(複雑さ)は、心の底にコンプレックスを抱えたでんぱ者にしかわからない。


【でんぱ組.inc】Dem Dem X'mas


【配信3】破!to the Future

【配信開始日】2016年1月8日

クリスマスまでは順調に模範的二次元化の道を歩んで来たでんぱ組に大異変が生じたのは2016年の正月明け。3ヶ月連続デジタルシングル第一弾に於いて、最早人間の形は必要ないと捨て去り、虫や石やコケシや餅に身を窶(やつ)し、日本昔話の戯画化されたアニメにしか見られない抽象的なフォルムを持つに至った。タイトルロゴ(future)から零れ落ちたアルファベット(シンボル)に見間違えないように注意すべし(これが後述する秘密の解明の大きなヒントとなる)。


でんぱ組.inc「破! to the Future」LIVE Ver.


【Digital 4】ファンファーレは僕らのために

【配信開始日】2016年2月5日

前作から一ヶ月という短いタームでリリースされたデジタルシングル曲。このインターバルの短さはフィジカル(肉体)では実現不可能。以前から標榜していたスピードへの拘りを前作で極限まで突き詰めた彼女たちが次に向かったのが肉体からの離脱であったのは必然だった。物理的(フィジカル)な限界を捨て去り、二次元のそのまた先の地平を目指すこと、その布石として世に問われた本作のジャケットは、一見子供が書いた動物のように見えるが、それは単に人間の脳が騙されて意味ある形に錯覚しているだけで、実際は一本の線が蛇行しているに過ぎない。


でんぱ組.inc【ファンファーレは僕らのために ZEPP TOKYO】


【Digital 5】STAR☆ットしちゃうぜ春だしね

【配信開始日】2016年3月4日

三ヶ月連続デジタルリリースのラストは、色鉛筆の蕩けた造形の中に同化してメンバーを識別することすら不可能なシュールな世界へワープしてしまった。メンバーカラーも薄れてパステル化。これは即ち2013年10月発売のシングル「W.W.D II」で歌われた「One For All, All For One(ひとりはみんなの為に みんなはひとりのために)」という<万物同一の法則>に基づく行動であり、さらに「Dempa For All, All For The World(でんぱはみんなの為に みんなは世界のために)」という<全世界でんぱ主義運動>の実践である。2年半前に提唱した理想郷を現実のものにする時が遂にやって来た。


でんぱ組.inc「STAR☆ットしちゃうぜ春だしね」MV Full


【Digital 6】Ψです I LIKE YOU

【配信開始日】2016年8月8日

その理想郷実現の為の方法論として姿を現したのは、二次元を超えたメタモルフォーゼ、即ち『暗号化』であった。描かれたギリシャ文字「Ψ, ψ(プシー、プスィ、プサイ)」は心理学 (psychology), 超能力 (psychic ability/power) をあらわす記号でもある。アニメの主題歌とはいえ、サイコな記号もしくはシンボルへと姿を変えたでんぱ組の野望は最早誰の目にも明らかであろう。それはアイドル(偶像)からシンボル(象徴)へのアウフヘーベン(止揚/統合的発展)である。かつてでんぱ組のプロデューサーであったもふくちゃんこと福嶋麻衣子は「でんぱ組は概念になるべきだ」と語ったが、喪服の手を離れたでんぱ組が目指すのは、<概念>を撹拌し凝縮し実体化した<象徴>という神の領域なのである。


Ψです I LIKE YOU #えいたそ

野望の実現に突き進む彼女たちの座右の銘は、灰野敬二の「人間という形を捨てて 魂という暗号になれ」(暗号)という言葉に違いない。


Fushitsusha - 暗号 (Cipher)

アイドルの
形を捨てて
シンボルに

▼シンボル化のライバルはネクロ魔しかいない。
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