Beat Happening!VOL.635 x 八十八ヶ所巡礼『IRIKOが一ヶ所巡礼』。【前座】八十八ヶ所巡礼【main act】IRIKO(福岡)/オワリカラ/385/下山(大阪)。目当ては最近数人の友人から薦められ、YouTubeの動画も印象的な大阪の変態ヘヴィ・サイケ・バンド、下山 Gezan。Basement Barは初めてだったが、UFO CLUBとCLUB Queの中間位の大きさでステージが高くとても観やすいライヴハウスだった。前座、つまり一番目が八十八ヶ所巡礼だったので、イベントの最初から会場は満員。10~20代の若者ばかり。しかも可愛らしい女の子が多い。Beat Happening!は若いロック・ファンの為のイベントであるからして私のようなおじさんは多少場違い。そんなこと気にしないけど。未成年が多いせいかほとんどタバコの匂いがせず快適だった。
八十八ヶ所巡礼が登場すると前列を固めた女の子たちから歓声が沸き上がる。「PALAMA・JIPANG」からスタート。いつも通りの妖怪プログレ・ハードロックが展開され、曲によってはモッシュが起こる。途中でマーガレット廣井氏のベースの音が出なくなるというハプニングはあったが、さすがに上手い。しかしある意味予定調和的な世界は安心印ではあるが意外性やスリルに欠けるのも確か。ハードロックやプログレの宿命である様式美を打ち破ってくれることを期待したい。
八十八ヶ所巡礼が終わるとステージ前の女の子たちが一斉に退く。2番目の
385は元BLEACHの女性ベーシスト、MIYA嬢がヴォーカルも手掛けるハードコア・トリオ。最初はギターの代わりにキーボードが参加していたらしい(動画でもキーボードが参加)が、現在は非常勤メンバーのギタリストが入れ替わりで参加している。MIYA嬢のチョッパー・ベースとデス声ヴォーカルが印象的なバンド。テンポ・チェンジの激しい構成はプログレ的といえるかも。先日のクラブ・クアトロでのBeat Happening! Maxで酔っ払って楽屋から野次を飛ばしていたのがMIYAちゃんだったと判明。多分嘘つきバービーのとき。
3番目が待望の
下山。マヒトゥ・ザ・ピーポー(vo,g)、イーグル・タカされ(g)、カルロス・尾崎・サンタナ(b)、シャーク・安江(ds)の4人組。本当か嘘か、マヒトゥ氏は三島由紀夫の孫らしい。とにかくルックスからして普通じゃない。長髪ギターふたりにチンピラ風怖もてドラムにアフロ&全裸(!)ベース。爆音ヘヴィ・ビートに乗せてステージ中激しく暴れまわるマヒトゥ氏。観ているうちにベースの全裸も不思議じゃなくなる陶酔感。八十八ヶ所巡礼のMCを真似してバカにする挑戦的な態度。滅茶苦茶やっているように観えて実は緻密に作られている曲構成。最後はフロントの3人が客席に乱入し女の子が逃げ惑う。マヒトゥ氏と目が会ったので肩を組んだらほっぺたに噛み付かれた。関西らしい露悪的なパフォーマンスはインパクト強烈過ぎ。テン世代期待の新人登場だ。終演後物販コーナーにベースのカルロス氏がいたので話し掛けたらとても丁寧な対応だったので安心した。彼らのHPで予約したとき「物販で魚肉ソーセージ求めてね」と返事が来たのでそう言ってたら、ギターのイーグル氏のサイン入りポコ○ン丸出し生写真をくれた。やはり全員変態なのか? 完全にラリったマヒトゥ氏が虚ろな目で会場をフラフラ徘徊していてかなりヤバかったし・・・。
4番目は
オワリカラ。最近「イギー・ポップと賛美歌」というアルバムを出し、タイトルだけで気になっていたバンド。g,key,b,dsの4人組。皆黒を基調としたモッズ・ファッションなのにベースの人だけサイケな衣装に頭に銀の輪っかを乗せている。タイトなガレージ・サウンドがカッコよく、左利きのギタリストはジミヘンを思わせる。かなり凝っているが、下山の後だけにやけに真っ当なバンドに聴こえてお客さんも安心して観ている。下山がいなかったらこの日のベスト・アクトだったかも。
ラストは福岡の久留米出身のトリオ
IRIKO。かつてのめんたいビートをルーツに持った骨太でストレートなサウンドはなかなかいいが、これだけ個性的なバンドが揃うと野獣の群れに素手で戦いを挑む人のような感じになってしまう。九州からわざわざご苦労さん、お疲れ様でした、とばかりに温かい拍手に包まれて終演。
とにかく噂の下山を観れただけで満足だが、会場を埋めた若い女の子たちの姿が目を楽しませてくれた夜だった。
きのうの夜に
あなたが噛んだ
ほっぺが痛い
下山次回の東京ライヴは11月4日下北沢THREEにて。