A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

キノコホテル/N'夙川BOYS@渋谷WWW 2013.2.26 (tue)

2013年02月28日 00時26分12秒 | ロッケンロール万歳!


キノコホテル × N'夙川BOYS

東京のキノコホテルと大阪のN'夙川BOYS。両者はイベントで何回か同じステージに立ったことはあるがガチの2マンは初めて。キノコホテルは"過激でポップな中毒性の高い大衆音楽"、N'夙川BOYSは"独自のLOVEスタイルでロックンロールを現代に甦らせる2010年代注目の大胆不適な!ニューカマー"と称する。そんな現代J-ROCK界唯一無二の個性派の激突は見逃せない。当然チケットはソールドアウト。客層は20~50代と幅広く男女半々。キノコホテルの実演会は圧倒的に男性が多いので女性ファンの多い会場は新鮮。

先攻はキノコホテル。2月は京都~徳島~福岡と地方実演会が続いたので約1か月ぶりの東京。マリアンヌ様はお気に入りトラメガ片手に登場。すっかり従業員の風格を身につけたジュリエッタ霧島のグルーヴィーなベースを加えて実力派軍団と化した2013年型キノコホテルの揺るぎない演奏に酔い痴れる。1Fフロアは男性中心のキノコ胞子が占めて上下左右波打ち、後方からは夙川ファンの女性客がもの珍しそうに眺めている。早口で言葉を連射するパンキッシュな曲が始まったので新曲か?と思ったらアーント・サリーのカバーだった。観客の殆どは判らなかったと思うがマリアンヌ様(=S)のパンク/ニューウェイヴ愛好家ぶりにニヤリとする。最後はスモーク砲を消火器バリに噴射し胞子たち(=M)を喜ばせた。


<Set List> SE~キノコホテルのテーマ/球体関節/真っ赤なゼリー/ノイジーベイビー/すべて売り物/愛と教育/セクサロイドM/エレキでスイム/悪魔なファズ/キノコのトリコ/# 84/キノコホテル唱歌





N'夙川BOYSは1年ぶり。昨年のメジャー・フル・アルバム「24HOUR DREAMERS ONLY!」が話題になっていたので楽しみにしていた。独自の世界観を創り出す確信犯キノコホテルに対して無手勝流で破天荒なロケンローを展開するN'夙川BOYSは本能的かつ場当たり的。フロアはキノコ胞子と入れ替わりに背の低い女子軍団で埋まる。ベースレスでバスドラも踏まないことが多いので低音のない腰砕けサウンドなのに何でこんなに盛り上がるのか不思議な魅力を持ったバンドだ。ヴォーカル&ギターのマーヤは初っ端から「ダブリューダブリューダブリューまだまだ行けるかーっ!」と絶叫。まだ始まってないって。彼らの曲はミニマルなほどシンプルなのに長時間演奏にガンガン気分がアガる。「マーヤ?」「リンダ?」と応酬するMCと客席ダイヴ・PAタワーよじ登りなど身体を張ったパフォーマンスはロケンロー魂の塊。先日観たPASSPO☆の盛り上がりに負けないノリの良さにロックもまだまだ捨てたもんじゃないと実感。アンコールではキノコホテル従業員も加わって豆まきならぬTシャツまき大会。壁に当たって落ちたTシャツをゲット。最高の節分ライヴだった。





新曲「FUN HOUSE」が主題歌に起用された本人フィギュア登場映画トレーラー映像



イベントの詳細なライヴレポはコチラ。案の定アーント・サリーには触れていない。

N'夙川BOYS
キノコホテルと
仲良しさん

<対バンイベント情報>
●キノコホテル
3月25日(月)新宿ロフト <SHINJUKU LOFT 14TH ANNIVERSARY> 
出演:キノコホテル/嘘つきバービー/チャラン・ポ・ランタン

●N'夙川BOYS
3月3日(日) なんばHatch CROSSOVER!! "ひなまつりスペシャル ~バンドvsアイドル~ オルタナティブ女びな決定戦2013"
出演:でんぱ組.inc/モーモールルギャバン/バンドじゃないもん!/ロリータ18号/アップアップガールズ(仮)/いずこねこ/Idol Punch/後藤まりこ(司会)/N'夙川BOYS/他

3月8日(金) 名古屋CLUB QUATTRO THEラブ人間決起集会「セ・ラ・ヴィ!」 名古屋編
出演:THE LOVE人間/N'夙川BOYS/他

3月9日(土)大阪 Music Club JANUS “犬 NINGEN BOYS”supported by EYESCREAM
出演:DOBERMAN / BO NINGEN / N'夙川BOYS

3月14日(木)渋谷 www “でんぱ NINGEN BOYS”supported by EYESCREAM
出演:BO NINGEN/でんぱ組.inc/N'夙川BOYS

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円周率~ロック数え歌、またはロックで祝うバースデイ特集 Pt.5

2013年02月27日 00時29分17秒 | 動画の歓び


ジョン・ケージの不確定性の音楽やナンバー・ピースをはじめ現代音楽には数学や図形を適用した作品は多いが理論先行型の聴きづらい曲が多い。同じ数学を元にした曲でも円周率をそのまま音符に置き換えた山下洋輔の柔軟な遊び心たっぷりのこの曲は堅苦しさとは無縁に楽しめる秀逸な作品である。

山下洋輔「円周率」


不惑=「四十にして惑はず」、強仕=「四十を強といい、しこうして仕う」と言われる40代の年齢ソングをご紹介。

▼41=バカボンのパパ:赤塚不二夫作「天才バカボン」の主人公でバカボンとハジメの父。妻はバカボンのママ。誕生日は本人曰く「昭和元年12月元日のクリスマスの夜」。エンディングテーマ曲で歌われる通り年齢は41歳、血液型はBAKA型という特殊型でなめると甘い味がする。熊本県の菊池市立七城中学校・東京都のバカ田高校を経てバカ田大学を首席で卒業。大学時代のあだ名はキャロルまたはノールス(脳がいつも留守だから)。口癖は「これでいいのだ!」「タリラリラ~ン」「コニャニャチハ」「はんたいのさんせい」「さんせいのはんたい」など至極名言ばかり。若者諸君はその生き方を見習うように。

元祖天才バカボンの春


▼42=電気グルーヴ:1986年ナゴムレコードからデビューしたテクノポップユニット人生(ZIN-SAY!)を前身に1989年結成した石野卓球とピエール瀧の二人組。日本のテクノ/ハウスの代表格でクラブ系の大きな支持を集める存在である。その音楽性やファッションセンスが海外でも高く評価されている。

電気グルーヴ - ピエール瀧の体操42歳


▼43=DREAMS COME TRUE:1988年中村正人と吉田美和を中心に結成。通称ドリカム。バブル時代にミリオンセラーを連発、紅白歌合戦に14回出演する名実共に日本ポップス界を代表するグループの一つ。吉田美和の前向きで伸びやかな歌声はJ-POPの象徴として王道に君臨している。余りにもど真ん中過ぎて何も書くことがないがカラオケで歌うと途中で自滅するパターンが多い。

「LAT 43° N」DREAMS COME TRUE


▼44=きゃりーぱみゅぱみゅ:きゃりーの世界征服戦略に於いてミニマルなリピートが重要な役割を果たしていることは言うまでもない。ミニマルミュージック=テクノサウンドは勿論「PONPONPON」「CANDY CANDY」「でもでもまだまだ」「ちゃんちゃかちゃんちゃん」「にんじゃりばんばん」と曲タイトルにも繰り返しが多用され草間彌生の連続する水玉模様を思わせる反復迷宮世界を形成する。ゾロ目の「44」という数字に周到に仕掛けられた罠は後半の♪にゅにゅにゅにゅにゅにゅにゅにゅキュキュキュキュキュキュキュキュにゅにゅにゅにゅにゅにゅにゅにゅ♪という幼児退行言語反復に頭蓋を破壊されるまで気づかない。最近DVDリリースされた武道館公演のオープニング・ナンバーである。

きゃりーぱみゅぱみゅ ♪ おねだり 44℃ ☆ KFC Krushers - CM Making!


▼45=爆風スランプ:♪私の青春を返せ!♪という中年の心の叫びを歌ったサンプラザ中野くんも主人公の年齢をとっくに超えてしまった。45歳は単なる通過点に過ぎない訳だが四捨五入すれば50なので本人にとっては重い年齢である。開き直りの境地に達する前の悪あがきは醜くも純粋さ故の美しさもある。

ウクレレで爆風 - 45歳の地図〜COME BACK青春


●46=乃木坂46
AKB48の成功をみすみす逃したSMEの為にプロデューサーの秋元康が「AKB48より人数が少なくても負けないという意気込み」を込めて命名したという対抗ユニットとして運命付けられたアイドルグループ。敵も味方も仕掛人は秋元だからグレートロックンロールスウィンドル並みの詐欺行為とも考えられる。このPVはスカートを捲し上げるフレンチカンカン演出がネットで何かと話題になったお騒がせナンバー。

乃木坂46「おいでシャンプー」


▼47=ボーズ・オブ・カナダ:スコットランド出身の兄弟テクノユニット。通称BoC。イギリスのエレクトロニカの名門ワープ・レコード所属。1980年代半ば自ら設立したレーベルMusic70からリリースしたカセット作品がオウテカの耳に留まり正式デビュー、世界的人気アーティストとなる。インディー時代に制作した音源がインターネットを介して流出し本当にBoCの作品か否かについて論争が交わされている。747と題されたこの曲もその音源のひとつだが寄せられたコメントを見ると彼らの作品に間違いないと信じるリスナーが多いようだ。

Boards Of Canada - Seven Forty Seven


▼48=ハーレーダビッドソン:アメリカのバイク名門メーカーの人気車種らしいがバイクに関しては無知なのでよく分からない。因みにハーレーのロゴ入りのTシャツやパーカー、キャップ等は複数所有している。曲はホワイトスネイク「バッド・ボーイズ」。

2014 Harley-Davidson 48 [Forty-Eight] bike review


▼49=CHTHONIC(閃靈・ソニック):台湾のブラックメタル・バンド。英語名はギリシア神話の地下の神「クトニオス」を意味する。二胡や琴を取り入れ中華風の独特のメイクで繰り出すメタルサウンドには辺境ロックならではの猟奇性が漲っている。台湾、アジアは勿論アメリカの“OZZFEST”、ドイツの“ WACKEN OPEN AIR”など大規模フェスティバルにも出演しワールドワイドな人気を獲得。フジロックを含め来日公演も何度も行っている。女性ベーシストのドリスは写真集が出版される程の美形。今年3月に単独来日ツアーが決定。

Chthonic - Forty Nine Theurgy Chains


▼50=ザ・フォール:「ニヒリズムの権化」=マーク・E・スミスによりイングランド西北部グレーター・マンチェスターで1976年に結成されたパンク・バンド。反復ビートのシンプルなサウンドと社会・政治・音楽業界を鋭く風刺、批判した辛辣な歌詞によるポスト・パンクを象徴する存在。ソニック・ユースやペイヴメントなどオルタナティヴ・ロックに多大な影響を与えた。37年経った現在でもペシミズム溢れる活動を続ける希有なバンド。今年4月に30作目のニュー・アルバムをリリースする。

The Fall 50 Year Old Man at HMV


年齢が
幾つになっても
ロケンロー

知命=「五十にして天命を知る」にて数字・年齢ソング特集は終わり。人生悔いのないよう何があっても生き抜く覚悟をしようよ!
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PASSPO☆@赤坂ブリッツ/山本精一@東高円寺UFO CLUB 2013.2.24 (sun)

2013年02月26日 00時40分18秒 | 素晴らしき変態音楽



PASSPO☆ ワンマンフライト 赤坂BLITZ便
【Business Class Flight】BOARDING 12:00/DEPARTURE 12:30




PASSPO☆はリリースの度にオリコン・チャート上位にランクインする次世代アイドルグループ。アーバンギャルドのアイドル五番勝負で観たが、でんぱ組.inc、BIS、バニラビーンズなど個性の強いアイドルに比べると正統派のイメージ。空と旅をテーマにスッチー・コスチュームをまといメンバーをクルー、ファンをパッセンジャー、ライヴをフライトと呼ぶ世界観は明快で分かり易い。この日は昼の部「ビジネスクラス」、夜の部「エコノミークラス」の2回公演。オリコン6位ヒットの新曲「サクラ小町」リリース後の初フライトなので両公演ともソールドアウト。久々のグループ・アイドル・ライヴでヲタの熱気に気分がアガる。

予想外の生バンド演奏。アイドルのバンド編成ライヴはバニラビーンズ以来2度目だが渋谷系のバニビに対しPASSPO☆はメタル系。作詞作曲/サウンド・プロデューサーのペンネとアラビアータ機長をバンマスとする4人組の演奏は手抜きなしの本格ハードロック。激しいビートに乗せて9人の少女が歌い踊り跳ねる。ポップなメロディーと明快なサビで会場は一気にヒートアップ。バレエか新体操かと間違える程激しいダンスをしながらしっかりと歌う姿は驚異的。最高潮に盛り上がっても「まだまだ!」「もう一回!」とガンガン煽る9人。神聖かまってちゃんのライヴでは「盛り上がってますかぁ?」と訊くmono(kbd/あご)に対しての子が「おめぇ不安でビビってるから確認してんだろ?俺は訊かねーよ。盛り上がってるって分かるもんマジで」と突っ込んでいたが、どう見てもこれ以上盛り上がり様のない観客に執拗なまでに檄を飛ばし続ける少女たちのプロ根性には恐れ入る。下手なロックコンサートよりよっぽどロケンローなライヴだった。詳細なライヴレポートはコチラ



最近ビートパンクにハマっているのでPASSPO☆のタテノリロックにパーソンズやリンドバーグに通じるギャルバン精神を感じて嬉しかった。



面白いツイートを発見した:
「プロ野球を女の子グループに例えると AKB=巨人 SKE=中日 NMB=阪神 アイドリング=ヤクルト パフューム=広島 ハロプロ=横浜 スーパーガールズ=西武 HKT=ソフトバンク ももクロ=日ハム 乃木坂46=ロッテ E-girls=オリックス ぱすぽ=楽天」


【山本精一 カバー作第一集 レコード発売記念ライヴ】
LIVE:山本精一




山本精一は不思議な存在である。前衛ロック界に長年身を置きながら難解な方向には行かず常に分かり易いポップセンスに貫かれた活動を展開する。実体は変幻自在・多種多様で蜃気楼のように掴めない。絵画や文章にも才能を発揮するし政治や社会に対する真面目な発言もする。1990年代から山本の演奏はボアダムズ、MOST、ROVO、PARA、PHEWとのデュオ、灰野敬二や大友良英との共演、そしてソロと様々なユニットで見聴きしてきた。個人的な印象では極めて真っ当なバランス感覚の持ち主であるが、JOJO広重に言わせると「知ってる限りで一番の変人は精一さん」とのことである。彼が店長の難波ベアーズには行ったことはないし、ライヴMCでは毎回真面目で正直な言葉を話すので広重の言う「変人さ」がわからない。音楽にしてもノイズ/前衛ロックからフォーク弾き語りまで幅広いが広重の常軌を逸したノイズへの執着や灰野の屹立する存在感に比べれば山本の演奏スタイルはいたって「普通」である。昨年Bar Issheeで「ギターインプロヴィゼーション」「弾き語り」「カバー曲歌唱」「ノイズ」の4形態のソロを経験したがいずれも「強烈!」とか「すげぇ!」ではなく「心地良い」「感動する」という感想である。因みにCDはボアダムズと想い出波止場とPARAしか持っていない。

新作の「山本精一カバー・アルバム第一集」もCDショップの店内演奏で「からっぽの世界」を聴いて誰これ?と店員に尋ねて購入した次第。ザ・バーズ、ニール・ヤング、ザ・フォーク・クルセダーズ、あがた森魚、ジャックスなど1960~70年代の楽曲が並び昭和の香りたっぷりのこのCDは多重録音によるジョン・レノンばりのダブルトラック・ヴォーカルと重層的なギターがサイケな白日夢を作り出す幻惑的な作品。曲はアレンジなしの完コピに近い。灰野敬二の哀秘謡やJOJO広重のノイズギターカバーとは違いとてもストレートなカバー集である。

サイケの幻の名盤と評されるレコードを聴いてみたら何てことのない普通のフォークやカントリーだったということがよくある。しかし何回も聴くと深層に狂気と幻想の精神世界が潜んでいることに気づく。そんなモビー・グレイプのスキップ・スペンス、パールズ・ビフォア・スウェインのトム・ラップ、ファッグスのエド・サンダースなどと同じ感覚が山本の音楽にはある。"普通さ故の恐ろしさ"とでも表現すればよかろうか。それはライヴ演奏だとより濃く感じられる。黒服でアコギとエレキを抱えて座り譜面を見ながら歌う普通のフォーク演奏である。最近復活した渚にてや元非常階段の頭士奈生樹の世界に通じる「うたもの」ともいえる。しかし聴いていると頭が宙に浮くような空気と心の平穏を掻き乱すファズやディレイはその辺の轟音ロックよりもマインドトリップの危険性が高いヤヴァな気配を放っている。

最近出版された"批評"と"サブカル"をテーマにしたリトルマガジン「なんとなく、クリティック1」が70ページに亘る山本精一特集(ロングインタビュー+小山田圭吾対談+佐々木敦評伝)を組んで"山本精一の世界"に迫っているが、インタビューアーの森田真規編集・発行人が書いているように「雲をつかむような存在」であることは変わらない。その意味では映画を観たり書籍を読むことで謎がさらに深まった"灰野敬二の世界"に通じる。「謎」や「訳分からなさ」があるからこそ惹かれる人は多いに違いない。セットリストおよび詳細なライヴレポートはコチラ



UFO CLUBの道下慎介店長のリクエストで急遽演奏したこの曲が灰野の哀秘謡のレパートリーであることに暫く気がつかなかった。灰野による楽曲の本質暴露カバーである。






カバーとは
自分の世界
作ること

●忘備録
3/1(金)11:00AM前売開始
JAZZ非常階段 featuring 山本精一
4月6日(土)19:30OPEN/20:00START
新宿ピットイン



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ギャスパー・クラウス「序破急」リリース・パーティー@六本木 Super Deluxe 2013.2.23 (sat)

2013年02月25日 00時18分34秒 | 素晴らしき変態音楽


ギャスパー・クラウス
『序破急』リリース・パーティー

鬼才チェリスト、ギャスパー・クラウス最新アルバム『序破急』のリリースパーティー開催決定!!
序破急 ― Jo Ha Kyu 静謐から混沌へ。破綻から生成へ。有為と無為のあわいで異能たちの営為が交差する―。鬼才チェリストによる音的宇宙の探求譚、その全貌!灰野敬二、友川カズキ、レナード衛藤など、ギャスパー・クラウスの最新アルバム「序破急」に参加した強者たちが奇跡的にここに集結。“音”の即興詩人たちが織り成すサーガ。才気煥発の若きチェリストが猛者達を召還し音的宇宙のさいはてへと導き出す―。あり得ないラインナップ、滅多とないこの機会を是非お見逃しなく!

出演:
ギャスパー・クラウス (cello)/石橋英子 (vo,pf)/西原鶴真 (薩摩琵琶)/SachikoM (sinewaves)/ジム・オルーク/友川カズキ (vo,gt)/灰野敬二 (gt,vo)/レナード衛藤 (和太鼓)/梅津和時
Super Deluxe HPより)

不勉強ながらギャスパー・クラウスというチェロ奏者のことはまったく知らなかった。灰野関連のリリースは割と早めの時期に本人および関係者から情報をもらうことが多いのだが、このCD情報は音楽サイトのニュースで知った。灰野の参加に興味を持ったのは勿論だが驚いたのは他の参加者である。

ギャスパー・クラウス『序破急』
2013年2月22日発売


"序破急 ― Jo Ha Kyu 静謐から混沌へ。破綻から生成へ。有為と無為のあわいで異能たちの営為が交差する―。鬼才チェリストによる音的宇宙の探求譚、その全貌!"
参加ミュージシャン:石橋英子(voice,piano,drums)/ギャスパー・クラウス(cello)/梅津和時(soprano sax)/大友良英(turn table)/坂本龍一(prepared piano)/SachikoM (sainewaves)/坂本弘道(prepared cello)/友川カズキ(voice,guitar)/灰野敬二(voice)/西原鶴真(薩摩琵琶)/レナード衛藤(太鼓)
ジャケット・アート:諸星大二郎

豪華といえば豪華だが漫画家まで参加した大プロジェクトの事前情報がリリース直前まで一切なかったのが不思議。1980年頃にゲイリー・ムーア、ブライアン・イーノ、ビル・ブラフォード、コージー・パウエル、フィル・コリンズ、マンフレッド・マン、ゲイリー・ブルッカー、クリス・スペディング、キース・ティペット、アルヴィン・リー等錚々たる面子が参加したブリティッシュ・ロック版「ピーターと狼」というレコードがあり「すげぇ!」と聴いてみたらプロコフィエフ作曲のクラシック曲をそのまま演奏しただけでガッカリしたことがあったがこれは一体どうだろう???



予告編ビデオを観るとコンセプトはしっかりしているようだし灰野が寄せ集め企画の尻馬に乗ることはあり得ないので期待できると判断。リリース翌日のレコ発イベントで正体を見極めようと思った。Unofficial Keiji Haino WebsiteのDavidからアメリカでもImportant Recordsからこのアルバムがリリースされるとの情報も寄せられた。

ギャスパーは2月半ばから来日し友川かずきのライヴに出演した。作品の全貌は直前まで分からないにも関わらずギャスパー人気なのか面子の豪華さなのかコンセプトの面白さなのか分からないがスーデラは今まで見た中では最大動員の大盛況。出演者は下手したらギャスパー(30歳)が最年少かも知れぬ高年齢だが客層は若者が目立つ。正直最近のスーデラのイベントにはイマイチ興味が惹かれず足が遠のいていたのでその間に客筋が変わったのか?多少の???が浮かぶが勿論嬉しい悲鳴であることは確か。

第1部はギャスパーとジム・オルークのデュオ。ギャスパーは小柄でスリムな美青年。ジムはSGを寝かして置いたエフェクター・テーブルの前に座る。ギャスパーのチェロ裏面演奏とジムの弱音電子音で静かにスタート。ジムはシカゴ時代に音響/ノイズ系の活動をしており、その頃物音ノイズの権化オルガナムのアルバム「Sphyx」にゲスト参加したので彼を最初に聴いたのだが、そこでの裏方的な希薄な存在感に通じる演奏だった。両者共にヴォリュームを抑えた演奏で虫の声やテーブル・ギターを擦ったり叩いたりする物音ノイズが猛獏としたチェロ演奏と溶け合うアンビエントサウンドを30分に亘り展開。超満員の観客の息を詰める音が聴こえるような静謐且つ緊張感のある音世界だった。




(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

20分の休憩後全員で「序破急」世界初演。真ん中に鎮座し圧倒的な存在感を放つ大太鼓の左右一列に演奏者が並ぶ。ギャスパーは指揮者のように演奏者の方をに向いて座る。太鼓の連打からスタート。SachikoMのサインウェーヴ(微弱電子音)と西原の琵琶と灰野のルドラヴィーナがアクセントをつける中パスクラ・チェロ・ピアノ・電子音が音を重ねる。アブストラクトな演奏が10分程続いたところに友川登場。アコギを手に津軽弁の絶唱を聴かせる。「無残の美」というアルバムが好きで愛聴していたが生演奏は多分初めて。その迫力とオーラにたじろぐ程の衝撃を受けた。ソロライヴを観なければいけない。友川がひとしきり歌うと灰野が立ち上がりマイクの前へ。喉から絞り出す「音」としてのヴォイス・パフォーマンスに観客の視線が集中する。途中パーカッション演奏を挿んでコンタクトマイクを喉に直接当てて口腔音を拾う。梅図の循環奏法ソプラノサックスと大太鼓の乱打が演奏を最高潮に導いたところであっさりと潮が引くように無に戻り40分弱の演奏終了。ギャスパーが感謝の挨拶とメンバー紹介。それによるとこの作品のアイデアはリリース元のModest Launch代表小池直人の発案らしい。物販で購入したアルバムのクレジットには録音は2009年12月とあるから3年越の企画である。アンコールの拍手に対してギャスパーは全員演奏のあとにチェロ独奏をする気にはならないと辞退。10時前に終演だったがひとつの作品としての「序破急」を堪能した一夜だった。





アルバムは曲構成は同じだが録音が凝っていて電子音や友川と灰野の声がくっきり浮き上がる異次元音響が体験出来る。ボーナストラックの3つのデュオ演奏も素晴らしい。坂田明「平家物語」とテーマは共通するがギャスパー・クラウスという異邦人の手で再構成されることで日本伝統文化がより普遍的なものに生まれ変わった。

Opening
Middle &
Climax

洋邦の出会いが生んだ「にんじゃりばんばん」。East meets West brings "Ninjari Bang Bang".

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歩いていこう青春ストリート!!!~ジュン・スカイ・ウォーカーズとビートパンク特集

2013年02月24日 00時21分22秒 | ロッケンロール万歳!


洋楽中心のFMラジオから突然流れてきた明快なメロディー。青臭過ぎる迷いのない真っすぐな青春讃歌に赤面してしまった。JUN SKY WALKER(S)の新曲だった。1980年代後半~90年代一世を風靡したビートパンク・ブームの中心バンドである。再結成したことは知ってはいたがまさか40代後半になってもこんなに無垢で純粋な歌を唄っているとは!♪掴めないから虹は美しいんだ~♪という台詞をアラフィフで口に出来ることはある意味貴重。神聖かまってちゃんに「おっさんの夢」という曲がありの子がキーの外れた声で♪あの時の僕を探しに/きっと見つかると思うんだ/だって叶えてない夢があるから♪とおっさんの心情を切々と歌っている。ジュンスカ宮田和弥の歌はの子に対するオヤジ世代からのレスポンスである。ジュンスカのJUNは純情の純。

JUN SKY WALKER(S)「One-Way」Official Music Video


ビートロックの代表格が昨年デビュー30周年を迎えたBOØWY。ビートを強調したタテノリサウンドだが歌い方とファッションセンスが洗練され過ぎていて青臭さがなく物足りない。時代を先取りしていたことは間違いないが個人的には"若さ故の過ち"バンドの方が好ましい。

BOØWY MARIONETTE


そういう意味ではKENZI&THE TRIPSは若さ炸裂の迷いのない青さが眩しい。ですます調で♪生きる厳しさ力に変えて向かっていくだけさ!ロックンローッ!♪なんて唄われた日にゃ諸手上げてタテノリジャンプするしかない。



来年結成30周年を迎えるニューロティカのピエロメイクのヴォーカル、イノウエアツシはお笑いとパンクを融合させたロンドンブーツ1号2号の先輩的存在だが、曲はストレートな青春応援歌が多い。この映像は2008年のアラフィフ青春ソングでMCで笑いを取る芸風+がんばれ連発に絶妙な説得力がある。



若いといえば大人になりたくないピーターパン症候群。それを軽快なスカパンクで歌い切るBAKUは夢を食べる動物=獏をバンド名にしただけあり「夢の国」「流れ星」「涙」「大空を飛ぼう」「僕の声が聞こえるかい」といった青い単語満載で聴いてるだけで照れちゃう若気の至り度満点。解散後ヴォーカルの谷口宗一はソロで活動するが現在は写真家として知られる。



バンドブームど真ん中のバンドがカステラ。アッパーな歌とビートで人気を集めたライヴバンド。ヴォーカル大木の兄はTheピーズのベース&ヴォーカルの"はる"。兄弟でブリーチすることは歌にもなった。カステラは1993年に解散するがTheピーズは2002年に活動再開し実力派として活動中。

ビデオ買ってよ カステラ (1989)


筋肉少女帯、レピッシュと共に「ポコチンロック」を名乗って活動したのがアンジー。この名称は世間の勝手なジャンル分けに対するアンチテーゼだったらしいが逆に"P-ROCK"というジャンルになってしまったというのは皮肉な話。中森明菜やテレ東をネタにしたMCはお笑いに通じる。



P-ROCK一派のレピッシュはホーン入りのスカビートでユニークな音楽性だが時代的にビートパンクの括りに入れられた。アッパーなタテノリはバブルの香りたっぷり。2007年に活動再開し昨年結成25周年を迎えた。



ビートパンクよりも前のインディーズ・ブームを象徴するラフィン・ノーズもパンクな青春応援ソングが多い。"PUNK"に拘った姿勢は結成30周年を過ぎた現在でも揺るぎない。アラフィフパンクスの生き様はTVドキュメンタリーや写真集にもなった。



PUNKへの拘りは昨年40歳を迎えた石坂マサヨ率いるガールズパンクの雄(雌?)ロリータ18号も負けない。自分より20歳若いメンバーと一緒に「YES!PUNKと共に生きる!」と宣戦布告するマサヨはオバさんパンクスの希望の星。



青春パンクの原点といえばクロマニヨンズで最高のロケンローを歌い続けるヒロト&マーシーのブルーハーツ。「ガンバレ!」と叫ぶ応援ソングは当時「やさしさロック」と呼ばれたがそれで終わらなかったのはロケンローに対する熱い愛情故。



青春は
いくつになっても
クサいもの

年齢ソング特集が実年齢に近づいてきて他人事じゃなくなったが、まだまだ夢があるんだってのマジで。ざけんな死ね。

おっさんの夢 PV 神聖かまってちゃん
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戸川純/神聖かまってちゃん@新宿ロフト 2013.2.21 (thu)

2013年02月23日 00時29分40秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


SHINJUKU LOFT×ROOFTOP presents
JUN TOGAWA GOES ON 第二弾 戸川純vs神聖かまってちゃん

11月に大阪と東京で行なったワンマン・ライブも大盛況のうちに終わった戸川純。今年は蜷川実花 監督&沢尻エリカ 主演の映画『ヘルタースケルター』の挿入歌に「蛹化の女」が使われたり、蜷川実花の選曲によるベスト・アルバム『蛹化の女~蜷川実花セレクション~』が発売されたり、テイチク時代の名盤4作品(『ヤプーズ計画』、『昭和享年』、『ヤプーズ計画 LIVE & CLIP+2』、『東口DVD』)が紙ジャケット&SHM-CDで限定再発されたり、未だに根強い人気と絶大な評価を誇っている。
そんな戸川が、来年1月から新宿ロフトにて3ヶ月連続のマンスリー・ライブ『JUN TOGAWA GOES ON』を開催することが決まった。これは新宿ロフトとロフト・グループが発行しているフリー・マガジン『ルーフトップ』の共同企画で、1月と2月は対バンを迎えての2マン、3月「ちょっと早めのBIRTHDAY LIVE 2013」として敢行される(対バンの告知は年内のうちに順次解禁)。今やホームグラウンドと言っても過言ではない新宿ロフトでどんなマンスリー・ライブを繰り広げるのか、ファンならずとも必見の3公演だ。
(2012/12/05 新宿ロフトHPより)

新宿ロフトでの純ちゃんのソロ・ライヴを観るのは2011年3月31日のバースデイ・ライヴから3回目だろうか。1982年にゲルニカで初めて観てから31年目。2000年代はヤプーズ、東口トルエンズ、ギミギミギミックス等のユニットで活動したが2007年に事故で足と腰を負傷してからはもっぱら新宿ロフトでソロ活動を続けている。上記の紹介コメントにあるように相変わらずカリスマ的人気を誇る元祖不思議ちゃん。若手アーティストからのリスペクトも高くミドリ、アーバンギャルド等と対バンしてきた。今回のマンスリー・ライヴでは1月キノコホテル、2月神聖かまってちゃんとの2マン。キノコホテルは日程が合わず行けなかったので今回参戦した。


チケットはソールドアウト。受付で前日同様の目当のバンド・アンケートに「純ちゃん」と答える。ロフトは後ろまでギッシリだったが何とかステージの見える場所を確保。横にいたのは多分スクーターズのリーダーでデザイナーの信藤三雄氏。てっきりかまってちゃんが先だと思ったら純ちゃんが先攻。前回観た時は金髪だったが今は前髪パッツン黒髪になっている。ストゥールに腰掛けて歌うが時々立ち上がる。リハビリで太ったと言っているが少しずつ回復しているようだ。昔通りのエキセントリック・ヴォイスに満場のオーディエンスが手拍子で盛り上がる。3月のワンマンには奇抜な衣装を用意しているそうだ。

Set List:コンドルが飛んでくる/コレクター/NOT DEAD LUNA/諦念プシガンガ/少年A/フリートーキング/蛹化の女/赤い戦車/母子受精/電車でGO/バーバラ・セクサロイド/肉屋のように/パンク蛹化の女



後攻は神聖かまってちゃん

名前聞いただけでざけたバンドだと思ったぜマジで。「つまんね」ってCD聴いたらホントにつまんなくてすぐ捨てたからよー金返せ。でも人気あるみてーじゃん。何でかわからねーから観に来てやったよてめーらをヨー。最初っからヴォイスチェンジャー使ってんじゃねぇよコノヤロー。スワンズでぶっ壊れた頭ん中に高音がキンキン響くじゃねーか。ざけんなマジで。何だ真ん中のあご勇はよぉ。完全にいぢられ役じゃねーか。ドラムのみさこTPO考えねぇしゃべり止めろっての。観客ども片手上げたまま飛び跳ねるんじゃねーよ。これってORANGE RANGEと同じじゃん?ライヴハウス久々で客の顔がよく見えるって当たりめぇだろぉ。こっちにもてめーらの顔がよく見えるんだってぇの。しゃべりが多くてまるで芸人じゃん。あご勇もつまんねぇフォローすんなよ。の子よぉお前ただガナってるだけじゃねーか。音程とか関係ねエのかよマジで。客の女子達おっさんに通じねぇゲームやアニメのネタで笑うんじゃねぇよざけんなこのやろー。ロフトのオーディション落ちたってこんなメチャクチャな歌じゃ当然じゃね?ギターも酷えけど破滅的でいいんじゃねぇか。オヤジ世代にはわかんねぇけどお前らがガキ共にウケるのが分かった気がするゼ。これマジ。アザーーーす!
(神聖かまってちゃんのレポはの子になりきってお伝えしました。)



純ちゃんと
かまってちゃん
仲良しさん

の子が言う通り新宿はゴールデンボンバーそっくりのホストとヤーさん客引きでホントにゲスい街だが、何だか活気があっていいんじゃねえかと思いつつ家路を急ぐ。頭の中の耳鳴りは鳴り止まないっ。かまってちゃん、アザっす!



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割礼/Boris/下山(Gezan)@高円寺HIGH 2013.2.20 (wed)

2013年02月22日 00時28分37秒 | 素晴らしき変態音楽




KOENJI HIGH 5th ANNIVERSARY
割礼 結成30周年・「ネイルフラン」「ゆれつづける」
リイシュー盤発売記念ライブ
LINE UP:割礼/Boris/下山(GEZAN)

割礼は30年間の活動の割にはライヴ盤を除く正規のスタジオ作品は「PRADISE K」(87年)「ネイルフラン」(89年)「ゆれつづける」(90年)「空中のチョコレート工場」(00年)「セカイノマヒル」(03年)「星を見る」(10年)の6作のみ。寡作さゆえに「伝説のサイケデリック・バンド」と呼ばれることが多いが年間30本以上のライヴを小規模な会場で行っており関東在住なら「伝説」を体験するのは容易である。実際割礼マニアといえる根強いファンが存在し毎回ライヴに足を運ぶ知り合いも少なくない。ラリーズのように本当の「伝説」になる前にご覧になることをお勧めする。

初めて彼らのライヴを観たのは2001年UFO CLUB、対バンは光束夜だった。当時は熱烈なサイケ・マニアでジャックスやラリーズやモップス、頭脳警察、フラワー・トラヴェリング・バンドなどジャップロックのオリジネイターや不失者、サバート・ブレイズ、ゴースト、ハイライズなど現役のバンドを聴き狂っていた。割礼の名前は80年代から知っていたがSSE(元トランス・レコード)のコンピに参加していたこともあり何となくネオサイケのイメージがあり敬遠していたのが正直なところ。初めて観た割礼の想定外にねっとりとした濃厚なスローモーション空間とサイケなビデオ・ライティングに打ち震えて以来、最低でも年5回はライヴに通うようになった。対バンイベントでも5時間ワンマンでも宍戸ソロでも印象は全く揺るぎない。ついでに言えばドラムの松橋の告知MCも変わらない。毎年物販を頑張り続けるバンドである。願わくばそろそろ新しい物販グッズを作ってくれないだろうか。宍戸特製目玉親父グッズなんていかがか?

30周年イベントにゲストで迎えたのはBorisと下山(Gezan)。Borisは昨年結成20周年、下山は結成5年目という3世代に亘る個性派バンドの共演である。高円寺へ向かう途中で中央線が不通だと知り丸ノ内線で新高円寺から歩く羽目に。受付で「お目当てのバンドは?」と尋ねられ実際は3バンドとも目当てだが「下山」と答える。これがバンドのギャラにキックバックされるのだろうか?それとも単なる人気投票?どこのライヴハウスでも訊かれるが目的を知りたいものだ。

Borisは昨年5月のアソビ・セクスとの対バン以来。前回は元スターズの栗原ミチオがゲスト参加したがこの日はオリジナル・トリオ演奏。2011年のメジャー作「New Album」のハイパーポップ路線には???だったが本来のヘヴィロックに立ち返った演奏に安心する。スワンズに破壊された聴覚が重低音に耐えられるか心配だったが人間の回復力は凄い。逆に襲い掛かる音圧が快感になっている。ギターのWATAのミーハーファンなので黒いシックなドレスとハイソックスに萌える。新作を3作連続でリリース予定とのこと。第1弾はアナログ・オンリーのアルバム。デビュー時からアナログに拘る姿勢は変わらない。5月から2か月間USツアー、帰国後夏に新代田Feverで2Days予定。



1月のワンマンで下山(Gezan)のオーディエンスの反応に戸惑った。ただでさえアウェイな環境で後列から観るとまた欲求不満になると思い最前列に移動。いつものSEに乗って登場した4人はいつも通りのジャンキーオーラを放つ。最前列で観るのは久々なので血が騒ぐ。カルロスのぶっといベースとシャークの乱打ドラムが炸裂、マヒトとイーグルが文字通り飛びまくる。その動きのキレの良さはハンパない。悪態をつきながら傲慢なまでに弾けた演奏を聴かせつつ、バラード・ナンバーではマイクを通さず生声を張り上げるマヒト。彼らのライヴのキャッチコピーに「What's やさしさ?」とあるがマヒトの表現の核には底知れぬ「やさしさ」があることを実感して涙が出た。かつてここまで壮絶にやさしさを表現した者はいただろうか?今回は人目を憚らず目の前のカルロスに成り切って暴れて最高に気持ちがよかった。下山を断固支持することを決意。






瞬発力の塊の下山の後だから割礼のまったりした世界が余計際立つ。30周年という気負いは全くなくいつも通りの4人の佇まい。バックスクリーンに投射されるアンビエント映像とコマ割り映画のような超低速演奏が相まって轟音以上に緊張感あふれる張り詰めた空気に溺れっぱなし。サイケサイケと騒ぐのもいいが彼らのワン・アンド・オンリーな世界観は言葉で言い表すことは出来ない。さりげない動作ひとつひとつに30年の重みが漲っている。強力な磁場に頭痛も吹き飛ぶ。


(ライヴ写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています)

3バンドそれぞれが「いつも通り」の演奏を繰り広げたイベントは例えようがなく充実していた。電車の中で耳鳴りが続いていることに気が付いたがどうでもいい。「サティスファクション」とはこういうものだと堪能した夜だった。

割礼と
Borisと下山
仲良しさん

●1983年デビューのアーティスト:飯島真理/岩崎雄一/大江千里/大沢誉志幸/尾崎豊/小山卓治/GONTITI/後藤次利/斎藤誠/THE STREET SLIDERS/C-C-B/杉山清貴&オメガトライブ/鈴木さえ子/チェッカーズ/浜田麻里/PINK/和田アキラ。

●大体30周年のバンド:BOΦWY/怒髪天/the 原爆オナニーズ/少年ナイフ。

何となく割礼の立ち位置がわかるリストではなかろうか。


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スワンズ@代官山 UNIT 2013.2.19 (tue)

2013年02月21日 00時53分11秒 | 素晴らしき変態音楽


SWANS

傑作『The Seer』を携え帝王SWANS、いよいよ日本上陸! サウンドシステムのリミット無し! 120分を超える緊縛のライブ・パフォーマンス!! 奇跡ともいえる、オルタネイティヴ・ロックの帝王の一夜限りの来日公演決定!!!
※ 今回のSWANSの来日公演はバンド側の要望により長時間、大音量でのパフォーマンスとなる為、お客様に余裕のある空間でライブを楽しんでいただくよう400人限定とさせていただいております。
代官山UNIT HPより)

スロッビング・グリッスルの「グレイテスト・ヒッツ」のサブタイトルは「Entertainment Through Pain(苦痛による娯楽)」である。このタイトルこそスワンズ日本公演に相応しい。

「圧巻」「爆音」「狂気」と大文字で記してレポ終わり。という訳にはいかないので雑感を記そう。

スワンズは1980年初めにソニック・ユースとともにニューヨーク・アンダーグラウンドの悪の華として登場したノイズ・ロック・バンドである。パンク的な激情と性急なビートとジャンクなアートワークで派手に紹介されたソニックスに比べスワンズのサウンドは陰鬱なダークネスに彩られておりサイキックTVに似たロゴの匿名ジャケはより秘教的・神秘的なイメージがあった。当時尖がったニューウェイヴァーだった私は即座にソニックスに惚れ込んだがスワンズはあまり聴かなかった。今回の来日もこれが最後のチャンスとチケットは速攻押さえたが、予習しようとレコード棚を探したらアナログは見つからず80年代後半のライヴCD1枚しか無かった。クリス&コージー:OK・サイキックTV:NG/ツェッペリン:OK・パープル:NG/ももクロ:OK・AKB:NGというのに似ているかもしれない。

マイブラほどではないが来日に際して「伝説」「最高峰」といった形容詞を冠した記事やツイートが飛び交った。記憶の中ではソニック・ユースとは人気に雲泥の差があるので「また再評価バブルかよ」と思いつつUNITのHPを見ると上記の注意書きが。”バンドからのリクエストは「2時間を超えるパフォー マンス」と「サウンド・システムのヴォリュームにリミット無し」”という一文も。こいつは未体験ゾーン間違いなしと期待と不安を胸に代官山に向かう。

会場の外の列は30代男性中心で思ったより若い。外国人や年季の入ったロック猛者の姿もちらほら。整理番号が早かったのですんなり最前列を確保。8台並ぶアンプの壁が圧迫するような存在感で屹立する。PAからアシッドフォークやブルースやクラウトロックが流れている。本人の選曲だったのかもしれない。→マイケル・ギラのお気に入りのアルバム

開演時間を15分過ぎてクラフトワーク「アウトバーン」が流れると客電が落ちる。不良外人を絵に描いたような風体のメンバーが登場。ここから先のライヴレポはコチラが詳しいので割愛。





L to R:クリストフ・ハーン、クリス・ブラウディカ、トール・ハリス、ノーマン・ウェストバーグ、フィリップ・ブレオ、マイケル・ギラ

<似ている人>
マイケル・ギラ(vo.g/オフィシャル・サイトによると正式な発音は「ジーラ」)

「ダイ・ハード」のテロリスト、カール(アレクサンダー・ゴドノフ)

クリストフ・ハーン(ラップ・スティール)

「ダイ・ハード」のテロリスト、ハンス・グルーバー(アラン・リックマン)

ノーマン・ウェストバーグ(g)

ザ・フーのジョン・エントウィッスル

フィリップ・プレオ(ds)

ザ・フーのロジャー・ダルトリー

トール・ハリス(perc)

メタリカのラーズ・ウルリッヒ

クリス・プラウディカ(b)

ウィッシュボーン・アッシュのアンディ・パウエル

最前列はスポットライトが直接当たるのでギラギラ熱くて肌が焼けそう。ギラの圧倒的な存在感はちょっと前に流行った漫画「DEATH NOTE(デスノート)」のキラを髣髴させる。電源ダウン後ギラ様はギターを置き両手を広げて「Liberty!!」と叫ぶ。三島由紀夫の自衛隊バルコニーでの演説のようであった。

2時間半最前列で轟音に晒された挙句の強烈な偏頭痛。耳鳴りというレベルではなく間違いなく身体的ダメージ。何人か知り合いに会い挨拶するが「凄かったね」以外ライヴ内容について語るのは憚られた。悪魔の名前を口にしてはいけない。「ハリー・ポッター」の「ヴォルデモート」のように例のあの人 、名前を言ってはいけないあの人と小声で囁くべし。物販コーナーでは最新アルバムのCDとLP、ロゴTシャツ、シルクスクリーンポスターが売っており男性サイズのTシャツは開演前に売り切れ。三半規管が麻痺してまっすぐ歩けないのでUNITの階段はバベルの塔に上る無限回廊のように終わりなく続く。代官山駅で他の乗客がスワンズ帰りじゃないことが信じられない気分がした。節々の痛む身体で力なく座りスマホをチェックするが画面が滲んで読めない。耳に入る音すべてが非現実的に頭の中でエコーする。容赦ない爆音の後には容赦ない冷気が待っていた。帽子やマフラーで完全防備しても凍える。帰宅するとヤフオクで落札したCDが届いていて聴こうとしたがスピーカーから音が出た途端に吐き気がしてストップ。風呂も入らず布団に入る。空中浮遊する夢を見て目覚めたらまだ30分しか経っていなかった。

翌朝少しは治るかと思ったが右耳に水が入ったように詰まっておりテレビが聞き取れない。会社では電話が聞こえず仕事にならず。普段ラジオを流しているがおしゃべりに耐え切れずストーンズ、コルトレーンをかけたがエモーショナルな音楽は受け付けない。中田ヤスタカ作品なら聴けることを発見し手元にあったMEGのベストとPerfumeのJPNを流しながら作業。アーバンギャルドとマニュエル・ゲッチングもOK。テレヴィジョンはトム・ヴァーラインの脱力ヴォーカルが耳に優しい。午後徐々に回復しりつつあるが偏頭痛は相変わらず。書いているとギラ様の鬼畜の笑顔がフラッシュバックして怖いのでこれにて完。

ギラ様と
ガガ様と
ギリギリガガンガン

果たして回復するのか?
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2-4-6-8モーターウェイ~ロック数え歌、またはロックで祝うバースデイ特集 Pt.4

2013年02月20日 00時40分48秒 | 動画の歓び


パンク/ニューウェイヴの数字ソングといえば何といってもこの曲。トム・ロビンソンは自身が同性愛者である事を一般世間に声高に宣言した最初のアーティストといわれる。1977年の初来日公演の第一声が「ボクハオカマデス!」だったという伝説もある。「グラッド・トゥ・ビー・ゲイ」というゲイ賛美曲も有名で新宿二丁目界隈では「蛍の光」の代わりに毎晩流れたとか(嘘)。数字の掛け声に合わせてジャケ通り拳を振り上げたくなるこのデビュー曲はパワーポップの傑作。国内盤CDが廃盤なのが残念。トムは現在BBCラジオのパーソナリティとして活躍中。



それでは三十路の年齢・数字ソングに行ってみよう!

▼31=NMB48:AKB48の姉妹グループで大阪・難波を拠点に活動するNMB48のデビューアルバム「てっぺんとったんで!」収録曲。ジャケット写真は渋谷NHKホール前で撮影され紅白出演への決意をギラギラとみなぎらせていると話題になった。この曲も勿論紅白についての歌。



▼32=Karma To Burn:ウェスト・ヴァージニア州出身のストーナー・ ロック・バンドの2ndアルバム収録曲。これもズルである。というのは全編インストのこのアルバム収録曲はすべて数字の曲名なのだ。ヴォーカルがないことで逆にハードなリフのカッコ良さが際立つ作品。



▼33=La 33:コロンビアのボゴタのストリート名をとったサルサバンドLa-33(ラ・トレインタイ・トレス)のデビュー曲。聴けば分かる通り「ピンクパンサーのテーマ」のマンボ・ヴァージョン。ハードボイルド・メロディと南国リズムがチョイ悪風でカッコ良し。



▼34=デイヴ・マシューズ・バンド:南アフリカ生まれのシンガー/ギタリスト、デイヴ・マシューズ率いるジャム・バンド。様々なルーツ音楽を消化した独特のサウンドは特にライヴで威力を発揮する。アルバムが6作連続ビルボード初登場1位の大記録を持つ超人気バンド。



▼35=カーラ・ブルーニ:邦題「35才のバラード」。イタリア出身のスーパーモデル&歌手。フランス・グラミー賞受賞歴あり。ミック・ジャガー、エリック・クラプトン、ケヴィン・コスナー等セレブと浮き名を流したが、2008年ニコラ・サルコジ仏大統領夫人となり本物のセレブの仲間入りを果たす。



▼36=フランプール:2008年デビューの4人組。紅白3年連続出場、全国アリーナ・ツアーを成功させる人気バンドである。



▼37=こなかりゆ:幼少期をアメリカで過ごしたバイリンガル女性アーティスト。オシャレなシンガーソングライターとして活動すると共に上原さくら、深田恭子、小柳ゆきなどに楽曲提供。歌手デビュー前は通訳の仕事をしており一緒に仕事をしたことがあり本名も知っているが秘密。



▼38=シャーベッツ:社会にもの申すロケンローラー浅井健一=ベンジー率いるシャーベッツ2000年の3rdシングル。アルバム未収録。攻撃的な歌詞と棘棘しいギターでベンジー節炸裂。ネコ・タンバリン・車好き、不正大嫌い。

→動画はコチラ

▼39=クイーン:栄光の英国ロックの女王の出世作「オペラ座の夜」(1975)収録。ブライアン・メイ作曲。曲名は1stアルバムの最初の曲から順に数えると39曲目となるという単純な理由。いくら日本通だからといって「サンキュー」の洒落じゃない。



▼40=UB40:1980年デビューのUKレゲエ・バンド。イギリスの失業給付申請書40号様式に由来するバンド名の社会派。このプレスリーのカヴァー「好きにならずにいられない」が全米No.1に輝き世界的人気バンドに。現在も活動中。



不惑にて
誘惑されて
困惑す

働き盛りの壮年期にはどんな曲が似合うのだろうか?



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BO NINGEN/COMANECHI/THE NOVEMBERS/PLASTICZOOMS etc.@渋谷club asia 2013.2.17 (sun)

2013年02月19日 00時18分14秒 | ロッケンロール万歳!


STYLE BAND TOKYO
<BO NINGEN x COMANECHI W来日ツアー 東京公演>
LIVE:BO NINGEN/COMANECHI/THE NOVEMBERS/PLASTICZOOMS/NINGEN OK/ZZZ's
DJ: TOMO(STYLE BAND TOKYO) / SUMIRE(TWEE GRRRLS CLUB) / SI OUX(VIVE VAGINA) / HMS CONTROL / TOMMY(BOY) / FUJIWARAMON(Tokyo Dolls) / Komasaki(Inbetweeners) / Judy(Kinski) / Ian Martin(Call and Response) / U-Hey(Black Neon Party) / Foujita(SBT) / SUE(YIW) / DJ エピタフ(ありがとうおともだち。) / and more
FOOD: かりーぱみゅぱみゅ(十代暴動社)

BO NINGEN JAPAN TOURの東京公演。2ndアルバム「Line The Wall」日本盤発売を挟んで3月半ばまで続くツアーの前半は同じくロンドンで活動する女性シンガーAKIKO率いるCOMANECHIとの2マン公演。東京公演は前回同様STYLE BAND TOKYOイベントである。昨年8月代官山UNITで開催されたSTYLE BAND TOKYO 5th Anniversary Party!!! には行けなかったが1月ににクラブ・エイジアで開催されたイベントにはギターウルフ、N'夙川BOYSをはじめ若手バンドが大挙出演し最高のロケンローパーティーを楽しんだ。今回も未知のバンドが多くどんなイベントになるのか期待できる。

キャパ400人のクラブ・エイジアは満員。フロアに足を踏み入れて驚いたのは客層の若さと女子率の高さ。20代前後のオシャレな若者ばかりでまるでセーラー服を脱いだアーバンギャルという感じの前髪ぱっつんロングヘアーの女の子が目立つ。前列を背の低い女子軍団が占めるので客席後方からでもステージが観やすい。この娘たちの目当は一体誰?と頭をひねる間もなく最初のNINGEN OKがスタート。金沢在住のギターとドラムのデュオ。円錐型ライトを立てた幻想的なステージ空間で向き合って轟音インスト演奏を繰り広げる。以前BO NINGENと対バンしたガガキライズを思い出すがこちらの方がロックっぽい。激しく身悶えする裸足のギタリストは野生児そのもの。ブレイクを効果的に織り込み緩急をつけた演奏はひたすらスリリングに突っ走る。結成以来3年間ライヴ命で音源を出さなかったという理由がよくわかる。


(動画の撮影・掲載に関しては主催者・出演者の許可を得ています。以下同)

幕間に女の子DJがスターリンやコンチネンタル・キッズやばちかぶりなど80'sインディーズをアナログ盤でプレイする。ははぁこれが噂のTWEE GRRRLS CLUBか?と思ったがこのDJは違ったようだ。TWEE GRRRLS CLUBは人気女性DJチームで最近「インディ・ポップ・レッスン」というディスクガイドを出版した。1980~2000年代の"インディ・ポップ"をシチュエーション=気分別に紹介したユニークなカタログ。女子目線で選んだディスク群はマニアックな分析に走りがちな従来のガイドブックとは全く違う新鮮な感性に溢れている。アナログ盤への拘りも好ましい。このDJも含めアナログ好き女子とお話してみたいものだ。

2番目はガールズ・トリオZZZ's。ニューヨークをベースに活動するサーストン・ムーアお気に入りバンドというのがよくわかるNo New Yorkなノイズ・ロックを展開。照明が暗くて顔がよく見えないがうら若き乙女に違いない。水玉消防団やooiooに通じるプリミティヴな女子力暴走演奏が気に入り物販で自主制作CDを購入。これが滅茶苦茶カッコ良かった!TADZIO以来久々にオルタナ女子に惚れてしまった。



次のDJはBO NINGENのTaigen。エレクトロニカ/テクノ中心の選曲はあたかもロンドンのクラブにいる雰囲気。

3番目は PLASTICZOOMS。観客の中に黒いマスクの女子グループがいて何者?と思ったらこのバンドのファンだった。一見ヴィジュアル系かと思ったがサウンドはジョイ・ディヴィジョンやウルトラ・ヴォックスなど80’sニューウェイヴ色が濃厚。特にヴォーカルのダウナーな歌はイアン・カーティスを髣髴させるダークなオーラに満ちている。L'Arc~en~CielやPlastic Treeのようにヴィジュアル系にはUKロックの影響を受けたバンドが少なくない。ルックスは派手でも中身は真摯な音楽マニアなのである。ファンの女の子たちも彼らを通して洋楽ロックに興味を持ってくれれば嬉しい。



4番目に THE NOVEMBERS裸のラリーズが鳴り響くファッション・ショーを開催したファッションブランド、ラッド・ミュージシャンのショーにも出演したバンドである。ヴォーカルが金髪黒マントでV系っぽい要素もあるが音はストレートなロケンロー。激しくソリッドなギターサウンドとハイトーンヴォイスにモーサム・トーンベンダーやブランキー・ジェット・シティに通じるものを感じる。カリスマ性があるヴォーカリストは会場を埋めた10~20代のファンにとっては教祖的存在らしくステージに見入る女子たちの瞳が潤んでいる。



女子の目当てはTHE NOVEMBERSなのかと思ったが終わってもステージ前を離れる様子はない。期待でザワザワ感の高まる中 COMANECHIの登場。名前通りレオタード姿のヴォーカルのAKIKOがギターとドラムのハードパンクをバックに叫びを上げて暴れ回る。その奔放さはサウンドは違うがあふりらんぽを思わせる。サーストン・ムーア似の長身ギタリストはひたすらギターを掻き毟り、童顔イケメンのドラマーのアクションはキース・ムーンばり。関西弁のMCの声は枯れているが渾身のシャウトを聴かせるAKIKOは後半ギターを構え多少落ち着いた演奏。しかし最後に客席に乱入するところはN'夙川BOYSっぽくもある。関西特有のサービス精神旺盛なお祭りパフォーマンスは海外でも大うけに違いない。



トリはBO NINGEN。Taigenの姫カットを見てやっと前列を占める前髪ぱっつん女子の目当てが彼らだったことを理解する。いつの間にか女性ファンが増えていた訳だ。ニュー・アルバムの日本盤は27日発売なので聴いていないファンが多いはずだが、新作1曲目の「Soko」からスタートしたライヴは最初から大盛り上がり。「Henkan」「Koroshitai Kimochi」と人気曲連発でモッシュ状態。毎回披露する未発表の新曲も素晴らしい。MCや歌詞には「こんなもんじゃない、まだまだやれるはず」「いつでも前向きに進む」といった超ポジティヴなメッセージが籠められている。どんなに弾けても破綻しない激烈演奏はさすが百戦錬磨のライヴバンド。エンディングの「Daikaisei」及びアンコールの「Maguro」での楽器をブン投げての捨て身のフリークアウトはまるでツアーファイナルの様相を呈していた。ステージでは毎回全力投球だからこそBO NINGENのライヴは見逃せない。



それにしてもSTYLE BAND TOKYOの充実したラインナップは感動的。間違いなく今最もエキサイティングなロック・イベントのひとつであろう。

スタイルの
壁を越えて
ロケンロー

3月14日渋谷WWWの追加公演「でんぱNINGEN BOYS」=でんぱ組.inc +BO NINGEN+N'夙川BOYSが楽しみでならない。
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