21世紀に入ってからアイドルの眩しい光で救われるまでの11年間、私は地下音楽の居心地のよい暗黒の淵に身を浸してきた。それは灰野敬二の世界かもしれないが、存在感に圧倒され魂の震えを止められない灰野ワールドよりも、居心地のよさでは割礼のライヴこそ山椒魚の住処には相応しい。日常生活では経験し難い超低速の世界は、思考回路を麻痺させ限りなく眠りに近い酩酊ウイルスを延髄に注射する。昔大好きだった暗黒舞踏劇団に浣腸脳髄という演目があったが、再開発前の池袋東口の雑踏から徒歩10分の民家で経験したその完全な暗闇の記憶が、割礼のライヴを観ている間に脳内に鮮烈に甦る。30年前の記憶と共に目の前に展開されるスローモーション世界の住人の蠢きが、レンドルミンのように脳幹を優しく刺激し、清浄な催眠効果をもたらす。朦朧とした意識と同様に、身体は海藻の動きを真似てゆらゆらゆれつづけるばかり。人間存在の根源はワカメであった。赤ん坊のように無防備になってごらん、と二本のギターが囁きかける。その言葉に安心して主体性を放棄し、スピーカーから溢れ出す轟音の波に身を任せる。完全降伏の快楽(PLEASURE OF SWEET SURRENDER)。すべてを捨ててこの音に溺れよう。もう何をされてもいい。好きにしていいよ。殺されてもいい。もし殺るなら今この瞬間に背中をひと突きにして下さい。お願いです。
有りそうになかったオリジナル・スリーピースの再結成は、残念ながら悲劇的な状況下で2007年に実現した。結成から20年後の2012年にリリースしたニュー・アルバム『Stand Upright In A Cold Place』は評論家から称賛され、最近のBack To Backツアーでは、新作と1993年のデビュー作『ザ・ドッジー・アルバム』の全曲演奏を披露した。
Back To Backは誰のアイデアですか?また「殿堂(Hall Of Fame)」とは何ですか?
2013年は僕らのデビュー作『ザ・ドッジー・アルバム』の20周年を迎え、それを記念したかったけど、もっとも最近の、評論家に絶賛されたアルバムの曲をプレイするのを止めたくはなかった。そこで両方のアルバムを全曲”背中合わせに(Back To Back)”演奏するショーを計画した。いわばバンドの’その後(then)'と '今(now)' 。それがもともと誰のアイデアだったかは覚えていないけど。
ツアーはBack To Backツアーと呼ばれ、5月と6月の間にブレコンからビッドフォードまでの合計9公演行った。各地で素晴らしいパフォーマンスが生まれ、幸いにも録音機材があったので、殆どのショーは記録され、ツアーのライヴ・アルバムがリリースできる。
うん、ナイジは『Festivus Music project』というコンピレーション・アルバムの為にクリスマス・ソングを録音するよう依頼された。他のアーティストは皆カヴァーだけど、ナイジはオリジナルさ。一日で作曲して録音したけど、とても感動的で素敵な曲さ。「Christmas At The Foodbank」という曲。だから僕らはTrussell Trustと一緒に何かやるつもりだ。一日何万ポンドも稼ぐ人がいる一方、この国では50万人の人がFoodbank(食料銀行)に頼らなければならないことは大問題だ。
<ドッジ―UK&アイルランド・ツアー日程>
Sat November 9th 2013 - SALISBURY The Rainbow On The Lake
Mon November 14th 2013 - DARLINGTON The Forum
Sat November 23rd 2013 - LONDON Jazz Cafe
Sat December 7th 2013 - EBBW VALE Institute
むせ返るような汗の匂いに悶(萌)え死に寸前の断末魔に記者が残したひとことは「IDOL as No.1, JAPAN as No.2 & WOTAKU as No.3Eternally(アイドル一番、日本は二番、三時のヲタクは永遠に)」。混濁し切った意識の中でクマ人形のラインダンスの一幕を垣間見たに違いない。生命を賭けた報道の亡者として、歴史に残る金言を吐いたことに満足しきったようなデスマスクであった。
OF THE IDOL(アイドルの)
BY THE IDOL(アイドルによる)
FOR THE IDOL(アイドルのための)
JAPAN(日本)