A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

YOHIO@新宿ステーションスクエア/グイーン@渋谷O-East 2012.4.28 (sat)

2012年04月30日 01時30分44秒 | ロッケンロール万歳!


4月25日にソロ・デビューしたスウェーデンの美少年ロッカーYOHIOのゲリラ・ライヴを観に行った。場所は当日まで秘密にされていたが、前日夜に本人がツイッターで新宿でやるとつぶやき、翌日午前中に新宿駅東口と発表された。この日は初夏並みの暑い一日。新宿も人出が凄かった。アルタビルの向かい側のステーションスクエアに特設ステージが設置され、ステージ前はコア・ファンの若い女の子で一杯。後ろの方から眺めたが通りがかりの年配の方や家族連れも何事かと立ち止まって見ていた。

YOHIOはCDジャケットやPV通りの白いドレス姿で登場。バックを務めるのは結成15年を誇る実力派ヴィジュアル系バンドDuel Jewel。街中のストリート・ライヴなので音量が抑えめだったが、それを置いて余りある魅惑的な演奏を披露。デビューCDのリード・トラック「SKY☆LiMiT」は振付け付きで演奏。前ブロックを占めるファンが皆振りを覚えているのが印象的だった。全3曲15分の短い演奏だったが、この日全3ステージをこなし、報道によるとのべ6000人のファンが集結したという。ローディーかマネージャーかと思っていたサングラスの強面の男性はYOHIOのお父さんだったらしい。








夜は恒例のクイーンのトリビュート・バンド、グイーンの「春のゴールデン・リサイタル2012」。結成22年になるベテランのライヴに集まった客層は40~50代のミドル・エイジ層中心で夫婦や女性同士のグループが多く会場は満員。前回の昨年秋のリサイタルのアンケートで「新しい曲ばかりやるならもう来ない」との意見があったとの反省から古い曲中心の選曲に。とはいってもマニアックな選曲だったので2・3曲しか分からなかった。そんな選曲でも大合唱が起るのだから筋金入りのクイーン・ファンばかりだったのだろう。目の前の60過ぎと思われる女性が大ノリではしゃいでいたのが面白かった。途中でセクシーな衣装の女性ダンサーが登場。目を楽しませてくれた。アンコールはさすがに超有名曲のオンパレード。2時間に亘る演奏。次回は12月8日予定、夏に大阪と名古屋をツアーするかもしれないとのこと。



外国人が日本語の曲を歌うYOHIOと日本人が海外のバンドの物真似をするグイーン、どちらもちょっと捩じれた存在のライヴを同じ日に体験出来たのは珍しいことかもしれない。

日本では
どんなことでも
起こりうる

それにしても暑い日だった。GWの初日からこれじゃ身体が持たないよ。
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麗しき美少年の誘惑~YOHIO「REACH the SKY」

2012年04月27日 00時18分35秒 | ロッケンロール万歳!


今年2月に関係者向けのシークレット・ライヴを観て一目惚れしてしまったスウェーデンの超美形ヴィジュアル系アーティスト、YOHIO(ヨヒオ)待望のデビューCDがリリースされた。バイオ的なことはその記事(2012/2/11)で書いたので詳細は割愛するが、16歳の100%スウェーデン人の血を引く少年で、11歳でギターに出会い、14歳でヴィジュアル系バンドSeremedyを結成。GACKT、T.M.Revolution、MALICE MIZERその他日本のヴィジュアル系ロックの虜になり、女装やゴスロリ風の化粧を始める。Seremedyはその特異なルックスと若さに似合わぬ演奏力で話題になりスウェーデンでメジャー契約し、日本のヴィジュアル系メディアで注目され2度の来日ツアーを敢行しV系ファンにアピールした。YOHIOはバンドではギタリストだったが、自らヴォーカルを担当した曲が評価され日本でソロ・デビューが決まった。日本語は小中学校で学び、アニメやドラマ、さらにツイッターで覚えたという。

このブログを読んでいる方にヴィジュアル系のファンがいるとは思えないし私自身も全く知識はない。しかしこのジャケットやビデオを観ればYOHIOが如何にユニークな存在か理解していただけると思う。音だけ聴いたなら「また似たようなお化粧バンドが出てきたな」という感想で終わっていただろう。幸運にも生演奏を最初に経験したことで彼の危うい魅力に感電してしまった。ソロ・デビュー作収録の6曲には洋楽的要素は皆無と言っていい。完全なJ-Rockにしか聴こえない。スウェーデン人の16歳の少年が何を間違ったか日本人以上に日本的な感性を身につけてしまった、この倒錯の世界に興味を持った次第である。

高校1年の頃竹宮恵子の「風と木の詩」という漫画がブームになった。少年愛を正面から描いた問題作だったが、その華麗な登場人物が繰り広げる禁断の愛の世界に憧れる少女が続出した。私は当時色白で長髪の無口な(美?)少年だったからか、クラスの女子に主人公の"ジルベール"というあだ名で呼ばれ、内心まんざらでもなかった。YOHIOを見ているとその時代の記憶が蘇ってくる。

別に買えと言っている訳ではない。ただ少なくともこのビデオを観て幾重にも捩じれた美少年特有の異世界を垣間見ていただきたいだけである。

●デビュー曲「SKY☆LiMiT」のプロモーション・ビデオはコチラ

ジルベール
その名の君は
今オヤジ

YOHIOは現在来日中で「笑っていいとも」をはじめバラエティ/ワイドショーに出演している。単なるイロものと誤解されなければいいのだが。
4月28日(土)には都内某所でゲリラ・ライヴを行う予定とのこと。生のYOHIOを経験するいいチャンスである。多分本人のツイッターブログで告知されるかもしれないので、興味のある方はフォローすればいいだろう。

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ロジャー・ダルトリー@東京国際フォーラムホールA 2012.4.24 (tue)

2012年04月26日 00時20分14秒 | ロッケンロール万歳!


武道館でザ・フーとしての初の単独公演を観たのが2008年11月。オリジナル・メンバーが二人になってしまったザ・フーのライヴは決して悪くなくファンとしては2時間たっぷり彼らのステージを堪能できて感慨深いものだった。その後ピート・タウンゼンドが聴覚障害のため演奏活動が困難になり、2011年7月からロジャー・ダルトリーがソロで1969年発表のロック・オペラ「トミー」ツアーをアメリカでスターとしたことが報じられた。そして2012年初頭、ロジャーの「トミー」ツアーが日本でも開催されることが発表された。

私のザ・フーとの出会いは中学時代、正月の渋谷陽一氏×大貫憲章氏による「今年のロック・シーン予想」的なラジオ特番で大貫氏がパンクの元祖として「マイ・ジェネレーション」を紹介したのが最初である。恐らく部屋のどこかにその番組をエアチェックしたカセットが残っているはずだ。パンクの魅力に心酔していた私には「マイ・ジェネレーション」の激しいサウンドと挑発的な”どもり”ヴォーカルが印象的だった。

しかし当時ザ・フーの人気・知名度は決して高くなく、レコード店にコーナーこそあれ、「トミー」「フーズ・ネクスト」「ロックンロール・ゲーム(The Who By Numbers)」くらいしか置いてなかったと記憶している。1978年にキース・ムーンの遺作となった「フー・アー・ユー」がリリースされ注目されるが、当時の私にはパンクとは似ても似つかぬ古色蒼然としたハードロックに聴こえ、余り興味を惹かれなかった。

1979年に映画「さらば青春の光」が公開され、そのイメージは一気に払拭される。ザ・ジャム、マートン・パーカス、シークレット・アフェアーなどネオ・モッズの台頭に併せて制作されたこの映画を何故か1時間もかけて立川の映画館まで観に行った。主演のジミー役のフィル・ダニエルズに共感すると共に、映画の中でチラッと映る60年代のザ・フーのテレビ番組での演奏シーンに感動した。映画館を出るときには完全にモッズ少年になりきっていた。父の釣り用のカーキ色のコートを衣装棚の奥から見つけモッズ・コート代わりに着て街を闊歩(モッズの歩き方は”闊歩”と呼ぶのが相応しい)していた。同時期にドキュメンタリー「キッズ・アー・オールライト」が発表されたが、日本では勿論一般公開されることなく、渋谷クロコダイルで密かに上映されたのを観に行った。スクリーンもなく店の天井に設置されているモニターに映るザ・フーの演奏を食い入るように見つめたものだ。前後して「ウッドストック」と「トミー」を名画座で観て、ハードロック期のザ・フー、特にピートのアクロバティックなギター・プレイに大きく影響され、自分でも鏡の前で風車奏法やジャンプの仕方を練習した。風車奏法でギターにぶつけて出来た手の傷はまだ残っている。

1980年代前半までよほどの人気アーティストじゃない限りロックのライヴ映像は海賊版でしか手に入らなかった。正規のビデオも1万円以上したのでもっぱら西新宿のブート屋通いをすることになる。ビデオだけじゃなくブート・レコードも高価だったが買った。劣悪な音質/画質のレコードやビデオで何回も憧れのアーティストの演奏を体験したものだ。高画質・高音質のDVDが廉価版で容易に手に入る時代が来るとは想像だにしていなかった(当然DVDという概念もなかった)しYouTubeなどパソコンでいつでも無料で貴重な動画が観られるなんて夢のまた夢だった。って歳喰うと昔話が長くなるので止めよう。

さて3年半ぶりのロジャーとの出会いである。バンドは前回のザ・フー日本公演にも同行したピートの弟サイモン・タウンゼンド(vo,g)、日本語が堪能なフランク・シムズ(g)、スコット・デヴァウアズ(ds)、ローレン・ゴールド(key)に正規のベーシストが来日直前に足を骨折したために3日前に急遽加入したというベーシスト(名前不明)の5人。フォーラムAは1階は最後列まで埋まっている。ザ・フーの時には往年のオヤジ・ファンが圧倒的に多かったが、今回は意外に若い客層で女性客の姿もかなり目に付く。幸運にも6列目という良席だったのでロジャーの一挙一動が良く観えた。

ほぼ時間通りにバンドが登場。「ロジャーっ!」という掛け声があちこちから上がる。「序曲」からライヴ・スタート。「トミー」の冒頭はインストとピートのヴォーカルで、ピートのパートはサイモンが唄う。さすが兄弟、声がよく似ている。ロジャーは両手のタンバリンを打ち合わせる。3曲目でやっとロジャーのヴォーカル。67歳とは思えない力強い歌声に感動する。ザ・フー時代からの持ち芸マイク振り回しも惜しげもなく披露、その度に大歓声が上がる。聴いていくうちに、これはまさにアルバム版「トミー」の見事な再現だと気が付く。レコーディングではアコースティック・ギターやホーン、キーボードを取り入れスタジオワークを駆使した凝ったサウンドになっている。しかしザ・フーは楽器はg,b,dsの3人だけなのでステージではレコードとは全く別モノの荒々しいハードロックに変貌する。1970年のライヴでは「トミー」が全曲演奏されており、それは「ライヴ・アット・リーズ」のデラックス・エディションで聴けるのだが、曲は同じでもレコードの印象とは大きく異なる演奏である。それが今回は二人のギターとキーボードによりアルバム通りのサウンドが再現されたのである。ピートがいないのでギター・アクションに目を奪われることなく楽曲の良さとロジャーの歌声に浸ることが出来る。目から鱗の体験だった。「トミー」のレコードは何度も聴いたがこうして生で再現されると如何に綿密に作り上げられた"ロック・オペラ"なのかが実感出来る。面白いのは「 従兄弟のケヴィン」「フィドル・アバウト」のジョン・エントウィッスル作の2曲の異様さだった。「トミー」というメルヘンの中に仕掛けられたワナとでも言うか、天国に迷い込んだ悪魔と言うか、とにかく変態性の目立つ曲である。

「大丈夫かい」の唄い出しで音が取れず「耳に水が入った」と言い訳した以外はMC一切無しの「トミー」全曲1時間強が終わると、多少リラックスしてロジャーもアコギを弾きながらザ・フーの曲を中心に演奏。ジョンのヴォーカルをネタにした笑い話や14歳で工場で働いていた頃週末が楽しみだったことを唄った自作曲の紹介などをギターのフランクが通訳する。ザ・フーではライヴで演奏をしたことが無いという「ゴーイング・モービル」も披露。ブルースの名曲「I'm Your Man」をワン・フレーズ唄い、続けて「マイ・ジェネレーション」をさらっとしたアレンジで演奏、そのままパワフルな「ヤングマン・ブルース」へ突入。これが最もスリリングだった。「ババ・オライリー」でピートの♪Don' Cry~♪というパートで客席へマイクを向け大合唱を促すという演出も楽しかった。「日本へ着いてまだ3日目なので時差ぼけに悩まされているよ」とぼやきつつ、メンバーが引っ込んでからウクレレの弾き語りで1曲演奏。「愛の支配」や「無法の世界」も聴きたかったところだが、2時間15分の熱演に充分満足した夜だった。



<Set List>(4/23分ウドーHPより転載)
1.Overture
2.It's A Boy
3.1921
4.Amazing Journey
5.Sparks
6.Eyesight To The Blind (The Hawker)
7.Christmas
8.Cousin Kevin
9.The Acid Queen
10.Do You Think It's Alright
11.Fiddle About
12.Pinball Wizard
13.There's A Doctor
14.Go To The Mirror Boy
15.Tommy Can You Hear Me?
16.Smash The Mirror
17.Sensation
18.Refrain - It's A Boy
19.I'm Free
20.Miracle Cure
21.Sally Simpson
22.Welcome
23.Tommy's Holiday Camp
24.We're Not Gonna Take It

25.I Can See For Miles
26.The Kids Are Alright
27.Behind Blue Eyes
28.Days Of Light
29.The Way It Is
30.My Generation / Young Man Blues
31.Baba O'Reilly
31.Without Your Love
33.Blue, Red And Grey

名曲を
再現するのも
ロックです

ロジャー・ダルトリー「トミー」ツアーはまだ続くので迷っている方はぜひ行かれることをおススメする(ウドーの回し者ではありません 笑)
4月27日(金) 神奈川県民ホール
4月28日(土) 大阪アルカイックホール
4月30日(月・祝) 名古屋市公会堂
コメント (3)
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下山(Gezan)/カスッターズ/ズボンズ@下北沢 Basement Bar 2012.4.21 (sat)

2012年04月23日 00時38分19秒 | 素晴らしき変態音楽


下山レコ発 BUG ME TENDER vol2
今最も要注目の大阪の"サイコデリシャス・ハード・ポア"バンド下山(Gezan)の1st フル・アルバム「かつてうたといわれたそれ」レコ発ライヴ東京編。出演は下山(Gezan)/ズボンズ/DODDODO/JON(犬)/カスッターズ【元木利尚+宮原秀一(サーファーズオフロマンチカ)+プンクボイ+JON(犬)+860(ロストフロッグ)+山本抗+田口史人(円盤)】。

大阪では2月12日にMELT BANANAや撃鉄など10バンドをゲストに迎えて大々的にレコ発ライヴが開催されたが、東京編も下山のメンバー自ら観たいアーティストを選んだイベントだった。観たことがあるのは下山とJON(犬)だけだったので未知のアーティストとの出会いを楽しみにしていた。

所用で開演時間に間に合わず、Basement Barについた時にはJON(犬)は終わり、DODDODOの最後の曲の途中だった。前回下山を観たのも同じ会場だったので軽いデジャヴ感がある。前回は八十八ヶ所巡礼やオワリカラといった人気バンドの出演するBeat Happeningのイベントだったので満員だったが、今回もそれに負けないくらいの動員。20代の若者が多い。入るといきなり物販コーナーに下山のドラムのシャーク・安江氏が座っていてちょっとビビる。

という訳で3番手のズボンズから参戦。活動歴17年でメジャー・レーベルからもCDをリリースしているベテラン・バンドだが音を聴くのもライヴを観るのも初めて。ギター&ヴォーカルのドン・マツオ氏の破天荒な演奏を核として女性キーボードを含む4人組。ファンキーでノリのいいビートにマツオ氏のジミヘン風のギターが暴れるハードロックは悪くない。後に出たバンドが強烈な個性派だったので比べれては悪いが、まあまあいい感じのミクスチャー・バンドという印象。イベント終了後にこの会場でプロモ・ビデオ撮影をするので興味のある人は残っていて、とのアナウンスがあった。



次のカスッターズは名前を聞いたことも無かったが、構成メンバーを見ればタダ者じゃないことが想像出来る。気が付くと横に下山のメンバーが立っていてライヴが始まるのを待っている。客席内にマイクを持った男性がいて、ステージ上はベース、ドラム、キーボードと一見DJ風の男性、変な被り物をしたヴォーカリスト、熊のぬいぐるみを持った女性の7人組。のっけから想定外のメチャクチャなパフォーマンスに度肝を抜かれる。客席の男性はマイクで叫びながら客の中に突っ込む。DJかと思った男性はLPレコードをジャケットから出しては次々叩き割る。多分これが田口氏だろう。ぬいぐるみを持った女性はひたすら狂ったように踊りまくる。着ぐるみを脱いだJON(犬)さんである。オルガンを弾きながら優しい歌を聴かせるいつもの姿からは想像もつかない弾けぶり。とにかく全員が無軌道に暴れまくるステージは非常階段のファンなら面白いだろう。後半は客をステージに上げてマイクやベースを託し、客席にシンバルとタムを運んで客にドラム・スティックを渡し叩かせる。私もスティックを受け取って少し参加し、近くいた女性客にそれを渡したら壊れかけのテープレコーダーズのゆさ嬢だった(w 30分間の混乱とばか騒ぎが嵐のように過ぎ去った。あとでネットで調べてみたら1995年に一度だけライヴを行った伝説のスカムバンドで、ゲリラ的な活動のため滅多に観ることが出来ないレアな存在とのこと。今回下山のメンバーの強いリクエストで参加が実現したらしい。観れたのは幸運だった。一度観れば充分だけどネ。



最後に下山(Gezan)。このブログで彼らのデビュー・アルバムを紹介した時に「マスコミに持ち上げられる前に裸の下山を体験して欲しい」と書いたのだが、彼らの演奏はそんな懸念を吹き飛ばして余りあるもの。ステージ前を若い女性ファンが埋めていたのは予想外だったが、全裸のベーシスト、カルロス・尾崎・サンタナ氏、グラム風の衣装がアリス・クーパーを思わせるギターのイーグル・タカ氏、強面のドラマー、シャーク・安江 ウォーホール氏、フロントマンの三島由紀夫の狂った生まれ変わりマヒトゥ・ザ・ピーポー氏の放出するエネルギーはいくら激しく踊りまくっても追いつかない強烈さで観る者に迫ってくる。先ほどのカスッターズはひたすら暴れることに専念したパフォーマンスだったが、下山の場合はもっと自然体の狂気が内包されていてロック芸術としては正統派と言っていいのではないかと思う。本編の最後に演奏された10分を超える壮大なバラード「春の膝」は圧巻だった。



アンコールではいつも通り客席へメンバー全員が飛び込む暴力演奏。観るのは2度目だから今回は冷静に(?)撮影出来たので彼らの傍若無人ぶりをご覧頂きたい。そして「ベジタリアンをぶっ飛ばせ」というタイトルのラスト・ナンバーでは「俺は命を張っているからな!」とマヒトゥ氏がMC、セックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」を元ネタにした曲。こいつらは本物だ、と実感した。アンコールの途中から突然非常ベルが鳴り出し終演後も響いていたのは神の警告か。



日本の
ロックの未来
知るもんか

5月12日にはタワーレコード梅田NU茶屋町店でインストアライヴをやるそうだが、店内が破壊されないかなとちょっと心配かつ楽しみでもある。どなたか大阪在住の方レポートしていただけませんかねぇ?





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エクストリーム@渋谷公会堂 2012.4.20 (fri)

2012年04月22日 01時12分33秒 | ロッケンロール万歳!


中学時代に洋楽を聴き始めた時、最初はアメリカのポップスや映画音楽中心だったが、次第にロックに興味を持つようになった。ロック雑誌を買いいろんなアーティストを知ったのは昨日のブログで書いた通り。その頃全盛だったのがキッス、エアロスミス、クイーンだった。キッスの「地獄の軍団」、エアロの「ロックス」を買いそのハードなサウンドに痺れた。ある日よく通っていたレコード店でロックのフィルム・コンサートがあり、勇んで観に行った。当時はDVDは勿論ビデオも無かったので、ミュージシャンの動く姿を観られるのはライヴ・コンサートかテレビかフィルム・コンサートしかなかったのだ。そのときはキッス、クイーン、ディープ・パープルのライヴ・フィルムが上映された。カッコいい~と食い入るように観ていたが、パープルの最後の曲でリッチー・ブラックモアがギターを破壊する姿が悪魔のように見えて、純真な中坊の心を心底震え上がらせた。「もう二度とロックなんか聴かない!」と決意して買ったのは冨田勲の「火の鳥」だった。それはそれでプログレや電子音楽への扉を開いてくれたのだが、やはりロックのカッコ良さには抵抗出来ず、ジャケットに一目惚れして買ったのはジョニー・ウィンターの「狂乱のライヴ」だった。ってなことは以前書いた覚えがある。長いイントロだったが、言いたかったのは私がロックを聴き始めた時に刷り込まれたのはいわゆる”ハードロック”だったということ。セックス・ピストルズでパンクに目覚めたのもハードロックの新機軸と感覚的に思ったからかもしれない。

1980年代初めにNew Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)を伊藤政則のラジオ番組で聴いたときもカッコいいと思った。確かアイアン・メイデンだった。しかしパンクのシンプルな3分間ロックにハマっていたので、何だか冗長で古くさいと感じたことも確かだ。その後フランク・ザッパやキャプテン・ビーフハートやレジデンツの影響でフリージャズや現代音楽にのめり込んだので、ハードロック、特にヘヴィメタルと呼ばれる音楽は殆ど聴くことはなかった。

80年代後半になって仕事を始めると10年前にロックを聴き始めた頃の郷愁もあり、一部のHR/HMも聴くようになった。MTVが隆盛を極め様々なアーティストの映像を観れるようになったことも大きい。

1990年にエクストリームを知った。きっかけはヌーノ・ベッテンコートのギターの凄さだった。あまたあるHR/HMの枠に収まらないとびきりファンキーなビートの上に繰り出される超絶ギター・プレイは早弾きに興味の無かった私の心にも響いた。大ヒットしたアコースティック・バラード「モア・ザン・ワーズ」は女子供向けの様な気がして余り好きではなかったが、「デカダンスダンス」「ゲット・ザ・ファンク・アウト」といったハード&ファンキーなナンバーは好きだった。

そのヒット作「ポルノグラフィティ」のリリースから25年経って、そのアルバムを完全再現するという企画で来日公演が行われた。90年代には人気だったが現在は忘れられた存在だから動員はどうかな~と思っていたら東京3公演、大阪1公演が全てSold Out。その最終公演を観に行ったが会場は思ったよりも若い30代中心の客層で満員。グッズ・コーナーに長蛇の列が出来るのはHR/HMならでは。

ホールの入り口の掲示に驚いた。本日のコンサートの最初の3曲は撮影OKと書いてある。海外のコンサートではカメラ・チェックなどなく、撮影自由というのが多いが、日本でしかも外タレのコンサートで観客に撮影を許可するというのは初めての経験。知り合いに聞くと昨年のAC/DCやエクストリームと同日に開催されたシルヴァーヘッドも撮影OKだったという。今やYouTubeなど動画投稿サイトで様々な映像が観られる時代、アーティスト側としても動画サイトやSNSで紹介されることはいいプロモーションになるのだろう。時代は変わったなぁと実感。


このアルバムを聴き込んだファンばかりだからのっけから大歓声と大合唱。観客の殆どが一斉にスマホや携帯をステージに向けているのは不思議な光景だった。もう40代半ば~50代のメンバーは20年前と変わらずエネルギーに溢れたパワフルなステージ。「モア・ザン・ワーズ」では最初ヴォーカルのゲイリー・シェローンがイントロのワンコードだけギターを弾き、ヌーノに「20年かけてワンコードだけしか覚えてないのかよ」とジョークで突っ込まれる場面も。HR/HMのライヴを観るのは昨年のエアロスミス東京ドーム以来だが、多感な年頃に刷り込まれたハードロッカーの血が騒ぐ楽しいコンサートだった。

▼早速この日のライヴ動画がYouTubeにアップされていた



▼2010年のアメリカ・ツアーの映像



<Set List>
1.DECADENCE DANCE
2.LI'L JACK HORNY
3.WHEN I'M PRESIDENT
4.GET THE FUNK OUT
5.MORE THAN WORDS
6.MONEY (IN GOD WE TRUST)
7.IT ('S A MONSTER)
8.PORNOGRAFFITTI
9.WHEN I FIRST KISSED YOU
10.SUZI (WANTS HER ALL DAY WHAT?)
11.HE-MAN WOMAN HATER
12.SONG FOR LOVE
13.HOLE HEARTED
-Encore-
14.WARHEADS
15.THERE IS NO GOD
16.HIP TODAY
17.MUTHA (DON'T WANNA GO TO SCHOOL TODAY)

思春期に
戻ってしまう
不死身のハードロック

こういう同窓会風のライヴも悪くないな。
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追悼。米国音楽の良心、レヴォン・ヘルム様

2012年04月21日 00時53分35秒 | こんな音楽も聴くんです


ザ・バンドのドラマー兼ヴォーカリストのレヴォン・ヘルム氏(最近は”リヴォン”という表記が一般的なようだが私が聴き始めた頃は”レヴォン”だったので敢てそう表記する)が4月19日(木)ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリング癌センターで亡くなった。享年71歳。1996年に咽頭癌と診断され唄うことは難しくなったが、ドラムス、マンドリン、ハーモニカなどを演奏し続け、奇跡的な回復を見せ2007年にソロ・アルバムを発表、2008年と2010年にはグラミー賞を受賞している。

そんなレヴォン氏の病状が悪化し癌の最終段階にあるとの家族からの発表がオフィシャルHPに掲載されたのが3日くらい前。アメリカのメディアを始め多くの心あるファンが応援のメッセージを表明する中、19日午後家族やバンド仲間に見守られて安らかに天国へ旅立ったことがHPで発表された。

私が洋楽を聴き始めた1970年代半ば「Music Life」「音楽専科」「GUTS」「ヤングギター」といった音楽雑誌やラジオの音楽番組から情報を得ていたのだが、ロック名盤紹介の記事では必ずザ・バンドのアルバムが掲載されていて、”Theバンド”って例えば”The歌手”とか”The音楽家”とか”The人物”とかいうのと同じで変なバンド名だな~と思い印象に残った。彼らの曲を初めてラジオで聴いたのは「ザ・ウェイト」。曲名も”The重さ”かよ、と可笑しかったが、ゆったりしたリズムと美しいコーラスの中に、当時好きだったジョン・デンヴァーやビーチ・ボーイズとは異質な土臭さと大人の渋さを感じ、これはひと味違った本格派だ、と思った覚えがある。彼らの名ライヴ盤「ロック・オブ・エイジス」が雑誌で紹介されており、中学のロック仲間に英治君という友達がいて、これは君のためのレコードだから買えよ、と迫って無理矢理買わせた(笑 

1978年の映画「ラスト・ワルツ」はかなり大きな話題になったが、その頃にはパンクやプログレに走っていたのでリアル・タイムでは観ていない。観たのは数年後、当時まだ各地にあった名画座で「トミー」か「ウッドストック」との二本立だったと思う。ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、リンゴ・スターなど蒼々たるゲストを迎えての解散コンサートのドキュメンタリーで、ザ・バンドの偉大さをしみじみ思い知った。

その後ロビー・ロバートソン抜きの再結成があったりや、レヴォン・ヘルム・オールスターズの来日公演を観に行ったり(真偽不明。この辺の記憶かなり曖昧)したが、尊敬はしていたがそれほどのめり込むことは無かった。レヴォン氏の死去の報にレコード/CD棚を探してみたのだが、発見したのは「ロック・オブ・エイジス」の英治君から借りてダビングしたカセットと「Live at Watkins Glen」という発掘ライヴCDのみ。仕方なくライヴCDで追悼しているのだが、アメリカン・ルーツ・ミュージックを消化した奥の深い演奏とレヴォン氏を中心とするヴォーカル・ハーモニーの素晴らしさに改めて感動している。



ザ・バンドのオリジナル・メンバーは5人中3人が鬼籍に入ってしまった訳だ。
ロック/ポップスの名手が次々に天に召される中、我々に残された使命は彼らの偉業を後世にきちんとした形で残し、その魂を継承して行くことだと思う。その意味では配信でいつでも誰の音源でも聴けるというのは悪いことではない。入手手段は整っている。あとはそれを如何に活用するかにかかっている。

レヴォンさん
南十字の
星になる

しばし合掌。

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倒錯の国?フランス最人気の歌姫~ミレーヌ・ファルメール

2012年04月20日 00時29分02秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


私の勤める会社は外資系で親会社はフランスにある。今月一ヶ月間本社から監査のためにフランス人が滞日中。彼らと世間話をしていてフランスで今一番人気のある歌手は誰?と尋ねると「ミレーヌ・ファルメールかなぁ」と言われ、久々に聞いた名前に感動した。

1961年カナダ生まれのミレーヌは、80年代半ば卒業旅行で訪れたパリのテレビでプロモ・ビデオを観てあまりに印象的で一発でファンになってしまった。そのビデオは10分近い長さの映画の予告編かと思う程凝った作りで最初はてっきり女優だと思い込んでいた。その美貌も恐ろしい程でパリで買ってきたポートレートは額に入れて未だに自室に飾ってある。当然ながら全曲フランス語なので何を唄っているのかは勿論、曲名の意味も分からなかったが、80年代らしいエレ・ポップ・サウンドの上に漂うように儚げに流れるミレーヌのウィスパー・ヴォイスが溜まらなく魅惑的だった。

80年代末に日本盤が発売されたときは狂喜乱舞した。当時の日本はワールドミュージック・ブームで英米以外のポップスが色々紹介された時代だった。ベルギーのヴィクター・ラズロ、アイルランドのエンヤ、フランスのヴァネッサ・パラディなど魅力的な女性歌手が各国から登場した。ミレーヌもフランスで100万枚のセールスを記録したというセカンド・アルバム『Ainsi soit je...(邦題「ミレーヌ・ファルメール」)』が日本発売された。そのジャケットがまた素晴らしい写真でフランス盤LPも購入して飾っていた。サウンドはデビュー作以上にポップでヴォーカルはさらに魅力的だったが、解説書に掲載された歌詞の翻訳にはかなり驚いた。ドメスティック・ヴァイオレンスや性倒錯、背徳の美、死体愛、SMなど挑発的なテーマに満ちたショッキングな世界が歌われていたのだ。

それは1991年のサード・アルバム『L'Autre...(邦題「二重人格」)』でますますエスカレートする。世界崩壊を歌ったシングルの『Desenchantee(邦題「夢から醒めて…」)』はフランスでは100万枚のシングル売り上げ最高記録となり9週連続チャートNo1、フランス以外でもベルギー、オランダ、ドイツ、オーストリア、カナダなどでヒット・チャートに入ったという。アルバムも200万枚という記録的な大ヒットになったが、描かれた世界は絶望や死や鬱などのテーマが顕著なサイコ・ホラー的ニュアンスの作品だった。今改めてamazonなどで検索してみると「存在感はマドンナと同等だが、音楽的にはケイト・ブッシュと比較すべき歌手」と書かれていて、なるほどと納得した。こんなパラノイアックな作品が大ヒットするのがサドやサルトルやボーヴォワールを生み"自殺ソング"の「暗い日曜日」がスタンダード・ナンバーとして人気を博すフランスならではである。

その後はあまりミレーヌを追いかけることは無かったが本国では順調に活動を続け、デビューから30年近く経った現在でも人気No.1歌手として活躍しているというから感慨深い。wikipediaによると「フランス語圏では絶大な人気を誇り、フランス最大の音楽賞であるNRJ Music Awardsの最優秀女性アーティスト賞を4度、最優秀アルバム賞を3度も受賞するなどフランスを代表する女性歌手である」と書かれている。

残念ながらその魅力はフランス語圏以外にはなかなか伝わりにくい。特にH.R.ギーガーのアート等による大掛かりなセットを駆使して展開される儀式風のコンサートは現地で経験しなければ分からないだろう。日本にもプロモーションで来たことはあるがコンサートは行われていない。

▼最大のヒット曲「夢から醒めて...」の10分を超える長編ビデオ。ミレーヌの魅力を感じていただければ幸いである。
Mylène Farmer - Désenchantée


ミレーヌに
惚れた私も
歳を取り

無理に日本のアーティストに例えるとすれば、ドリカムが筋少の曲を小室哲哉のアレンジで唄ってるという感じだろうか(違うか 汗)。
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純日本的幻想音響~J・A・シーザー 伝奇音楽集 鬼火 天井棧敷音楽作品集VOL.2

2012年04月17日 00時24分56秒 | 素晴らしき変態音楽


2008年春にリリースされた5CD BOX「天井棧敷音楽作品集」に続く第2弾がリリースされた。日本の劇音楽/前衛音楽/プログレ/サイケのカリスマと呼ばれ現在も演劇実験室◎万有引力主宰者として活動するJ・A・シーザー氏(1948年宮崎生まれ・静岡育ち/本名:寺原 孝明)が寺山修司氏の劇団天井棧敷の劇音楽として制作した作品は1970年代にアナログ盤でリリースされたがプレス数が少なかったため日本ロック界の幻の名盤として語り継がれてきた。1983年に寺山氏が亡くなり天井桟敷が解散すると暫く隠遁し、その存在自体が伝説として語られるようになった。

私が自覚的に音楽を聴き始めた1980年代初めの音楽誌やカルチャー誌で紹介されるシーザー氏は実際に音を聴けない状況ということもあり、ミステリアスな名前と超ロングヘアーの幻想的なポートレイトが相まって、当時盛んにライヴをやっていた裸のラリーズよりもずっと謎の多い神秘的な存在として頭の奥に刻み込まれた。

CD時代になり60~70年代の日本のロックの発掘が進むにつれシーザー氏の手がけた天井棧敷の劇音楽も再発され入手出来るようになった。初めて聴くシーザー氏の音楽は当たりまえだが極めてシアトリカルなストーリー性に溢れていて、その中にファズ・ギターやオルガン、ヴァイオリン、和太鼓、各種民俗楽器が盛り込まれたドラマティックな異次元世界だった。特に印象的なのは日本的な旋律で唄われるドロドロした情念に満ちた歌詞である。その歌は同時代のフラワー・トラヴェリン・バンド、ハプニングス・フォー、タージマハル旅行団など他のロック・バンドとシーザー氏の音楽を大きく分け隔てる個性的なもの。「きちがい」「裏日本」「後進国」「くろんぼ」といった言葉が普通に使われ、「トミー」が「おしでめくらでつんぼの少年」と紹介され、「スキッツォイドマン」が「精神異常者」と訳されていた昭和の時代を強く反映した世界である。歌は基本的には劇団員の方々が唄うので芝居がかったオーバーなスタイルが鼻につくが、聴き慣れればマグマのコバイア語のコーラスやキャプテン・ビーフハートのダミ声の雄叫びと並ぶ唯一無比のオリジナリティに打ちのめされること必至。

BOX第1弾は1973年の「J・A・シーザーリサイタル 国境巡礼歌」140分完全版を目玉に劇団天井棧敷の演目で使用された幻の劇中歌を収録したものだったが、今回リリースされた第2弾では2時間に及ぶ「伝奇音楽会 鬼火」と1時間以上の大作組曲「十字架の蜃気楼」を完全収録、さらにシーザー自身のヴォーカル曲や天井桟敷の名劇中歌をドラマチックに歌い上げる「蘭妖子コンサート」も全曲を収録。シーザー氏本人と、彼のバンド「シーザーと悪魔の家」のメンバーで現在は演劇実験室◎万有引力のポスター、チラシ、デザインでシーザー氏のパートナーの森崎偏陸氏のロング・インタビューと全曲の歌詞、未発表写真満載の80ページ・ブックレット付でより深くジーザー・ワールドを堪能出来る内容になっている。

これでまたひとつ日本のロックの伝説の扉が開かれた訳である。5月3日にJ・A・シーザー コンサートwith 演劇実験室◎万有引力「山に上りて告げよ」と題された30年ぶりの単独コンサートが開催される。残念ながら私は灰野さんのバースデイ・ライヴと被っていて行くことは出来ないが、その分このBOXの6時間に亘る音楽(第1弾も合わせれば12時間!)にどっぷり浸かるとしよう。



シーザーは
カエサルの
英語読み

第1弾は即日完売したそうだから興味があったら早めに入手した方が良い。ディスク・ユニオンでは先着で特典CDが付いてくる。

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ブログを書くという行為についての考察と意志表明

2012年04月16日 00時24分40秒 | Weblog


このブログを書き始めたのが2005年1月だから今年で8年目に突入、ブログ開設から2634日になる。ここ最近いろいろと考えるところもあり、一度じっくりとブログを書くという行為についての考察をして自らの立場をはっきりさせたいと思っていた。この土日は「I'll Be Your Mirror」に参戦予定だったが開催延期になったため二日間丸々暇になった(ついでに月曜日のセシル・テイラー公演も中止 涙)。この機会につらつらと考えていたことを書き連ねてみようと思う。

ブログを始めたきっかけは女性ノイジシャンTimisoara嬢がNORDの伊藤まく氏が主宰するjapanoise.netで連載していたブログだった。音楽だけじゃなく趣味の自転車のことや自分で撮った写真を掲載した日記が面白く愛読するうちに自分でもやってみようか、という気になった。それまでも観に行ったライヴの感想を自分なりに手帳に記していたので、それを他の人と共有したいと思ったのである。だからTimisoara嬢が使っていたgooブログにそのまま登録しアカウントを取った(Tomisoara嬢はFC2に場を移してブログ続行中である)。ブログのタイトルは一番好きな灰野敬二さんのアルバム「運命への挑戦」から転用した。特別目的があった訳では無く音楽を中心に自分の好きなこと、興味を持ったことを書き連ねようという漠然とした意図しか無かった。強いていえば自分で読みたいと思える記事を書くことが最大の動機だった。

Facebook経由でこのブログを読んでいる方には私の本名は勿論生年月日、学歴、職業、さらに顔までバレているので今更隠すのも何だが、ブログ上ではやはり匿名の存在にしておきたい。少しだけ事実を明かそう。職業は音楽業界の端くれである。だから仕事で音楽を聴いたりライヴへ行ったりすることが多い生活を送ってきた。しかし音楽が好きな気持ちは例え仕事が違っても変わりはなかっただろう。特に理解いただきたいのは2001年に初めて不失者を観て衝撃を受けて以降、観聴きする音楽は仕事とは殆ど関係がないということ。年間400枚のCDを買い150本のライヴに行くがその95%は自費である。 

今でこそ灰野さんにライヴ会場で話しかけてもらえるようになったが、それは足しげくライヴに通い、思い切って楽屋に押し掛け顔を覚えてもらったからに他ならない。坂田さんや中原氏も同様である。灰野さんのライヴに通い始めて10年になる。この10年間日本で最も多く灰野さんのライヴを観た人間のひとりだという自負はある。

ブログを始めた当初、コメント欄に理不尽な罵詈雑言を書き残す輩がいた。きっかけは私がKK Null氏と知り合いだと書いたことらしい。以来何を書いても全く的外れな悪口が連日書き込まれるようになった。面と向かって心当たりのある苦情を言われるのなら納得出来る。しかしネットの恐ろしいところは見ず知らずの人間が好き勝手に書き込み出来ることだ。これは小心者の私にはかなりこたえた。辛かったが書きたいことは山ほどある。辛抱強くその荒らし屋のコメントを削除し記事を書き続けるうちにいつの間にかいなくなっていた。

ブログを毎日更新すると決めたのはJOJO広重さんのブログの影響である。調べてみると2008年9月から毎日更新が始まっている。もう3年半毎日ブログを更新し続けている訳だ。2009年頃だろうか、突然gooからブログ表示停止の制裁を受けた。アフィリエイトという広告をブログに載せて読者がクリックすればお金が貰える、という仕組みを導入したらそれがgooブログの規則に反しているとのこと。全ての記事から広告を削除するまで3ヶ月間、表示されないにも拘らず毎日記事を書き続けた。ブログを書くことが自分の存在証明だったのである。といっても毎日面白い経験をする訳じゃないからネットでネタ探しをして気に入った記事を転載することも多い。twitterやFacebookでリンクを貼れば済むことだが、努力して見つけたネタを自分のブログで紹介する行為も立派な自己表現だと思う。

ブログを続けていて驚いたことが3回ある。ガールズ・バンド好きな私は2008年初頭から高校生ギャルバンのSCANDALに目を付けていて何度もブログに取り上げた。デビュー前の企画ライヴやタワレコ限定のインディー盤シングルを紹介していたところ、同年10月にメジャー・デビューし「Mステ」に出演。その翌日いきなりアクセス数が3倍になりひっくり返った。SCANDALを取り上げていたサイトは多くなかったので「SCANDAL」で検索したらこのブログが上位に表示されたのだろう。それにしてもテレビの影響力は凄いと実感。ご存知の通りSCANDALは順調に人気を延ばし今や武道館をSold Outにする人気バンドに成長した。

2度目は今年3月の「ラリーズ伝説への決別」という記事。それまでも何度もラリーズの記事を書いていてその度にアクセス数が増えたのでラリーズ人気の高さは分かっていたが、余りに大量の音源の氾濫にいい加減にしてくれと批判的に書いた記事にアクセス数が倍増。熱狂的ファンの多いバンドだから反論を覚悟していたのだが全く反応が無く拍子抜けした。みんな同じことを感じていたのかな?

3度目も同じような記事でやはり今年3月の坂本龍一×大友良英の後楽園ホールのライヴレポ。感じたままに坂本さんの演奏のふがいなさを糾弾した記事。これはタイトルだけ見ても内容まで分からない筈だが通常の倍のアクセスがあり、こんどこそ反論の嵐かと思ったら逆に賛同する内容のコメントが寄せられた。先週の朝日新聞で同イベントのライヴ評が掲載されたが取り上げられたのはShing02×いとうせいこうのステージ。坂本さんの方が知名度は圧倒的に高いがあの日の演奏は報道する価値がなかったということか。出来れば天下の朝日新聞が酷評してくれれば良かったのに。

たまたま批判的な記事が続いたので私がラリーズや坂本さんを嫌っていると思われるかもしれないが、事実はその逆である。散々文句を付けたラリーズの「Disaster Source」CD10タイトルは悩んだあげく購入してしまったし(まだ聴いてないけど)、坂本さんのフェスティバルFUKUSHIMAでの演奏はやはり素晴らしいと思っている。好き=全面肯定とは限らない、ということ。灰野さんに関して否定的な記事が無いのは全てのライヴ/CDが文句の付けようが無く素晴らしいからに他ならない。

商業誌じゃなくあくまで音楽好きの素人のブログだから間違いや勘違いが相当あることは否めない。プロじゃないから菊地成孔氏がMusic Magazine誌に苦言を呈したように取り上げるアーティストについて周到な予備知識を用意する必要は無い(ていうか不可能)と思っている。勿論気になった場合はぜひアドバイスして頂きたい。そういう建設的なご意見は大歓迎である。ただし本質に関わる間違いや誤解以外は追記として記入させていただき、元の文章は訂正しない。これは自分の第一印象を大切にしたいからなのでご理解願いたい。

動画をブログに掲載するのは文章力の未熟さを補うためである。こればかりは紙媒体では不可能なネットならではの機能である。調子に乗って自分で撮影した未許可の動画をほいほいYouTubeに上げていたら、昨年末著作権侵害でアカウントを強制削除された。正直好きでもなんでもなくたまたま対バンだったから撮ったために削除されたのは悔しいが、自分が余りに無防備だったことを反省するしかあるまい。

嬉しいのは「Bo NingenをA Challenge To Fateというブログで知り、ライヴを観たら凄く良かった」というようなツイートを発見した時である。私の音楽の趣味は偏っているので、90年代半ばブリットポップ全盛時代にクラブDJをした時も60'sサイケやGSばかりかけるのでフロアから人がドッと引くのだが、少人数だが大喜びで踊りまくってくれるグループがいてそれがとても嬉しかったりした、その感覚のままである。灰野さんの名言にあるように「百人の客が居たら九十五人が『止めろ』と言うでしょう。『人が殺されているという通報があった』と演奏中に警官が飛び込んできた事もありました。しかし百人の内五人は僕の音楽で幸せにしている確信がある」。

コメントを頻繁にくださる方と実際にお会いして意気投合することもあるし、ライヴに並んでいる人に声をかけていきなり「ブログ読んでますよ」と言われて驚いたことも何度かある。いつも最前列でデジカメで撮影してるから確かに目立つのだろう。そんな出会いをした人とは仲良くなって音源やライヴ情報の交換をする関係になることが多い。さらに昨日紹介した庭や.esのようにこのブログを読んでくれてわざわざ音源や情報を送ってくださるアーティストの方もいて嬉しい限りである。そもそもこのブログを愛読している方は私の趣味を理解していただいている筈だから的外れな音源を送って来ることは無かろう。頂いた音源は本当に素晴らしいものばかりで、ブログをやっていなければ出会うことも無かった訳でただただ感謝するばかりである。

灰野さんにしてもメルツバウにしても非常階段にしても音楽ビジネス全体から見れば極々小さな存在だろう。でもそんな音楽を愛する人がいる限り、というよりも自分がそんな音楽に興味を持つ限りブログを書き続けて行くつもりなので今後ともなにとぞよろしくお願いします。

▼30年前にやっていたバンドの秘蔵音源



ブログから
生まれる出会い
大切に

オフィシャルHPで発表になったから記すが、今年還暦を迎える灰野さんを巡るプロジェクトが進行中である。
・2012年7月 『ドキュメンタリー灰野敬二』劇場公開予定
・2012年(詳細時期未定) 灰野敬二に関する単行本が刊行予定
単行本の制作には私も協力している。詳細が決まり次第お知らせするのでお楽しみに。
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風は地方から吹く~庭「2012-1」etc./.es(ドットエス)「Resonance」

2012年04月15日 00時41分35秒 | 素晴らしき変態音楽
今年1月11日のブログで「今年気になる音源」として紹介した静岡の庭と大阪の.esの新作が偶然にも時を同じくしてリリースされた。先述の記事の中で"2012年はローカル・シーンの活性化が大きな鍵になるに違いない"と書いたのだが、それを証明するかのようにこのふたつのバンドがより進化した新作を届けてくれたことは興味深い。

は望月公喜氏を中心に静岡を拠点に活動する不定形ノイズ・ユニット。2002年に活動開始だから今年が活動10周年になるベテランである。"静岡のラリーズ"UP-TIGHTの青木智幸氏が店長を務めるロックバー、LUCREZIAを拠点にノイズ界の最古参NORDの伊藤まく氏主催のjapanoiseイベントや自主企画「JunkYard」など精力的なライヴ活動を行ってきた。2011年4月に惜しくもLUCREZIAが閉店すると、拠点を同年9月にオープンしたばかりのライヴハウス騒弦に移し定期的なライヴ活動を続けている。今回リリースされたのは騒弦に於けるライヴ音源2種と望月氏のソロ音源の3枚のCD-R、およびノイズ・コンピ「Voluntary Euthanasia」である。望月氏の「庭の音は日々変化する」との紹介通り、2枚のライヴ音源では前回紹介した2009年発表の「節子抄-Tales of Setsuko-」とはまたひと味違った刺激的なサウンドを展開している。

以下カッコ内は各作品に関する望月氏のコメント:
◇庭/2012-1(LIVE Recorded at 騒弦 on DEC. 30.2011)庭=Kohki. M, 望月コージ, satoru yagi

[静岡を拠点に活動するメンバー不定のノイズユニット「庭」のライブ音源シリーズ。今作はドラムの参加により、硬質なウネリを伴った流れが構築されている。]
ドラムと吹き荒れる轟音ノイズによる暴力演奏。混沌の果てに到達する光臨に満ちた風景が美しい。非常階段ファンはマスト。

◇庭/2012-2(LIVE Recorded at 騒弦 on JAN.29.2012)庭=Kohki. M, pujari, 塩沢達哉

[静岡を拠点に活動するメンバー不定のノイズユニット「庭」のライブ音源シリーズ。今作は常に変容する庭にあっても更に異質であり、ハードコアとサイケデリックの波間を浮遊するかのようなサウンド。]
2012-1の1ヶ月後のライヴだが、打って変わってドラムレスの電子音とフィードバック・ノイズが浮遊するドローン・セッション。70'sジャーマン・トランスやHair Stylisticsを想わせる世界にイマジネーションが広がる。轟音ノイズが苦手な人にもおススメ。

◇Kohki.M/2012-1(Recorded at 音楽天国駿河台店 on sep.01.2011)

[静岡を拠点に「庭」「アナル観音男子」等で活動するKohki.Mのソロ・ワーク。意味や理論を排した無知の騒音塊集。]
情け容赦ないハーシュ・ノイズが耳を圧する望月氏のソロ・アルバム。メルツバウ以来のノイズの本流を受け継ぐ新伝承派電子雑音。完成度の高さはワールド・クラス。

▼庭と詩人のニノミヤコウジ氏との共催イベント「毒宴会」の模様



◇V.A./Voluntary Euthanasia

[岡山のArtificial Hallucinationがプロデュースを勤め、ノイズパフォーマー:NRYYが総合監督をした、話題の日本ノイズ・コンピレーション。]
庭の他に私が個人的に交流のある大阪のNRYY(アメリカのBlack Leather Jesusとのコラボ)、栃木のsomaの両氏や、鳥取のELMA氏、ベテランのK2氏などを収録。すべて東京以外のローカルのアーティストなのが興味深い。現在進行形の日本のノイズ・シーンを俯瞰できる好コンピ。



<Live Schedule>
4/21(土)静岡 騒弦
JunkYard Vol.6「地下で唄うラジオ」
VVDBLK&pujari+庭/直江実樹+進/発泡るチろーる/スープーメッセンジャー/青木智幸(UP-TIGHT)/直江実樹+伊藤大樹
5/19(土)静岡 騒弦
「L∞P!×気が触れても彼女と歩いてた」 
アナル観音男子/アドバルーン/twice/terupapa/豆尖/オトギャクセツ/Golgotha/ryo hadano
6/9(土)静岡 騒弦
庭/CRY BABY’S/百六番
CDの購入はコチラコチラ



.es(ドットエス)は2009年大阪の現代美術ギャラリー「ギャラリーノマル」をホームに誕生したコンテンポラリーミュージックユニット。橋本孝之氏(アルトサックス、ギター、ハーモニカ、改造した尺八)とsara嬢(ピアノ、パーカッション、ダンスetc.)のふたりをフロントマンに、現代美術ディレクター林聡氏がコンセプトと空間構成をプロデュース。基本的にはサックスとピアノのインプロヴィゼーションだが、フリージャズや現代音楽の範疇に留まらない自由度に溢れたサウンドは新世代の即興芸術として高く評価出来る。デビュー作「オトデイロヲツクル」は日本一マニアックなレコード店モダーン・ミュージックでも年季の入った即興ファンに大好評で海外からもオーダーが来て好セールスを記録したそうだ。

この2nd CD「Resonance」はギャラリーノマルで開催されたGroup Exhibition「BOX」展の関連イベントとして2014年1月14日(土)に開催されたライヴパフォーマンスを収録。同展の出展作家だった藤本由紀夫氏のエディション作品「kontrapunkt」(オルゴール)を会場の幾人かが手に持ち、ラストは合図を受けて全員で一斉にネジを巻くという会場参加型のライヴだったという。妙なるオルゴールの音色から始まり、咽び泣くサックスと対峙するピアノの張り詰めた即興演奏、最後は再び無数のオルゴールに帰結するというストーリー性のある作品。前作以上に研ぎ澄まされた音世界は"孤高"という言葉で表現するしかない。共鳴、共振を意味するアルバム・タイトルに偽り無い真摯な演奏を聴かせる彼らは現代の音楽シーンでは貴重な稀少種である。

前作のパッケージはセルロイドにカラフルなビーズを印刷したオシャレなものだったが、今作は藤本氏の円形楽譜をモチーフに、オフセット+シルクスクリーン印刷、アクリルケースに穴開け加工を施したアート作品になっている。穴の位置は一枚毎に異なっている。フランス文学者、翻訳家でありEP-4のキーボードでもある鈴木創士氏がデュシャンの「大ガラス」に言及したライナーノートを寄せている。

▼最新ライヴ映像。橋本氏はサックスのマウスピースを付けて改造した尺八を演奏



<Live Schedule>
4/21(土)大阪ギャラリーノマル
田中朝子展「in a book」オープニングイベント
5/19(土)大阪chef - d'oeuvre(シェ・ドゥーブル)
「strange colors in May」
.es/磯端伸一(g)
CDの購入はコチラ

庭は初期WHITEHOUSEのコピー貼付ジャケの伝統を引き継いだ白地にスタンプ押しの簡易なアートワーク、.esは完成されたコンセプチュアル・アート作品、と制作スタイルも対照的な両者であり、一緒に紹介されるのはもしかしたら不本意かも知れないが、このブログの読者ならどちらも気に入っていただけるものと思う。 いずれにせよ東京では体験出来ないローカル・シーンの胎動を感じるには絶好のアーティストだと言えるだろう。

東京じゃ
分かりますまい
地方の秘宝

そういえば5月のEP-4復活ライヴのチケット早く買わないとな~。 
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