しかし当時ザ・フーの人気・知名度は決して高くなく、レコード店にコーナーこそあれ、「トミー」「フーズ・ネクスト」「ロックンロール・ゲーム(The Who By Numbers)」くらいしか置いてなかったと記憶している。1978年にキース・ムーンの遺作となった「フー・アー・ユー」がリリースされ注目されるが、当時の私にはパンクとは似ても似つかぬ古色蒼然としたハードロックに聴こえ、余り興味を惹かれなかった。
「大丈夫かい」の唄い出しで音が取れず「耳に水が入った」と言い訳した以外はMC一切無しの「トミー」全曲1時間強が終わると、多少リラックスしてロジャーもアコギを弾きながらザ・フーの曲を中心に演奏。ジョンのヴォーカルをネタにした笑い話や14歳で工場で働いていた頃週末が楽しみだったことを唄った自作曲の紹介などをギターのフランクが通訳する。ザ・フーではライヴで演奏をしたことが無いという「ゴーイング・モービル」も披露。ブルースの名曲「I'm Your Man」をワン・フレーズ唄い、続けて「マイ・ジェネレーション」をさらっとしたアレンジで演奏、そのままパワフルな「ヤングマン・ブルース」へ突入。これが最もスリリングだった。「ババ・オライリー」でピートの♪Don' Cry~♪というパートで客席へマイクを向け大合唱を促すという演出も楽しかった。「日本へ着いてまだ3日目なので時差ぼけに悩まされているよ」とぼやきつつ、メンバーが引っ込んでからウクレレの弾き語りで1曲演奏。「愛の支配」や「無法の世界」も聴きたかったところだが、2時間15分の熱演に充分満足した夜だった。
<Set List>(4/23分ウドーHPより転載)
1.Overture
2.It's A Boy
3.1921
4.Amazing Journey
5.Sparks
6.Eyesight To The Blind (The Hawker)
7.Christmas
8.Cousin Kevin
9.The Acid Queen
10.Do You Think It's Alright
11.Fiddle About
12.Pinball Wizard
13.There's A Doctor
14.Go To The Mirror Boy
15.Tommy Can You Hear Me?
16.Smash The Mirror
17.Sensation
18.Refrain - It's A Boy
19.I'm Free
20.Miracle Cure
21.Sally Simpson
22.Welcome
23.Tommy's Holiday Camp
24.We're Not Gonna Take It
25.I Can See For Miles
26.The Kids Are Alright
27.Behind Blue Eyes
28.Days Of Light
29.The Way It Is
30.My Generation / Young Man Blues
31.Baba O'Reilly
31.Without Your Love
33.Blue, Red And Grey
1980年代初めにNew Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)を伊藤政則のラジオ番組で聴いたときもカッコいいと思った。確かアイアン・メイデンだった。しかしパンクのシンプルな3分間ロックにハマっていたので、何だか冗長で古くさいと感じたことも確かだ。その後フランク・ザッパやキャプテン・ビーフハートやレジデンツの影響でフリージャズや現代音楽にのめり込んだので、ハードロック、特にヘヴィメタルと呼ばれる音楽は殆ど聴くことはなかった。
<Set List>
1.DECADENCE DANCE
2.LI'L JACK HORNY
3.WHEN I'M PRESIDENT
4.GET THE FUNK OUT
5.MORE THAN WORDS
6.MONEY (IN GOD WE TRUST)
7.IT ('S A MONSTER)
8.PORNOGRAFFITTI
9.WHEN I FIRST KISSED YOU
10.SUZI (WANTS HER ALL DAY WHAT?)
11.HE-MAN WOMAN HATER
12.SONG FOR LOVE
13.HOLE HEARTED
-Encore-
14.WARHEADS
15.THERE IS NO GOD
16.HIP TODAY
17.MUTHA (DON'T WANNA GO TO SCHOOL TODAY)
その後ロビー・ロバートソン抜きの再結成があったりや、レヴォン・ヘルム・オールスターズの来日公演を観に行ったり(真偽不明。この辺の記憶かなり曖昧)したが、尊敬はしていたがそれほどのめり込むことは無かった。レヴォン氏の死去の報にレコード/CD棚を探してみたのだが、発見したのは「ロック・オブ・エイジス」の英治君から借りてダビングしたカセットと「Live at Watkins Glen」という発掘ライヴCDのみ。仕方なくライヴCDで追悼しているのだが、アメリカン・ルーツ・ミュージックを消化した奥の深い演奏とレヴォン氏を中心とするヴォーカル・ハーモニーの素晴らしさに改めて感動している。
80年代末に日本盤が発売されたときは狂喜乱舞した。当時の日本はワールドミュージック・ブームで英米以外のポップスが色々紹介された時代だった。ベルギーのヴィクター・ラズロ、アイルランドのエンヤ、フランスのヴァネッサ・パラディなど魅力的な女性歌手が各国から登場した。ミレーヌもフランスで100万枚のセールスを記録したというセカンド・アルバム『Ainsi soit je...(邦題「ミレーヌ・ファルメール」)』が日本発売された。そのジャケットがまた素晴らしい写真でフランス盤LPも購入して飾っていた。サウンドはデビュー作以上にポップでヴォーカルはさらに魅力的だったが、解説書に掲載された歌詞の翻訳にはかなり驚いた。ドメスティック・ヴァイオレンスや性倒錯、背徳の美、死体愛、SMなど挑発的なテーマに満ちたショッキングな世界が歌われていたのだ。
その後はあまりミレーヌを追いかけることは無かったが本国では順調に活動を続け、デビューから30年近く経った現在でも人気No.1歌手として活躍しているというから感慨深い。wikipediaによると「フランス語圏では絶大な人気を誇り、フランス最大の音楽賞であるNRJ Music Awardsの最優秀女性アーティスト賞を4度、最優秀アルバム賞を3度も受賞するなどフランスを代表する女性歌手である」と書かれている。
このブログを書き始めたのが2005年1月だから今年で8年目に突入、ブログ開設から2634日になる。ここ最近いろいろと考えるところもあり、一度じっくりとブログを書くという行為についての考察をして自らの立場をはっきりさせたいと思っていた。この土日は「I'll Be Your Mirror」に参戦予定だったが開催延期になったため二日間丸々暇になった(ついでに月曜日のセシル・テイラー公演も中止 涙)。この機会につらつらと考えていたことを書き連ねてみようと思う。
嬉しいのは「Bo NingenをA Challenge To Fateというブログで知り、ライヴを観たら凄く良かった」というようなツイートを発見した時である。私の音楽の趣味は偏っているので、90年代半ばブリットポップ全盛時代にクラブDJをした時も60'sサイケやGSばかりかけるのでフロアから人がドッと引くのだが、少人数だが大喜びで踊りまくってくれるグループがいてそれがとても嬉しかったりした、その感覚のままである。灰野さんの名言にあるように「百人の客が居たら九十五人が『止めろ』と言うでしょう。『人が殺されているという通報があった』と演奏中に警官が飛び込んできた事もありました。しかし百人の内五人は僕の音楽で幸せにしている確信がある」。
庭は望月公喜氏を中心に静岡を拠点に活動する不定形ノイズ・ユニット。2002年に活動開始だから今年が活動10周年になるベテランである。"静岡のラリーズ"UP-TIGHTの青木智幸氏が店長を務めるロックバー、LUCREZIAを拠点にノイズ界の最古参NORDの伊藤まく氏主催のjapanoiseイベントや自主企画「JunkYard」など精力的なライヴ活動を行ってきた。2011年4月に惜しくもLUCREZIAが閉店すると、拠点を同年9月にオープンしたばかりのライヴハウス騒弦に移し定期的なライヴ活動を続けている。今回リリースされたのは騒弦に於けるライヴ音源2種と望月氏のソロ音源の3枚のCD-R、およびノイズ・コンピ「Voluntary Euthanasia」である。望月氏の「庭の音は日々変化する」との紹介通り、2枚のライヴ音源では前回紹介した2009年発表の「節子抄-Tales of Setsuko-」とはまたひと味違った刺激的なサウンドを展開している。
以下カッコ内は各作品に関する望月氏のコメント:
◇庭/2012-1(LIVE Recorded at 騒弦 on DEC. 30.2011)庭=Kohki. M, 望月コージ, satoru yagi