A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

女子ビデを夢眠(ゆめみ)てねむる夢見月~きゃりー/ふぇのたす/ピントカ/サイサイ/ハナエ/でんぱ組

2015年02月27日 01時16分13秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


あと三日寝ると「弥生」こと三月・英March。筆者の母校は金沢市立弥生小学校という縁もあり、春の訪れを告げる三月には格別な思い入れがある(USO)。別名「夢見月」とも呼ばれる"春眠暁を憶えぬ"季節を前に、トキメキ女子たちの新作が満開寸前。ビビッと女子ビデをばびゅってみたYO!

●きゃりーぱみゅぱみゅ single「もんだいガール」3.18 Release




●ふぇのたす mini album『PS2015』3.11 Release




●大森靖子&THEピンクトカレフ album『トカレフ』3.4 Release





●Silent Siren album『サイレントサイレン』Now On Sale




●ハナエ album『上京証拠』3.4 Release




●たんこぶちん album『TANCOBUCHIN vol2』Now On Sale




●tricot single「E」Now On Sale




●SHISHAMO album「SHISHAMO 2」3.4 Release




●バニラビーンズ album「バニラビーンズIV」Now On Sale




女子ビデを
集めてはやし
最上もが

●でんぱ組.inc single「超絶ウルトラ☆Happy Days / ギダギダdaズバズバda!!」3.25 Release





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【ドキュメントでんぱ組.inc】23:40-23:50 Wednesday, February 25th,2015 (画期的記録法「ツイドキュ」)

2015年02月26日 01時01分10秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


「ツイドキュ(Twitter Document)」とは・・・
何かを記録する場合、記録者や記録対象の意志や行動とは無関係に、100%客観的に事実のみを写し取ることは可能だろうか?口で言う程簡単なことではない。例えば写真や映像はその場で起る出来事のありのままの記録なのだろうか?否、撮影者が見たいものや気になるものに無意識の内にフォーカスしてしまう。それでは自動筆記のような、意識とは切り離した手の動きによる表現はどうか?否、それすら「無意識」という傾向に従った記述であり、何よりも外部の事象の記録ではない。

そこで、現代社会のあらゆる事象の表出とも言えるSNSを使って、主体・客体から完全に切り離された記録を可能にするのが筆者考案の「ツイドキュ」に他ならない。方法は以下の通り:特定の時間内にTL上に流れるツイートからすべての言葉(呟き)を削除し、画像・動画・リンクのみを取り出し、時系列順に並べて記録すること。即ち記録者・記録対象はもちろん、投稿者の意図すら剥奪された、単なる事象の羅列に過ぎない。それにも拘らず特定時間に於ける記録対象のドキュメントに他ならない。閲覧者が自由に想像の翼を広げて独自のストーリーや意味付けを成すことにより、記録対象の新たな心象風景が明らかになるに違いない。

以下は2015年2月25日(水)午後11時40分から50分までの10分間に「でんぱ組」で検索したTLに於ける迫真のドキュメントである。









Japanese Music~現在・そして未来へ~でんぱ組.inc『WWDD』


乃木坂&でんぱ組の推しラーメン!基本は全部のせ?

【でんぱ組.inc】みりんちゃん、ハンカチ持たない女子だったのか・・・



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SPACE SHOWER でんぱ組.inc特集


<でんぱ組.inc>「女子博って聞いたけど?!」 会場が“男子博”に一変



WWDDとは
ワールドワイド
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BGM:トニー・コンラッド with ファウスト『アウトサイド・ザ・ドリーム・シンジケート(夢連合の外側)』
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【Disc Review】akiko『Rockin’ Jivin’ Swingin’』~ガレージジャズのプルプル女神がブログに参上!

2015年02月24日 00時22分35秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


<Disc Review>
『akiko/Rockin’ Jivin’ Swingin’』
ability muse records POCS-1309  \2,200 (税別)

akiko(vo)

GENTLE FOREST JAZZ BAND
BLUE MOON QUARTET
FATS & FATS
GENTLE FOREST SISTERS
Chai-Chii Sisters

1.Come On-A My House 家へおいでよ
2.I’m Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter 手紙でも書こう
3.Relax Max リラックス・マックス
4.What A Little Moonlight Can Do 月光のいたずら
5.Fools Fall In Love フールズ・フォール・イン・ラブ
6.Rum and Coca Cola ラム・アンド・コカ・コーラ
7.I’m Walkin’ アイム・ウォーキン
8.Exactly Like You イグザクトリー・ライク・ユー
9.Blues No.8 ブルース・NO.8
10.Sh-Boom シュ・ブーン
11.Mr.Sandman ミスター・サンドマン
12.I’ve Got You Under My Skin あなたはしっかり私のもの
13.Goody Goody グッディ・グッディ

Produced by akiko



スウィングやジャイヴの名曲を通してジャズ本来の生命感を取り戻す試み

10年前、筆者は新宿や下北沢のライヴハウスで開催されていたガレージロック(*)・イベントへ足繁く通っていた。60年代ビートロックやグループサウンズへの愛情溢れる初期衝動そのままの荒削りなロックンロールと、レトロでサイケな60'sファッションが魅力だった。特にガールズバンドのキュートな魅力に惚れ込み、今で言えばアイドルオタクに通じる情熱で追いかけたりもしたものだ。しかし衝動性が高いだけに燃焼も激しいので、解散したり路線変更したりで、お気に入りのバンドが少なくなったこともあり、いつしかそうしたイベントに足を運ぶことはなくなった。

それから10年経った今年1月30日に、1986年の結成以来ガレージロックの女王的存在として活動を続けるガールズバンド、The 5.6.7.8's(ザ・ファイヴ・シックス・セヴン・エイツ)の12年ぶりのレコード発売記念ライヴが六本木SuperDeluxeで開催された。2003年にクエンティン・タランティーノの映画『ビキニ・キルVol.1』に出演したことで世界的に知られる彼女達のワンマンライヴを観るのは10年ぶりで、会場には昔馴染みの50/60年代ファッションに身を包んだ観客が集まった。

バンド演奏の合間にDJがプレイする楽曲は、60年代よりも古い、ロックンロールというよりスウィング、ドゥワップ、ジャイヴと呼ばれる楽曲が多かった。キャブ・キャロウェイ、ルイ・ジョーダン、ルイ・プリマといったオールディーズ以前のジャンプ・ブルースは、外国人客が1/3を占める満員のガレージロック・ファンのお気に入りで、ダンス大会の盛り上がりを見せた。
THE 5.6.7.8's/THE GENO@六本木SuperDeluxe 2015.1.30(fri)

2001年にVerveレーベル初の日本人女性アーティストとして華々しくデビューしたジャズ・シンガーakikoは、高校時代はロック系のクラブ・イベントの常連だったという。デビュー作こそオーソドックスなジャズ・ヴォーカル・アルバムだったが、その後須永辰緒、小西康陽、ブッゲ・ヴェッセルトフトなどクラブ系のクリエイターとコラボして新感覚のジャズを生み出した彼女が、自らのルーツと言えるジャンプ&ジャイヴに挑戦したアルバムが2005年の『リトル・ミス・ジャズ・アンド・ジャイヴ』だった。当時筆者が通ったガレージロック・イベントと同時代に、少し離れたところで「READYMADE JAZZ & JIVE」というイベントを主宰していた小西康陽がプロデュース。集まる人種に違いはあるが、愛好する音楽は共通していた。



それから10年経ってakiko自身のプロデュースでスウィングやジャイヴの名曲を歌ったアルバムが本作『ロッキン・ジャイヴィン・スウィンギン』。10年ぶりに再びルーツに回帰したきっかけは、5曲で共演するビッグバンドGENTLE FOREST JAZZ BANDとの出会いであろう。「踊る指揮者」の異名をとるトロンボーン奏者ジェントル久保田率いる彼らは、2007年の結成以来「踊れるスウィングジャズ」を追求するユニークな若手楽団。さらに2組の個性派コンボと2組の女性コーラス・グループを交えて展開するグッド・オールド・ミュージックは、お洒落にコーティングされてはいるものの、ダンス音楽として誕生したジャズ本来の生命感を取り戻す試みに違いない。それはまた、ガレージロックの初期衝動にも繋がることは言うまでもない。


akiko公式サイト

ガレージの
ロックとジャズを
もっと愛してーー!
愛してるよーーっ!





*註:ガレージロックとは、ガレージ(車庫)で練習するアマチュアバンドが多かったことに由来する名称である。現象的には、1960年代前半におけるビートルズやローリング・ストーンズ、ザ・フー、キンクスなどのイギリス出身バンドによる、いわゆる「ブリティッシュ・インヴェイジョン」の強い影響を受けたアメリカの若いバンド群主導による、初期のロックンロールへの回帰の要素が強い草の根的ムーヴメントである。(Wikipediaより)
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【プレイリスト】『晴れた日に灰野敬二と過ごす一時間』三上寛/工藤礼子/デレク・ベイリー/不失者

2015年02月23日 01時38分34秒 | 灰野敬二さんのこと


晴れた日の為の灰野敬二の一時間
An Hour of Keiji Haino for a Sunny Day

デヴィッド・ケファー著
by David J. Keffer
staff writer of the Poison Pie Publishing House/owner of An Unofficial Keiji Haino Website
Knoxville, Tennessee, USA
david@poisonpie.com

【要約】
灰野敬二(1952年5月3日生まれ)は日本のギタリスト/ヴォーカリスト/マルチ楽器奏者。文化の境界を横断する音楽を一貫して追求している。演奏は、たいていノン・イディオマティック(非慣用語法的)で、しばしばインプロヴィゼーション(即興)的(灰野は「インプロヴィゼーション」という言葉を嫌うことで有名だが)であり、常に実験的。灰野は不失者の凶暴なギター、強度の高いヴォーカル、滲有無の魅惑的な音風景で、高い評価を得ている。この文章に於いては、灰野のディスコグラフィーを構成する200を超える公式リリースの中から、晴れた春の日の気ままな散歩に適した一時間の音楽をセレクトした。

【序章】
生涯にわたる音楽への献身の結果として、灰野敬二の公式リリースのディスコグラフィーは、本論執筆時2015年2月現在で200を超える。これらの作品が灰野の評価が築かれる基礎となっている。耳を劈(つんざ)くギターの音の壁は、時に長すぎて一枚のCDには収まり切らない。だから、複数枚数のレコード/CD、例えば不失者の2枚組CD『I saw it! That which before I could only sense』(Paratactile, PLE1106/07-2, 2000年)などが理想的なドキュメントと言える。

灰野はユニークなヴォーカリストとしても知られており、『わたしだけ?』 (Pinakotheca, PRL #2, 1981)に於けるギター弾き語りから、フランスの洞窟で遠吠えと呟きを録音したアカペラ・アルバムの『Un autre chemin vers l'Ultime』 (Prele Records, prl007, 2011)まで、キャリアを通して多彩な活動を続けている。

また滲有無の『悲翼紀』 (PSF, PSFD 31, 1993)に代表される、不吉なドローン演奏による抽象的な恐怖映画のサウンドトラックのような作品も数多い。

これらの要素が灰野の作品の本質をなす重要かつ繰り返される特徴であることに疑いはない。もちろん、実験芸術家のライフワークとしてには、こんなに表現の幅を広げない別の行き方もあるだろう。しかし、本論では灰野の音楽の中を彷徨い、幅の広さを存分に堪能することにしよう。灰野の怒号のような爆音に惹かれる人たちも、花の蕾が膨らむ初春の爽やかな朝の空気の中で、一時間の散策を楽しんでいただきたい。

灰野のディスコグラフィーからそのようなプレイリストを作成することは可能なのだろうか?それが本論の目的地である。すなわち灰野の公式リリース音源だけで、晴れた日に相応しい一時間の作品集を構成すること。以下にセレクトした8つの楽曲それぞれの選曲の意味づけの解説が付されている。

ではお楽しみあれ!



1. 散る葉の後に降る雪の意味も知らず/三上寛・Vajra (4m 20s)

三上寛・Vajra
『散る葉の後に降る雪の意味も知らず/Chiru-Ha』
PSF, PSFM 1001, 1995
compact disc single, 2 tracks, 9m 48s
灰野敬二/Keiji Haino (guitar)
三上寛/Kan Mikami (voice, guitar)
石塚俊明/Toshiaki Ishizuka (percussion)
永畑雅人/Masato Nagahata (piano)

我々の散策は、三上寛をヴォーカル&ギターでフィーチャーしたポップソングで始まる。灰野は三上寛のことを、自分以外に歌うことを信頼して任せられる唯一のヴォーカリストだと述べている。この小品は1995年にシングル・カットされ日本でちょっとした人気を集めた。灰野は、三上寛のシンプルなギターとヴォーカルのバックで、流れるようなトレモロ・ギターを弾いている。石塚俊明のドラムに加え、ピアニストも参加している。トレードマークのハイエナジー轟音ギターとは全く異なるが、灰野の世界が描かれていることは聴けばすぐにわかる。

2. 海へ/灰野敬二・曽我部恵一・ボンスター・友直 (12m 31s)

from the compilation 『生きる/Ikiru』
Ear Disk, EAR-008, 2002
compact disc, 17 tracks, 74m 41s
This compilation contains two Haino tracks.
灰野敬二/Keiji Haino (guitar)
曽我部恵一/Keiichi Sokabe, ボンスター/Bonstar & 友直/Tomonao (voice, turntables, guitar)

2002年に2枚同時に日本のEar Diskからリリースされたコンピレーションについては多くを知らない。どちらも灰野の参加曲が2曲ずつ収録されていて内1曲は一定のビートにレイドバックしたヴォーカルが乗るメロウ・ヒップホップ・ナンバー。一曲通してギターの反復メロディーが電子音と共に奏でられる。灰野はエレキギターで一定のメロディーをリズミカルに奏でている。4分くらいでギターが咆哮のように爆発するが、突然静かになり、伴奏に戻る。だが爆発は終わったわけではない。曲が進むにつれて、灰野の咆哮は再度出現し、メロウ・ヒップホップ・ビートの上で主導的立場となる。この演奏の催眠効果はとても魅惑的。だから『僕の手につかまって』(Ear Disk, EAR-007, 2002)の4分半のトラックではなく、『生きる』の12分半のトラックを選んだ。

3. ここ/灰野敬二 (31m 20s)

灰野敬二/Keiji Haino
『ここ/Koko (Here)』
PSF, PSFD-00, 2003
compact disc, 1 track, 31m 26s
灰野敬二/Keiji Haino (voice, guitar)

「ここ」は灰野のレパートリーの中で最も人気の高い曲のひとつであり、何十年もの間ライヴで披露されてきた。ここに挙げたのは30分のヴァージョン。一時間の中の半分を一つの曲で占めることは理不尽に思えるかもしれないが、この曲にはそれだけの価値がある。2002年から2004年に騒音問題で閉店するまで、東京の西早稲田にジェリージェフという小さなライヴハウスがあった。そこで灰野は基本的にギターとヴォーカルによるライヴを10回近く行った。連続した数曲の長尺ナンバーで構成され、全部で2時間以上に及んだ。ジェリージェフでの灰野のパフォーマンスには際立った特徴があった。この会場は灰野の瞑想的でメロディックな精神状態を誘発したように思える。この「ここ」のヴァージョンは、ジェリージェフでのパフォーマンスを完璧に捉えている。公式なデータのクレジットはないが、聴く限りでは、これは2003年9月21日ジェリージェフの灰野のソロ・ライヴのラスト・ナンバーだと思われる。それはともかく、このトラックは楽曲の「ここ」が始まる前に灰野の天使のようなヴォーカルと浮遊し煌めくギターが17分間続き、メインのメロディが終わった後に、前半部と同様の構造の7分間のエンディングで終了する。

この曲をより理解いただく為に歌詞を掲載する。アルバム『息をしているまま』(Tokuma Japan Communications, TKCF 77016, 1997)に収録された18分32秒のヴァージョンである。

今は去りゆくもの 一度だけ

何もかも分かったつもりになった奴 光なんかに憧れを抱いた愚かな奴が
またここに戻ってきてしまうのに
夢なんて 闇の中に捧げてしまうことだけが
成就できる たったひとつのやり方なのさ
溢れ  紅く紅く流れ出たもの
いつかは本当の黄金に変わる
翼あるから もう一度なんて言いたがる
頭あるから 考える
手なんてあるから 愛したがる
何もないなんていうことさえ 偽りなのさ
あらゆることを「在る」っていうことだけは
許されるのさ
ここに居る

ここの前には 何処に居たの
ここよりもっと素敵なところ あの導き
貴方だったの




このプレイリストの残念な(申し訳ない)ところは、いくつか入手困難な曲が含まれていることである。このCDは2003年12月24日~2004年1月31日開催された「PSF灰野敬二フェア」の特典用に限定300枚プレスされた。入手の難しいレア盤ではあるが、晴れた日の灰野の音楽の中核をなす曲なのである。どこかのレーベル担当者がこの記事を読んで、多数のオーディエンス録音(プロ録音に迫るクオリティの音源もある)が存在するジェリージェフでのライヴのフル音源がリリースされることになれば嬉しいのだが。。

4. はるか山に/工藤礼子 (3m 32s)

工藤礼子/Reiko Kudo
『ちりをなめる/Licking Up Dust』
Hyotan Records, HYOTAN-003, 2008
compact disc, 7 tracks, 23m 4s
工藤礼子/Reiko Kudo (vocals)
工藤冬里/Tori Kudo (organs, guitar, biwa)
灰野敬二/Keiji Haino (electric guitar, drums, voice)

全曲でヴォーカルを担当する工藤礼子ソロ名義のアルバム。彼女は70年代末から80年代初頭にかけては「NOISE」というユニットで、90年代以降はソロで活動している。本作では彼女のパートナーで日本のアンダーグラウンド・バンド「マヘル・シャラル・ハシュ・バズ」の工藤冬里がほとんどすべての楽器を演奏(工藤冬里は70年代後半にヴァイブレーション・ソサイティで灰野と共に活動し、小沢靖の死後に復活した不失者の最初のベース奏者でもあった)。3曲にそれぞれギター、ドラム、ヴォーカルで灰野が参加。晴れた日の散策用に、灰野がギターで参加した1曲目の「はるか山に(Faraway Mountains)」をセレクトした。切ないヴォーカルと繊細なオルガンのメロディーからなるこの曲に、灰野は歌のメロディーと必ずしも合致しないギター・リフを加えている。メロディーと不協和音の組み合わせは、灰野の音楽の中枢ともいえる重要な要素であり、彼のファンが最も興味を惹かれるところであるが、いつもの破天荒さとは一線を画したこの曲でのギター演奏は、灰野のディスコグラフィーでも極めて特殊と言える。灰野はライヴ演奏でポップなアーティストと共演することが多々ある。それらの出会いの幾つかはこの工藤礼子と共演に近いテクスチャーがある。私の頭に浮かぶのは、2012年のテニスコーツとの共演ライヴで灰野が参加した「Baibaba Bimba」の演奏である。参考までに記せば、このデュオによるLa Blogothèqueでのライヴ音源(灰野抜きの)がオンラインで入手可能である。もし灰野が参加した「Baibaba Bimba」が正式にリリースされたら、晴れた一日は最高なものになるだろう。





5. マジック I/不失者 (2m 42s)

不失者/Fushitsusha
『寓意的な誤解/Allegorical Misunderstanding』
Avant, AVAN 008, 1993
compact disc, 10 tracks, 48m 33s
灰野敬二/Keiji Haino (guitar, voice)
小沢靖/Yasushi Ozawa (bass)
小杉淳/Jun Kosugi (drums)

この不失者の3rdアルバムが、ハリケーンの日の浜辺や豪雨の夜の路地裏に相応しい記念碑的な二作のダブルライヴアルバム(PSF 3-4, 1989/PSF 15-16, 1991)の次にリリースされた事実は注目に値する。『寓意的な誤解』の10曲は前2作とはまったく対照的。「マジック I」から「マジック X」とタイトルされた楽10曲はまさに魔術的なニュアンスを持つ。魔術はarcane(難解な神秘性)、eldritch(この世の物とは思えない不可思議さ)、druidic(邪教的)、divine(神々しさ)など様々な分野に分類できる。『寓意的な誤解』に於いて不失者が提示する魔術は微妙なカテゴリーに属する。我々が属する物理的現実に反するわけではないが、意識を緩めて現実と仮想の境界が曖昧になるように誘発する魔術とでも言おうか。明らかにこれは晴れた春の日の散策を促す音楽である。

6. まずは 色を無くそうか/灰野敬二(1m 57s)

灰野敬二/Keiji Haino
『まずは色を無くそうか!!/To Start with, Let’s Remove the Color !!』
PSF Records, PSFD-8014, 2002
compact disc, 8 tracks, 67m 29s
灰野敬二/Keiji Haino (voice, guitar)

続いて灰野のギター・アルバムから2分間の小品。灰野の数多いギターアルバムには同じ傾向を持つ作品もある。しかし『まずは色を無くそうか!!』に類似する作品は存在しない。軽快さと俊敏さを有しつつ同時に瞑想的な作品。ギターは静謐なハープのよう。ディストーションやフィードバックやリヴァーブはない。このアルバムを簡単に位置づけるジャンルはない。70,80年代にハンス・ライヒェル(1949年5月10日生 – 2011年11月22日没)は、ドイツのFMPレーベルから一連のLPシリーズをリリースした。ライヒェルは歌は歌わず、自分で改造/製作したギターの演奏に専念しているが、『The Death of the Rare Bird Ymir』 (FMP, 0640,1979)などのアルバムで聴ける音楽は、灰野のこのアルバムとスタイルに似たところがある。どちらもノン・イディオマティック且つメロディックな美しいギター演奏をフィーチャーしている。どちらも楽観的で陽気な雰囲気を醸し出す。確かにライヒェルのほうが灰野よりもずっと軽快だが、灰野の作品の中でこのアルバムは最も陽気な一枚である。つまりどちらのアルバムも一日を楽しくしてくれるのだ。今すぐドイツや日本の音楽を扱う小売店やネットショップを訪れて、いずれかのアルバムを入手することをお薦めする。

7. untitled (track 1)/デレク・ベイリー・灰野敬二 (1m 18s)
8. untitled (track 2)/デレク・ベイリー・灰野敬二 (2m 14s)

灰野敬二、デレク・ベイリー/Keiji Haino and Derek Bailey
『寄り添い合いし 秩序と無秩序の気配かな(僅かに残されている 余白さえをも 黒く塗り潰す為の第三章)/Drawing Close, Attuning --The Respective Signs of Order and Chaos』
Tokuma Japan Communications, TKCF 77017, 1997
compact disc, 7 tracks - 75m 25s
灰野敬二/Keiji Haino (guitar)
デレク・ベイリー/Derek Bailey (guitar)

灰野と英国のノン・イディオマティック即興ギタリストのデレク・ベイリー(1930年1月29日生 – 2005年12月25日没)の短いギター・デュエット曲で散策を終えるとしよう。このふたつのデュエット曲は、プレイリストの他の曲ほどメロディックではないが、同様に「幸福感」を促進する。一聴すれば、二人がそれぞれ独自のプレイをすると同時にお互いの演奏の本質を探り合っていることが判る。陽気だが表面的なものではない。初めて聴くとメロディーの欠如に取っ付きにくさを感じるかもしれないが、繰り返し聴くことにより、内包する生々しく創造的な衝動が明らかになる。この衝動が、トロンボーン奏者にして学者であるジョージ・ルイスの言葉によれば「自分の創造性を感じることにより、他の人の創造性へ反応することを可能にする共感性」へと聴き手を導く。最初はこの灰野/ベイリーのギター・デュエットから1曲、灰野が歌、ベイリーがギターの共演作『Songs』(Incus, CD 40, 2000)から1曲選ぶつもりだった。だがヴォーカル曲に陽気さを見出す人は確かにいるだろうが、予測不可能な灰野の歌は気ままな散策の目的から逸脱するかもしれない。また、別の面でもインスト2曲で締めるのが適切と考えられる。



灰野の詩
「デレク・ベイリーの魂の安息の為の祈り」

That, which while enfolding this now and present
perfume,
speaks, ‘I will use to the fullest this form bestowed
upon me’
and blurs into the firmament―
ah, where and in what form will it next be devised

【結論】
ご覧の通り、全8曲のプレイリストの収録時間はキッカリ1時間(59m 54s)。さっそくお気に入りのmp3プレイヤーにアップロードして再生ボタンを押して、深呼吸して音が脳内の使っていない神経を接続し、心の旅へ誘うままに任せよう。残りの一日を晴れ渡った気持ちで過ごせれば効果は良好。



An Unofficial Keiji Haino Website

見上げたら
色が違った
晴れた空

▼空を見上げよう/マジカル・パワー・マコ feat. けいちゃん



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【交歓日記3】大友良英quartets@初台ICC/ふぇのたす@新宿LOFT 2015.2.20(fri)

2015年02月22日 00時15分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


「大友良英 音楽と美術のあいだ」展関連イヴェント
quartets live
出演:quartets(大友良英,石川高,Sachiko M,ジム・オルーク,山本精一)


「大友良英 音楽と美術のあいだ」展の展示作品《quartets》は,8人の演奏者の演奏とそれに附随する映像を,プログラムによってさまざまな組み合わせの,終わりのない常に異なる四重奏として生成する,即興の再構成とも言えるインスタレーション作品です.コンサートでは,この作品とおなじ,大友,石川高,Sachiko M,ジム・オルークというメンバーに加え,今回のために山本精一が参加,あらたなquartetsとして即興演奏を行ないます.



先月ギターソロを観た初台NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)4F特設会場での「音楽と美術のあいだ」展イベント。ギターソロのときは空席があったがこの日は前売チケット・ソールドアウト。会場は5人の演奏者が五芒星の頂点に座り、中央向きに並んだ座席を囲むアートっぽい設営。実際の展示を観ていないので直接の比較はできないが、単なる音楽鑑賞ではなく、音を使った実体験作品らしいので、生ライヴパフォーマンスに於いても「誰がWHO」「何をWHAT」「何処でWHERE」「どのようにHOW」演奏するかに拘らず、空間に放たれた音TONE/SOUNDをありのままに体感すべきなのだろう。その意図が十分に共有されたことは満場の観客が1時間近く物音ひとつ立てず息を詰めて聴き入った様子に明らか。酩酊感で感覚が麻痺する忘我の境地に船出した。写真はAsian Meeting Festival 2015のもの。


撮影:小山田 邦哉(無断転載)









誕生日おれ!~ヤマモトショウ(ふぇのたす)自分で祝う聖誕祭
ふぇのたす/岡崎体育/クマムシ/寺嶋由芙/バンドじゃないもん!/吉澤嘉代子


ヤマモトショウ(ふぇのたす)が自分で自分の誕生日を祝う生誕イベント。
本人が今一番気になるアーティスト、アイドル、芸人に 声をかけ、ジャンルレスのスペシャルイベント開催が実現!



メジャーデビューを3月に控えたふぇのたすの「ギターソロ、オレ!」が合言葉のヤマモトショウの生誕イベント自主企画は、一週間前にやさぐれ姐御マリアンヌ様の辱めを受けた歌舞伎町ホスト倶楽部ビルB2にて、子供に人気のホットな(あったかい)芸人クマムシや、秋葉原ディアステージ出身恋汐りんご在籍のアイドルグループバンドじゃないもん!などを迎えての異種交歓イベント。会場に着いた時には、こちらもメジャーデビューを発表したゆっふぃー☆寺嶋由芙がバーステージでパフォーマンス中。ゆふぃすと(ファン)の熱気が凄くて入り込めず、閑散としたホールで待機する。



12月のワンマンライヴでバンド化したふぇのたすが、この日はメンバーだけのトリオ演奏にバースデーの祝賀ムードが加わり、持ち前のホットで(あったかくて)スマイリーなスウィートポップを聴かせる。機材トラブルもソツなくこなし、スムーズなステージ進行。それが豹変したのはアンコールだった。以前から時折情念を覗かせていた(と筆者には思われた)みこのロック女子魂に火が付き、突然ヘドバン&ステージダイヴ&リフトが炸裂。涙はあっても血と汗とは無縁と思われたふぇのたすが、紛れもないロックバンドであることを明らかにした。いつも通りの屈託のない笑顔でファンサービスに興じるみこの後姿に、ひとつ年を重ねたヤマモト"genius"ショウ以上に頼もしい成長の徴(しるし)を感じたのは筆者だけだろうか?


ライヴ写真撮影:オチアイユカ/以下同(無断転載)

Set List
1.ふふふ(ライブ初披露)
2.すしですし(結果的にshort ver.)
3.東京おしゃれタウン
4.たびたびアバンチュール
5.スピーカーボーイ
6.夜更かしメトロ
en1.ありがたす
en2.ファッション戦争






ふぇのたす公式サイト

ロック女子
ジニアス男子の
先を行く

数量限定!?しかもヴィレッジヴァンガード下北沢店でしか買えない!!
“ふぇのたす”ד寺嶋由芙”の限定ユニット “ゆふぃたす”奇跡のCD化!!
2015年2月25日発売 
ゆふぃたす
Limited Single「君が笑えば恋なのです」

詳細はコチラ

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【今日は一晩えいたそ三昧】でんぱ組.inc成瀬瑛美さんの激カワ写真60枚超を一挙(無断)転載!

2015年02月21日 00時50分44秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


                                                          

 



えいたそさん
いつでも会える
二次元で

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【交歓日記2】コロボックルズ/ロリータ18号/BELLRING少女ハート@吉祥寺Plante K 2015.2.18(wed)

2015年02月20日 00時23分15秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


Planet K 16th Anniversary
「レディース&ジェントルメン」

ロリータ18号 / コロボックルズ / 挫・人間 / BELLRING少女ハート




地元吉祥寺は、30年以上前のマイナーやぎゃてい以降は特に行きつけのライヴハウスはないが、Planet Kは4年前(2011年5月)に割礼と遠藤ミチロウの対バンを観たのでよく覚えている。昨年6月豪雨の日に吉祥寺ROCK JOINT GBに出演したコロボックルズの吉祥寺再上陸なので予約するのに躊躇いはないが、対バンの顔ぶれは筆者にとって「神イベ」であることも一目瞭然。コロボックルズと東京の関係は”たどり着いたらいつも雨降り”のジンクス通り、冬の冷たい雨が降り仕切る中、平日は自転車乗継で通過する吉祥寺の目抜き通りをライヴハウスへ向かった。

●挫・人間


30分遅れで到着し、トップバッター挫・人間のラスト・ナンバーに間に合った。予備知識はなかったが、軽妙なヴォーカルと意気のいいギターロックは、Theピーズに通じるバカロックを継承していて好感度。ヴォーカル君がロリータ18号のTシャツを上着で隠していた為に、60分後に石坂マサヨの水噴射攻撃に単身晒される羽目になった。








●コロボックルズ


アイドルヲタで占拠されているか?との不安に反して、女子バンヲタが大挙して前列を占める。半年ぶりに見てイシモックルこと石本幸景がトンガリ頭じゃなくなっていて驚いたが、サウンドの切れ味は変わりないどころか、真っ直ぐ過ぎるメロディーの奔流の加速度は倍倍増し増し。コロボ推しが迷いなく突き上げる拳に、アイドル乗りのケチャ趣向が混在し、6日前のGacharic Spin(ガチャピン)のカオス現場を髣髴させる。絶賛発売延期中のライヴDVDの一早い完成が待ち望まれる。天気予報の参考を兼ねて、次回の東京公演は4月27日新宿ロフト。









[2015/4/23追加]
【BEEAST】コロボックルズ 2015/2/18 @吉祥寺 Planet K

【NEWS】コロボックルズ(COLOBOCKLES)ミニレポート

●ロリータ18号


昨年結成25周年を迎えたロリータ18号のライヴは何と2年半ぶりのご無沙汰ゴメン。そんなに経ったとは信じられないお互いの不偏不党ぶりに喝采したい。42歳石坂マサヨを筆頭にKICK(g)、たこち(b)、TOBU(ds)の弾けっぷりはお見事至極。アイドル対バンは「メロン記念日」以来という、アイドル史に名を残す唯一のパンクバンドでもある。パンクヲタ&女子バンヲタに加えアイドルヲタも一緒にOiOiと唱和モッシュの怒涛のフロアは、ジャンルレスの交歓場に相応しい。3月20日高円寺Missionsにて「ドキッ!丸ごとロリータ18号カバーだらけのワンマン大会!!!Vol.1』開催。





●BELLRING少女ハート


インストアイベントには何度か参戦したが、実はベルハーのライヴをガチで体験するのは初めて。最近武道館や代々木体育館など大箱に慣れてしまい忘れかけていたライヴハウス・ドルイベ・カオスも久々体験。我慢し過ぎて発射できないモドカシさに身震いしつつ、かつてのBiS現場以上のリフトやダイヴやモッシュが炸裂する行き過ぎヲタの暴走っぷりと、マサヨの向こうを張って口から水噴射する純粋少女たちの笑顔の交歓は、天国地獄地上地下問わず現代人が心の底で求めて病まない理想郷なのかもしれない。





交歓は
あらゆる現場で
進んでる

【援助交歓募集中!】

【クラウドファウンディング】アバンギャルドノイズバンド 非常階段、ドキュメンタリー映画「極悪の教典 劇場版」
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【勝手に翻訳】オーレン・アンバーチが選ぶ『灰野敬二の必須レコード5作品』

2015年02月18日 02時07分05秒 | 灰野敬二さんのこと


オーレン・アンバーチによる灰野敬二の5枚のエッセンシャル・レコード
Oren Ambarchi’s Five Essential Records By Keiji Haino


Electronic Beats (Established by Deutsche Telekom)
October 28, 2014 in Reviews
by Elissa Stolman

1ヶ月程前スカイプでオーレン・アンバーチとお気に入りの灰野敬二のレコードについておしゃべりした。前提は、灰野の専門家により、この象徴的なミュージシャンの広大なディスコグラフィーへ新しいファンをナビゲートするためのガイドを作成することだった。そこでこの日本のサイケデリック·ロックの伝説と最近コラボした二人のアーティストに打診した。そのひとりが、90年代初頭にニューヨークで灰野の演奏を観てギターを始めたというオーストラリア人ドラマーのアンバーチで、彼は後にSun O)))のスティーヴン・オマーリーと共にバンド「なぞらない」で灰野とコラボし、間もなくニューアルバムがリリースされる。もうひとりはドイツ人ピアニスト・作曲家であり、最近灰野のユニークなヴォーカルをフィーチャーしたCDをリリースしたZeitkratzerの創設者ラインホルト・フリーディ。

非常に(そして当然)忙しいフリーディから回答を待っている間に、先週RBMAが灰野のカタログの独自のガイドを掲載した。そのために我々は当初の計画を中止し、新しいアイデアを考え出すべきとの意見もあったが、何度か議論を重ねた結果、オーレンの日本で最も伝説的な実験ミュージシャンの視点がかなりユニークで面白く、オリジナルのコンセプトに特別な角度を加えるものと判断した。基本的には、灰野の作品のハンドブックが他にあろうとも、このインタビューは読む価値があるに違いない。
【Red Bull Music Academy】A Guide to Keiji Haino~オーストラリア人音楽ライターが解説する、灰野敬二を知るための15枚のアルバム

不失者 (Fushitsusha),『不失者』 (PSF 1991)


私が最初に彼のトリオ、不失者(英語で「Fushitsusha」)を聴いた時、それは私の人生を大きく変える衝撃だった。それは、ギター、ベース、ドラムからなる古典的なパワーロックトリオのフォーマットであったが、Fushitsushaが現れたとき、我々が精通していた言語とコンテキストを完全に異なる場所とレベルへと導いた。 PSFに於ける2作のFushitsushaの作品はタイトルがなくカタログ番号だけで識別され、単にダブルライブとして知られている。私の無人島ディスクである。それは完全なる解体であり、私が愛するすべてのものを持っている。それはサイケデリアであるー私がサイケデリアという場合は決まり文句の意味するものではない。洞窟か何かで録音されたように聴こえる。上へ上へと進行するソロ、反復し彷徨うリズムセクション、そしてどこにも行き着くことのないソロ、それを私は愛する。そして、雰囲気はとても信じられない。ダークで、神秘的で、同時にロックだ。それらすべてにロックやパンクのバイブがある。そして、灰野のヴォーカルは絶対的に美しいと同時にゴージャスでもある。これ以上の物を求めることはできない。




不失者 (Fushitsusha)『悲愴 (Pathétique)』 (PSF 1994)


PSF-50の最初のトラックは、私が思うに「Pathétique」というタイトル5分の楽曲である。これは私が最も好きなFushitsusha/灰野の作品のひとつ。巨大な石碑のようなリフが何度も何度も繰り返される。かつて、私はテルアビブでソロギターのライヴを行った。セットの最後に、アンコールを求められた。私は長大なソロセットを行った後に、再び演奏するのが嫌なので、通常はアンコールを行うことはない。何をしていいかわからなかったので、大好きなこの曲のカバーを演奏した。以前暫くの間やっていたオーストラリアのバンドでは、たまにセット全部をこのトラックだけ繰り返し演奏するライヴを行っていた。それほどこの作品は私にとって重要なリリースなのだ。




灰野敬二、三上寛、吉沢元治(Keiji Haino, Mikami Kan, and Yoshizawa Motoharu)『平成元年ライヴ・下(Live in the First Year of the Heisei, Volume Two)』 (PSF 1990)


灰野が日本のフォーク・アイコン三上寛と伝説的フリージャズ・ベーシスト吉沢元治と共演したやはりPSFに於ける初期コラボ作品。『平成元年ライヴ』と題され2巻のレコードは、私が実際に聴いた最初の灰野のレコードのひとつでもある。

91年にニューヨークで灰野を観た頃、リリース作品は多くはなかった。彼は1980年に最初のLPをリリースしたが、限定盤の為に余り流通していなかった。私がニューヨークからオーストラリアへ戻った時、友人が偶然に灰野のPSFでの作品を所有していた。それは90年代初頭のシドニーではとても珍しいことだった。そのうちの一枚がこのトリオコラボ作品『平成元年ライヴ』だった。このアルバムでは基本的に三上寛がフォーク・ギターとフォーク・ソングを歌し、ベース奏者がフリージャズ的解釈を加えていて、私の魂を吹き飛ばした。この二者だけでも十分に奇妙なのに、更に灰野がすべてを全滅させる狂気のギターの爆発で現れる。余りに異次元で完全に別世界だった。当時こんなものを聴いたことがなかったので、このコンビネーションは溜まらなく魅力的だった。




灰野敬二(Keiji Haino)『慈 (Affection)』 (PSF 1992)


初期のPSFのリリースに『Affection(愛情)』というタイトルのソロ・ギターとヴォーカルによる作品がある。本当の深夜の雰囲気を持っているので、灰野の作品を初めて聴く人におススメしたい。ある意味メローで漂うようなサイケ感があり、とても日本的で、90年代初期東京のPSFサウンドを象徴する。推薦盤。


(楽曲はアルバム『A Challenge To Fate』収録のもの)


灰野敬二(Keiji Haino)『Tenshi No Gijinka』 (Tzadik 1995)


Tzadikレーベルでのソロ・パーカッションCD。確実におススメ。純粋にアコースティックでエレクトロ二クスは一切ない。一枚のCD、『天使の擬人化』というタイトル、1995年のパーカッション作品。儀式的なムードがあり、それこそは灰野のすべての活動を貫く真実のひとつだと私は思う。私はロングトーンの音を好む。私は共鳴するベルや打楽器の音を好む。アルヴィン・ルシファーやモートン・フェルドマンの、和音が静かに衝突し、共振し、音が空中に漂うピアノ作品が好きだ。それと灰野の儀式的なパーカッション作品は私にとって同じ世界から来るのである。




Nazoranai(なぞらない)の最新アルバム『一番痛い時は一度だけそれは もう 訪れているのかな...The Most Painful Time Happens Only Once Has It Arrived Already…? 』はIdeologic Organから発売中。





灰野敬二
あなたのおススメ
なんですか

<Live Schedule>
2015年4月12日(日)六本木SuperDeluxe
Merzbow x Balázs Pándi x 灰野敬二
with KK NULL / BASTARD NOISE
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【侵略!ドーナツ娘】"Dr. Acid Guru" Kudda's LOOK BACK IN PLEASURE #13 1996秋

2015年02月17日 01時39分05秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界



●Siousioux & The Banshees スージー&ザ・バンシーズ


●Go-Go's ゴーゴーズ


●The Bangles バングルズ


●The Pandoras パンドラズ


●Dolly Mixture ドリー・ミクスチャー


●April March エイプリル・マーチ


●Eggplant エッグプラント


●Demolition Doll Rods デモリデョン・ドール・ロッズ


●Thee Cherylinas ジー・チェリリーナズ


●The Cardigans カーディガンズ


90年代は
洋物女子バン
萌えだった







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成瀬瑛美@えいカラ2015/キノコホテル@新宿LOFT 2015.2.14(sat)

2015年02月16日 01時25分47秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


でんぱ組.incファンクラブ「でんぱとう」主催
成瀬瑛美 生誕イベント『えいカラ2015』




昨年も参戦した神イベントに今年も当選。太陽の女神が微笑んだ。会場は昨年と同じ都内カラオケ店だが、前回の30人程度のカラオケボックスではなく、ステージ/音響/照明完備の大型イベントスペース。テーブル席の間をえいたそがちょこまか走り回り、参加者からのリクエスト曲を一緒に歌うと云う神神イベント再び。逆光が眩しすぎて見えないシーンも多々あったが、マイクを回して一緒に歌ったりヲタ芸打ったり、存分に推しメンと過ごす歓びを甘受した。



帰りにえいたそ手作りのバレンタイン餅チョコ(?o?)をゲット。MY BLOODY VALENTINE(血のバレンタイン)がマキシマムイエローに染まった。



第1部 Set List
1. ライオン(May'n/中島愛)
2. そばかす(JUDY AND MARY)
3. プリキュア、奇跡デラックス(工藤真由 with キュア・デラックスFresh!)
4. 侵略のススメ☆(成瀬瑛美)
5. 空色デイズ(中川翔子)
6. キラキラチューン
7. くちづけキボンヌ
8. でんぱれーどJAPAN
9. おジャ魔女カーニバル!!(MAHO堂)
10. 予感(DIR EN GREY)
11. 強い気持ち・強い愛
12. Wake up my music(りさ・えいみ)
13. ピコッピカッて恋してよ
14. DiE(BiS)
15. ORANGE RIUM
16. Future Diver
17. サクラあっぱれーしょん
18. 帰り道(八九寺真宵)
19. でんぱーりーナイト







キノコホテル単独実演会
<サロン・ド・キノコ~やさぐれ姐御伝説・新宿編>




2014年は、5月にリリースした4thアルバム『マリアンヌの呪縛』のヒット(オリコン・デイリー10位 / ウィークリー16位)、全国16ヶ所のツアー、フジロック前夜祭レッドマーキーでの熱狂(マリアンヌ東雲が名言ベスト1を獲得!)の記憶も新しい<キノコホテル>。
2015年、単独公演ツアー<サロン・ド・キノコ~やさぐれ姉御伝説>が決定。2010年2月にリリースされた1stアルバム『マリアンヌの憂鬱』からちょうど5周年ということで、珍しい初期の作品も披露されるかもしれない。
現体制による超絶の演奏力と衝撃のライブパフォーマンスは、キノコホテル史上最高のテンションを誇っており、<最恐のガールズバンド>としての地位は揺るがない。必聴!必見!



キノコホテルを知ったのは2008年2月。それ以来7年間ライヴに通い続けているから、所謂古参と呼べるに違いない。だがアイドルの古参のファンとは違い、本人やスタッフに認知されるたり新規のファンに一目置かれることもなく、水面下に潜伏したままひっそりと見守って来た。2012年頃からアイドルヲタ化が進み接触イベントやヲタ芸応援の味を占めた筆者が、何故キノコホテルだけ従順な僕(しもべ)のように律儀に推し続けるのか、自分自身もよく分からない。確かに最初の頃の実演会の楽しみのひとつは、最前列から見上げるキーボードに馬乗りになったマリアンヌ様の艶姿ではあったが、メジャーデビューを機に前列で激しいモッシュの嵐が起り、圧縮で息もできない戦場と化した為に最前線から離脱し、後列から遠目に見守ることに相成った。



アルバム及びツアーの度に微妙に現場の様子が変化し、それと共に従業員の在り方も変化した。最も振幅が大きいのは当のマリアンヌ支配人かもしれない。ドSぶりは相変わらずだが、発散の仕方がいつも変化していることは、過去ブログを参照いただきたい。
キノコホテル@新宿 JAM 2009.3.15 (sun)
キノコホテル@六本木Super Deluxe 2009.11.14 (sat)
キノコホテル@下北沢 Club Que 2010.2.14(sun)
キノコホテル@新宿ロフト 2010.10.9 (sat)
キノコホテル@下北沢 Club Que 2011.3.28(mon)
キノコホテル@新宿ロフト 2011.6.4(sat)
キノコホテル@渋谷クラブクアトロ 2011.8.27(sat)
キノコホテル@東京キネマ倶楽部 2011.11.3(thu)
キノコホテル@下北沢 Club Que 2011.12.24(sat)
キノコホテル@鴬谷 東京キネマ倶楽部 2012.12.8 (sat)
キノコホテル@新宿LOFT 2013.11.24(sun)
キノコホテル@恵比寿リキッドルーム 2014.7.18(fri)~呪縛の胞子を浴びる快楽園

2014年7月恵比寿リキッドルーム以来の単独実演会は古巣新宿ロフトで満場の盛況ぶりを見せた。前回以上に胞子(ファン)の年齢層が高くなったように思えるのは気のせいか?ロフトの規模だと最後列から観たほうがステージ全体が見渡せるし音もいい。演奏力の充実ぶりは目を閉じて聴いてもドキドキする程スリリング。スーパーベーシスト=ジュリエッタ霧島という武器がホテル全体を火照らせたことは間違いない。呼応して前ブロックでは久々に観るモッシュが沸き起こった。ノーパンボンデージスーツに身を包んだ支配人の煽りに応えて、雨後のえのき茸のようにニョキニョキ生えた多数の腕が揺れる様は、紛れもない菌糸と胞子の交歓大会であった。



帰りに会場限定CD『マリアンヌの追憶』(^O^)をゲット。黄色い太陽バレンタインが真っ赤なゼリーになって燃え(萌え)つきた。



Set List
1. キノコホテル・アネックス
2. 愛人共犯世界
3. 白い部屋
4. 恋の蟻地獄
5. もえつきたいの
6. ノイジーベイビー
7. 完全なる支配
8. 荒野へ
9. 夜の素粒子
10. Fの巡回
11. 新曲1
12. すべて売り物
13. 新曲2
14. セクサロイドM
15. ばら・ばら
16. 84
17. キノコホテル唱歌

Encore
18. 球体関節
19. 真っ赤なゼリー
20. キノコノトリコ

でんぱ組.incの太陽神・えいたそ☆成瀬瑛美を推すのとは明らかに違う冷静沈着な鑑賞スタイルには、筆者が求める理想の女子アーティスト像が投影されているのかもしれない。えいたその認知を得られるなら死んでもいいと願う程の撞着心とは真逆に、マリアンヌ支配人には決して存在を知られたくない知られちゃいけないと心の底から祈る程の引き蘢りぶりは、我ながら二重人格者宛(さなが)らであるが、それこそ「人間の証明」であろう。


瑛美さん
お誕生日
おめでとう
ヽ(*´∀`*)ノ!
ばびゅっ!





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