A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【完全セットリスト+MIX音源公開】盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.19

2018年11月29日 01時01分39秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.19
Nuit païenne en novembre

2018.11.25 sun DJ Bar 渋谷EdgeEnd
18:00 Open/Start
Charge ¥1,000 incl. 1 drink

盤魔殿DJ ALL STAR
    +
Special Live(投げ銭ライヴ)
One Third Of Paganz
Chihiro S. (vo, saz, MEL9) & Tarot 続木 (violin, chorus)

Time Table
18:00-18:30 DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫
18:30-19:00 DJ Athmodeus aka 持田保
19:00-19:30 DJ Vaby aka 大場弘規
19:30-20:00 DJ Necronomicon aka 剛田武
20:00-20:30 DJ Bothis aka 山田遼
20:30-21:00 DJ BEKATAROU aka 伊藤元
21:00-22:00 One Third Of Paganz Live performance
22:00-22:30 DJ Paimon aka Moppy




●DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫


1. Si Folk / Seashore
2. Grattons-Labeur / les trois gens d’armes
3. Los Deu Larvath / Istòria au còrn des temps
4. Edenrose / On the way to Eden
5. Veronique Chalot / La chanson de Mai
6. Anacrusa / Fuerza
7. The Entheogens / The Gnostic Mass
8. Icecross / Wandering Around
9. Rosina de Peira e Martina / Marcabrun(...1130-1149...)
10. Near Death / Winter Sun




●DJ Athmodeus aka 持田保


1. Nik Pascal / Sounds From The Blue Planet
2. スネークマンショー / シンナーに気をつけろ
3. 脳ブレイン / カセット作品より
4. The Tape Beatles / I’m Lonely
5. デッド・ボディ・アート / カセット作品より
6. うっどまん / I Was Teenage Hotdog
7. アーティスト&タイトル不明の民族音楽カセット
8. John Cage / Bird Cage
9. The Red Crayola / Hurricane Fighter Plane
10. Psychick TV / Survivalのベルの音部分
11. Spectram / How You Satisfy Me


●DJ Vaby aka 大場弘規


1. Ni Hao! / Look At That (Peach)
2. The Flamenco A Go Go / No Smile/
3. キャー / おすそわけ
4. The dot / Houses Of The Holy
5. Melt-Banana / Disposable Weathercock (Helpful 80 Points Version)
6. 水玉消防団 / ジークフリードはジッパーさげて
7. D-Day / Here I Am
8. Wild Tears / God's Hand
9. Pocopen / Monsieur Samedi
10. 飯島真理 / My Best Friend
11. 畑中葉子 / 後ろから前から
12. G-Schmitt / Kの葬列




●DJ Necronomicon aka 剛田武


1. ”伝説”マリモ物語 恋のまりも
2. Cabaret Voltaire / Nag Nag Nag
3. The Red Krayola / Stil de Grain Brun
4. MASONNA / masonanie viva los angeles
5. ショパン / ピアノ奏鳴曲 第2番変ロ短調 "葬送”
6. シルビア・クリステル / 「続エマニエル夫人」メイン・タイトル
7. NECRONOMIDOL / INNSMOUTH
8. 人形劇団プーク / エルマーのぼうけん
9. Mike Oldfield / エクソシストのテーマ
10. Chihiro S. LACRYMOSA / 疑心暗鬼
11. Monster Magnet / Evil
12. めろん畑 a gogo / 頼りにしてるぜ
13. Flower Trip / 影
14. ニュー・サディスティック・ピンク / さようなら

●DJ Bothis aka 山田遼


1. Theologian - Black Cavern Myopia
2. Apoptose - Dornen
3. Merzbow+Shinji Miyadai - Music for Urbanism
4. 白石民夫とダメなあたし - ファースト・ライブ
5. Gotch - 無謬 / Infallibility
6. Winter Family ‎ - Garden
7. Hair Stylistics(中原昌也) - HARD TO BE A GOD REMIX
8. Propergol - Running Scared
9. Coil - Triple Sun
10. Theologian - Grand Guignol

●DJ BEKATAROU aka 伊藤元


1. PHEW / SCAT
2. R/S / SNOW MUD RAIN
3. hair Police / The Crevice
4. Blue Sabbath Black Cheer / We Hate You!
5. Black AIr / Paris
6. Kangding Ray / Amber Decay
7. NECROFILIA / IL CORPO


●One Third Of Paganz Special Live Performance


Chihiro S. (vo, saz, MEL9) & Tarot 続木 (violin, chorus)

◆Chihiro solo
非情のライセンス(キイハンター主題歌)

◆One Third Of Paganz
Lost In A Lost World(Moody Blues cover)
Bulerias (CARMEN cover)
黒犬 (ATG映画『任侠外伝 玄海灘』主題歌)
とんぼのめがね
King Authur(Rick Wakeman cover)
Introduction〜Black Coridor
ユミの唄(「戦え! オスパー」ED)
ゲッターロボ!(「ゲッターロボ」主題歌)
子連れ狼(映画版主題歌)

アンコール
◆Chihiro solo
Oyster Bay



●DJ Paimon aka Moppy


1. 南正人 - ジャン(Live)
2. 浅川マキ - ゴビンダ
3. 休みの国 - 鳥葬の唄
4. 溶け出したガラス箱 - あんまり深すぎて
5. 遠藤賢司 - ほんとだよ(Single ver.)
6. ガロ - たんぽぽ
7. 裸のラリーズ - Les Bulles De Savon
8. 早川義夫 - 花が咲いて(Live)

盤魔殿 Vol.19 Part1 2018.11.25sun 渋谷EdgeEnd
DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫〜DJ Athmodeus aka 持田保〜DJ Vaby aka 大場弘規〜DJ Necronomicon aka 剛田武


盤魔殿 Vol.19 Part2 2018.11.25sun 渋谷EdgeEnd
DJ Bothis aka 山田遼〜DJ BEKATAROU aka 伊藤元〜DJ Paimon aka Moppy


盤魔殿
いよいよ20の
大台に

【次回開催】
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.20
Noël noir de la musique extrême


12月22日(土) 
渋谷DJ BAR EdgeEndDJ

18:00 Open/Start  
Charge ¥1,000 incl.1drink
盤魔殿 X’MAS SPECIAL
盤魔殿 Regular DJ All stars
*来場者全員にプレゼント有り〼
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【100フォークス (One Hundred Folks)のススメ】第1回:パンクとフォークの発火点〜かつての敵・フォークソングを巡る自分語り。

2018年11月27日 08時59分18秒 | こんな音楽も聴くんです


筆者がギターを始めたのは1975年、中学に入学した頃だったと記憶する。音楽の授業でクラシック・ギターを弾いて興味を持ったのがきっかけ。同じ頃親にクラシック・ギターを買ってもらった。中2になるとクラスにフォーク・ギターを弾く友人がいて、クラシックとはまったく違うキラキラした音色に憧れた。下敷きを切ってピック代わりにして、クラシック・ギターにナイロン弦ではなくフォーク・ギター用のスチール弦を張ってジャカジャカ弾いていた。『GUTS(ガッツ)』というギター教則雑誌を買った。載っているのは日本のフォーク・ナンバーばかり。当時フォーク歌手がテレビの歌番組に出演することは殆どなかったので、知っている曲は「シクラメンのかほり」とクラスの友人が歌っていた「青空一人きり」しかなかった。それでもコードを覚えたり、アルペジオの練習をするのは楽しかった。ラジオで聴いたアメリカのフォーク歌手ジョン・デンバーが好きだったので、いつかマーチンの12弦ギターを買おうと決心した。

布施明 - シクラメンのかほり - 1975


しかし徐々にフォークよりもロックに興味が移り、エレキギターが欲しくなった。当時住んでいた石川県金沢市の楽器店にはエレキギターは余り置いていなかったが、なぜかスチールギターは何処の楽器店でも扱っていた。たぶんハワイアンやカントリー音楽を習う年配の音楽ファンが多かったのだろう。それでもギターのカタログを集めて眺めていた。中2の誕生日プレゼントにエレキギターが欲しかったが、その頃はまだ「エレキは不良の楽器」というイメージがほんの少し残っていたので、結局言い出せなかった。好きなアーティストはジョン・デンバーからビーチ・ボーイズ、そしてキッス、エアロスミスからジェネシスへと広がっていった。1977年中3に進級する時に金沢から東京練馬区へ引っ越した。東京にはレコード屋や楽器店がたくさんあり、特に自転車で15分の吉祥寺には輸入盤や中古盤のレコード店が幾つもあった。

Song 1 Kiss Alive II Detroit Rock City - APR.2,1977 "BUDOKAN HALL"


前年の1976年から音楽雑誌を中心に紹介されていたパンクロックが、この年には新聞や一般の雑誌でも一種の社会現象として取り上げられるようになり、FMを中心にラジオでもかかるようになった。特にセックス・ピストルズやクラッシュ、ストラングラーズなどロンドン・パンクがセンセーショナルな話題をまいたが、筆者はテレヴィジョンやリチャード・ヘルといったニューヨーク・パンクも好きだった。とは言ってもギタリストとしてはジョニー・ウィンターが最も好きだったので、自分の小遣いを貯めて中学卒業プレゼントとして買ったのはグレコのファイアーバード・モデルだった。

The Clash - White Riot (Official Video)


Johnny Winter - SUZIE Q (Live at Rockpalast)


高校へ進学し1年間はブラスバンドに精を出したが、春休みにヨーロッパ旅行へ行きロンドンの空気を吸ったことでパンクへの想いが募り、高2に進級すると高校の友人を集めてパンクバンド「GLANDES(グランディーズ、亀頭)を結成した。その頃高校内で流行っていたのはニューミュージックやフォークソングばかり。学園祭の最後の日の後夜祭のエンディングは学園祭実行委員やクラス委員が全員ステージに上がってチューリップの『心の旅』を合唱した。「あー、だから今夜だけは君を抱いていたい〜」と歌う脳天気な連中に対して、「I am an Anti-Crist, I am an Anarchist(俺は反キリスト、俺は無政府主義者)」とか「We are all Prostitute(俺たちはみんな娼婦だ)」とがなり立ててぶち壊してやりたい、という欲求が沸き上がってきた。世の中の反乱分子=パンクスの筆者たちにとって軟弱なフォーク野郎は粉砕すべき敵であり「フォーク」と名のつくものは悉く生理的に毛嫌いしていた。

チューリップ 心の旅 1972


The Sex Pistols - Anarchy In The U.K (official video)


The Pop Group - We Are All Prostitutes (Official Video)


一例として、自分史の中で有名な「ゴジラレコード不買事件」というエピソードを紹介しよう。既に何度かブログに書いたので「またこの話か」と呆れる読者もいるかもしれないが、ほんの少しお付き合いいただければ幸いである。

78年〜79年頃愛読していた音楽雑誌『Player プレイヤー』に日本のパンク最初の自主(インディ)レーベル「ゴジラレコード」の紹介記事が掲載された。レビューではなくニュース欄の小ネタだった。そこにはレーベル最初の2枚ミラーズとミスター・カイトのシングルを紹介するにあたってフォーク歌手の泉谷しげるを引合にだして書かれていた。フォーク嫌いの筆者にとってはフォーク歌手と比較されることだけで生理的に「×」だった。吉祥寺の輸入盤店ジョージ・ジュニアでこれらのシングル盤を見つけたが、買う気にはなれなかった。恐らく記事を書いたライターのボキャブラリーには泉谷しげるしかなかったのかもしれない。少なくともパンタと書いてあれば、今となっては貴重盤のこの2枚をリアルタイムで聴けただろう。ゴジラレコードを買うのは3作目のツネマツマサトシの如何にもパンクなジャケットからだった。

Mirrors - 衝撃X (1979)


Tsunematsu Masatoshi - き・を・つ・け・ろ


大学へ入学したのは82年で、音楽サークルはフュージョン全盛だった。そこで筆者にとっての敵の音楽は「フュージョン」に転化した。大学入試で訪れた京都の十字屋というレコード店でザ・シーズのLPを購入したことがきっかけで、60年代サイケデリック・ロックにハマり、ザ・バーズをはじめとするフォークロックやディノ・ヴァレンテやティム・バックリーといったアシッド・フォークや早川義夫や浅川マキ、友川カズキや三上寛など日本のアンダーグラウンド・フォークも聴くようになったが、所謂四畳半フォークやニューミュージックが興味の対象になることは殆どなかった。

THE SEEDS flower lady and her assistant 1967


The Byrds - Turn! Turn! Turn! (Live)


以上、長々と書いてきたのは「フォークは敵」と聴かず嫌いした筆者が最近になって日本のフォーク(の一部)を好んで聴くようになった背景を紹介する為であった。この連載では、筆者如何にして軟弱・日和見主義と思って接してきたアコギ中心の軽音楽の中から、感性に訴えかけるアーティスト/曲を見つけ出し、紹介していきたいと考えている。100フォークス(One Hundred Folks)とは、70年代ロンドン・パンクのキッチュさを象徴するバンド・ジェネレーションXの「100パンクス (One Hundred Punks)」になぞらえた呼称だが、中古レコード店の100円コーナーでよく見かけることも仄めかしている。興味を持った方は埃臭いレコードの墓場を掘り起こしてみてはいかがだろうか。

generation x - one hundred punks


なよなよしたフォークソングを聴きながら自分語りを書き連ねたが、夜は更け明日は仕事がある。ここらでペンを置き、この続きは次回以降に譲ることとしたい。

四畳半
今の家には
ありません

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シュリッペンバッハ・トリオ+高瀬アキ@座・高円寺ホール2 2018.11.23(fri)

2018年11月25日 02時12分03秒 | 素晴らしき変態音楽


【東京2020 公認プログラム】
東京・ベルリン友好ジャズコンサート2018
「シュリッペンバッハ・トリオ+高瀬アキ」冬の旅〜日本編
Schlippenbach Trio + Aki Takase “Winterreise in Japan”

11月23日(金・祝)
東京 座・高円寺2
開場 14:30 開演 15:00
前売 3500円 当日 4000円

シュリッペンバッハ・トリオ
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(ピアノ)
エヴァン・パーカー(サックス)
ポール・リットン(ドラムス)

高瀬 アキ(ピアノ)



シュリッペンバッハ・トリオの最初のレコーディングは1972年4月2日ベルリン芸術アカデミーのフリー・ミュージック・ワークショップでのライヴ録音とされている。その音源はFMPから78年にリリースされた3枚組LP BOX『For Example - Workshop Freie Musik 1969 - 1978』⇒bandcampに2曲収録され、2014年に『Schlippenbach Trio / First Recordings』として全4曲が公開された。70年代初頭ヨーロピアン・フリーミュージック創世記の気概に溢れた激しく饒舌な即興演奏が展開されている。当時アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハは34歳、エヴァン・パーカーは28歳。ハードコアなフリーミュージックの真髄が此処に在る。


【私の地下ジャズ愛好癖】フリー・ミュージック不死鳥伝説!来日するシュリッぺンバッハ・トリオのパンク・スピリット。

それから46年を経たシュリッペンバッハ・トリオを観に高円寺へ向かう電車の中でふと考えた。クラシックやジャズはポップスやロックに比べて流行り廃りは余りないが、結成して50年近いジャズコンボの来日公演を観に行く行為は、ポール・マッカートニーやキング・クリムゾンやギャング・オブ・フォーや(This Is Not a) This Heatなど往年のロックアーティストの来日公演やクイーンやスリッツの映画を観に行くのと同じではなかろうか。決して後ろ向きなノスタルジーではなく、偉大な作品を産み出した表現者の存在を、自らの目と耳で直に確認することにより「体験」として血肉化し記憶に刻み付けようとする衝動に他ならない。地下音楽支援者としては即興音楽やエクスペリメンタル、ノイズ・アヴァンギャルドを特別視しがちだが、ここは素直に認めよう。『ボヘミアン・ラプソディ』に感動して何回も映画館に通う家人と、シュリッペンバッハ・トリオに無上の歓びを覚え打ち震える筆者は同じ欲望愛好家/快楽探求者であると。


1部 シュリッペンバッハ・高瀬アキ ソロ&デュオ

(ライヴ写真の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

80歳のシュリッペンバッハと70歳の高瀬の合計150歳の夫婦連弾。俯いて譜面と鍵盤とじっと見つめて何やら口ずさみながら思案するシュリッペンバッハに対して、旦那の腕を跨いで鍵盤を叩き、立ち上がってピアノ線にクリップを挟む茶目っ気たっぷりな高瀬の姿は、このカップルの日常生活を思わせて微笑ましい。シュリッパンバッハのセロニアス・モンクとハーヴィー・ニコルスの曲をモチーフにしたソロ演奏は、彼が本質的に<ジャズ>ミュージシャンであることを詳らかにした。その点、高瀬は突き抜けている。

2部 シュリッペンバッハ・トリオ


見る限りステージにマイクスタンドは立っていない。ピアノの足からケーブルが伸びていて、ステージ前方にアンビエントマイクと思われる機材がセットされている以外はアンプリファイアは使用していないようだ。オーソドックスなホールのシートに座ってると音漏れで隣のホールのオーケストラ公演から苦情が来たという70年代の山下洋輔トリオのコンサートにタイムスリップした気分がする。目の前で繰り広げられる緩急に満ちた即興演奏の応酬は、やり続けてきた者だけが身につけられる自然な創造性の発露であり、期待通りの感情のアウフヘーベンを体験できた。特に基本セットだけのシンプルなドラムキットを、スティックとブラシと数々の小物を駆使して、多彩な音色とリズムを紡ぎ出すポール・リットンのプレイは、フリーミュージックのプロトタイプを根本に宿したパーカーとシュリッペンバッハのスタイルを別次元にメタモルフォーゼさせる役割を果たした。それ自体が半世紀弱前のワークショップの教えなのかもしれないが。



トリオで約30分、高瀬が加わって10分、アンコールはシュリッペンバッハと高瀬の連弾。のべ2時間の公演初日は8〜9割近い動員で成功のうちに終わった。彼らは約半世紀前の闘志を失っていないように思えた。演奏は素晴らしいと言う他ないが、未知のものを見せはしなかった。その意味でシュリッペンバッハ・トリオはフリーミュージックの前衛(Aventgarde)/進歩(Progressive)ではないことを素直に認めよう。しかし筆者は(そして観客の多くも)進化や前進だけを求める訳ではない。半世紀前に3人の心と身体に宿った闘志の欠片がを見いだして、筆者の大脳皮質に絶頂感の鮮やかな爪痕が残された。映画のように繰り返し観ることは出来ないが、一期一会の貴重な体験を何度も反芻してみたい。

即興に
進化と発展
必要か

Aki Takase und Alexander von Schlippenbach Modern Solo Piano Festival Berlin 2010

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【開催まであと2日!タイテ公開】11/25(sun) 盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.19 ライヴ・ゲスト『One Third Of Paganz』

2018年11月23日 01時53分59秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.19
2018/11/25 sun DJ Bar EdgeEnd Shibuya
18:00 Open/Start
Charge ¥1,000 incl. 1 drink

Time Table
18:00-18:30 DJ Qliphoth aka 宇田川岳夫
18:30-19:00 DJ Athmodeus aka 持田保
19:00-19:30 DJ Vaby aka 大場弘規
19:30-20:00 DJ Necronomicon aka 剛田武
20:00-20:30 DJ Bothis aka 山田遼
20:30-21:00 DJ BEKATAROU aka 伊藤元
21:00-22:00 Special Live : One Third Of Paganz
22:00-22:30 DJ Paimon aka Moppy
各DJの聴かせどころ⇒【告知:11/25(日)開催】盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.19〜ライヴゲスト『One Third Of Paganz』(Chihiro S. & Tarot 続木)



<お得なお知らせ>
●来場者全員無料配布!
盤魔殿アマルガム Vol.13
Underground, Industrial, Psychedelic, Avant-garde Zine

主な登場アーティスト
めろん畑a gogo
sugartrap〜ハラミのジャン
ジェネシス・P・オリッジ
シェッタガーリア
One Third Of Paganz

他オールスター


●Special Live(投げ銭制)
One Third Of Paganz Chihiro S. (vo, saz, MEL9), Tarot 続木 (violin, chorus)


LACRYMOSAのChihiro S.と民族音楽プログレの佐藤圭一による、民族楽器とシンフォニック・ロックの絶妙な絡み、チェンバー風味の緻密なアレンジと、豪快なダイナミズムを持つ唯一無二のグループ「まぼろしペイガンズ」の3分の1のメンバー編成による盤魔殿の為の特別プロジェクト!60分近いロングセットを予定。

「私的には、おそらく年内最後のライヴとなりますが、サズとヴァイオリンのデュオでプログレ(Carmen, Moody Blues, etc)/勝プロやATG映画主題歌/アニソンなどを、やはり異形のカヴァーでお送りいたします。」(齋藤千尋)

One Third of Paganz pv


盤魔殿
ペイガニズムの
秘密基地

MABOROSHI PAGANZ - Palästinalied


LACRYMOSA _ 疑心暗鬼

Progressive on demand record present
1994.LACRYMOSA_live_at_SilverElephant
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【私の地下ジャズ愛好癖】激情のパワフルテナーマン、片山広明『EQUATOR』『DREI SHERRY』

2018年11月22日 02時11分05秒 | 素晴らしき変態音楽


11月13日に肝臓がんで亡くなったサックス奏者片山広明。副島輝人著『日本フリージャズ史』によれば70年代前半に藤川義明や翠川敬基らのナウ・ミュージック・アンサンブルに参加し、ハプニングを取り入れた奇矯なパフォーマンスを行なっていた片山は、70年末に梅津和時と共に生活向上委員会やドクドル梅津バンド(D.U.B)で活動し、RCサクセション/忌野清志郎とのコラボを通してジャズ文脈を超えて著名度を得た。藤川義明&イースタシア・オーケストラや渋さ知らズといった破格のジャズアンサンブルに重要なソリストとして参加、アーバン・サックスやベルリン・コンテンポラリー・オーケストラの日本公演に参加するなどし「片山の経歴を追っていけば日本のフリージャズ史の重要なポイントに幾つも出会うことになる」と副島に言わしめた存在。

筆者は80年代生向委かドク梅のどちらかで片山のことを知った。ラジオか雑誌で「ステージで“サックスの掛け合い“と称してサックスのベルの中に水を入れてお互いにかけ合う破天荒なパフォーマンスをする」と聴いたのが梅津と片山のことだったのはたぶん間違いないだろう。そうは言っても実際に片山のライヴを観たことがあるかどうか。渋さ知らズで観たことは数回あるのは確かだが、リーダーグループを観たかどうか記憶がすっかり飛んでしまっている。筆者がアルト派だからかもしれないが、寧ろ片山の実力が評価されたのが他人のユニットやビッグバンドや歌手のバックだったことも大きな理由だろう。

片山が80年代にリリースした2枚のLPは「激情のパワフルテナーマン」というキャッチフレーズに違わぬ豪快なブロウと、その逆の繊細な感性と叙情性に満ちたいぶし銀の佳作である。

●KATAYAMA HIROAKI『EQUATOR』

Music Box MB-1001 / SHODOKU-2(1983)
片山広明(as,ts,bs)

サックス・ソロ・アルバム。ドクトル梅津バンドの『Doku Ume Band Plays Deluxe At Sagae』(81)をリリースした片山のレーベル消毒レコードの第二弾。アルバムタイトルは「赤道」で、レコードはA面=北極サイド、B面=南極サイドとなっており、各面共に収録曲名は「Spring(春)」「Summer(夏)」「Autumn(秋)」「Winter(冬)」。 82年9月13日 府中zelkova hallにて録音。メインのテナーを中心に、バリトンとアルトも使ったソロ演奏は、トレードマークの骨太の咆哮は勿論、哀愁のメロディのバラードや多重録音の独り集団即興など、多才なプレイが満載。地下ジャズに留まらぬメジャーなポップ感覚は、RCサクセションをはじめとするロック/ポップスとのコラボが片山の望むところであったことを証明している。

●KATAYAMA HIROAKI『DRE SHERRY』

No Trunks Records NT2502(1987)
片山広明(ts)、早川岳晴(b)、角田健(ds)

生活向上委員会大管弦楽団以来の気心の知れたパートナー早川岳晴と、独自の活動で日本地下ジャズを支えるドラマー、つの犬こと角田健とのトリオで1987年8月5,6日 目黒YAMAHA 1stスタジオで録音された作品。アルバムタイトルは「三つのシェリー酒」でありドライシェリーと引っ掛けている。酒好きな片山らしい。やはりパワフルなテナーのプレイがたっぷり聴ける。早川のエレキベースが80年代的な軽快なポップセンスを醸し出す。綿密な曲構造は片山がストレートアヘッドなジャズを完全に消化した上で、破天荒なプレイや変態的な作風を発展させたことを物語る。ソニー・ロリンズっぽい、と言っても許されるだろうか。

吉田哲治×早川岳晴×片山広明 2018.7.10 No8 Hallelujah


テナーマン
記憶に残る
パワープレイ

パワーだけでなくエモーションに満ちた実直なテナーマンの若き日の記録である。

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灰野敬二@FOD『PARK』ライヴ映像+インタビュー映像、公開中!

2018年11月20日 02時02分21秒 | 灰野敬二さんのこと


フジテレビが運営する動画配信サービスFOD(フジテレビオンデマンド)の音楽番組『PARK』で「灰野敬二」特集番組のが配信がスタートした。ライヴ映像とインタビュー映像の2本立て。

#64 -LIVE- 灰野敬二
-LIVE- ▼ 1:ギターセッション 2:パーカッションセッション 灰野敬二 時間:44分

#65 -TALK- 灰野敬二
-TALK- 灰野敬二 インタビュアー:松永良平 時間:31分
配信期間:~2019年11月17日 23時59分



LIVE映像前半はギター&ヴォーカル・ソロ。PARKの文字が浮かび上がる広いステージの正面に独り立つ灰野の姿は、メインストリームもアンダーグラウンドも関係なくロックのカッコ良さを体現している。カポタストを二つ付けたSGのクリアトーンの爪弾きに深いリヴァーブがかかったヴォーカル。最もシンプルな灰野のソロ形態と言える。ピース・スタジオの中村宗一郎が音響アドバイザーを務めただけあり、激しいディストーションも歪むことなくクリアかつダイレクトに聴こえてくる。歌詞は最近海外からリリースした数枚のアルバムタイトルを引用しつつ、道徳的概念(インタビュー参照)を吹き込ませた文学性豊かな内容。



後半はパーカッション・ソロ。ステージ下の木製フロアで行われた一続きのパフォーマンスを収録。ギターの時と打って変わって、西洋の美術館か教会のような神聖なムードが漂う。タンバリン、シンバル等に加え、エナジーチャイム、ウォーターフォン、さらにポリゴノーラといった灰野のライヴではお馴染みの楽器が飛出す。特にポリゴナーラの演奏がこれほどはっきりと映し出された映像は初めて。秀逸な録音と相俟ってこの不思議な楽器の魅力の虜になる。インタビューで語られるポリゴノーラの制作の裏話にも注目。



有料コンテンツなので月額888円(税抜)の会員登録が必要だが、映像・音響・演奏内容・インタビューが秀逸な番組なので決して高くない。PARKには若手に交じって遠藤賢司、友部正人、向井秀徳、あがた森魚、少年ナイフ、The ピーズ、ムーンライダーズなど通好みのアーティストが出演していて貴重である。

■FODオリジナル音楽番組『PARK』
2018年11月18日(日)20時00分から
最新作「灰野敬二」配信

☆『PARK』公式サイト
http://park.mu/

☆FOD『PARK』配信ページ
http://fod.fujitv.co.jp/s/genre/music/ser0130/
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映画『ボヘミアン・ラプソディ』に思うロックの二面性〜“伝説のチャンピオン”『クイーン』vs “お前は売女”『セックス・ピストルズ』

2018年11月15日 02時23分58秒 | ロッケンロール万歳!


クイーンのフレディ・マーキュリーの半生を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』が話題である。かくいう筆者も40年来のクイーン・ファンの家人と一緒に応援上映を観てきた。飛行場の荷物運びがロックスターに成り上がるまでのドタバタ劇はまるで『スパイナル・タップ』のリメイク版だが、実話に基づくノンフィクションという点で興味深い。家人に依ると史実と異なる部分が何ヵ所かあるそうだが。つまり70年代のロック・スターは名声や性欲や酒やドラッグに溺れ常人には思いもつかない愚行を重ねる一方で、救いを求める孤独な魂を宿していたという事実である。よくやるな、と感心するやら呆れるやらしたのは、ラストのライヴ・エイドの演奏シーンの完コピ振り。森村泰昌のセルフ・ポートレートの映画版のようなこだわりと狂気に恐れ入ってしまった。

ラミ・マレック主演!映画『ボヘミアン・ラプソディ』予告編


映画の中に「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の誕生が描かれている。自分たちの演奏に観客を参加させたいと考えたブライアン・メイが、スタジオでメンバーやガールフレンドに足踏みと手拍子をさせて「ドンドンパッ」のリズムを作り出したという。このエピソードは史実ではないらしいが、クイーンがレコーディングをしていたロンドンのウェセックス・サウンド・スタジオで、セックス・ピストルズがデビュー・アルバムのレコーディングをしていたことは映画には登場しないが史実である。ピストルズは当時EMIと契約していてクイーンのレーベル・メイトだった(すぐにテレビでFUCKを連発した事件が発生し契約破棄に至った)。

The Great Rock 'n' Roll Swindle (1980) Trailer


当然ながらスタジオで顔を会わせることになり、シド・ヴィシャスとフレディ・マーキュリーがケンカをしたという逸話が伝えられている。⇒QUEENフレディー・マーキュリー VS ピストルズ シドヴィシャス
それはともかく、注目すべきはオールド・ウェイヴの代表格のクイーンと、ニュー・ウェイヴの急先鋒ピストルズが由緒正しいスタジオできちんとした機材とプロフェッショナルなエンジニアを使って録音されたことである。ピストルズはピンク・フロイドやロキシー・ミュージックを手がけたクリス・トーマスのプロデュースで「パンク=チープ」ではないハイクオリティなサウンドを作り上げた。

Freddie Mercury Vs. Sid Vicious(Sex Pistols) 1977


完成した2枚のアルバム、クイーン『世界に捧ぐ』 (News Of The World) とセックス・ピストルズ『勝手にしやがれ!!』(Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols)はイギリスで同じ1977年10月28日にリリースされた。アメリカでの発売日は不明(州によって違っていた)だが、イギリス盤とほぼ同じ頃だった可能性が高い。つまりこの2枚は同じ日にレコード店に並び、どちらが売れるか競ったのである。その結果本国のUKチャートではピストルズ1位・クイーン4位でピストルズの勝利。アメリカではクイーン3位・ピストルズ106位、日本ではクイーン3位・ピストルズ29位とクイーンの圧勝だが、『勝手にしやがれ』はアメリカでロングセラーになり15年後の1992年にプラチナディスク(100万枚)に輝いた。

Queen - We Will Rock You (Official Video)


それ以上に面白いのは両アルバムのオープニングSEである。『勝手にしやがれ』の1曲目「さらばベルリンの陽 Holidays in the Sun」は逼迫した軍靴の行進の足音でスタート。一方『世界に捧ぐ』の1曲目「ウィ・ウィル・ロック・ユー We Will Rock You」は映画に出てきた通りのドンドンパッの足踏み&手拍子ではじまる。パンクは戦争や危機を予感させる軍靴の響き、大物ロックは「みんなで仲良く手を叩こう」。似たような音でも両者の意識の違いを如実に物語っている。また「伝説のチャンピオン We Are the Champions」で自らを勝利者として誇ったクイーンに対し、ピストルズは「アナーキー・イン・ザ・U.K. Anarchy in the U.K.」で無政府主義者になりたいと無法者宣言をした。 経済危機に喘ぐ70年代末の大英帝国で、革命を求める欲求不満の若者たちがどちらを支持したかは明らかだろう。

Sex Pistols - Holidays In The Sun


しかし1年半後にピストルズのパンク性を象徴するシド・ヴィシャスがオーバードーズで死去。14年後にクイーンの顔だったフレディ・マーキュリーがエイズで死去。二人とも伝説のロッカーとして今でも多くの信奉者を産んでいる。ライフスタイルや政治思想は違ってもロックンロールの神に見初められたことは間違いない。

映画【シド・アンド・ナンシー 30周年デジタル・リマスター版】予告


現在も活動する元メンバーたちの魂もロック天国へ召される日がいつか来る。それは聴き手である僕等も同じである。ロックンロールが楽しめるうちは思い切り楽しみたいものである。ねえ。

あの世でも
喧嘩してるか
仲良しか

Queen - Live In Japan 1985 (5/11/85) - Part 1


Sex Pistols Live at Budokan, Tokyo Japan ● The Filthy Lucre Tour ● Full Performance (1996)

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【Disc Review】来日直前。フローリアン・ヴァルター最新作『Dörner/Snekkestad/Zanuttini/Walter - BRUIT 4』

2018年11月13日 08時54分21秒 | 素晴らしき変態音楽


『Dörner/Snekkestad/Zanuttini/Walter / BRUIT 4』

CD/DL : Umland Records 14

Axel Dörner – Firebird Trumpet
Torben Snekkestad – Reed Trumpet
Flavio Zanuttini – Trumpet
Florian Walter – Hechtyphone

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8. object 08 05:29

eight sound objects, total: 41min

www.florianwalter.yolasite.com
www.torbensnekkestad.com
www.flaviozanuttini.com
www.umlandrecords.de

Aufnahme:
Wolfgang Bökelmann
Revierton Studios Herne, November/Dezember 2017

gefördert vom Ministerium für Kultur und Wissenschaft des Landes Nordrhein-Westfalen & ecce/IKF

bandcamp

金管+亜金管が絡み合う即興アンビエントの意識改革

まもなく2度目の来日ツアーを行うドイツのサックス奏者フローリアン・ヴァルターの近作。ヴァルターの地元であるエッセンを拠点にする自主レーベルUmlandレコードの14作目に当たる本作はヴァルターと、アクセル・ドルナー Axel Dörner 、トーベン・スネックスタット Torben Snekkestad、フラヴィオ・ザヌティーニ Flavio Zanuttiniによるカルテットにより、 2017年11/12月にヘルネのRevierton Studioでレコーディングされた。

「ちょっと特別なプロジェクト。音楽というより音響彫刻に近い。自分流に言えば”生楽器のノイジー・アンビエント”」とヴァルターは語る。使った楽器はトランペットとリード・トランペット(トランペットのボディにサックスのマウスピースを付けたもの)。ヴァルターが使っている「Hechtyphone」とは、彼が発明(制作)した奇怪な管楽器である。レコーディング風景は入手できていないが、さぞかし魔界的な雰囲気だったのではなかろうか。



8編のサウンド・オブジェが収録されている。畸形楽器とは言え鳴らされる音は間違いなく金管楽器のそれである。遠くに流れるロングトーンはリード・トランペットであろうか。聴き進むうちに4人の区別は判然としなくなり、四つ足の金管生物の呼吸音に聴こえてくる。ピーター・エヴァンスのソロ作品を思わせるアプローチもあるが、四者のアンサンブルで奏でられる音響のレイヤーは、研ぎ澄ませた単独の魂を開示するエヴァンス・ソロとは別の地平を目指している。寧ろパク・ハンアルの数字プロジェクトや、NYのチューバ奏者ダン・ペック等によるEarth Tongueに似た即興アンビエントに近い。
【Disc Review】地の塩を舐め回す大地の舌のアンコンシャス音響〜『アース・タンズ/オハイオ』

アンビエントとは環境音楽の1部門であるが、BRUIT(騒音)とタイトルされたサウンドが相応しい環境は地球上には存在するのだろうか。リスニング環境は例えばリビングルーム、ヘッドフォンをした電車の中、音楽ホール等多種多様である。しかし音を受容するのが人間の聴覚器官であるからには、最も重要なのは聴き手の体内環境に他ならない。斯様な異端の音響を受け入れるインナー・エンバイロンメントを整えることで、体内バランスが良くなるのか悪化するのか、12月のフローリアン・ヴァルターの来日公演で実験してみたい。

目くるめく
リップノイズの
彼方まで


フローリアン・ヴァルター 来日ツアー 2018 Florian Walter Japan Tour 2018
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【愛しの地下音楽 1978/2018】ガ行の死なない殉教者たち『GASENETA/ガセネタ』『Silence Will Speak/GEZAN』

2018年11月12日 01時46分05秒 | 素晴らしき変態音楽


1978年のガセネタと2018年のGEZAN、両者の間に横たわる40年の差異を無視することは出来ないが、言葉の力の猛進と妄信を自己表現の中核に据えた二組の新作が時を同じくして出揃った事実は、輪廻転生ではなく、時代回帰でもなく、ましてや温故知新であるはずも無い。中心核に在る言葉と音への同質同量同レベルの信念が、違う時代違う場所違う生命体に宿ったことを切っ掛けにして、表現の最大スピード記録が40年経っても破られていないことを証明したものである。

●ガセネタ『GASENETA』
Full Contact Records ‎– KRYPT-129(2018)


山崎春美、大里俊晴、浜野純の3人により明治大学の現代音楽ゼミナールで1977年9月に結成されたロックバンド。吉祥寺マイナーを中心に都内のライヴハウスや大学の学園祭で活動するが79年3月に解散。レパートリーは「雨上がりのバラード」「父ちゃんのポーが聞こえる」「宇宙人の春」「社会復帰」の4曲。本作は78年の明治大学他のライヴ音源を集めたアルバム。フィンランドのレーベルからリリースされた。これまでもCD『Sooner or Later』(1993)やCD10枚組『ちらかしっぱなし-ガセネタ in the BOX』(2011)でリリースされた音源が殆どだが、アナログ・マジックというか、レコード(筆者のは限定イエローヴァイナル)のAB面にまとめたことでCDの冗長さが排除され、演奏の切れ味と山崎の歌(言葉)の喧噪具合がダイレクトに伝わる。このアルバムの一部が当時リリースされていたなら、日本の地下音楽の歴史は変わっていたかもしれない。

ガセネタ Live at 明治大学 1978.05.14(FULL)



●GEZAN『Silence Will Speak』
十三月の甲虫 JSGM-30(2018)


マヒトゥ・ザ・ピーポー(vo.g)、イーグル・タカ(g)、カルロス・尾崎・サンタナ(b)、シャーク・安江(ds)により2007年大阪にて結成。ジャンクなサウンドに毒舌な言葉を吐き出すヴォーカルで知られる。2017年ドラムが石原ロスカルにメンバーチェンジ。主催フェスティバル『全感覚祭』、2度のアメリカ・ツアーなどで注目度が上昇中。『沈黙は語る』と題された本作はスティーヴ・アルビニ・プロデュースにより2018年4月シカゴでレコーディングされたアルバム。ジャンク/メロコア/ラップが混在するハードポアロックにマヒトの饒舌かつ情緒のあるヴォーカルが絡みつくサウンドは、何々風といった形容を断固として拒否する深紅の意思に貫かれている。このアルバムがリリースされたことで世界の音楽の色彩の赤成分が少し高まったことは確かである。

GEZAN - NO GOD (Official Music Video)



痙攣しながら言葉んpマシンガンを撃ち続ける山崎春美と、嘲る口調の端々に深い慈愛を滲ませるマヒト、この両者の表象が同じだとは言わない。時代背景が違うからでもない。たとえ同じ時代に産まれたとしても、それぞれの表現方法は変わらないだろう。にもかかわらず、山崎春美とマヒトゥ・ザ・ピーポーは同じロックの殉教者だと断言したい。なぜなら自らの信念の為に命を賭ける覚悟を持つ二人だから。なによりも重要なことは二人とも未だ命を失うどころか、水を得た魚が驚くほどのスピードで表現し続けていることである。死なない殉教者ほど無敵な魂は存在しない。

ガギグゲゴ
ギリギリグルグル
突き進め

*ガセネタの最新ライヴアルバム『GASENETA LIVE 2018.04.25』がリリースされたが未聴のため敢えて省略した。

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【私のB級サイケ蒐集癖】第20夜:サイケな魂は透明塩ビ盤に宿る『ファウスト』『C.C.C.C.』『透過性分子』

2018年11月10日 12時29分55秒 | 素晴らしき変態音楽


サイケやプログレや地下音楽マニアじゃなくてもレコード好きが一度はハマるのがカラーレコードやピクチャーレコードといったギミック盤の世界だろう。そもそも幼児の頃に家にあったTV漫画のEP盤はキャラクターが描かれたピクチャーレコードだった。子供心に普通の黒盤よりもカラフルなピクチャー盤を好んで聴いていた記憶がある。

80年代、アルバイトで貯めたお金である程度レコードを買えるようになり、レコード屋に通ううちにギミック塩化ビニール盤への憧れが再燃した。特にパンク/ニューウェイヴ系の派手な色のカラーレコードに惹かれたが、十九の秋の晴れた日の午後の微睡みの中でジャケットもレコード盤も透明なレコードに出会い、目から鱗/眉に唾/壁に耳有り障子に目有り/百聞は一見にしかずクリアヴァイナルに開眼した。たまたま筆者の手元にあるクリアヴァイナルはプログレ/アヴァンギャルド/ノイズ系だということもあるが、透明塩ビ盤に刻まれた音は悉くマインドブローイングなサイケデリックスピリットを宿している気がしてならない。

●FAUST『FAUST』
Recommended Records ‎– RR one (1979)


ドイツ北部のヴュンメで70年に結成されたクラウトロック・バンド、ファウストの71年の1stアルバムにして全世界の前衛音楽を代表する1枚。冒頭のノイズの砂嵐の中からローリング・ストーンズ「サティスファクション」とビートルズ「愛こそはすべて」が浮き出る展開は、筆者が目指すDJプレイの理想型である。電車の通過音、男女の会話、邪教の青年合唱団、ピアノの雨だれ、砂塵の吹き荒びetcの旅を経て浮き世に戻ると世界が反転していることに気付く。聴覚のアシッドトリップは黒盤でもCDでも変わらないはずだが、透明盤の方が大脳皮質への浸透度が早いような気がする。

Faust - Faust (1971)



●C.C.C.C.『Amplified Crystal』
Endorphine Factory ‎– EDP-004 (1993)


日野繭子、長谷川洋、コサカイフミオ、長久保隆一によるノイズバンド。89年結成、98年活動停止。正式名称はCosmic Coincidence Control Center(宇宙暗号制御センター)。集団即興ノイズ演奏だが、宇宙的なサウンドを特長としており、大音量で威嚇するのではなく、聴き手の精神を拡張させる宇宙の旅に誘う音響伝道師である。メンバーは現在も地下音楽シーンで活動を続けている。透明ヴァイナル/透明ジャケット/トレーシングペーパーインナー付属の本作は92年のスタジオ/ライヴ音源をAUBE(中嶋昭文)がリミックスしたアルバム。

C.C.C.C. - Amplified Crystal Part II



●Toukaseibunshi『Stratosphere Sound』
Art Into Life ‎– AIL012 (2014)


フォトグラファーでもあった岩田裕成のソロ・プロジェクト。透明ヴァイナルがこれほど相応しいユニット名は無いだろう。『成層圏の音』と題された本作には、テーブルギターを音源として繊細なエフェクト操作で拡散するドローンノイズが収められている。演奏者の魂が透明な音の微粒子となって上昇(Alive To The Sky)〜蒸発(Dawn)〜水没(Water Erotic Machine)し、最後は宇宙塵(Star Dust)となって銀河の果てに消えて逝くサイケデリック・ライフのサウンドトラックである。

Toukaseibunshi - water erotic machine


クリスタル
トランスペアレント
クリアリネス

透過性分子 Special Live /映像:VJ Qliphoth

2018年3月24日(sat)18:00 Open/Start Shibuya DJ BAR EdgeEnd
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.11 Le Sacre de l’Équinoxe

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