A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

大森靖子/戸川純/東京真空地帯@新宿ロフト 2013.8.29(thu)

2013年08月31日 00時15分05秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


shinjuku LOFT×大森靖子 presents ミッドナイト清純異性交遊

大森靖子
戸川純
【フロントアクト】東京真空地帯



80'sサブカル・アイドル戸川純ちゃんは若手ミュージシャンに大人気。アーバンギャルド、キノコホテル、神聖かまってちゃん等、気になるバンドがこぞって対バンするので、80年代より観る回数が増えた、てか当時はゲルニカの初期ライヴを観たことがあるだけ。マイチャート赤丸急上昇中なう。の大森靖子が対バンするとなりゃ観逃す訳にはいかねぇ!とロフトへ駆けつけた。純ちゃん人気は相変わらずで、会場前には長蛇の列。いつもは後列から遠巻きに眺めるばかりだったので、今日こそはと前列に潜り込む。同世代らしき男性ファンも多いが、もっと目立つのは若い女子の姿。ビレバンにいそうなサブカルガールが多い。

東京真空地帯


真空ホロウというバンドをやはりロフトで観たことがあるが、真空繋がりのオープニングアクトは戦隊ヒーロー・コスプレで登場。コミックバンドか、と思ったらノリのいいクラブ系インストバンドだった。四つ打ちハウスビートが90年代っぽくて懐かしい。ケミカル・ブラザーズやダフト・パンク?と思ったら、EP-4みたいな曲もある。昨年結成されたばかりのニューフェイスだが、メンバーはそれなりの経歴があると思われる。ヘルメットで顔を隠すのは、正体がバレるとマズいからか?




大森靖子


"伝説の始まり"を記録した2枚組ライブDVD『つまらん夜はもうやめた』発売日且つ元祖激情アイドル戸川純ちゃんとの初対バンというスペシァルな日なのに、前日アイドル・イベントでポジティヴィティを使い果たしたという新生フォーキー大森さん。ますます絶好調で三日に一度の猛烈なペースでライヴを展開している。連日のパフォーマンスに疲れも見せず気迫のステージを展開するエナジーの秘密はDVD Disc 2を観ればわかる?黒い着物と肩出しドレスの重ね着&ひらひらミニスカート&ツインテールに花の髪飾り。も、萌えてきたぞ。前半は代表曲ばかりでコーラスを観客に歌わせる場面も。後半は聴き覚えのない曲が多くて新鮮。前列だからSEIKOオーラがハンパなく突き刺さる。音の迫力もバンドに勝るとも劣らない。弦の切れたギターを置いて、ラスト3曲はアカペラ絶唱。身振り手振りも堂に入ってて、ゲルニカ時代の純ちゃんを髣髴させる。純ちゃんから「女ひとりの弾き語りなのにヒッピーじゃなくて、秋葉原みたいで可愛いのね」とお褒めの言葉があったそう。靖子ちゃんの魅力に完全に参ったので写真をサービス。










戸川純


半年ぶりの純ちゃんライヴ。ニューウェイヴをやると呟いていた通り、ロック色の強い演奏。大きな帽子に青とオレンジの花飾りがついていて、どちらを前に被るか迷っている。現在フィットネスクラブに通っているそうだが、毎年「今年こそ頑張って歩けるようになる!」と決意するが回復の形跡はない。例によって独特の口調の気まぐれなおしゃべりに翻弄される観客&バンドメンバー。BiS階段に刺激されてロック・アレンジの「好き好き大好き」も披露。アンコールもお馴染み「パンク蛹化の女」。個人的にははむしろ「蛹化の女」「諦念プシガンガ」のようなスローな曲が良かった。



Set List
1.バーバラ・セクサロイド
2.バージンブルース
3.彼が殴るの
4.12階の一番奥
5.フリートーキング
6.赤い戦車
7.シャルロット・セクサロイドの憂鬱
8.蛹化の女
9.諦念プシガンガ
10.吹けば飛ぶよな男だが
11.私の中の他人
12.好き好き大好き
13.肉屋のように 
Endore.パンク蛹化の女

玉姫様
音楽は
魔法だった

靖子ちゃんの目覚め(IN THE WAKE OF SEIKO)は間近とみた!

●大森靖子にアップアップガールズ(仮)


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山崎春美『天國のをりものが』出版記念トークショー @渋谷UPLINK FACTORY 2013.8.28(wed)

2013年08月30日 00時59分23秒 | 書物について

(写真の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

山崎春美の覆水盆に返らず
祝・単行本初出版!!!『天國のをりものが』

出演:山崎春美、野々村文宏、ECD
司会:畠中実(ICC)

70年代後半、彗星のように現れた天才、山崎春美。阿木譲の『ロック・マガジン』でデビュー、松岡正剛の「工作舎」へ入塾、吉祥寺マイナー、伝説のバンド「ガセネタ」と「タコ」、自販機本『JAM』『HEAVEN』、山口百恵ゴミ漁り?、1stアルバムが同和問題で自主回収、自殺未遂ライヴ、天国注射の昼、鈴木いづみとのベッド・イン・インタビューなど……数々の《事件》を起こし、禍々しい煌めきでカルチャー・シーンに火を放った。その《伝説の人物》が、2013年夏、55歳を目前に、これまで書き紡がれた原稿を自選した集大成本『天國のをりものが』(河出書房新社)を、満を持して出版。70年代後半の劇団時代を共にしたECDと、80年代『HEAVEN』編集部を共にした野々村文宏を迎えて、過去の《言い訳》に終始する一夜!



竹田賢一に続き、80年代サブカルチャーのトレンドセッター、山崎春美の著作集が出版された。ここ数年過去音源や音楽活動再開により、パフォーマー/(非)ミュージシャンの面がクローズアップされてきたが、実際の山崎の影響力はむしろ秀逸なライター兼編集者という部分が大きかった。初めて彼の文章に触れたのがいつどこだったか覚えていないが、「宝島」「Fool’s Mate」等のサブカル誌で数多くの文章を読んだはずだ。山崎がメインで参加し編集長も務めた「Jam」「HEAVEN」は読んだことはないと思うが、名前だけは他誌や他ライターの文中に度々登場したので馴染みがある。タイトルの”天國”とは”HEAVEN”を意味し、昔馴染みのデザイナー羽良多平吉により「HEAVEN」 創刊号と同じ写真をあしらった装丁で、当時の空気をヴィヴィッドに伝えている。読み進むうちに、多感な頃の自分を追体験するような気持ちに捕らわれた。すっかり忘れていた同級生の顔を思い出すように拡がる記憶のパノラマ。はっきり言って饒舌な文章の大部分は空虚なロジックと無(非)意味なレトリックの垂れ流しだが、(非)芸術的な美意識に貫かれた流麗な文体が読む者の心を捉えて離さない。マインドコントロールに似た魔性の罠である。30余年前に山崎の罠に心惑わされた者が如何に多いことか。

天國のをりものが:山崎春美著作集1976-2013』発刊を祝って幾つかのイベントが開催される。この日は『HEAVEN』時代の編集パートナー、野々村文宏と当時から付き合いの深いラッパーのECDとのトークショー。アップリンクは予約で満員になる盛況ぶりだったが、JOJO広重のイベントとは異なり、90%男性で年配者の多い客層。騙されても欺かれても教祖に忠誠を誓う信者の群れの如し。かく言う私も亡者のひとり。かつての盟友の晴れ舞台を祝うため、伊藤桂司、近藤十四郎、羽良多平吉等編集・デザイン・出版繋がりの猛者も顔を揃える。



30年以上も昔の記憶を辿ると往々にして忘却の罠に陥りがちだが、三人共に驚くほど鮮明な記憶力を備えている。文章や言葉を生業とする者は、そうじゃない者より頭脳の箪笥が整理されているらしい。ECDは別として、メインふたりと進行役の畠中実は「活字の人」という印象を受けた。音楽・美術人に比べ事実関係やディテールへの拘りが強い。ガセネタやタコに於ける機関銃のような歌の迸りは、活字の行間に生きる男の性だろう。空白を埋めることへの強迫観念が無(非)意味な言葉の羅列を産み、痙攣・自虐パフォーマンスはパトスを言葉に出来ないもどかしさから生まれたのかもしれない。被害者妄想にも似た自嘲癖と露悪趣味。それが輝やいて見えた時代の空気。自ら好んで巻き込まれたメディアの寵児たち。自販機本を舞台にした表現の自由がカオスを助長した。



面白かったのは、一蓮托生に見える吉祥寺マイナー周辺人脈に派閥?があったという事実。左に白石民夫&工藤冬里(うごめく)、右に灰野敬二&ガセネタ(けはい)、どこでもないところに光束夜=金子寿徳&ミック&成田宗弘(きず)。三者が協働したしたのがマイナーのキャッチフレーズ「うごめく・けはい・きず」。






地下文化
自販機文化
携帯文化

『天國のをりものが』が主に俯瞰するのは1976~1983年。その時代を生きた者は勿論、間に合わなかった者にとっても、カオスを求め自浄(嘲)に突き進んだ時代の意思の極端な表層を追体験し追試することが、同じくカオスの時代を生きる我々の道標になるかもしれない。
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北欧の風が清楚にイノセントにオシャレにやってくる~北欧ジャズ/プログレ/ポップ/メタル/アイドル特集

2013年08月29日 00時22分07秒 | 素晴らしき変態音楽


最近よく北欧ジャズについて書いているが、70年代からスカンジナビアは透明な空気感のある音作りで知られていた。最も有名なのは「静寂の次に美しいサウンド」を掲げて独特の美学を追求するECMの作品の多くがノルウェーのオスロにあるレインボー・スタジオで録音されていることだろう。ヤン・ガルバレク、テリエ・リピダル、アリルド・アンデルセン、ヨン・クリスチャンセンなど設立時から北欧のミュージシャンを擁していたECMの静謐なイメージはこのスタジオの立地に大きな要因がある。決して大ヒットするわけではないが、北欧は現代音楽・即興音楽の産地として熱心なファンの注目を集めてきた。

▼Jan Garbarek


個人的にはレコメン系のサムラ・ママス・マンナがツボだった。スウェーデン・フォークロアの要素を加味した変態拍子を得意としたサムラの大作『初老の新来者の為に』(1977)の半分は完全即興でメロディもリズムも破壊した実験音楽、1/4は子供が喜びそうな冗談民族音楽で、面白いとは思ったがプログレではない。2枚組のボリュームでたっぷり変拍子に浸れると思い7000円の大枚を叩いただけに後悔しきり。否否、コレはいいに違いないと何度か聴いたが、即興パートはやはりキツい。同じスウェーデンのArbete Och Fritid(労働と遊戯)というバンドは、さらに輪をかけた垂れ流し即興だった。当時スウェーデンと言えばフリー・セックスのイメージだったが、音楽的変態説を唱えたい。

▼Samla Mammas Manna(Zamla Mammaz Manna)


一方でABBAやロクセット、aha、ACE OF BASEなどポップ/ロック系が世界的に大ヒットした。特に90年代に注目されたカーディガンズを始めとするスウェディッシュ・ポップは、渋谷系・ネオアコ系・インディー系アーティストやファンに大きな影響を与えた。他にはクラウドベリー・ジャム、パインフォレスト・クランチ、エッグストーン、アトミック・スウィングなどが登場。立役者であるプロデューサーのトーレ・ヨハンソンのタンバリン・スタジオにカジヒデキやボニー・ピンク、原田知世などがレコーディングに訪れた。

▼The Cardigans


北欧メタルと呼ばれるハードロックも有名。イングヴェイ・マルムスティーン、ヨーロッパ、アーチ・エナミー、ストラトヴァリウスなどが世界的ヒット。英米メタルが失った古き良き様式美を保ったスタイルがメタラーの心の拠り所。フィンランド出身の悪ガキR&Rバンド、ハノイ・ロックスも忘れ難い。

▼Yngwie Malmsteen


そんな北欧のジャズ・シーンが大きく注目されたのは、90年代末のフューチャージャズだった、ということは前に書いた。電子音楽やエレクトロを取り入れてはいたが、リードする生演奏はやはり透明感に満ちたECM的なサウンドだった。ノルウェーのJAZZLANDを中心に、Smalltown Supersound(ノルウェー)、 Straight Ahead(スウェーデン)、COMPOST(ドイツ)といったインディ・レーベルからダンサブルなジャズ・サウンドが登場した。

▼Bugge Wesseltoft


21世紀に入るとその流れはクラブと即興の両ベクトルへ拡散していく。クラブ系ではエレクトロニカ/ポストロックに接近し、ジャズの即興性よりも電子音楽的透明感に耽溺していった。即興派は逆にエレクトロビートを人力ドラムに差し替え、60年代フリージャズと7,80年代欧州即興を兼ね備えた激烈なヒューマニズムを追求する。

▼Mats Gustafsson



北欧諸国は自国の文化紹介に積極的で、政府の援助を受け現在進行形の北欧ジャズ・アーティストが数多く来日公演を行っている。今や日本は本国以上に北欧ジャズ・シーンのエッセンスを経験できる、恵まれた状況にある。この機会に芳醇な北欧即興音楽の世界に触れてみてはいかがだろうか。

●ミュージック from ノルウェー
ノルウェーの先端音楽を紹介する「濃い」4日間
あらゆるジャンルを超え、日々進化するアーティストたちの「現在」をとらえる絶好の機会
ヘルゲ・リエンエプレ・トリオはピアノを中心としたトリオ、エレファント9+ライヌ・フィスケはプログレッシヴ・フューチャー・サイケデリア、シニカ・ランゲランは北欧の伝統楽器カンテレ奏者、ECMのアルバムを通して知られる。

▼Helge Lien Trio/Elephant 9 + Reine Fiske


▼Eple Trio/Sinikka Langeland Ensemble   


9月5日(木)新宿ピットイン 夜の部  ヘルゲ・リエン・トリオ
9月7日(土)新宿ピットイン 昼の部 エプレ・トリオ/夜の部 シニカ・ランゲラン・アンサンブル
9月6日(金)東京 青山「月見ル君想フ」 エレファント9+ライヌ・フィスケ
9月8日(日)新宿ピットイン 昼の部 シニッカ・ランゲラン・アンサンブル


●ノルウェーの新即興派ラッブルラッブル来日公演
ノルウェー第4の都市スタヴァンゲル出身のご当地即興ジャズ?ラッブルラッブル初来日ツアー。チャールズ・ミンガスがジョン・ゾーンのネイキッド・シティのソリストとブラック・サバスのリズム隊からなるユニットの為に作曲したようなサード・ストリーム・ストーナー・ロック。

▼Robblerobble


9月18日(水) 名古屋 TOKUZO
9月19日(木) 神戸 KOBE LIVE HOUSE BIG APPLE
9月20日(金) 大分 AT HALL
9月22日(日) 熊本 NAVARO
9月23日(月) 福岡 YOJIGEN
9月26日(木) 六本木 SUPERDELUXE


●フィンランドのカンテレ奏者イダ・エリーナ来日公演
ノルウェーのシニッカ・ランゲレンに続いて、もうひとりフィンランドからカンテレ奏者イダ・エリーナが来日、東京は1回のみの公演を行う。イダは若手女性ミュージシャンらしく、伝統楽器カンテレをゴスペル・R&Bの文脈で使いこなしているという。

▼Ida Elina


9月28日(土)19:30 代官山「山羊に、聞く?」


清楚で
イノセントな
北欧の風

と言えば、コチラのオシャレ系ガールズユニットもヨロしく。

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秋に向かって女子力アップ!~ベイビーレイズ/大森靖子/シシドカフカ/新山詩織/Drop's/キノコホテル

2013年08月28日 00時50分46秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


暑さも一段落し秋の訪れの予感がしてきたが、相変わらず女子力が日本列島を突き抜ける予兆あり。夏の終わりのラヴレターをさらっと復習しよう。

ベイビーレイズ「暦の上ではディセンバー」


アメ横女学園の大ヒットナンバーを歌っていたのはリアル・アイドルグループ、ベイビーレイズ。デビューから2年後(2014年)までに、武道館公演ができなければ解散という公約がある宿命のアイドルに絶好のチャンスが巡ってきた。これまでの4作のシングルはいずれもTOP20止まりだが、あまちゃん旋風に乗ってSMAPと共演してしまう躍進ぶり。あまちゃんの利権を巡る動きの中、外様でありながら中核に食い込み、大ブレイクへ秒読み開始!




新山詩織「Don't Cry」


女子高生SSW詩織ちゃんはポッキーとのコラボでチャンスを手に入れた。チャートはTop40止まりだったが、お茶の間への浸透度は抜群。特に同世代の女子にとっては、カッコいい憧れの同級生として認知されたに違いない。




Drop's「DAWN SIGNALS」


札幌の女子高生ブルースバンドのデビュー・アルバム「夜明けの信号」より。事務所がThe Birthdayを擁するRockin' Bluesに決まったので、そのうちR&Rカオスに巻き込まれることは間違いない。


最新インタビューはコチラ


大森靖子「つまらん夜はもうやめた」 [DVD]


絶叫系フォーキーという枕詞も必要ないくらい浸透したSEIKOオーラ全開の今年5月渋谷クアトロでの初ワンマン公演を完全収録したDVD。ボーナスDISCは追跡ドキュメンタリーという私生活の切り売りが、SMを超越したプリンセスSEIKOならでは。まもなく戸川純との2マン。


最新インタビューはコチラ
初期音源集「黒歴史 EP」配信リリースについてはコチラ

シシドカフカ「カフカナイズ」


叩くアイドルNo.1のカフカさんの初アルバムは「カフカにしちゃうぞ」。175cmの長身から繰り出すビートと凛としたヴォーカルはM系男子をびびり萌えさせる。スナックコラボでは詩織ちゃんの先輩格。この秋は新宿ルミネのモデルとして登場。




キノコホテル「マリアンヌの逆襲」


新作ではないが、PVの存在に今気がついたのでご紹介。春の「サロン・ド・キノコ~淫力魔女の生贄」ツアー以来半年ぶりの単独ツアー「サロン・ド・キノコ~秋の人間狩りリターンズ」が11月に決まり、再び胞子たちを誘惑の罠に陥れるマリアンヌ様。新従業員ジュリエッタ霧島のPVデビュー作。




秋の収穫
女子力紅葉
女子焚火

SAVAGES「Silence Yourself」


今年のフジロックで初来日したロンドン娘4ピース。BO NINGENの追っかけだったというが、サイケではなく80'sポストパンク直系のサウンドが新鮮。



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アーバン・コネクション@新宿Pit Inn 2013.8.25(sun)

2013年08月27日 00時16分47秒 | 素晴らしき変態音楽

(Pix by Miyabi Chibikko, taken from Facebook w/o permission)

Urban Connection 2DAYS

【MEMBERS】
ヨナス・クルハマー(Ts)スタイナー・ラクネス(B)ホーコン・ミョーセット・ヨハンセン(Ds)
オープニングアクト:太田惠資(Vn,Vo)+石田幹雄(P)

北欧ジャズ現在進行形。ノルウェー・グラミー賞受賞グループ来日、北欧ジャズ界きっての名手が揃うハイ・ヴォルテージ・トリオ。これまで4枚のアルバムをリリース、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルや北海ジャズ・フェスティヴァルの他、多くの公演を行い、世界中をツアーしている。ここに来て、新アルバム “Live!” が再び高い評価を得て新たな段階に突入。その最前線を日本で目撃できる貴重なチャンスだ。
(新宿Pit Innホームページより)



ジャズ界は北欧ブーム?と思う程連続するバイキング・ジャズの来日ラッシュ。今回はノルウェーの新世代ビバップ・トリオ、アーバン・コネクション。1998年に結成された彼らの2003年、2004年に続く3回目の来日公演。今年に入ってサックス奏者がアルトのフローデ・ニーモからテナーのヨナス・クルハマーに変わり、新編成での顔見せ公演となった。不勉強ながら過去2回の来日は観ていないが、記録によるとその強烈な演奏の存在感が強い印象を残したとのこと。

メンバーそれぞれがヨーロッパのジャズ界で活躍する名手揃い。

Steinar Raknes (シュタイナー・ラクネス)Double Bass


ジャズ・べース奏者にして作曲家。その才能はチャールズ・ミンガスにも喩えられる。チック・コリア、マイケル・ブレッカー、ボビー・マクファーリンなどと共演し、The Core, Ola Kvernberg Trio, SKAIDI, Kirsti Huke Quartet and Trondheim Jazz Orchestra等様々なバンドに参加。自己のプロジェクトにシュタイナー・ラクネス・カルテットとSTILLHOUSEがある。STILLHOUSEではアメリカのハープ奏者やノルウェーの女性歌手と共にベースの弾き語りを聴かせる。


H.M. Johansen (ホーコン・ミョーセット・ヨハンセン)Drums


ヤン・ガルバレク、マイケル・ブレッカー、チック・コリアなどと共演、Motif, Maryland , Haavard Wiik Trio, Haavard Stuboe Quartet, Come Shine, Excess Luggageなど多くのバンドのメンバーでもある。躍動的なドラミングは現代ジャズ界きっての暴れん坊。


Jonas Kullhammar(ヨナス・クルハマー)Saxophone


1978年スウェーデン出身。現代スウェーデンのジャズ・サックスの第一人者として150作を超える作品に参加。ヨナス・クルハマー・カルテットのリーダーであり、 The (International) Noise Conspiracy, Carlos Garnett, Nicolai Dunger, Fredrik Noren Band, Torbjörn Zetterberg Hot Five, Sonic Mechatronik Arkestra, Peanuts Hucko, The Plan, Nina Ramsby, Goran Kajfes, Marcus Strickland, Eldkvarn, Jupiter Trio, The Core, Mulatu Astatke, Salem al Fakir, The Hivesなどのバンドに参加。スウェーデン・ジャズ評論家賞を4年連続受賞、スウェーデン・グラミー賞ノミネートの常連である。


そんな実力派トリオの演奏はとにかくエネルギッシュ。ハイ・ヴォルテージ・トリオとはよく言ったもので、まさに電圧高めの電撃バップ演奏が炸裂する。ジャズのルーツを辿ればダンス音楽だったことを思い起こさせるワクワクした歓び溢れる演奏を展開。北欧の現代ジャズといえばフリージャズのイメージが強いが、彼らの演奏はその一昔前のビバップの影響が色濃い。全盛期のチャーリー・パーカーを彷彿させるほど激しく吹き捲くるサックスに、柔軟性に富んだビートでロールするドラム、歌いながら超絶フレーズを畳み掛けるベースの三つ巴が見事にスウィングする。余りの躍動感に踊り出したくなる。ピットインで椅子に座って観るのに違和感を感じたのはJAZZ非常階段以来。この強烈なグルーヴはオールスタンディングのクラブで演奏するのが相応しい。次回は観客を巻き込んだダンス大会を期待したい。


注:動画のサックス奏者は前メンバーのFrode Nymo (フローデ・ニーモ)

8月21日からソロ公演を行ったシュタイナー以外のふたりは2泊4日という強行軍の来日スケジュールで時差ぼけになる暇もなかった様子。いつの時代も売れっ子は忙しい。


(Pix by Jonas Kullhammar, taken from Facebook w/o permission)

北欧の風
熱波の東京
吹き抜けた



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自由な音の記憶Vol.5:ロックは形から~不死身のハードロック入門には実況録音盤がおススメ!

2013年08月26日 01時41分13秒 | ロッケンロール万歳!


映画音楽やジョン・デンバー、ビーチ・ボーイズ等の洋楽ポップスを好んでいた中学の頃、レコード店に飾ってある派手な化粧の外人グループのポスターが気になった。まだポップスとロックとジャズの区別もつかなかった頃。初めて買った「ミュージック・ライフ」の表紙はもじゃもじゃ髪を振り乱し絶叫してギターを振り上げるプロレスラー風のゴツい男。本誌に掲載されたミュージシャンは、ポートレイトでは派手で奇妙な服を着てニコニコしてるのに、演奏写真では豹変して鬼気迫った様子で楽器を弾くというよりは楽器で喧嘩している。ショッカーの怪人みたいな化粧で火を噴いたり血を吐いたりしている人や、蛇を首に巻いた人や、いつもジャンプしている人や、竹馬みたいなブーツで股間から一物を出している人までいる。もし街で会ったらこの人ヤヴァい、近寄らんどこ、と避けるに違いないが、純朴な中坊はこの気違いじみた写真にコロッと騙され魅了されてしまった。











丁度ギターを練習し始め、「シクラメンのかほり」と「神田川」が弾けるようになったので、今度はロックをお手本にすることにした。残念ながらクラシック・ギターだったが、力一杯弦を叩けばズゴーンと音がする。自宅で火を噴いたり、血を吐くのは無理なので、ひたすらジャンプを真似た。勉強部屋でギターを持ってドタバタ飛び回り、騒音を鳴らす息子を見て、両親が何と思ったかは知らないが、少なくともチ○ポを出す練習じゃなくて良かった。ジャンプ氏は、別の写真では腕をあらぬ方向に振り上げ、挙げ句の果てにギターを破壊していた。忠実な弟子ならば、勉強机にクラシック・ギターを叩きつけて粉々にしていただろうが、そこまでの勇気はなかった。コードやスケールよりもジャンプの練習が私のロック事始めだったのである。



形からロック道へ入ったガキンチョのレコードを買う基準は、当然カッコいいかどうかである。ロック衝動そのものである喧嘩腰の激しいアクションとサウンド。レコード・ジャケットで選べば、カッコいいのは圧倒的に実況録音盤だった。当時住んでいた地方都市には、外タレはポール・モーリアとカーペンターズとベンチャーズしか来なかったこともあり、雑誌のグラビアを眺めながら、滅多に経験できないロック・コンサートを擬似体験できるライヴ盤に心酔した。

●ディープ・パープル『ライヴ・イン・ジャパン』


ロック少年の基本のキ。「ハイウェイ・スター」「チャイルド・イン・タイム」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の流れが素晴らしい。しかし1曲が長いぞ。D面の「スペース・トラッキン」は滅多に聴かなかった。ジャケを観ては武道館に行く日を夢みた。よく見るとリッチーはギターを壊そうとしている。フィルムコンサートで初めてギター破壊を観たときは大ショックだった。鬼の形相で何度も執拗にギターを叩き付けるリッチーが悪魔に見えて、二度とロックなんか聴くもんか、と決心した。帰りに冨田勲の『火の鳥』を買った。シンセに憧れた結果、プログレ経由でロックに逆戻り。




●キッス『アライヴ!~地獄の狂獣』


ガキの心をトキメかすハードロッカーといえばキッスで決まり。テレビの仮面ライダーやキカイダーから飛び出してきた地獄の軍団。血や焔や煙などこけ脅しを駆使した魅せるステージ演出は最高のエンターテインメント。邦題の地獄シリーズも秀逸。ディスコ路線へ走ったり、仮面を外したりでガッカリさせたが、開き直って仮面に戻り人気復活、10月に大々的に来日。中の人が昔と同じかどうかは関係ないロック伝統芸能。




●グランド・ファンク・レイルロード『ライヴ・アルバム』


コレがロックだ!という激ジャケNo.1。ブレてて顔が判らないくらいの激しいステージングをパチリ。常軌を逸したファズギター、ソウルフルな暴走ビート、観客の狂乱。ジャケットに偽りなしの激烈ライヴの記録。使っているギターが特注モデルだと知り無性に欲しくなった。後に日本製のコピーモデルが発売されたが、使ってる人を観たことはない。




●ジョニー・ウィンター『狂乱のライヴ』


マイ萌えジャケNo.1。白い長髪をなびかせてギターを弾きまくるジョニーには心底惚れた。お年玉を貯めて最初に買ったエレキギターはグレコのファイアーバード・モデル。35年前で定価98,000円。今なら本物が買える値段。バランスが悪いのでネックが下がってきて弾きにくいことこの上ない。パンク勃発でオールドウェイヴな変形ギターはダサいとされたが、セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズがファイアーバードを弾いていたので安心した。エクスプローラーだったら、チープ・トリックしか許されなかっただろう。




●テッド・ニュージェント『絶叫のライヴ・ゴンゾー』


例の表紙のプロレスラーがこの人。余りの轟音に飛んでいた鳥が落ちたとか、ステージで野牛の生肉を喰いちぎるとか、自宅の庭でライフルを撃ちまくるとか、野獣ぶりが喧伝された。アメリカらしい力でねじ伏せる傍若無人ハードロックは、繊細な日本人の好みに合わなかったようで、現在日本盤CDはベスト盤1枚しか流通していない。




●ZZトップ『ファンダンゴ!』


テキサスといえば西部劇の本場なので、ウェスタン好きには憧れの地。カウボーイにはカントリーだと思ったら、ZZトップがゴリゴリのブギをやっていて驚いた。バッファローやライオンの檻をステージに飾って演奏するという話もワイルドでいい。真似て友達と同じポーズをキメるのが「ZZトップごっこ」と呼ばれプチ流行った。まさか全米No.1を連発するスーパーバンドになるとは思わなかったが、トラック野郎の絶大な支持を集めるというのが自動車大国ならでは。歳をとってもヒゲの量と長さが同じなのが不思議である。




●レッド・ツェッペリン「永遠の詩(狂熱のライヴ)』


激ジャケではないが、発売と同時に映画『レッド・ツェッペリン狂熱のライヴ』が公開されたので、動く姿を確認できた貴重な作品。残念ながら地方都市では未公開。テレビ番組でさわりを偶然目にしただけだが、雑誌の写真とは比べ物にならないくらい想像力を刺激された。ジミー・ペイジにはギターの持ち方で多大な影響を受けた。誰よりも低い位置にギターを構えることがプライドだった。




●エアロスミス『ライヴ・ブートレッグ』


キッスと並ぶハードロック少年のアイドルのエアロのライヴ盤が出た時には、パンク熱に冒されていたので闇夜に葬ってしまった。海賊盤を模したジャケはザ・フー以来の伝統だろう。80年代の迷走直前に華やかに開いた最後の打ち上げ花火と言えるかもしれない。




●ザ・フー『熱狂のステージ(ライヴ・アット・リーズ)』


海賊盤ジャケの本家本元、ギターのお手本ピート・タウンゼンドの最高傑作ライヴ盤。付録のポスターや写真がレコ好きには堪えられない。ジャンプして振り回して壊しての不死身のハードロック満載かと思ったら、A面はポップソングのハードロック化でカッコいいが、B面が2曲の長尺トラックで、ギターソロやドラムソロがあるわけでもなくちょっと肩透かし。しかしピート先生のことだから組曲でもジャンプしてるに違いない、とアルペジオしながら飛び跳ねるという至難の業に挑んだのが懐かしい。




因みにアルバム全曲一緒に弾けるのはこのアルバムと、ソリッド・センダーズ『電光石火』(ウィルコも飛ぶ)と、ハートブレイカーズ『L.A.M.F』と、ラジエイターズ・フロム・スペースの1stである。

形から
入れば魂は
後からついてくる

私のライヴフェチは35年前に運命づけられていたのだろう。

【特報!】
『伝説のヤング・ミュージック・ショー~KISS~』放送予定
2013年9月24日(火)
[NHK-BSプレミアム] 午後11時45分~翌午前0時44分
【収録】1977年4月2日 日本武道館
詳細はコチラ
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パクリ疑惑!? 韓国アイドルグループが『ももいろクローバーZ』に激似だと指摘されネットで拡散中

2013年08月25日 00時30分38秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


韓国が、国をあげて自国のドラマやアイドルなどを世界発信していることはよく知られている。日本でも多くの韓国アイドルがデビューし、日本人ファンの心をつかんでいる。まさに韓国アイドルは一大ブランドと言ってもいいだろう。

だが、日本にも進出している韓国アイドルにある疑惑がささやかれネット上で話題となっている。なんと、日本のアイドル『ももいろクローバーZ』に激似だとしてパクリ疑惑が浮上。そっくりなため、韓国人でさえも擁護しづらいレベルであるというのだ。
 
・韓国ガールズグループ『クレヨンポップ』
ネットユーザーから「ももクロをコピーした」と指摘されているのは、韓国の5人組ガールズグループ『CRAYON POP(クレヨンポップ)』だ。

韓国のガールズグループと言えば、スタイリッシュなダンスを得意とする正統派グループが多い。そのなかでクレヨンポップはジャージや名前入りの体操服風の衣装にコミカルなダンスと異色の存在だ。

さらに2013年6月にリリースしたシングル『Bar Bar Bar(パパパ)』が大ヒット。各音楽チャートを総ナメにしただけでなく、「直列五気筒ダンス」という独自の振付も人気を博した。
 
・ももクロにソックリだとネットユーザーが指摘
だが、クレヨンポップの奇抜な衣装や振付を見たネットユーザーが、衣装やコンセプトが日本の人気アイドル『ももいろクローバーZ』に酷似していると指摘。

ユーザー作のそっくりポイントをまとめた画像が韓国のブログやコミュニティサイトに掲載されると「確かに似ている」と話題になり、瞬く間に拡散した。
 
・ネットユーザー指摘のそっくりポイント
「赤色の三本ラインジャージを着用」
「ヘルメットを着用」
「戦隊ヒーローのようなキメポーズ」
「ステージ衣装にゼッケンがついている」

確かにこれらのポイントは両グループに共通する。となると、どちらが先だったのかが争点になるが、ももクロのデビューが2009年であるのに対し、クレヨンポップは2012年だ。デビューの年がハッキリしているため、韓国ネットユーザーの間では「クレヨンポップがももクロをパクったのでは?」と疑惑の声が出ている状態だ。
 
・韓国ネットユーザーの声
「確かに似ている」
「比較写真が絶妙だね」
「画像は本物? 本当に盗作? 完全に一致してるんだけど」
「ウソでしょ? 私はももクロとは別物だと思うけど」
「クレヨンポップ、頑張って!!」
「新人なのになぁ」
「クレヨンポップは独創的だと思っていたのに失望した」
 
・クレヨンポップ側はパクリ疑惑を否定
クレヨンポップの所属事務所は、パクリ疑惑を否定。「ジャージは韓国のヒップホップグループ『DJ DOC』の影響」、「振付は今までにないガールズグループを目指した結果」、「ゼッケンは新人歌手がリハーサルでつける名札から着想」、「ヘルメットはメンバーのアイディア」と、説明している。

だが、公式コメント発表後も、韓国のネットユーザーからは「公式は否定しているけど、やっぱり同じな気が」、「盗作じゃなくてもモデルにはしたかもね」という声も出ている。騒動はまだ収まりそうにはない。
(Rocket News 24)

▼クレヨンポップの『Bar Bar Bar(パパパ)』ミュージックビデオ






▼韓国のコミュニティサイトで話題となった比較画像



▼ももいろクローバーZ、似ているだろうか?



韓流エンタメ情報サイト「Kstyle」記事はコチラ

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【推薦図書】目から鱗の「思想としてのロック」論~林浩平『ブリティッシュ・ロック 思想・魂・哲学』

2013年08月24日 00時33分57秒 | 書物について


講談社選書メチエ
ブリティッシュ・ロック
思想・魂・哲学

著者: 林浩平

発行年月日:2013/08/10
定価(税込):1,680円

TO BE A ROCK AND NOT TO ROLL
絶対のエイトビートが魂を解放する!!
ビートルズに始まる「イギリスの侵略」から半世紀──。世界中を熱狂させ、若者の「生の哲学」となったブリティッシュ・ロック。その誕生からの歴史をたどり、未来をさぐる。鼓動するドラムとベース、咆哮するエレキギター、絶叫のヴォーカルが、呼び起こす「ディオニュソス的陶酔」!
ニーチェ、ハイデッガー、アガンベンの哲学が提示する、もっと音楽を愉しむための、思想としてのブリティッシュ・ロック。
ハイデッガーの実存の「開け」の概念とロック。「新たな霊性を啓くメディア」としてのロック。テクノロジーとロックの関係、新たな芸術ジャンルとしてのロックなど、思想の側からロックという「現象」を深く読み解く未曾有の論考。
講談社BOOK倶楽部ホームページより)


著者の林浩平は1954年生まれの詩人、文芸評論家、日本文学研究者。3冊の詩集、数冊の文学に関する評論・エッセイを著す一方、学生時代ロックに耽溺し、今でも時折バンド活動を行う音楽好きが高じて、2011年に『ロック天狗連 東京大学ブリティッシュロック研究会と七〇年代ロックの展開について知っている二、三の事柄』という書籍を共同編著。ポスト学園紛争時代の日本において、ロックが如何にして受容されたか描いたエッセイと評論は、あまたある「プロの」評論家や作家による70年代ロック論とは全く違う大多数の「素人」の視点から書かれた日本のロック誕生物語は実に新鮮だった。



自らのロック史を綴るだけでは林のロック衝動は収まらなかったに違いない。2年後に単独執筆によるロック評論を著した。「ロック」「思想」「魂」「哲学」と並ぶと、頭でっかちな学者が知ったかぶりをして書いた胡散臭い社会文化論を連想しがちだがとんでもない。ここに描かれたのはロックを心から愛する筆者による魂の籠ったロック論なのである。最近の音楽メディアについては詳しくないが、70年代の音楽評論において思想論や状況論は欠かせないテーマだった。中村とうよう(ニューミュージックマガジン)、渋谷陽一・松村雄策(ロッキング・オン)、森脇美喜夫・鳥井賀句(ZOO)、北村昌士・秋田昌美(Fool’s Mate)、阿木譲(Rock Magazine)等の論客がそれぞれのメディアで独特のロック論を展開した。読者やリスナーも同様にロック喫茶やロックバーで薀蓄交じりのロック論争を毎晩のように繰り広げていた。ロックは他のどの娯楽・芸術に比べても格段に主観的な思い入れが大きい。ロックを愛することは、考え方や生き方に大きな影響を及ぼし、人生を左右するほど強力な体験だった。

林にとって、ロックとはブリティッシュ・ロックであり、エイトビートである。そしてロックは80年代にサブカルチャー化することで創造力を失った。そう断言し自らの立場を明確にしていることこそ、この書籍が嘘偽りなきロック評論であることを証明している。職業ライターとは違い、真摯なロックファンにとっては、音楽的知識や正確性などより、自ら信じるロックへの想いを自らの立場で語ることこそ「ロック」なあり方であることは間違いない。林が書いているように「ロックを語ることは、語るものに取ってまさに一種の『自己表出』」であるわけだ。そして自分の持つあらゆる知識を総動員してロック論を展開することこそ、真のロック・ラヴァーにとっての至上の歓びである。それは私がブログを書き続ける大きな動機でもある。

ロックを哲学思想、神秘思想、現代美術などで解析する方法論は、まさに私がロックやアイドルを革命思想や精神分析や童話等に結び付ける発想と同質である。ただし私の分析が思いつきの付刃に過ぎないのに比べ、林の論評にはしっかりした学術的裏付けがあるので、説得力には雲泥の差がある。
【参考】「きゃりーぱみゅぱみゅは曼荼羅である」はコチラ



生涯の半分以上の年月ロックを聴き続けて、最近やたらと聴きたくなるのが70年代プログレやハード・ロック、それもかつて好んだB級未満のレアものではなく、赤面するほどの王道、いわば基本のキであることに我ながら戸惑っている。学生時代に散々コピーしたキング・クリムゾンやジェネシスではなく、当時はテクニカルに過ぎるとして聴こうともしなかったイエスやEL&P、またパープリンと呼び蔑視していたレッド・ツェッペリンやディープ・パープルのレコードをターンテーブルに乗せてしまう自分がいる。15歳で衝撃を受けたパンク/ニューウェイヴは今聴くと野暮ったく時代遅れの印象だが、それ以前のオールドウェイヴは逆に時代を超越したエヴァーグリーンな魅力があるように感じる。これは一体どうしたことか?オールドウェイヴは打破するべき体制側の商業音楽ではなかったか?

その疑問が林のロック論で一気に解決した。ロックが最も本質的な存在として君臨したのは、ニューウェイヴにより商業化する80年代以前の1970年代の10年間に集約される。その時代にロックの王道であるイギリスから登場したハード・ロックとプログレッシヴ・ロックこそが究極のロック表現なのだ。70年代ロックの堂々たるエレキギターの爆音とドラムの暴力的なエイトビート、そして中心に屹立するヴォーカリストの「声」のキメ。それが揃ってこそロックの最高峰に到達し得たのである。そのことを証明するのがニーチェの「音楽の魂」であり、ショーペンハウアーの「意志」であり、ハイデッガーの「開かれ」であり、萩原朔太郎の「月に吠える」なのである。嘘だと思ったら、ぜひともこの革命的なロック論をお読みいただきたい。目から鱗、この本を読むこと自体が「開かれ」に違いない。



JOJO広重が『非常階段ファイル』で繰り返し70年代ハードロックやプログレへの愛着を語っているが、それを学問的に、しかも超マニアックに解析しているのがこの本である。マル非をはじめとする地下音楽ファンにもおススメである。

密林での購入はコチラ
林浩平ブログ「饒舌三昧」はコチラ

ロック論
語ってみたら
好きになる

なぜアメリカがロックの本拠地ではないのか?林が言うようにアメリカは「ロックの怪物的な消費国であっても、ロックをジャンルを創造し展開した国ではない」のである。そのことは先ほど出版された『プラスチックスの上昇と下降、そしてメロンの理力・中西俊夫自伝』に描かれたプラスチックスの全米ツアーの記述を読めば明らかだ。ニューヨーク以外のアメリカにはロック文化は存在しないことが良く分かる。中西俊夫のギョーカイ口調で書かれたこの本も、昭和末期オルタナ文化のドキュメントとして貴重である。





コメント (3)
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一生ノイズ人生の極意は「なんとかなる、どうにかなる」~JOJO広重『非常階段ファイル』

2013年08月23日 00時43分20秒 | 書物について


■書名:非常階段ファイル
■著者:JOJO広重
■出版社:K&Bパブリッシャーズ
■価格:3,000円+税

"キング・オブ・ノイズ"と称され、関西音楽シーン・日本ノイズシーンでその名を知らないものはいない伝説のバンド「非常階段」。
その音楽性と同時に多彩なコラボでも知られる「非常階段」のコラボレーションの歴史を一冊にまとめた書籍が8月12日に発売する運びとなりました。2010年に発売された「非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE」を非常階段の正史のドキュメンタリーとすると、こちらは非常階段のサイドストーリーともいえる内容です。古くは80年代の「スター階段」「原爆階段」から近年話題になっている「もんじゅ君階段」「初音階段」「BiS階段」まで。14に及ぶ非常階段のコラボの背景がJOJO広重氏本人により、克明に描かれております。
12のコラボレーション企画のライブ映像を収めたDVDも付属。約60分、貴重映像多数で非常階段コラボの歴史を一挙に振り返ることができます。
30年に渡る非常階段コラボの歴史をまとめてどうぞ。
K&Bパブリッシャーズホームページより)

収録コラボ企画一覧(括弧内は共演者名)
スター階段(スターリン)・原爆階段(原爆オナニーズ)・S.O.B.階段(S.O.B)・サバート階段(SUBVERT BLAZE)・とうめい階段(とうめいロボ)・ACID MOTHER階段(ACID MOTHERS TEMPLE)・原爆スター階段(原爆オナニーズ&スターリン)・Jazz非常階段(坂田明&豊住芳三郎)・もんじゅ君階段(もんじゅ君)・BiS階段(BiS)・POWER階段(POWER EMPIRE)・3階33段(3月33日)・初音階段(初音ミク)・頭脳階段(頭脳警察)



思いがけない非常階段本第2弾。表紙にBiS階段ミッチェルの写真を使って研究員に売り込むあざとさは流石商売人のJOJO広重だが、この本を読んで実感するのは、広重が昭和末期の地下カオスカルチャー出身者にしては、誠に理路整然とした思考回路の持ち主である、ということ。わけの分からないこと、人に嫌われること、自分自身であること、を実践した30年以上の活動の原動力のひとつが、「成り行き任せ」だったという真相暴露本。それがトラップでもスクープでもないことは、広重の真っすぐな語り口に明らかだ。騙されるな、との声もあるだろうが、上告されたとはいえ、第2審で無罪を勝ち取った男を信じてみてもいいじゃないか。

それぞれのユニットがどのように企画され実現に至り、その結果何を得たのか、広重が事細かに語り尽くす。嬉しいのは、登場するコラボ企画の半数を自分自身で体験し、ブログでレポートしていること。ひとりの観客の感想を、企画者・演奏者である広重の述懐と対比出来て面白い。広重の意図がかなりの部分聴き手に伝わっていることが分かるだろう。

●ACID MOTHERS階段⇒コチラ


●原爆スター階段⇒コチラ


●JAZZ非常階段:2012.4.9⇒コチラ / 2012.9.23⇒コチラ / 2013.4.6⇒コチラ


●BiS階段:2012.11.18⇒コチラ / 2013.8.7⇒コチラ / 解析⇒コチラ


●初音階段:2013.2.2⇒コチラ / 2013.6.8⇒コチラ


情報伝達のスピードが速くなる一方の現代社会において、過去の記憶をアーカイヴすることは非常に重要である。SNSの情報は長くても24時間で消滅してしまう。目まぐるしく移り変わるトレンドを追うだけではなく、残すべきものはTLから救い出してアーカイヴしなければならない。そういう意味で非常階段の2冊の書籍は意義深い。当ブログの存在意義の一端もその点にあると言えないだろうか?

UK音楽誌「WIRE」記事
"BiS階段のノイズとJ-POPアイドルの激突は、天国のショットガン・ウェディングである"


ロック愛
溢れる本を
頷いて読む

JOJO広重が白波多カミンに伝授したノイズ処世術は「なんとかなる」と「どうにかなる」、しかし最後のひとつを忘れた。やはりアーカイヴしとかないとアカンね。
コメント (1)
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下山(Gezan)/青葉市子/MERZBOW/テニスコーツ@渋谷WWW 2013.8.20(tue)

2013年08月22日 00時46分02秒 | 素晴らしき変態音楽


下山(GEZAN)/ 青葉市子 / テニスコーツ / メルツバウ
BUG ME TENDER vol.8 ~8月のメフィストと~




これまで、関西NO WAVE即興シーン、静岡NOISE&PSYCHE、ご当地アイドル、ご当地JAZZなどローカル音楽シーンに興味を持ってきたが、もちろん大都市の音楽が面白くないわけではない。ただ、90年代にTOKYO FLASHBACKやTASTE OF WILD WEST等で注目を浴びた都市型アンダーグラウンド・シーンが、21世紀に入り徐々に分裂・解体・再構築され、同時にインターネットとSNSの隆盛により誰もが情報を共有できるようになったことにより、都市地下文化のダムが決壊し秘伝エキスが流出したことで、地上も地下もアウトドアもインドアもあらゆる文化分野がどこでもドアで繋がったかの如く差異がなくなってしまったのは確か。大都市に住む限り、ちょっとしたことでは人々の関心を惹きつけられないし、個性を発揮するのも難しい。

そんな東京に敢えて乗り込んだ下山(Gezan)の挑戦が1年経過して渋谷WWWに結実した。マヒトゥ・ザ・ピーポーは「東京へ出て来て1年経ったけど、全く分からない。なーんにも分からない。」と語るが、実際はいろいろ得るものがあったことは、対バンを含めたこの日のパフォーマンスで明らかだった。テニスコーツと青葉市子というアコースティック系アーティストを選んだことは、パフォーマンスの過激さや音のでかさだけが「強さ」ではない、という宣言だし、対極にあるメルツバウの爆音ノイズの中にも「やさしさ」が溢れている、という真理も明らかにされた。まさに下山(Gezan)の表現行為のベクトルを如実に表す布陣である。


テニスコーツ


さやと植野隆司の二人組テニスコーツは90年代終わりに活動を開始したらしいから、すでに15年近い歴史を持つ。ロケンローなら初期衝動というべき"始まりの予感"がまったく色褪せないどころか、歳を重ねるに従いワクワク感が増しているのに驚く。というかそれを感じさせないさりげなさが身上。そよ風のような存在の軽さゆえに、現代カオス状態の世の中で際立つ。最小限の音と言葉による強靭なやさしさの萌出に全身が浄化される。ゲストで出演した幼女が青葉市子と紹介され虚を突かれた。




メルツバウ


メルツバウのライヴは何度も観ているが、この日は初体験ともいえる濃厚な世界に圧倒された。大きな会場ということもあるだろうが、秋田昌美の「気」の状態が極限レベルに沸騰していたのではなかろうか。2週間前にBiS階段がノイズカオスに陥れたWWWを再度音響の暴力が襲う。テニスコーツが濾過した透明な空気の中を、最大限に圧縮された電子音塊の粒子が摩擦なく飛び交う。無数の音魂に全身を包まれて、意識は200メートル頭上に浮遊する。




青葉市子


タワレコで『青葉市子と妖精たち』というCDがプッシュされていて気になった女性シンガー。細野晴臣、坂本龍一、小山田圭吾、U-zhaanとのセッションというから只者ではないな、と想像していたら、童顔に似合わずしなやかでしっかりした歌に、惚れ惚れしてしまった。マヒトと踊ってばかりの国の下津光史がコーラス参加した1曲目でメルツバウの残響の埃を洗浄し、清涼な飛沫を散布する。テニスコーツの無垢なエーテルとは違い、醸成された匠の技ともいえる至福空間が現出した。絶叫系の大森靖子とはタイプが違うが、今面白いのはアイドルとフォーキーである、という持論に間違いがないことを確認した。




下山(Gezan)


首謀者下山(Gezan)のステージ。メロコアを騙った前回の洒脱さはなく、とことん真摯にこの場を彩ろうという覚悟が伺える。4人のメンバーそれぞれがキレまくったステージングのテンションはハンパなく高い。メランコリックな弾き語りが一瞬にして殺戮ハードポアに切り替わるスイッチングの妙。広いステージを切り裂くように飛び回るマヒトの姿がスローモーションで浮き上がる。空間と時間を切り刻み、肉体と精神をとことん追い詰めることでしか到達できない別次元の境地、そこに向かって破裂し疾走し続ける4つの身体。その美しさは何者にも代え難い。1年間の想いが高速回転する結晶体に変わった。



下山(Gezan)インタビュー(Rooftop2013年1月号)⇒コチラ

各アーティストが自らの表現の究極型を体現したこと、最後のパートでそれぞれ下山(Gezan)とコラボした後、全員で「Ahhhh」と謳う壮絶なテンダネスを詳らかにする大団円を迎えたことで、出演者と観客全員が山を下りて、次の千年紀へと旅立つ準備が完了したと言えよう。



限界を
突き抜けて
やさしくバグって

大都市に棲むエクストリームな奴らの饗宴。これはひとつのローカル・シーンといえるのではなかろうか?
コメント (2)
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