クリープハイプ
全国ライブハウスツアー「一つじゃつまらないから、せめて二つくらいやろう 前編」(東京)
仕事中オフィスに流れているインターFMは、ついこの間まで「Tokyo's No.1 Music Station」と銘打って音楽番組中心だったが、昨年秋にピーター・バラカンの看板番組を終了するなどの改編を行い、すっかりおしゃべりメインのAMラジオ風の方針に変わってしまった。午後3時からの番組『Ready Steady George』は、かつてキノコホテルやLAZYgunsBRISKYなどイカした女子ロケンローを紹介したジョージ・ウィリアムズがDJなので選曲センスはいいが、パートナーとのしゃべりが多くて落ち着かない。
⇒InterFMではBarakan Morningをはじめ人気番組が続々終了 リスナーの声は届くのか2014年秋のラジオ改編(首都圏FM編)
そんなラジオから流れてきて気になったバンドのひとつがクリープハイプという4人組。「イタイイタイイタイ」と連呼するヴォーカルは首を絞められた鶏を思わせるハイトーンヴォイス。神聖かまってちゃんのようにヴォイスチェンジャーを使う訳ではなく地声である。昨年春頃、レコード会社が何の相談もなく勝手にベスト盤をリリースしたと糾弾しネットで話題になった。武道館2デイズを成功させた人気バンドでありながら、なかなか反骨精神のある若者たちだ。「世界観」「カオナシ」と名乗るメンバーもいるし、こりゃ稀代の変態バンドかも?と想像しながら、ZEPP TOKYOのワンマンライヴに参戦した。
⇒クリープハイプ公式サイト
かなり女子率の高い超満員のフロアは、アイドル現場に近いザワザワした熱気に溢れている。基本四つ打ちダンスロックに片手指さしポーズで一斉にぴょんぴょん跳ねる女子集団は、以前経験したオレンジレンジの恐怖のライヴ現場を思わせる。ラジオで聴いた通りブチキレた高音とジョニー・ロットン張りの嘲るような巻き舌で歌われる私小説的な世界観は、かつての携帯小説、今ならツイッターのパーソナルな小宇宙。完結しないまま放置された宙ぶらりんなストーリーが、既読スルーを悪とするLINE世代の共感を得るのかもしれない。
直接的なルーツがいまひとつ見えない音楽性と共に、でんぱ組のLINEスタンプを購入したものの、送る相手が家族か公式アカウントしかない筆者世代には不可知な価値観のような気がする。だからと言ってノレないかと言えばそうでもなく、祭囃子の狂騒感に自然に身体が反応するのは否めない。世代の壁を超えるには、考えるより感じることこそ有効な方法論なのだろう。
わかりあいたいなら
せめて考えないで
ただ感じあっていよう
⇒Don't think! feel!JAPANESE SAMURAI SPIRITS!!!come on!!~下山(GEZAN),the band you MUST Experience!!!