UKサイケデリック・ロックバンドTOYの最新アルバム『ジョイン・ザ・ドッツ』収録曲「It's Been So Long」のMVが公開された。監督は最初期のジーザス&メリーチェインのベーシストであり、リバティーンズ「Can't Stand Me Now」、ホラーズ「Sea Within A Sea」を手掛けたダグラス・ハート。奇妙で神秘的なラインでマッピングされたシンボル、スパイラル、固体形状、幾何学模様が重複し明滅するヴィジュアルと幻惑的なサウンドが相まって極めてドラッギーな世界を創り出している。
ノエル・ギャラガーが「宇宙的なスペース・ミュージックだ」と称賛する英ミッドランズ出身の注目新人サイケ・ロック・バンド、テンプルズ。日本でも昨年『シェルター・ソング e.p.』をリリースし、Hostess Club Weekenderで初来日を果たした。2月にリリースするデビュー・アルバム『サン・ストラクチャーズ』の1stシングル「Mesmerise」のMVが完成。監督はドイツの若手ベニエル・ハーフメイダーホルツ。ドイツのインディー系バンドのMVを手掛ける彼の手法はちょっとアレなアニメーション。どこがアレかは観て確認してほしいが、ピラミッド型宇宙船(因みにテンプルズの自宅スタジオはピラミッド・スタジオという)が迷宮神殿に潜入し、何故か突然爆発して飛び散った破片を飲み込んだデスマスクが歌いだすというシュールなストーリーはタイトル通り「催眠的」。デヴィッド・リンチにつままれたようにクラクラしちゃう。
EX THEATER ROPPONGIは昨年11月に西麻布にオープンした地下3階層・キャパ1746人のライヴハウス。地下音楽のメッカ六本木Super Deluxeの真向かいに位置する豪華な造りの建物である。年明け早々大家のテレ朝パワーで実現したJ-POPスター総出演の2週間。U.F.O.CLUB18周年と並ぶ話題のイベントである。
そのU.F.O.CLUBで年明け早々に観たBorisでバンド女子への恋心が再燃しかけたところへ、お気に入りの女子バンド三つ巴のワンナイトスタンド。おみくじは凶だったがでんぱの神神に祈った甲斐があったってもの。10年ぶりに元カノに会うようなドキドキ感に胸を弾ませ会場入り。最新型の設備や音響装置はTOYKO DOME CITY HALLによく似ている。綺麗過ぎてちょっと落ち着かないが、2階スタンド席からもステージが近くて観易い。それにしても男子率が高い。女子バン祭りはアイドル現場に近いのかもしれない。ただしケチャは指差しのみ。場所柄招待者風のおぢさんも多い。出演3バンドは今まで何度も対バンしている仲良しグループ。楽屋の姦(かしま)しさが想像出来る。データでは結成と(メジャー)デビューが2年ずつズレているのが興味深い。ビミョーな年齢差もいい。
今回はUFO CLUB18周年企画のひとつとして道下慎介(G/LSD March、オシリペンペンズ)、亀川千代(B/ex.ゆらゆら帝国、不失者)、高橋幾郎(Ds/ex.不失者、LSD March)との共演。上記2011年9月5日のダモ鈴木ネットワークにこの3人が参加した際、三上がディスクジョッキーを務めた。その縁かどうかわからないが、4人は昨年6月30日にUFO CLUBで初共演を果たした。今回はそのライヴCD『Y A M A M O T O』のレコ発である。
最新ソロ『ブログ ツィート フェイスブック』のPVで語るように自分の過去を拾う旅に出る三上が最高の道連れを見つけた訳だ。アルバム・タイトルでありバンド名でもある『Y A M A M O T O』に込められた意味、自分を含めメンバー、観客も全員「Y A M A M O T O」でいいじゃないかと言って、「Y A M A M O T Oの日」「Y A M A M O T Oの会」を宣言する心の境地は、決して諦めややけっぱちではなく、これから始まる新たな旅路への信念に違いない。
灰野敬二は新年早々3週間で4回ライヴというハイペース。青葉市子&マヒトゥ・ザ・ピーポー、石川浩司、Boris with Merzbow etc.とユニークな組み合わせが続いた最後はジャズの聖地新宿ピットインでドラマー本田珠也主宰のセッション。昨年の同時期に「本田珠也SPECIAL SESSION」として近藤等則と井野信義(B)とのトリオで出演しているので、毎年恒例なのかもしれない。
きゃりーぱみゅぱみゅが着々と進化する一方で、もうひとつの現代日本のポップアイコンであるボーカロイドの進化も著しい。昨年夏発売の初音ミク英語版をきっかけに海外進出を目論む。先鞭を切るのは、アキバとノイズの合体ユニット初音階段。2月下旬Multiple Tapに参加し、英国紳士淑女の前でお披露目。世界制覇祈念の秘密兵器として全曲懐かしの洋楽ヒットで構成した新作CDをリリース。。前作『からっぽの世界』のえぐい歌謡曲・フォーク・J-POP選曲で通を唸らせたマル非だけあり、通常の洋楽ではなく人ひねりもふたひねりもしたプログレやパンク、カルトな名曲をセレクト。ディオンヌ・ワーウィックやカーペンターズで有名な『恋よ、さようなら(I'll Never Fall In Love Again) 』というタイトルで偽装、"わたせせいぞう風"のジャケットはELPの『ラヴ・ビーチ』(1978)のパロディ。ELP解散発表後にリリースされ、もはやプログレッシヴの欠片もない駄作として知られる迷盤にオマージュするあたりは極悪の教典の主ならでは。当初1月22日発売予定だったが、2月12日に延期になったので音は聴けないが、商品コメントでは「もちろんボーカロイドのアンニュイで可憐なボーカルと轟音ノイズの融合も健在!」とのこと。乞うご期待!
01.My Bloody Valentine / You Made Me Realise
02.Sweet Jesus / Real Babe
03.Pale Saints / Half-Life, Remembered
04. Ride / Dreams Burn Down
05.Rocketship / Kisses Are Always Promises
06.Teenage Fanclub / Star Sign
07.My Bloody Valentine / When You Sleep
08.Slowdive / Alison
09.Chapterhouse / Pearl
10.The Jesus And Mary Chain / Just Like Honey
11.Sonic Youth / Teenage Riot
昨年に続く二回目となるワールドツアー「KPP NANDA COLLECTION WORLD TOUR 2014」は合計11か国・地域16公演で、約3万5千人を動員する。新曲「ゆめのはじまりんりん(意訳:BeBeBeBeginning of The Dream)」でティーチャーとマイフレンドにグッバイを告げる進化の巨人=きゃりーぱみゅぱみゅの動向から目を離すことは出来ない。
コンサートのハイライトは悪魔に狙撃され紫の血を流して倒れたきゃりーが何事もなかったように立ち上がり歌い続ける演出だった。きゃりーが特にこだわって不死身のきゃりーぱみゅぱみゅを表現したかったという。不死身を目指すきゃりーの今後を占うために為に、音楽界の「不死身の壁(Walls of Immortality)」を調査・分析し、KPPに捧げたいと思う。
「不死身の花」は2000年の5thアルバム『Relaxin' WITH THE HIGH-LOWS』に収録。テレビ朝日系「いきなり!黄金伝説。」エンディング・テーマ。不死身で永遠に変わらないがゆえに誰からも愛されない戦場の花の悲哀を歌ったリリックは泣ける。しかしジョーシキに囚われず常に変わり続けるきゃりーなら負けはしないだろう。