1990年末に結成され当時のガールズ・ガレージ・シーンでもとりわけ60年代ガールズ・ポップスへのこだわりに溢れたサウンドで人気を博したママギタァが奇跡の復活。10年ぶりの3rdアルバムを坂本慎太郎氏のzelone recordsからリリースした。1stと2ndはマーブル・シープの松谷健氏のCaptain Trip Recordsから出ていたのでつくづくミュージシャンに好かれるバンドだと思う。
彼らの現在のところ最後のライヴの2006年新宿Red Clothを観に行った。当時熱愛していたガールズ・ガレージsixとの対バンだった。ワイルドなsixのガレージ・ロックに比べ、60'sポップスの香り濃いコーラスワークを核にしたママギタァのソフトな演奏は新鮮だった。CDは聴いていたがライヴは初めてで、ライヴの方が数倍良かった、と当時感想を書いている。その時ギターのJun嬢以上にリード・ヴォーカルを取っていたベースのIris嬢が脱退し、Jun嬢とドラムのYoko嬢の二人組になってしまった。女の子バンドは男性に比べて恋愛や結婚、妊娠、子育てなど女性特有の事情があるので、継続して活動していくのはなかなか難しいようだ。古株の少年ナイフが休み無く活動しているのは奇跡的なことだし、ガレージ系ではThe 5,6,7,8'sが散発的ながらも地道に活動を続けている。バンドが大好きな女の子たちは男性以上に頑張っているのだ。
「ママギタァがママギタァを歌う」と古風なタイトルがつけられた新作ではベースを坂本慎太郎氏がプレイしているが、作詞・作曲・プロデュースともにママギタァのふたりの手によるモノだから、このアルバムにゆら帝の香りを嗅ぐことは出来ない。しかしゆら帝時代からコーラス/ヴォーカルに彼女たちをフィーチャーしてきた坂本氏の愛情は色濃く感じることが出来る。どの曲もドリーミーで甘いポップスとして完成されており、同じく60's志向のキノコホテルのアクの強さには負けるが、リラックスしたいとき木漏れ日の下で聴くには最適のアルバムである。あとは新ベーシストを早く見つけてライヴでも復活してくれるのを願うばかりだ。
PVは坂本慎太郎氏監督・作画によるアニメ作品。
ママギタァ
ジャケット写真も
素敵だな
ライヴ再開といえば肝心の坂本氏の動向が気になるところだ。