The Birthdayが前作『BLOOD AND LOVE CIRCUS』以来、約1年7ヶ月ぶりとなる通算9枚目のオリジナル・アルバム『NOMAD』をリリース。アルバムを引っさげての全国ツアーの初日が横浜Bay Hallで開催された。<遊牧民>というロマンティックで詩的な名前を冠されたアルバムは「夢とバッハとカフェインと」「抱きしめたい」の2作のシングル曲を始め、詩の世界はこれまで以上にイマジネーション豊かで、より「聴かせる」ことに集中したミッドテンポの曲調が印象的。その中にデビュー当時から核にある荒々しいガレージロックの魂(ソウル)が内包され、凄みすら感じさせるジャケットに相応しい男気溢れる作品である。
みなとみらい線横浜・中華街駅からBay Hallへ向かう途中のドンキホーテがあった辺りが再開発で何も無くなり景色が一変していた。しかしながらBay Hallの周辺は記憶にあるままの風景で何となく安心する。完全ソールドアウトの会場内はメンバーと同世代か上の年配ロックファンと20代の現役ロックファンが入り交じり、特に女子の姿が目立つ。ロケンローに世代や性別の違いがないのは周知の事実だが、自分の目で確かめることで、自分の中のロケンローの火が再燃するのを感じる。前年の“シャム猫の絶叫” TOUR 2016もこの会場からスタートした。クハラカズユキは昔横浜に住んでいたというし、ロケンローの八百万の神のひとりはこの地の生まれに違いない。
前述したようにアルバム全体じっくり聴かせるナンバーが中心という印象を持っていたが、CDとライヴは全く別もの。オープニングの「24時」から本編ラストの「抱きしめたい」まで、ぐいぐい腰から下がグラインドするような、ロケンローの妖しいノリ(グルーヴなどという陳腐な言葉は使わない)に、知らず知らずに両足を踏み締めて、頭の中では言葉の重みを噛み締めてした。それにも関わらず気持ちは軽く空の彼方に舞い上がるのは、The Birthdayの音楽が魂のダンスを誘発するからに違いない。チバユウスケのハウリングシャウトと、クハラカズユキのドリルビート、フジイケンジのサーベルギター、そして柱の影で殆ど姿が見えなかったがヒライハルキのバイブレーションベース。四つの肉体の軋轢が擦り合って絞り出される果実こそがThe Birthdayのエッセンス、即ちロケンローなのである。終演後地下鉄駅を目指して上気した顔で、遊牧民の足取りで横浜通りを歩く散切り頭を絞って滲み出て来た翠(みどり)の液体がオレのすべてなのかもしれない。つまりロケンロージュースである。
The Birthday 9th Album「NOMAD」アルバムダイジェスト
遊牧民
流浪の民とは
違う筈
The Birthday 9th Album「NOMAD」初回限定盤Blu-ray&DVDダイジェスト
The Rolling Stones - Going To A Go-Go (Live) - OFFICIAL PROMO
ゴーゴーと
風が呼んでる
行け!瑛美
●でんぱ組.inc『GOGO DEMPA』
2016年4月27日リリース。現体制のでんぱ組になって5周年という節目の年にリリースされた4thアルバム。!ゆず 北川悠仁×ヒャダインによる夏のアンセムチューン「おつかれサマー!」、漫画家・浅野いにお作詞による「あした地球がこなごなになっても」、でんぱ組.incらしさの詰まった三ヶ月連続配信シングル「破!to the Future」「ファンファーレは僕らのために」など豪華シングルを含む、“ベストオブでんぱ組"な内容!
瑛美さんがゴーゴーと言う気持ちを考えると、やはり6人揃ってでんぱ組、の掟は変わらない筈。それにしても最近何かと物議を醸すブログ発言や意味深インスタコメントなど、不安定要因は多々あるが、交通整理の要領で仲間に手振りで伝えるウキウキジェスチャーでライヴ再開をお願いしたい。
でんぱ組.inc「GOGO DEMPA TOUR 2016」 LIVE Blu-ray & DVD Trailer
28ページのブックレットにはMOJOマガジンの記者でダムドのバイオ本『Smashing It Up: A Decade Of Chaos With The Damned』の著者でもあるキーロン・タイラーによる詳細なライナーノーツを数多くの写真・図版入で掲載。紙ジャケは正直言って日本製に比べるとクオリティは劣るが、厚手のボックスは安価盤(£17.99=約¥2600)にしてはしっかりしている。
『LATE NIGHT MOVIES, ALL NIGHT BRAINSTORMS/精神錯乱』(MARCH 1976)+5
1. WAITING
2. AFTERGLOW
3. MITZI'S CURE
4. I THINK WE'RE ALONE
5. THE NOISES OF THE EVENING
6. BILLY WATCH OUT
7. B-MOVIE BEDTIME
8. MAINLINES
BONUS TRACKS
9. DOCTORS OF MADNESS **
10.BALLAD OF A THIN MAN *
11.WE DON’T GET BACK *
12.B-MOVIE BEDTIME *
13.OUT *
* PREVIOUSLY UNRELEASED DEMO’S
** OUTTAKE
『FIGMENTS OF EMANCIPATION/虚構の美学』(OCTOBER 1976)+3
1. BROTHERS (FOR JOHN & BRIAN)
2. SUICIDE CITY (FOR JACQUELINE)
3. PERFECT PAST (FOR RENE)
4. MARIE & JOE (FOR MARIE & JOE)
5. IN CAMERA (HUIS CLOS)
6. DOCTORS OF MADNESS (FOR ME & YOU)
7. OUT (FOR MITZI)
BONUS TRACKS
8. FRUSTRATION * 9. I MAKE PLANS *
10.TRIPLE VISION **
* PREVIOUSLY UNRELEASED DEMO’S
** ACOUSTIC DEMO
『SONS OF SURVIVAL/生存衝動』(MARCH 1978)+5
1. 50s KIDS
2. INTO THE STRANGE
3. NO LIMITS
4. BULLETIN
5. NETWORK
6. SONS OF SURVIVAL
7. BACK FROM THE DEAD
8. TRIPLE VISION
9. KISS GOODBYE TOMORROW 10.COOL (LIVE IN THE SATIN SUBWAY)
BONUS TRACKS
11.DON’T PANIC ENGLAND
12.WILLIAM BURROUGHS INTRO TAPE (LIVE)
13.TROUBLE (LIVE)
14.MAKING MACHINES (LIVE)*
15.WHO CRIES FOR ME? (LIVE)*
日本・デンマーク外交樹立150周年記念イベントのひとつとして「オポジット2017」(OPPOSITE 2017)が5月11日から20日まで六本木SuperDeluxeで開催された。30人以上のミュージシャン、10人を超える来日スタッフ、日本のデンマーク大使館や観光・企業関係者が多数関わり、ライヴ・コンサートだけでなく、会場のアートやインテリアや装飾、飲食までデンマーク産で統一した本当の意味でのショーケースだった。殆どは初めて名を聞くミュージシャンだったが、2年前に来日公演を観たギタリストのヤコブ・ブロと並んで馴染みがあるのが女性アルトサックス奏者メテ・ラスムセンだった。彼女の名前を最初に知ったのはNY即興シーンを伝えるサイトJazz Right Nowの紹介記事だった。今回の来日では、ドラマーのクリス・コルサーノとのデュオで日本各地をツアーした。OPPOSITE 2017には最終日の5月20日(土)に坂田明とジム・オルークを加えたカルテットで出演、ハードコアな演奏を繰り広げた。
2017.5.24 Release
CD Nomart Editions NOMART-113
Price:¥2,000+tax
1. ASIA 26: 42
Recorded live at ART SPACE BAR BUENA, Shinjuku, Tokyo on Oct 14th 2016
Art direction & Produce: 林聡 Satoshi Hayashi
Art work: 韮澤アスカ Asuka Nirasawa “incarnation 1 (Cover)”, “cell 1 (Back cover)”
Liner notes & Comment: 剛田武 Takeshi Goda
Design: 笹岡克彦 Katsuhiko Sasaoka
Management: sara (.es)
in memory of 生悦住英夫 Hideo Ikeezumi
2017 .5.18 Release
Self Release Digital album
⇒Bandcamp DLサイト
Chris Pitsiokos - alto saxophone and composition
1. Ballad25 04:47
2. Four Alto (dedicated to Anthony Braxton) 07:20
3. Flutter 02:28
4. Arentwe 02:58
5. Waiting 06:30
6. blue24 04:38
7. Kettle of Birds 04:20
8. Two lines one dotted 07:12
All tracks recorded at Issue Project Room in Brooklyn, NY in March of 2017. Track 2 contains several overdubs--all other tracks done without overdubbing. No effects used on any tracks.
Recorded and Mixed by Chris Pitsiokos
Mastered by Philip White
Cover photo by Anna Ekros
Special thanks to Bob Bellerue, Zev Greenfield, and Issue Project Room
アルト管の中を息が通過する摩擦音(M-3)が、短いフレーズが繰り返されるミニマリズム(M-4)に転化する。遠くで木霊するアルトの音色が聴き手を包み込み柔らかい残響が安心感を育むM-5「Waiting(待ち合わせ)」は、タイトル通り暫しの憩いの時間(とき)。M-6「blue24」は1曲目と同じくフリークトーン一本のナンバーだが、ブルージーなしわがれた音が延々と続く哀しい歌。本作で最も音の躍動感に富んだM-7「Kettle of Birds(鳥のケトル)」は鳥のさえずりを模した微細なフレーズが反復されるミニマル狂想曲。ジャズやロックではなく、クラシカルな基礎に基づいた超絶技巧を遺憾なく発揮する。怒濤のテクニックに眩惑された聴き手に深い残響の霧に煙るジャジーな旋律(M-8)が別れを告げる。
NECRONOMIDOL and New Directions in Japanese Metal
by Patrick St. Michel twitter @mbmelodies
from bandcamp daily May 18, 2017
translated by Takshi Goda under kind permission from author
live photos by Takeshi Goda
一方で彼女たちのライヴショーは典型的なメタルとは言えない。例えば、ステージにはギターもドラムもなく、その代わりにバックトラックにあわせて、5人のメンバーがユニゾンで踊り、歌い、時々血が凍るような叫びをあげる。表現方法は非典型的ではあるが、ヘヴィメタルの境界を超えた新しいサウンドを追求する日本のバンドはネクロ魔だけではない。彼女たちは大阪を拠点とするバンドVammplliaや東京のインダストリアルとメタルのフュージョン・ロッカーLegion of Andromeda、その他数多くのバンドを含むシーンの一部なのである。
『DEATHLESS』は1stアルバム『NEMESIS』よりも早いペースで制作された。「スケジュールはとてもタイトでした。歌詞とヴォーカルのメロディーがレコーディングの3日前に届いて、直ぐにスタジオ入りして録音しなければなりませんでした」と夜露ひなは言う。短期間の作業にも関わらず、アルバムは、シンセ・ポップ・ナンバー「Skulls In The Stars」から伝統的なメタル「End Of Days」まで、この5人組がこれまでリリースした中で、最も集中力があり自信に満ちた作品になった。
東京の4人組OVUMのリーダーNorikazu Chibaによると、2ndアルバムが出るまで多くの人は彼らを伝統的なポストロック・バンドと看做していた。「その頃から、サウンドによりヘヴィでよりアグレッシヴなアプローチを進めました」とChibaは言う。「今は自分たちのスタイルを“メタルよりのインスト・ロック”と定義しています」。ヨーロッパ・ツアーに刺激されたこの変化は、OVUMのギター・ディストーションとヘヴィ・ドラムの比重を増すことになった。昨年の雷鳴のようなアルバム『Nostalgia』と同胞の日本のバンドa picture of herとのスプリット・シングル「Cinder」で聴けるように。
この東京の二人組はインダストリアル・ミュージックとブラック・メタルを粉砕する境界線をぼかし、繰り返しを最大限に活用する。デビュー・アルバム『Iron Scorn』のライナーノートは「全体的な憎しみに満ちた残酷なほどヘヴィな7つのスラブ。世界は死に絶え人類はクソである」と記している。スティーヴ・アルビニが録音とミックスを担当した楽曲は、この記述にかなり忠実なサウンドを提示する。対抗できるのはGodflesh、アルビニのバンドShellac、そして日本のブラック・メタルとノイズの融合ユニットEndonくらいだろう。しかし二人のメタルをぶん殴るようなアプローチは、このリストの中でもっとも対立的なエントリーと言える。そのスタイルは彼らのインタビューにも及ぶ。「オレ等はどのシーンにもフィットしない」と彼らは言う。日本のメタルの状況を尋ねられると「クソだらけ」と答えた。
Legion Of Andromeda - Scourge Of Pestilence