A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【セットリスト+MIX音源公開】異端音楽天皇誕生日〜盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.33@渋谷DJ Bar EdgeEnd 2020.2.24(mon)

2020年02月27日 01時31分00秒 | 素晴らしき変態音楽


2020年2月24日 (月・振替休日) 渋谷 DJ Bar EdgeEnd
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.33
Anniversaire de l'empereur de Hérésie 異端音楽天皇誕生日


新型コロナウィルスの影響でイベントの中止や集会の自粛が始まり繁華街から客足が遠のく3連休の最終日、通常に開演した33回目の盤魔殿は、何故かポップでダンサブルな選曲が多く、世の中の不安を吹き飛ばすかの如き「踊るDJイベント」の様相を呈した。言うまでもないことだが踊るか踊らないかは人それぞれの自由である。スタート当初「踊れないDJイベント」と銘打ったのは「クラブ」や「DJイベント」は「踊るのが当たり前」という高圧的なピアプレッシャーへのアンチであった。その逆に「リズムがないと踊れない」というネガティヴシンキングをも是正するのが盤魔殿精神。曾て言われた「赤や緑の照明で、男女の客が身体を揺らしている状態」が「踊りである」という嘘八百の風評被害を粉砕するために、我々盤魔殿は体制権力&病原菌と戦い続ける所存である。



TIME TABLE
18:00-18:30 Open/FreeZone 自由参加
18:30-19:00 DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
19:00-19:30 DJ Paimon a.k.a. moppy 
19:30-20:00 DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
20:00-20:30  LIVE : DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+ DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
20:30-21:00  DJ Bothis a.k.a. 山田遼
21:00-21:30  DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
21:30-22:00 LIVE : Mojo Beatnik(投げ銭制)
22:00-22:30 DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元

●FreeZone 自由参加


DJ Necronomicon
1. グレープ / 哀しみの白い影
2. 有頂天 / ヤクザなピリカメノコ
3. Charlie and the Hot Wheels / Hot Rod Highschool

DJ Aepyornis
1. ウルトラ・ビデ / 若いこだま(from渡邉浩一郎『まとめてアバヨを云わせてもらうぜ』)
2. ウルトラ・ビデ / インプロビゼーション・アナーキー(from『THE ORIGINAL ULTRA BIDE』)

DJ Qliphoth
1. Fire + Ice / Corpus Christi

●DJ Athmodeus a.k.a. 持田保


1. Martin Denny / Waipio
2. Teiji Ito / Congo
3. John Cage / Bard Cage
4. Milford Graves / Optical Inversions
5. The Loop Orchestra / Gam
6. Pink Floyd / Money
7. Louis & Bebe Barron / Forbidden Planet
8. Tapes / Helix Dub
9. Tapes / Summer Jam



●DJ Paimon a.k.a. Moppy
 

80’s地下POPセット
1. Variete - Angelic Alice
2. Elle Nadja - サクラ色のシャツ
3. Lewisite - タイムトラベラー
4. D-Day - CITRON
5. Nav Katze - 夕なぎ
6. Cornets -4時35分
7. やぎ - 没落遊園地
8. Syzygys - Suicide On A Fine Day
9. Pockets - 夢で逢えたら



●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規


1. Altin Gün / Tatli Dile Güler Yüze
2. Bunalım / Başak Saçlım
3. Ananda Shankar / Streets Of Calcutta
4. Muslimgauze / Lion Of Kandahar (Extended Re-Mix)
5. Lula Côrtes E Zé Ramalho / Trilha De Sumé
6. Marconi Notaro / Ode A Satwa
7. Al Doum & The Faryds / Weed And Love
8. Raksha Mancham / Kalimât Li Samra Al-Ûla
9. Metro Farce / 宵闇峠地五郎変化 (よいみやとうげじごろのかわりみ)
10. Martyn Bates / Hallucination
11. La Tène / La Thouraz Di Sopra



●LIVE ACTION1:DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+ DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda


DJ Necronomicon使用音源
・Whitehouse / Birthdeath Experience
・Whitehouse / Erector
・The 150 Murderous Passions
・Come / I'm Jack
・Fur Ilse Koch
・Leibstandarte ss mb / triumph of the will
・The New Order / Bradford Redlight District
・Whitehouse / Psychopathia Sexualis
・Necronomidol / Sarnath
・Field Recording Birmingham March, 2019
・Flutesax Solo Jan. 2020





●DJ Bothis a.k.a. 山田遼


1. Jack Or Jive - Harmony Of Pulse
2. Sakana - コカ
3. Sarry - ψ [Psi]
4. Sakana - Merry Go Round
5. Daniel Johnston(R.I.P) - True Love Will Find You In The End
6. Sakana - ヴィテル
7. Daniel Johnston(R.I.P) - Walking The Cow
8. Jack Or Jive - A Song For Asia
9. Daniel Johnston(R.I.P) - Despair Came Knocking
10. Jack Or Jive - Intercourse



●DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫


1. Fire + Ice / Reaper Man
2. Death In June / Behinde The Rose (Fields Of Rape)
3. Elijah’s Mantle / Litanies Of Satan
4. Fire + Ice / Corpus Christi(mix JJ)
5. Sol Invictus / The Gods Looked Down
6. Current 93 / Imperium V
7. Current 93 / How The Great Satanic Glory Faded
8. Chris and Cosey / Dancing Ghosts
9. Emeralds / Genetic
10. Noisuf-X / Destorted Self-Perception
11. iszoloscope / First Trancendental Component(featuring norad)
12. Current 93 (vocal Mark Almond) / Idumæ



●LIVE ACTION2:Mojo Beatnik


1. La Petit Mort
2. The Witch
3. Farthest reaches
4. Sinners
5. Time Has Cracked
6. Hopeless, Sadness





●DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元


1. SUGAI KEN meets G禁禁禁禁 /芥
2. SUGAI KEN meets G禁禁禁禁 /伊呂波
3. Smegma / bambys bounce
4. HANS GRUSEL'S KRANKENKABINET / Slivers
5. The durian brothers / hamigokakiko
6. Rick Potts / Garco
7. SUGAI KEN meets G禁禁禁禁 /腐岩
8. Sonic Youth With Yamatsuka Eye / No Song 2 (Part 4)
9. ほぶらきん / 魚うり

【ミックス音源公開】
ダウンロード期限 2020年4月27日(月)
*Full Mix Recording except Mojo Beatnik Live Performance

GigaFile Link

コロナ菌
来るなら来てみろ
盤魔殿

【NEXT PARTY】
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會Vol.34
Festival des fleurs d'avant-garde 前衛花見会


2020年3月28日(土)阿佐ヶ谷TABASA
18:00 Open/Start ¥1,000 (1drink別)

盤魔殿DJ+ゲスト
花見の前に異端音楽鑑賞会

【盤魔殿番外編】
爆裂ネクロ盤魔殿
Disque Daemonium d'NECRONOMIDOL et BURST GIRL


2020年3月15日(Sun) 渋谷 DJ Bar EdgeEnd
18:00 Open/Start ¥1,000 incl. 1 drink

魔ヲタ&爆団DJ's(順不同)
DJ Minoloux!/DJ なまず/DJ META-cheeee/DJ せまし/DJ TKD/DJ 闇鍋/DJ myzk/DJ 憑琉陀ケ/ DJ Necronomicon / DJ Gacha / DJもりけんぴこ / DJくそがきごろう / DJ いち子 
*ルール:各DJの持ち時間は20分。ネクロ魔・爆女の曲は各1曲まで(かけなくてもOK)。
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【ブラックメタルの一夜】Worship Pain/SSORC/Begrabnis/Fra Hedensk Tid/haraappa@中野MOON STEP 2020.2.22(sat)

2020年02月24日 02時30分36秒 | こんな音楽も聴くんです


Kaala pre.
The Tower Vol.4
Worship Pain Release Gig

Worship Pain / SSORC / Begrabnis / Fra Hedensk Tid / haraappa / Sungoddess

OP-17:00 / ST-17:30
ADV-2000 / DOOR-2500yen+1drink order

地下アイドル現場は多種多様な音楽の趣味を持った人達が集まっている。特に筆者の主現場のネクロ魔(NECRONOMIDOL)と爆裂女子のファン(ヲタク)は普通以上に深く音楽へ入れ込んだ人が多い。だからこそヲタクDJイベントが単なる身内の宴会ではなく、様々な音楽を楽しむ場として成立するのである。
【特報】3/15魔ヲタ×爆団DJイベント開催決定!『爆裂ネクロ盤魔殿 Disque Daemonium d'NECRONOMIDOL & BURST GIRL』〜地下アイドルヲタクDJシーンの超革命。

また、バンド経験のあるヲタクも多く、現役のミュージシャンも少なくない。爆裂女子の筆者の推しメン都子ちゃんのヲタク(通称みやこん部)のひとりがライヴに出演するというので、2年半前の2017年9月13日に爆裂女子の前身グループ偶想Dropがパジャマライヴ「ゆるっと偶ドロ」を開催した思い出のある中野LIVE & PUB MOON STEPへ出かけることにした。


(Moon Step外観写真はTwitterからの拾い画像です)

「日本は桜、ロボット、芸者、アニメなどで有名だが、実際はアンダーグランド・カルチャーこそ日本の「隠された」資産である。特にBlack, Death, Doom, Grind, Hardcore, Psychedelic, Noiseなど世界で最もエクストリームな音楽が日本に数多く存在する。しかし社会の表面には現れないアンダーグランド・シーンで活動するバンド達を見つけるのは容易くない。そんな日本のエクストリーム・ミュージックを掘り起こし、地下音楽全体の生態系を明らかにするのが我々の目的だ」と宣言する企画組織Kaalaの主催イベント。日本在住の外国人のバンドが2組、日本人のバンドが3組出演。観客も外国人が多く海外のライヴハウスに迷い込んだような不思議な雰囲気。しかし地下極端音楽を楽しむ姿勢に国籍も人種も性別も関係ない。すべてのバンドが初見だったが、それ故に新鮮な喜びを感じ、楽しい時間を過ごした(一番手のSungoddessには間に合わなかった)。

●Harappa


東京をベースに活動するインド系ドローンドゥームメタルバンド。サーランギのSEがずっと流れたままで、インド風のメロディを持ったメタルサウンドを展開する。G/Voの歌はインド社会に関連した政治的な内容の歌詞に聴こえた。サイケデリックの要素もあり、ラーガ・メタルと呼んでみたくなる。

Live Indian Drone Doom Metal - Harappa perform 'Vikas'



●Fra Hedensk Tid


2010年結成。静岡のブラック・メタル・バンド。KAWANA(g)、SIN(vo)を核とする4人組。ひたすらブラストビートを刻む驚異的なドラムとベース、これぞブラックメタル。しかし基本はポップなコード感が貫かれ、ハードコアパンクなサビがあるので飽きることがない。白塗りメイクはAlien Sex FiendかThe Cramps、メタルというよりパンクの香り気に入った。

Fra Hedensk Tid at Full Metal Yakuza



●Worship Pain


この日がレコ発ライヴの日本在住外国人4人組ブラックロックバンド。メンバーそれぞれ別のバンドでも活動しているようだ。ツインギターの重厚なヘヴィロックにペイン(痛み)とファッキン(くそったれ)を歌うパワーヴォーカル。<肉を喰う西洋人に、米を食う日本人は叶わない>という時代錯誤な言葉が頭に浮かぶほど、体力の違いを見せつけるパフォーマンスだった。

Worship Pain Live at Pit Bar in Tokyo (Part I)



●Begräbnis


仙台のfuneral doom deathバンド。メンバーはHarima - 6strings/ Chorus、Kyou - 6strings、Fumika Souzawa - Vocal。オープニングで鈴を鳴らしながら登場する儀式は呪をテーマにしたアイドルユニットじゅじゅを思わせる。二本のギタードローンの中、女性司祭がデスヴォイスで演じるパフォーマンスは、やはりじゅじゅやネクロ魔に通じるゴシックワールドを描き出した。

Begräbnis - Live at Blue Resistance Ishinomaki, Japan 石巻ブルーレジスタンス(2019/3/8)



●SSORC


2000年結成、日本の古参ブラックメタルバンド。ヴォーカルとベースはTokyo Darkcastle等でゴス系DJとしても活動しているらしく、ブラックメタルにゴシックロックのイメージが加わったアーティズム的アンダーグランドの芳香を放つ。後半は客席乱入パフォーマンスで観客も巻き込み暗黒世界を礼賛した。

SSORC live Tokyo Dark Castle


本当の
ブラックメタルは
黒だけじゃない

ネクロ魔のサウンドへのブラックメタルの影響がよく分かった。
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【特報】3/15魔ヲタ×爆団DJイベント開催決定!『爆裂ネクロ盤魔殿 Disque Daemonium d'NECRONOMIDOL & BURST GIRL』〜地下アイドルヲタクDJシーンの超革命。

2020年02月22日 01時31分16秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿番外編
爆裂ネクロ盤魔殿
Disque Daemonium d'NECRONOMIDOL et BURST GIRL


2020年3月15日(Sun) 渋谷 DJ Bar EdgeEnd
18:00 Open/Start ¥1,000 incl. 1 drink

魔ヲタ&爆団DJ's(順不同)
DJ Minoloux!/DJ なまず/DJ META-cheeee/DJ せまし/DJ TKD/DJ 闇鍋/DJ myzk/DJ 憑琉陀ケ/ DJ Necronomicon / DJ Gacha / DJもりけんぴこ / DJくそがきごろう / DJ いち子 
*ルール:各DJの持ち時間は20分。ネクロ魔・爆女の曲は各1曲まで(かけなくてもOK)。



異端DJイベント『盤魔殿 Disque Daemonium』の番外編として"暗黒系アイドルユニット"、ネクロ魔ことNECRONOMIDOLのファン、通称・魔ヲタによるDJイベント『ネクロ盤魔殿』がこれまで3回開催された。アイドルファンであると共にそれぞれこだわりのある音楽ファンでもある魔ヲタによるDJプレイは驚異的なバラエティでアイドル現場に負けない一体感を生みだした。この奇跡的な喜びを世界に広めようと考えて、ネクロ魔とたびたび対バンし、ファン同士の交流も盛んな"最強で最狂 暴れまくりパンクロックアイドル"、爆裂女子のファン、通称・爆団とのコラボDJイベントを企画した。

ブラックメタルやポストブラック、ダークウェーブ、NWOBHMを中心とするネクロ魔と、パンクロックを核にハードコアやラウドロックをぶちかます爆裂女子のヲタク同士がガチで組んで産み出すケミストリーは、日本中の地下アイドルヲタクDJシーン(そんなものはないが)に、phantasmagoria cosmosな超革命を起こすに違いない。

TIMETABLE
18:00 DJ Minoloux!
18:20 DJ Gacha
18:40 DJ META-cheeee
19:00 DJ TKD
19:20 DJくそがきごろう
19:40 DJ 闇鍋
20:00 DJ Necronomicon
20:20 DJ せまし
20:40 DJもりけんぴこ
21:00 DJ myzk
21:20 DJ いち子 
21:40 DJ なまず
22:00 DJ 憑琉陀ケ
22:20 (終演後物販無し)


【注意事項】
●飲み物の持込みは絶対禁止です。
●食べ物の持込み/差し入れは歓迎です。
●手洗いうがい、マスクの用意など、感染防止策をお願いします。
●体調の優れない方は無理をせずご来場を見合わせる等、感染予防にご協力ください。


ヲタクDJの聴かせどころ
●DJ Minoloux!(Mᵢₙₒₗₒᵤₓ!@minoloux):日本のロック、歌モノで。


●DJ なまず(なまづ @satyriconcon):みんな大好き、USインディー(80年代末〜90年代初頭)


●DJ META-cheeee(ちぃめた@TWty78t):女性ボーカルのメタル、ラウドルを中心に


●DJ せまし(ひろし/せまし@rocknroll_saiko):邦洋問わずカッコイイROCK'N'ROLL


●DJ 闇鍋 (キカ鍋@bishbisgp):ウキ〜ッてなったりキュンってなったりするやつ


●DJ myzk (再現出来ない ジグソウ・パズル@KLF_2025):A.weatherall関連の曲


●DJ 憑琉陀ケ(Keiichi Tsuruta ☬ 憑琉陀ケ@tsurutak):推し+ノイズ
 

●DJ Necronomicon(ひろミサ✰剛田武@mirokristel):ラブ・サウンド


●DJ Gacha(がちゃ@badbeattrip):日本のミクスチャロック、パンクロック


●DJくそがきごろう(爆発ごろうっくん⭐️@自由飲酒党🍶全爆連🔥畜生🐶🐾@super_goro):令和だけど昭和の名曲を肴に今夜は飲もう。


●DJ いち子 (🍥いっちー🍥【爆団ちゃまず】@chamaz1121):邦楽メジャーロックの世界
 

●DJ TKD(TKD@dj_tkd) エレクトリック・ボディ・ミュージック



●DJもりけんぴこ(もりけんぴこ👯‍♀️オレ、ゆらぴこ💘しか見えない2020‼爆裂女子9/30爆裂大乱闘渋谷WWW@qYTRk8wk6nLuv6P)





推しの壁
越えて交わる
盤魔殿

▼両グループ共に重大発表あり。

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【私のB級サイケ蒐集癖】第26夜:モーレツハレンチサイケ復興〜ナズ・ノマッド&ザ・ナイトメアズ/デュークス・オブ・ストラトスフィア

2020年02月21日 08時02分27秒 | 素晴らしき変態音楽


「サイケ」という言葉を筆者は小学校低学年の頃に知っていたように思う。1970年の大阪万博、テレビ番組『ゲバゲバ90分』、漫画『ハレンチ学園』(テレビドラマは親に観ることを禁止されていた)などがモーレツでハレンチでサイケな昭和元禄を彩っていた。ウルトラセブン、仮面ライダー、スペクトルマン、レインボーマン、ミラーマン、変身忍者山風嵐といったテレビヒーローが戦う悪役たちは毒々しい極彩色の怪人・怪獣・宇宙人。ニュースで報道される過激派やフーテンやヒッピーと呼ばれる若者たちのイメージもサイケな記憶として脳に刻まれている。だから「サイケ」とは音楽用語ではなく、世の中からはみ出す「アウトサイダー」の中でも派手に行き過ぎる狂った存在を指す言葉だった。

しかし筆者が洋楽ポップスに目覚めた70年代後半には、「サイケ」なんて言葉を聞くことは殆どなくなった。つまり死語だった訳だ。特にパンクムーヴメントでシンプルでストレートなロックが復権すると、モーレツでハレンチでサイケな昭和40年代の残り香は過去のものとして完全に葬り去られる運命に見えた。しかしながらプログレやグラムやウェストコーストやサザンロックを血祭りにしようと気炎を上げたパンクスは、自らのルーツをそれ以前の60sビートロックやR&Bに求めて原点回帰したそのあとで、再び時代を辿って死んだ筈のサイケデリアを再発見し復活させてしまったのである。

それはエコー&ザ・バニーメン、ザ・キュアー、ジュリアン・コープといった「ネオサイケ」の連中ではない。彼らはダークなモノクロ世界に影のある歌とぼやけたギターを埋没させることで、掘り起こされたサイケのポーズを真似ただけに過ぎない。本当の意味でサイケを墓場から引き摺り出しサイケの本質たる「行き過ぎた色気違い」を継承したのは、「ポーズ」ではなく本気で「成り切る」ことを決意したリバイバリスト(信仰復興論者)たちであった。18世紀イギリス国教会の司祭としてメソジスト運動により信仰大覚醒をもたらしたジョン・ウェスレーに倣えば、サイケデリック・リバイバルはロックの聖化を唱えて「サイケデリアの大覚醒」をもたらしたのである。その象徴は、80年代半ばに英国から出現した二組の覆面バンドであった。

●Naz Nomad And The Nightmares ‎/ Give Daddy The Knife Cindy Big Beat Records ‎– WIK 21 / 1984


パンクバンド、ザ・ダムドのメンバーによる覆面バンド。当時は情報がなくメンバー名は変名で表記されているので60年代の映画のサントラの再発だと思った。全曲エレクトリック・プルーンズ、ザ・シーズ、リッター、ジ・アザーズ、キム・ファウリーなど60年代ガレージ/サイケのカヴァー。B級ガレージパンク定番のファーフィサオルガンやタンバリン全開のギミック無しのサウンドが66年アメリカローカルバンドのイメージを見事に復興している。騙されたと分かったときも笑顔で降参するしかない遊び心はアマチュアリズムを忘れていないオリジナルパンクスならではの仁義であろう。

Naz Nomad & The Nightmares Live Acid Daze 23/09/87


●The Dukes Of Stratosphear ‎/ 25 O'Clock Virgin ‎– WOW 1 / 1986


XTCのメンバーによる覆面バンド。当時人気バンドだったXTCだけにリリース前に変名であることは雑誌のレビューで暴露されていた。全曲オリジナルナンバーだが、ナズ・ノマッドがカヴァーしたエレクトリック・プルーンズ『今夜は眠れない』のパクリをはじめ、どの曲も過去のサイケのパクでメンバーのサイケ愛が心に迫る。効果音やギミックが飛び交うサウンドは、明らかに67年のポスト・サージェント・ペパーズ症候群へのオマージュである。もろXTCと分かる曲もあるが、決して嫌みになることはない。聴く度に新たな発見がある迷宮サイケの玉手箱。XTC本体も『スカイラーキング』(86)で箱庭ポップス化。デュークスとしては87年により深化したフルアルバム『Psonic Psunspot』をリリース。

The Dukes of Stratosphear-The Mole from the Ministry - Full Video


先日の『REAL MODERN MUSICトークショー』で80年代半ばに新しい音楽が面白くなくなり60年代サイケを掘りはじめた、という発言が相次いだ。同じ時代に海外でもサイケデリック・リバイバル運動が起こった事実は、パンクほどではないが、小さなモーレツでハレンチな音楽革命だったのである。

行き止まり
突破するには
サイケ革命








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【実録】REAL MODERN MUSIC Talk Show Part1 〜モダーンミュージック開業からPSFまで〜

2020年02月18日 00時24分52秒 | 素晴らしき変態音楽


REAL MODERN MUSIC Talk Show Part1
〜モダーンミュージック開業からPSFまで〜

2020年2月16日(日) 12:00〜
東高円寺UFO CLUB Charge:¥1000+D

司会進行:宇田川岳夫 (フリンジカルチャー)

松谷健 (キャプテン・トリップ・レコーズ/ミュージシャン)
石原洋 (サウンドプロデュサー/ミュージシャン)
小山雅徳 (ムジカロコムンド/バミューダ・トライアングル)
高桑聡郎 (web/グラフィックデザイナー)

輸入レコードショップ・モダーンミュージックの80年代
初期モダーンミュージックのスタッフだった小山、松谷、石原の三氏に初代スタッフだった高桑氏を迎え、若かりし日の生悦住英夫が創業した、ニューウェイブ、ノイズをはじめとする80年代の先端音楽の中継地点モダーンミュージックの草創期を語る(宇田川 岳夫)

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雨の日だったが昼間のUFO CLUBはほぼ満員の盛況ぶり。当時お客として訪れていた人から、名前しか知らない若者まで、是ほど多くの人の関心を集めるモダーンミュージックの黎明期の話を聞ける機会は初めて。公開できないマル秘話も多く、会場は時に笑いも起こった。80年代半ばからモダーンに通っていた筆者にとっては、お店の内情が興味深かったのと共に、ずっと客として通い詰めていた司会の宇田川氏はもちろん、当時の店員四人のレコード愛を強く感じて嬉しかった。モダーン以外のレコード店の話題も面白かった。ここには筆者の箇条書きのメモを元にトークの内容の一部を掲載した。図版は宇田川岳夫氏作成のプレゼンスライドを提供いただいた。

●モダーンミュージックの軌跡
1980年9月開業
1980年前半 レコード店黎明期
1984年 P.S.F Records設立
1992年 雑誌G-Modern創刊
2014年3月 実店舗営業終了
2017年2月27日 生悦住英夫氏逝去



●高桑聡郎:80〜82年
学生時代ヴァージン・ファンクラブの会長で、下北沢・五番街でフィルム・コンサートをやっていて、店員だった生悦住氏を知っていた。青山学院大学の同期の桜井氏に「面白そうなレコード屋が明大前にできた」と誘われてMMを訪れたら生悦住氏がいたので驚いた。桜井氏は初代バイトになり、次に高桑氏もバイトを始めた。初期の在庫は6割プログレ。国内盤の王道プログレや生悦住氏の個人所有のローリング・ストーンズのブートレッグも多数売っていた。

レコードバッグ、初代は無地だったが、生悦住氏がつまらないので何とかしたいと言うので、高桑氏がたまたま近くにあったニコのLPジャケットをコピーして切り抜いて貼ったら「いいじゃない」と採用。2時間後に入稿した。高桑氏の初デザインとのこと。初期の雑誌の広告、文字はフジヤマ渡辺氏だが、デザインは高桑氏。ただし『ロック・マガジン』の広告はテイストが異なり、高桑氏のデザインではないと思われる。
初期はアパレル系の客も多かった。ヨーガンレールのデザイナーなど。
82年頃からニューウェイヴ系の取り扱いが増えた。



●小山雅徳:82~84年
高校時代に吉祥寺ジョージ~レコード舎でアルバイトしていた。ニューウェイヴ目当てでモダーンを訪店。Joy Division、New Orderなどを買った思い出。入店した頃から、小山氏は次第にニューウェイヴよりサイケが好きになった。
小山氏とプログレマニアのヌメロ上野(上野信吾)氏の2人体制、のちに西村茂樹氏(元THE LOOSE、ラウド・マシーン)が入店。
85年ころ渋谷Disk Port西武(のちのWAVE)が出来て、特に4ADのジャケットなどニューウェイヴはオシャレなイメージになっていった。



●松谷健:85年~
プログレ廃盤専門店だった下北沢エジソンの店員。お茶の水エジソンで新譜担当。新宿エジソンには行かず退職。
客として以前からモダーンに出入りしていた。自主制作カセットを販売したりもしていた。あるとき生悦住氏から誘われて、バンド活動と並行して店員として働き始める。
85年以降同時代の音楽がつまらなくなり、60年代の音楽を掘るようになった。PsychoやEvaなどの再発レーベルの隆盛と同時期。
ベーシックなものを知らないで面白いものに先にいっちゃう時代だった。ピンク・フロイドを聴かないで北欧のレア・サイケを聴くような客が多かった。



●石原洋:86年〜
83年くらいからサイケ再発レーベルにハマる。下北沢のロックバー「マキシ」のオーナーに進められてモダーンに来店。
86年に生悦住氏から買付に行ってくれないかと頼まれてロンドン~ドイツに買付旅行に。ロンドンは何もなかったが、ドイツでPilz/Ohrをはじめとするレア盤を多数買い付けし、帰国したらバイトやらない?と誘われ店員になった。

高桑氏や小山氏は学生のバイトだったが、松谷・石原氏は社会人。バンドだけでは食えないからモダーンでバイトしていた。そのため長期間店員をしていて、80年代後半からノイズとサイケ中心のカオス状態になっていった。



●モダーン・ミュージック 3大サイケアーティスト
ピーター・アイヴァース Peter Ivers
ティム・バックレー Tim Buckley
タイニー・ティム Tiny Tim

他に
Yahowha 13
David Peel
Jandek(本人の父親から直接購入していた)
Shaggs
Silent Records (Sweden)
Plasticland (80’sサイケリバイバルで生悦住氏の一押し)



●モダーン&生悦住氏にまつわるエピソード
開店当時から客を選別していた。いち早くコピー機を導入したので、明治大学の学生が試験時期になるとコピーを取りに来た。一緒に来た女の子がレコードを見はじめると、生悦住氏は追い出すためにメルツバウやメタル・マシーン・ミュージックを大音量で流した。すぐかけられるようにカセットテープを用意していた。

モダーン開店の前は東宝レコードのアンテナショップだった模様。そのため東宝レコードの四人囃子のLP多数在庫があった。カウンター奥の窓のない小部屋に在庫多数有り。トイレもあったが荷物で入れない状態。トイレの窓から泥棒が入り盗難事件も起こった。犯人が転売しようとして発覚、全部回収出来た。

隣のパーマ屋「寺田美容室」のママがジャックスの水橋春夫氏の親戚だった。モダーンに貼ってあったジャックスのポスターを見て「(早川)義夫ちゃんのレコード!」と喜び、自分の持っていた(買わされた)レコード売ってくれた。

現在レア盤の自主制作LP『ジャックス・ライヴ』を売りに来た人がいて高く買ったら、次の日ダンボール1箱分持ってきた。LP制作関係者だった模様。最初は高く売っていたが最後は3500円で売っていた。



生悦住氏はローリング・ストーンズやブルース・スプリングスティーンも好きだったが、店に置くと他のロックも置かなければならなくなって普通の店になってしまうからと言って避けていた。

80年代半ばから日本のインディーズの売り込みが多かったが、生悦住氏は気に入らないものは断固として断った。ハードコアバンド、チフスの売り込みを断り、怒る強面のパンクスになぜダメか理由を得々と説明し納得させた。宮部知彦、阿木譲(ヴァニティ)、佐藤隆史(ピナコテカ)、大竹伸朗(19 Juke)、地引雄一(テレグラフ)などインディーズ・レーベル関係者が出入りしていた。モダーンに置かれることがある意味でステータスだったのかもしれない。

他にも黒沢進(GS研究家)、根本敬・湯浅学(幻の名盤解放同盟)など一癖ある客がいた。
ユニークなお客さんの話は多数有り。○○○連れで来るノイズ・オンリーの客、メロトロンが入っているレコードを全部買う外国人客など。
ニール・ヒル(SPK)、パスカル・コムラード、忌野清志郎など、有名ミュージシャンも多数。



●モダーン・ミュージックとは?
当時の東京で「ロック・マガジン」に載ってるレコードを買えるのはモダーンだけだった(松谷)

生悦住氏が最終的にOKを出すが、バイトが仕入れたいものは自由に入れてくれた。その時々のバイトの趣味が反映された品揃えだった(小山)

当時はネットも配信もなく、好きな曲を聴くにはレコード店の店員になるしかなかった。得意分野のある店員が集まった(石原)

「モダーン塾」というか、学校みたいな存在。生悦住氏がいい音楽はなぜいいか、良くないものは何故良くないかじっくり説明してくれた(高桑)

お客も一緒にライヴやプロレス(アントニオ猪木ファン)、落語に連れて行ってくれた。

PSF第1弾HIGH RISE 1st LPに貼ってあった生悦住英夫氏のコメント:
「Blue Cheer, MC5, ガセネタ、SPK、全て好きな人のみお勧め。それ以外の人は聴かないでください

モダーンの
四方山話
無尽蔵

PSF設立以降の話は次回のお楽しみにしておこう。

【宇田川岳夫氏も出演。モダーンミュージックの精神を継承するDJ+LIVEイベント】


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.33
Anniversaire de l'empereur de Hérésie 異端音楽天皇誕生日


2020年2月24日 (月・振替休日) 渋谷 DJ Bar EdgeEnd
18:00 open/start  ¥1,000 incl. 1drink

Special Live Act:
Mojo Beatnik(from Hakata・投げ銭制)
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+ DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda

盤魔殿DJ All Stars:
DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
DJ Bothis a.k.a. 山田遼
DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
DJ Paimon a.k.a. moppy

Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Idol, Black Metal, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval, UnderGround,… Everything Weirdness About Music!

★来場者全員にZINE『盤魔殿アマルガム』プレゼント
★DJ Athmodeusによる中古書籍物販有り。G-Modern他レア本多数。

⇒詳細はこちら
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【私のB級サイケ蒐集癖】第25夜:インドア派シティ・サーファー暗黒時代〜ザ・ビーチ・ボーイズ『サーフズ・アップ』『オランダ』

2020年02月14日 02時19分08秒 | 素晴らしき変態音楽


切手集めが趣味の漫画家志望の少年だった筆者が音楽に興味が移ったのは小学校高学年の頃。テレビで観た西部劇のテーマ曲に魅了されウェスタン映画音楽のシングル盤を集めはじめた。アメリカの広大な草原やグランドキャニオン、ロッキー山脈に憧れカウボーイかグライダー乗りになりたかった。中学に入って洋楽ポップスやロックに目覚めて最初に最初に好きになったのはジョン・デンバー。「カントリー・ロード」「ロッキー・マウンテン・ハイ」という曲を歌う明るいヴォーカルは憧れのアメリカのイメージそのものだった。

次に好きになったのがザ・ビーチ・ボーイズ。ジョン・デンバーとは違うバンド・サウンドと美しいハーモニーのロックンロールが魅力だった。一番好きだった曲は「アイ・ゲット・アラウンド」。途中でマイナーに転調するコーラス部分が物悲しくて、小学生時代に大好きだった「ちいさい秋」を思い出した。しかしながら、彼らが歌うサーフィンやホットロッドやガールハントなどの洒落たライフスタイルに憧れたことはなかった。というか当時の自分にとっては全く縁のない世界だと分かっていたのである(今も同じだが)。カウボーイやグライダーの夢は覚えていたが、寧ろ自分は家の中でギター弾いたりレコードを聴いたり本を読んだりして一生を過ごす今風にいえば「インドア派」だった。だから『ペット・サウンズ Pet Sounds』(66)に犬や羊の鳴き声を入れたとか、「グッド・バイブレーション」を何十回も録音し直したとか、スタジオに砂を敷き詰めて録音したとか、ブライアン・ウィルソンの変人ぶりを物語るエピソードが自分のことのように共感できる。

The T.A.M.I. Show: Beach Boys - "I Get Around"


Good Vibrations the Lost Studio Footage


●The Beach Boys ‎/ Surf's Up Reprise Records ‎– RS 6453 / 71


『ビーチ・ボーイズ・コンサート Beach Boys Concert』(64)、『ライヴ・イン・ロンドン'69 Live in London』(70)とライヴ盤を2枚連続して買ったあと、金沢に唯一あった輸入盤専門店で購入したのが『サーフズ・アップ Surf's Up』(71)だった。当時日本盤はリリースされていなかったので、どんなアルバムか知る葦もなかったし、馬に乗った角の生えた男が項垂れたジャケットはあまりにも暗い。しかし分からないからこそ聴いてみたい、という好奇心に突き動かされて買ったのだろう。歌詞カードには干上がった沼地の写真と、サーファーとはかけ離れた長髪ひげ面のメンバー写真が載っている。収録曲はミッドテンポの地味な曲ばかり。浜辺の少年=ビーチ・ボーイズというバンド名を大きく裏切るダークでメランコリックな世界は、中学2年=廚二病の筆者の心情に余りにもピッタリだった。歌詞を翻訳しようと奮闘したが、只でさえ難解な隠喩暗喩に満ちた文学的な歌詞を習いたての貧弱な英語力では殆ど歯が立たなかった。ブライアン・ウィルソン作の「'Til I Die」だけはなんとか翻訳できて、「僕は海に漂うコルク、谷を転がり落ちる石、風に吹き飛ばされる葉っぱ、一体いつまで続くんだろう?....僕が死ぬまで」という虚無感に浸って涙を零して聴いていた。

The Beach Boys "'Til I Die"


●The Beach Boys ‎/ Holland Warner-Pioneer ‎– P-8314R / 73


次に買ったのは『オランダ Holland』(73)。76年夏にビーチ・ボーイズ3年ぶりの新作『偉大なる15年 15 Big Ones』がリリースされたが、ロックンロールのカバーばかりでいまいち興味を惹かれなかった。その前作の『オランダ』は朗読の7インチEPが付録で付いていてお得だったし、チューリップの国オランダに興味があったので購入したのだと思う。彼らの全アルバム中『サーフズ・アップ』の次に地味渋だが、絵画的な味わいのあるジャケットも気に入った。蒸気船の音で始まる「スティーム」や生まれ故郷のカリフォルニアの悲しい伝説を歌った「カリフォルニア物語」三部作など美しいメロディと凝った音作りの名曲揃い。浮遊感にたっぷりのドリーミーな音世界は、間違いなくオランダというマリファナ解放地で思う存分トリップ&リラックスして制作した成果である。付録EPの「不思議なトランジスタ・ラジオ」と題されたブライアン・ウィルソンの朗読は、ゴングの『ラジオ・グノーム・インヴィジブル』を彷彿させるラリった電波系おとぎ話。『オランダ』こそ隅から隅までサイケデリックカラーに染まった作品だと思う。

The Beach Boys - Steamboat


ドラッグとアルコール中毒に精神を蝕まれたブライアン・ウィルソンがまともな音楽活動が出来ず、他のメンバー中心になんとか活動を続けるが、セールスもチャートも低調だったこの時期のビーチ・ボーイズは、決して<迷走>していた訳ではなく、逆に内面・外面ともに理想的な<瞑想状態>を体験していたに違いない。真の<創造>に於いては売れ行きや番付など無価値な概念でしかないことは明白だ。一般的にサイケデリック・ロック黄金時代は70年代の到来と共に終焉したといわれるが、ビーチ・ボーイズにとっては「暗黒時代」と呼ばれる70年代前半こそ、遅すぎたサイケデリック・エラなのである。

阿蘭陀は
マインド・サーファーの
楽天地

▼筆者の推しメンはアル・ジャーディンである。あまりビデオに映っていないが。。。。
Brian Wilson & Al Jardine - Wouldn’t It Be Nice


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【クラシックの嗜好錯誤】第五回:やになるほどクセになる、ヤニス・クセナキスのシン・クトゥルー神話。

2020年02月13日 00時50分28秒 | 素晴らしき変態音楽


クラシック音楽が取っ付きにくいのは作曲家の名前の難しさが一因ではないだろうか。ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ニコライ・アンドレイェヴィチ・リムスキー=コルサコフ、モデスト・ペトローヴィチ・ムソルグスキー、イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー、ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチなど、カタカナばかりでなかなか覚えられない。それに比べてジョン・レノン、キース・リチャーズ、ボブ・ディラン、ジョニー・ロットンなど、ロック・ミュージシャンの名前はシンプルで覚えやすい。ときにはイングヴェイ・マルムスティーンやアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンといった長ったらしい名前もあるが、インギーとかノイバウテンと略せるから問題ない。だからクラシック界では名字で呼ぶのが通例になっているが、例えば多数の音楽家を輩出したバッハ一族は、「大バッハ」とか「ベルリンのバッハ」とか暗号のように紛らわしい迷宮に陥っている。

そう考えるとジョン・ケージとかピエール・アンリといった簡単な名前にアドバンテージがあるように思えるが、そんな作曲家ほど偏屈なまでに異端の音楽を創造しがちなのが現代音楽の常である。そのひとりにヤニス・クセナキスというギリシャ人の作曲家がいる。大文字で「XENAKIS」と書くと何かの記号のように見えて、藝術や音楽でなく数学の定理や科学の元素記号に近い。1922年5月29日ルーマニア生まれのギリシャ系フランス人というコスモポリタンな出自のクセナキスは、アテネ工科大学で建築と数学を学び、第2次世界大戦中にギリシャ国内で反ナチス・ドイツのレジスタンス運動に加わった。戦闘で左目を失い、機銃掃射の音で聴覚も傷付けられるハンディキャップを負った。戦後は建築家として生計を立てながら、パリ音楽院にて作曲方法を学び、グラフ図形、コンピューターの確率計算、ブラウン運動など数学の理論を応用した作曲方法を発案し実践して行った。しまいには人間の限界に挑戦する超絶テクニックを要する曲を創り出し、批判されることもあった。

Iannis Xenakis - Pithoprakta (w/ graphical score)


Yuji Takahashi_Herma(Iannis Xenakis)


2001年に没するまでに、舞台音楽、管弦楽、室内楽、器楽曲、声楽、テープ音楽、ミュージック・コンクレートなど様々なスタイルで170曲以上作曲した多産な作曲家だが、筆者が聴いた限りでは、いずれも容赦のないシリアスな姿勢が貫かれており、演奏者も聴き手も真剣に対峙することを求められる。音楽と人間の関係を再定義する環境は、単なる音楽鑑賞ではなく、信仰にも似た音楽の神話体系を産み出すかのようである。実際に作品のタイトルはギリシャ語だと思われるが、その異形の響きは、クトゥルー神話の邪神の名前に酷似している。

【クセナキス作品タイトル】メタスタシス(Metastasis)/ピソプラクタ(Pithoprakta)/アホリプシス(Achorripsis)/テルレテクトール(Terretektorh)/ノモス・ガンマ(Nomos gamma)/トゥオラケムス(Tuorakemsu)/ドクス - オーク(Dox-Orkh)/クリノイディ(Krinoidi)

【クトゥルー神話の外なる神】Abhoth(アブホース)/Azathoth(アザトース)/Daoloth(ダオロス)/Ghroth(グロース)/Hydra(ヒュドラ)/Mynoghra(マイノグーラ)/Ngyr-Khorath(ヌギル=コーラス)/Nyarlathotep(ニャルラトホテプ)/Yog-Sothoth(ヨグ=ソトース)

Polytope de Cluny Docu Iannis Xenakis


解体され会場内にランダムに拡散したオーケストラ、神もしくはコンピューターにしか演奏できない音階、可聴域の限界を超えた音色、晩年アルツハイマー病に侵され作曲が不可能になりつつもトーン・クラスターの羅列のみで作品を提示したまま昏睡に向かったクセナキスは、音楽の新たな領域を切り開き、新たな神話を産み出そうとしたのでは無かろうか。しかし悲しいことに、クセナキス神話体系を語り継ぐ後継者は現れてはいない。

草一本
生えない救世(くせ)に
泣き伏せる


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『都市通信』と79年の塩ビ盤〜東京ニュー・ウェイヴ'79/スジバン/シナロケ/パワーポップ/ピストルズ/ツネマツ/ミラーズ/フリクション

2020年02月12日 01時57分39秒 | ロッケンロール万歳!


1980年にリリースされたオムニバスLP『都市通信』が40年経ってCDで再発された。当時高校生だった筆者はこのアルバムの発売告知を音楽誌で見て知っていたが、レコード屋で現物を見た記憶が無い。その理由は、リリース直後にレーベル主宰者が失踪し、少数しか流通しなかったばかりか、予約金を振り込んだ人にレコードが届かない「事件」で知られる訳ありレコードだったからである(詳細は40年経って姿を現した主宰者「海賊艇K」のブログを参照のこと)。しかし、もし当時現物を見つけたとしても限られた小遣いでは買えなかっただろう。当時のメモによれば美れいとシンクロナイズはライヴを観ているが、どんなだったかは覚えていない。再発で初めて耳にしたアルバムの冒頭のシンクロナイズを聴いてとても嬉しくなった。1979年に初めて行ったライヴハウスで観た東京ロッカーズをはじめとする日本のパンクの音そのものなのである。気持ちが強すぎて吐き捨てられる言葉。言葉に追いつこうと前のめりに突進するビート。こんがらがるもどかしさを振り切ろうと足掻く楽器演奏。スピード感や切迫感は異なるが、同じ感情が他の3バンド、美れい、NON BAND、螺旋にも共有されている。リリースは80年だが、溢れ出る精神は79年の東京特有の香りがする。その香りを全身に浴びた高校2年の筆者の記憶を縁取る数枚のレコードをターンテーブルに乗せてみた。
1979年の【回想録】非常階段結成35周年記念ライヴ@初台The DOORS 2014.8.29(fri)

●スージィー&ザ・バンシィーズ『香港庭園/天の叫び』

Polydor ‎– DPQ6115 / 1978

79年3月に10日間ほどのヨーロッパ旅行で訪れたロンドンで購入したレコードの中に Siouxsie And The Bansheesのデビュー・アルバム『Scream』があった。しかしイギリス盤にはシングル曲『Hong Kong Garden』が収録されていない(日本盤には収録)。82年に大学で結成したバンドでカヴァーするために買ったシングル盤。日本独自のジャケットは愛読していたパンク雑誌『ZOO』で連載していた漫画家・森田じみぃのイラスト。後にポジパン女王として日本のガールズバンドにも多大な影響を与えるスージー・スーのオーラ全開。B面『Voices』のギターだけをバックに歌うナンバーはNICOの生まれ変わりのようだ。

Siouxsie And The Banshees - Hong Kong Garden (Official Video)



●鮎川誠/シーナ・ロケット『涙のハイウェイ/恋はノーノーノー』

Elbon ‎– BON-1014 / 1979

ラジオで聴いて痺れたシーナ・ロケットのデビュー・シングル。パンクというよりロックンロールだが、鮎川誠のリズム主体のギターとシーナのポップなヴォーカルが新鮮だった。ところが同年秋にリリースされた2ndアルバム『真空パック』がいきなりテクノになっていて失望した。プロデュースの細野晴臣への恨みは未だ消えていないが、今年1月に観たSheena and The Rokkets feat. Lucyが1stアルバム『#1』と『真空パック』の曲をメインにやっていたので改めて聴き直したら思ったほど悪くなかった。

SHEENA & THE ROKKETS 1979 涙のハイウェイ



●ブラム・チャイコフスキー『ガール・オブ・マイ・ドリームス/カム・バック』

Warner-Pioneer / Radarscope Records ‎– P-482F / Oct 1979

当時吉祥寺の近鉄(今のヨドバシカメラ)前の通りにあった電気屋DACのイベントホールで雑誌『ZOO』(後のDOLL)主催のイベントが開催されていた。アナーキーギグというライヴイベント(スピードやシンクロナイズを観た)の他にレコードコンサートもやっていて、クイズコーナーがありポスターやステッカーや見本盤がもらえた。Bram Tchaikovskyのシングル盤はアーティスト名当てクイズで正解してもらった。『パワーポップの仕掛人』という邦題通りのポップなサウンドが最高だが、あまりヒットしなかった。「仕掛人」で終わってしまった訳だ。

Bram Tchaikovsky - Girl of my Dreams - LIVE!



●Sex Pistols 『The Great Rock 'N' Roll Swindle/Rock Around The Clock』

Virgin ‎– VS 290 / 12 Sep 1979

セックス・ピストルズが解散して1年経った79年初頭にピストルズのドキュメンタリー映画のサントラ盤がリリースされた。映画は日本で公開されなかったが、マネージャーのマルコム・マクラーレンがメンバーに無断で作ったおふざけ映画と言われていた。2枚組サントラLPはオーケストラやディスコまであり支離滅裂で厳しいが、ヴォーカルが次々替わるこのタイトル・ナンバーはピストルズらしいハードパンクで悪くない。後にクレジットカードのジャケットがアメリカン・エクスプレスから著作権侵害で訴えられて発売中止になった。

SEX PISTOLS The Great Rock'n Roll Swindle



●ツネマツマサトシ 『Do You Wanna Be My Dog・g・g!?〜き・を・つ・け・ろ/いいかげん』

Gozira Records ‎– GZ 444 / Jan 1979

たぶん最初に買った自主制作盤。ゴジラレコードの3枚目。78年の最初の2枚、ミラーズ『衝撃X』とミスター・カイト『共犯者』はレコード店で手にしたがある理由で購入しなかった。しかしツネマツマサトシはジャケットが最高にパンクで迷わず購入、勢いだけで突き進む荒削りのサウンドはまさに「これぞ自主制作」!。高校のバンドでやりたいと言ったらヴォーカリストが「歌詞が酷い」と言って却下された。それこそパンクの証であろう。

Tsunematsu Masatoshi ‎– Do You Wanna Be My Dog・g・g!? Vinyl, 7" 1979



●ミラーズ 『Out Of Order/Block Out』

Gozira Records ‎– GZ888 / May 1979

ゴジラレコードの4枚目。このシングルで聴けるコード感無視・切れ味オンリー・三三七拍子のギターはロンドンパンクともNYパンクとも異なる東京パンクの象徴といえるだろう。間違いなくフリクション時代のツネマツに匹敵する個性だと思う。79年にミラーズのライヴを何度か観たが、ヒゴヒロシの突進する歌とドラムを分断しつつ加速させるギターとベースの異物感がスリリングだった。ミラーズ解散後のアンドウとマツモトの足取りが分からないのが残念。

Mirrors ‎– Out Of Order Vinyl, 7"1979



●Friction フリクション 『Crazy Dream/Kagayaki/Big-S』

Pass Records ‎– PASS 1003 / Aug 1979

何と言っても東京ロッカーズ関連の最高傑作はこのEP。筆者は79年8月20日の発売日に吉祥寺ジョージア・ジュニア店で購入した。店員は「ヘッドホンで聴くと最高ですよ」と言っていたが、スピーカーで大音量で聴く方が79年の東京の臨場感が十二分に体験できる。何故かジャケットが大きいのか、理由をメンバーや関係者から聞いたことは無い。想像するに、当初8インチ盤の予定でジャケットを発注したら、なにかの手違いでレコード工場が7インチでプレスしてしまった、という「うっかり説」は如何だろうか? もし8インチ盤が存在しているとしたら、世界中のマニアが血眼になって探しまくるに違いない。

Friction Crazy Dream



1979年7月21日:BOYS BOYS、ミラーズ、マリア023@池袋西武デパートCITY/1979年9月29日:GLANDES(筆者のバンド)@某都立高校 

7インチ
記憶の中に
楔打つ

●Various Artists『東京ニュー・ウェイヴ'79』

Victor ‎– SJX-20122 / 1979

『東京ロッカーズ』とともに日本のパンク・シーンのドキュメントとして貴重なアルバム。ヨーロッパ帰りで「気分だけパンクス」だった筆者に「リアル・パンク」を生きる理由と勇気を与えてくれた1枚。79年6月11日の発売日に購入した。いかにもニューウェイヴ世代のB面の8 1/2とボルシーよりも、70年代日本のロックの暗さと湿気を残すA面のSEX、自殺、PAINの方が好きだった。SEXの『TVイージー』は高校のバンドのヴォーカリストも気に入り無事カヴァーした。川田良、伊藤耕に続き、ドラムのマーチンこと高安正文が去る2月6日に63歳で永眠したという。合掌。

TOKYO NEW WAVE 79



【参考動画】
Rockers documentary Tokyo 1979 / ハイパワー・ロックンロールドキュメンタリーフィルム "ROCKERS"


Japanese Punk New Wave Rare Tracks vol.3 1976-1984
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【New Disc】白昼夢のサウンドトラック『平野剛 Go Hirano / Corridor of Daylights』 #psfrecords #psychedelic

2020年02月10日 01時16分02秒 | 素晴らしき変態音楽


●Go Hirano / Corridor of Daylights
Black Editions LP:BE-008/157

Go Hirano – Piano, Pianica, Windchime, Percussion, Voice
​Roderick Zala – Guitar, Effects on “coral”

Side A
1 Airborn
2 Corridor of Daylights
3 Higan
4 Windy Shores
5 At Noon
6 Coral
7 Fragrant Olive

Side B
8 Heartstone
9 Pure Waters
10 Fireworks
11 Ice
12 Gogonohikari
13 Airstream
14. Sleep Valley (bonus track)

Engineer – Takashi Yoshida
Producer – Hideo Ikeezumi
Illustration – Kiyomi Enomoto
Artwork – Rikako Tanaka
Mastering – Elysian Masters
Originally released on CD in 2004 by P.S.F. Records, Japan (PSFD-157)

Black Editions Group

●アルバムについて(Black Editions)
平野剛のサード・アルバムは夢のような輝きを持った静かな作品。壊れやすいピアノのメロディーが風鈴や切ないメロディーに寄り添って漂う宅録フィールド・レコーディング〜遠くに虫の音が鳴り、夏の一日が夕方に向かってゆるやかに吹く風。 もともと2004年にP.S.F.により日本でリリースさた『コリドー・オブ・デイライツ(昼光の廊下)』は8月初旬の東京からの美しい魂の便りである。
光沢パールペーパー、箔押し、メタリックインクの厚紙ジャケットに収納された史上初のヴァイナル盤。 新翻訳のイラスト入トーリー・ブックレットを含む2つのインサートを封入。デジタル・ダウンロードにボーナストラック入。

平野剛による未発表の新曲を収録のカセット付きの特別セットもオンライン限定で販売中。

●アルバム・レビュー(JazzTokyo)
白昼夢の夢幻回廊に立ち昇る地下音楽家の信念
アンビエント/環境音楽ブームのおかげで、平野の音楽にも関心が集まっていると聞く。どのような形でも構わない。謎多き日本地下音楽の闇に薄暮の光を放つ秘宝がより多くの人たちの耳に届くことが、何よりも重要なことである。
レビュー全文⇒#1661 『Go Hirano / Corridor of Daylights』

●インタビュー(Black Editions)
私にとって最も大切のは、最初の飾りの無い表現欲求だった。
日本の地下音楽シーンで30年間、最もデリケートなメロディと深くパーソナルな音楽を創造して来謎多き平野剛の初めてのインタビュー。
全文(英語)⇒"The most important thing for me was that initial, unadorned expression"
*JazzTokyo次号にて日本語版インタビュー掲載予定。

ハクチューム
白昼光の
渡り廊下








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【イベント告知】2/24祝日開催。異端DJ+噂のMojo Beatnik(from博多)ライヴ!盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.33 異端音楽天皇誕生日

2020年02月08日 22時53分46秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 Vol.33
Anniversaire de l'empereur de Hérésie 異端音楽天皇誕生日


2020年2月24日 (月・振替休日) 渋谷 DJ Bar EdgeEnd
18:00 open/start  ¥1,000 incl. 1drink

Special Live Act(投げ銭制):
Mojo Beatnik(from Hakata)

In-house Live Act:
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+ DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda

盤魔殿DJ All Stars:
DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
DJ Bothis a.k.a. 山田遼
DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
DJ Paimon a.k.a. moppy


Avant-garde, Noise, Industrial, Dark Ambient, Neofolk, Punk, Hardcore, Idol, Black Metal, Middle-east, Ethnic, Ritual, Medieval, UnderGround,… Everything Weirdness About Music!

★来場者全員にZINE『盤魔殿アマルガム』プレゼント
★DJ Athmodeusによる中古書籍物販有り。G-Modern他レア本多数。
★最初の30分はFREE ZONE。DJをやりたい方はCD/LP持参で参加できます。

TIME TABLE
18:00-18:30 Open/FreeZone 自由参加
18:30-19:00 DJ Athmodeus a.k.a. 持田保
19:00-19:30 DJ Paimon a.k.a. moppy 
19:30-20:00 DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
20:00-20:30 LIVE : DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+ DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
20:30-21:00 DJ Bothis a.k.a. 山田遼
21:00-21:30 DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
21:30-22:00 LIVE : Mojo Beatnik(投げ銭制)
22:00-22:30 DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元

● Mojo Beatnik
Mojo Beatnikこと三笠隆志は2016年ソロ活動をスタート。Minimal Synth / Electro New Wave / Cold Wave サウンドに Voodoo 教の呪術的なセンスをねじ込んだ Mutant Wave ソロアーティストとして自らの特異なサウンドを構築。シーケンサーやヴィンテージシンセを使用したサウンドからは狂気が感じ取れると同時にダンスミュージックとしても素晴らしい作曲能力を発揮している。また並行してTシャツやロングスリーブなどのアパレル作品やボーンをモチーフにしたアクセサリーの製作も展開。さらに小説の小冊子も発表。デビュー音源は2曲入りカセットを自主でリリース完売。2018年4月に初のヨーロッパツアーにて称賛を浴びる活躍を見せた。その後2018年に沖縄のレーベル THINK-AND-GROW からの4曲入りのCDをリリース。Voodoo 版 New Order とでも呼べそうな怪しさタップリの 1 枚。問題作となる Synth Wave 版 Motörhead - Ace Of Spades のカバーも収録。だが、オリジナルの楽曲はカセット音源の楽曲より更なる深化を遂げている。オリジナルの楽曲がそれぞれ異なるタイプの楽曲でいて、録音も素晴らしく音圧もあり、より楽曲の素晴らしさが際立っている。New Wave~Post Punk~Synth Wave等のシンセサウンドをベースに50s〜60sのPrimitive、ObscureなR’n’Rサウンドを交配させた唯一無二のSynth Punk!サウンドそのものは70年代から80年代にかけてのGerman New Wave / Industrial / Techno に対するリスペクトがうかがえるサウンドである。さらにはMojo Beatnik 氏が大切にしている部分の歌詞にも注目していただきたい。歌詞はバロウズのカットアップの技法を駆使して作られていて、いったん作成した歌詞をハサミで切り離してばらばらにしてあとからつなぎ合わせる手法を取っている。歌詞の内容は昭和の歌謡曲の持つ情景描写や詩情を大切にして踏襲し、安部公房やジャン・コクトーといった文学者のように音楽だけにとどまらず多方面へその芸術性を展開することを目標としている。音楽を用いて世界を作り、文学に投影して脚本を書き、ショートムービーを作り、さらには効果音楽も作成するといったようなマルチメディアでの活躍を目標としている。またモチーフとしてケイオスマギック的やVooDoo教の表象を多用し、その仮面やメイク、ステージング、販売するアパレル商品などにも一貫して魔術的なイメージの閃きがある。決して見逃せないアーチストだ。
「Frenzy Beat 表皮のエゴを剥いで Frenzy Beat 晒す狂熱のパッション」
この音楽を聴いた瞬間よりあなたは Mojo Beatnik の呪いにかかっているだろう。




●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武+ DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda コラボ・ライヴ
地下音楽世界へようこそ! 忘れられた名盤を発掘し続けるDJ ネクロノミコンと未だサイケリバイバルにこだわり続けるDJ Ipetam(Rie fukuda)の奇跡のコラボ、或いは化石の融合。雀百まで踊り忘れずの故事に倣い、流行を考えない音の洪水。繰り出す武器はもちろんアレ!!

DJ Necronomiconはカムオルグ(Come Organisation)Original Vinyl Only DJ+ノイズドールMichelle & Miyakoを使用。




●DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫
2月24日はCurrent93やDeath in june, Nature and Organisation, Sol Invictus, Fire + Ice, Freya Aswen などカレント93関係と 映像のコラボでお見せします。






●DJ Athmodeus a.k.a.持田保
今回はゲストが話題のMojoBeatnikということなのでモンド&エキゾ、実験ダブで回す予定。イメージとしては「ジョイント咥えたヤコペッティ一行が残酷ドキュメント撮りにジャマイカのジャングル奥地に入るが遭難し酷い目に遭う」感じ???
また当日、Gモダーンを中心に持田の中古書籍を物販いたします。是非この機会に盤魔殿へ遊びに来てくださいませ。

Martin Denny "Quiet Village" from Hawaii Calls





●DJ BEKATAROU a.k.a.伊藤元
前衛ROCK(岩?)を中心に廻させていただきます。よろしくお願いいたします。




●DJ Bothis a.k.a.山田遼
今回は、前回紹介しきれなかった世界のインダストリアル・リチュアル・ダークアンビエントアーティストに加え、それらに精神的な部分で共通点があると思われる日本の女性ボーカルアーティストを特集します。具体的には、2018年に惜しくも解散してしまいました日本の音楽デュオ「sakana」の初期作品を中心に、同じく日本の音楽デュオ「Jack Or Jive」なども紹介できればと思います。また、私はアメリカの音楽家「Daniel Johnston」が昨年9月に亡くなっていたことをつい先日知りました。遅くなりましたが、自分なりの追悼として彼の作品も選曲していきたいと思っています。

sakana / アルファ / 1990





●DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
今回は年末に評判の良かった「La Tene」を始め、ターキッシュ・サイケ、ケルト風味を感じるトラディショナルフォークやスピリチュアルでアフロ・フリーな民族トライバル・グルーヴなんぞも取り入れ混沌とした世界をお届けしたく思います!しかしながらも皆様のハートの琴線に触れるような盤魔殿に相応しいマテリアルをチョイスしましたので震えてお待ち下さいませ!!




●DJ Paimon a.k.a. moppy
日本の80年代、地下音楽は 陰鬱、過激、逸脱したものばかりではなく、ポップなものもありました。バプリーで華やかなメジャーポップスとは一線を画した80年代の日本の地下ポップを中心に選曲します。

Variètè | Good-Night Age | 1982


盤魔殿
33回目の
神経快楽

The Witch - Mojo Beatnik
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