盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 vol.43
2022.10.29 sat 阿佐ヶ谷TABASA
18:00 Open/Start
Charge 1,000YEN + 1 drink
Live:BEKATAROU a.k.a.伊藤元(モジュラー・シンセ)
Guest DJ:Reiko.A
DJ Athmodeus a.k.a.持田保
DJ Bothis a.k.a.山田遼
DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫
ハロウィン(10月31日)を二日後に控えて一足早い異端音楽の祭典・盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會の第43回目が開催された。43=黄泉に繋がるナンバーに因んだ訳ではなかろうが、死者が息をぶっ吹き返すように得体の知れない音楽が次々宙に解き放たれる有様は、ハロウィンよりも魔女たちがサバトで跋扈するヴァルプルギスの夜を思わせる。異端=普通じゃないと解釈すれば、型にハマった「普通」の枠外で跋扈する音楽の魅力を世に問うことが盤魔殿の存在意義であろう。盤魔殿でしか体験できないことが間違いなくあるに違いない。嗚呼、これから盤魔殿を初体験できる人が羨ましい限りである。
●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
Rie fukuda自身がヴォイスパフォーマーであるからか、美声・悪声から絶唱までヴォイスの魅力が感じられる選曲だった。とりわけどろんこ雲の呟き人力テクノが乾ききった聴き手の心の襞に甘い蜜のような潤いを与えた。
1. DIAMANDA GALAS / MUTILATUS
2. 葬×孤魔 / Les Cendres
3. Mitsuru Tabata /The last man on earth
4. Original love / Orange Mechanic Suicide
5. Mitsuru Tabata / Orbital Resonance
6. SANDII / Ikan kekek
7. どろんこ雲 / POCKET PISTOL
8. Screamin' Jay Hawkins /I Love paris
●DJ Athmodeus a.k.a.持田保
音楽と非音楽の間に潜む狂気を詳らかにするセトリ。マリファナCDのクラウス・シュルツェを凌駕するエレクトロ・ミニマルが、某グルを凌駕する寂聴の講話と一体化すると、旧統一教会を凌駕するマインド・コントロールが可能に違いない。盤魔殿は音楽界のΩ心理狂になれるかも。
1:ザ・マリファナCD〜マインド・コントロール・サウンド+ 瀬戸内寂聴 / 愛には渇愛と慈悲があるMIX
2:ヘンリー川原 / ニューロ・ダンサー
3:Toxobam / In the name of yahman
4:ダムダムTV / Namo hand wrinkles stoie
5:Freak Outlet Morgue / アシッド浸けのハワイ羊
6:グリム / エレクトロ・スピリタス
7:恐山ヴァイブレーション / 寝ロジャジャングル
8:ヤン富田 / レディオ・ミュージック
●Guest DJ:Reiko.A
DJ初体験のReiko.Aは曲をかけながらレコにまつわる逸話を語るラジオ・ディスクジョッキー・スタイル。ネットでは知り得ない実体験のストーリーは口に出されて初めて他人に伝わる。終わってからのひとこと「なんで、マイケル・ハッチェンスを持ち出してきたかっていうと、この人も首吊り自殺をしたからだったのに言うのを忘れた!」。”語り部DJ”としてまた出演してほしい。
1,URIAH HEEP / Return to Fantasy from RETURN TO FANTASY 1975
2,MIKE OLDFIELD / Airborne, part 1 of Platinum from PLATINUM 1979
3,NOISE / 死 from 天皇 1980
4,PRETTY THINGS / Drowned Man from SAVAGE EYE 1975
5,PRETTY THINGS / Theme for Michelle from SAVAGE EYE 1975
6,JOY DIVISION / Shadow Play - Means to an End - Passover / from STILL 1981
7,MICHAEL HUTCHENCE / The Green Dragon from the soundtrack of DOGS IN SPACE 1986
8,MARIE HOY & FRIENDS / Shivers from the soundtrack of DOGS IN SPACE 1986
9,MIKE OLDFIELD / Punkadiddle from PLATINUM 1979
10,BLUE OYSTER CULT / Morning Final from AGENTS OF FORTUNE 1976
●DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫
テクノイズと聞くとエスプレンドール・ジオメトリコが頭に浮かぶ筆者のような頑迷固陋者にとってはユーロビートと混同してしまうような偽装BPMの楽曲軍は、ハロウィンに相応しい異教の地下ダンスパーティだった。
1 The Devil & The Universe – Iblis
2 Unhuman – Nylon Speech
3 Ancient Methodes – Untitled(AM02A1)
4 Hecate Legacy – Hall of Inner Reflections
5 Die Form – Bite Of God XXX
6 Iszoloscope – unearth me (iszoloscope remix. Original version by cenotype)
7 Mas – Géométrie Du Coeur – Celui Qui N’avait Qu’un Coeur
8 Iszoloscope – all is immensity and chaos (intro)
●Special Live: BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
盤魔殿一の頑固者、信念のDJ BEKATAROUが2,3年から始めたBuchlaシンセによる電子音楽を初めてライブで披露。頭を垂れて赤や黒の接続コードが絡み合う機材の操作に専心する演奏スタイルは、エレクトロニクス界のシューゲイザーと名付けたい。生み出される音像は、BEKATAROUのポーカーフェイスに相応しく、無駄な装飾を省いて出すべき音だけを選び抜こうとする禁欲性と、穏やかな外見の裏に渦を巻く多様な感情の波しぶきを秘めた無限性を併せ持つ。いつか日本のマウリツィオ・ビアンキ(M.B.)と呼ばれる日が来るかも知れないが、全く別の方向へと転がる可能性もある。別の日・別の場所・別の時に彼の演奏を再び聴いてみたいものである。
●DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
陰鬱な地下音楽や、茫洋としたアンビエントや実験音楽を愛好する筆者のルーツにはハードなロックの爆音がある。THE HARDY ROCKS のLPを聴いて目覚めたロック衝動を盤魔殿で再現するセトリ。ヘヴィサイケの連続で酩酊した後に、40年前のチェリーボーイのアイドル、ランナウェイズの日本語ヴァージョンで〆るという自己満足の極みで至極満足した。
1. Thee Hypnotics / Half Man Half Boy
2. Subert Blaze / Summertime Blues
3. Barebones / Speed Freak
4. Mainliner / Revelation Space
5. Boris / Statement
6. Haino Keiji & The Hardy Rocks / My Generation
7. Yellow Machinegun / Again
8. ゆらゆら帝国 / ゆらゆら帝国で考え中
9. High Rise / Turn You Cry
10. ガールズ / チェリー・ボンブ
●DJ Bothis a.k.a.山田遼
トリを飾るのは盤魔殿一のハードコア野郎DJ Bothisのプレ・マウリツィオ・ビアンキ=サッチャー・ペルツ特集。すべて似た黒ジャケットのレコから流れるインダストリアル・ノイズはどれも同じく病的でダウナーで、聴き手を奈落の底に突き落とす。そもそも盤魔殿の提唱する「踊れない音楽」とは斯様なものではなかったか?初心忘るべからず、と心に刻まれた30分であった。
1.Sacher-Pelz - Helter Skelter
2. Sacher-Pelz - In Dem Tod-tal
3. Sacher-Pelz - Crime Uberall
4. Sacher-Pelz - The Skeleton
5 Sacher-Pelz - La Cartilage Palpitant
6. Sacher-Pelz - Venus
7 Sacher-Pelz - Excitements
8. Sacher-Pelz - Sans Sang
秋の夜
盤魔殿で
更けていく
★次回盤魔殿 vol.44は12月半ば予定。決まり次第告知します。
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