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ぽかぽか春庭「親子遠足・ランチ&ヨコハマトリエンナーレ」

2014-10-28 00:00:01 | エッセイ、コラム
20141028
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>十四事日記10月(1)親子遠足・ランチ&ヨコハマトリエンナーレ

 ヨコハマトリエンナーレ、2回目の見学。
 9月23日は、「下見」だった、と述べました。昔、中学校教師をしていたときに、「遠足の下見」というのをやらされたことがありました。往復の経路、中学生が通行するのに危ない所はないか、昼食場所の確認、40人クラス3組の生意気盛り中学生が、他者に迷惑をかけずに弁当を食べられる場所はあるか、などを報告するのです。

 9月23日は、親子遠足の下見でした。
 「ヨコハマトリエンナーレの招待券があるから、中華街でランチしてから現代美術を見よう」と誘ったら、現代美術に興味のない娘息子、「中華街でご飯食べるのはいいけれど、現代美術、たいして見たくはないからね。母が先に見ておいて、これは見てもよさそうだ、というのを見繕っておいて。ひとつふたつ見れば十分だから」というので、下見をしてきた、というわけです。

 娘30をすぎ、息子もうすぐ26歳という年になっても母といっしょにお出かけしてくれるだけでもありがたい、という低姿勢の母ですから、いそいそと下見に出かけました。
 10月3日、現代美術鑑賞本番の日です。

 まずは中華街のランチ。平日だから予約しないでもいいだろうと思って横浜みらい駅から中華街へ。けっこうな人出でした。で、横浜みらい駅から中華大通りに入った一番さいしょの店へ。ここはすいていたのです。理由は「エアコンが壊れているのですが、かまわなければどうぞ」
 10月といっても真夏日になった中華街。入り口でエアコ故障の説明を聞いて、踵を返した客もいましたが、私たちは「予約して来なかったのだし、店をあちこち探すのもたいへんだから」と、入店。ことしは山形のホテル探しといい「エアコン壊れている」に助けられた夏です。

 重慶飯店の支店「重慶茶樓」の2階席。扇風機の前の席に案内してもらったので、特に暑くていられないとは感じませんでした。
 レディスランチふたつと点心ランチひとつを注文。食べるのは、娘が点心ランチで、私と息子がレディスランチなのですが。

 今の時期、上海蟹のシーズンであることがメニューにありましたが、「レディスランチ」のヘルシーメニューで十分おいしかったです。ランチセットだとたいてい出てくるエビチリではなくて、エビマヨだったので、辛いものが苦手な娘は、「エビマヨだったから、今日のランチは大正解」と、満足していました。

 何品か食べ終わってしまってから、そうだ、写真撮っておかなうちゃ、と慌てて撮ったので、メニューの全部ではありませんけれど。



 ランチデザート定番の杏仁豆腐のほか、「エアコンなしで我慢してもらったことへの、店からのサービス」のアイスもきて、デザートは2品。


 ランチに満腹して腹ごなしの散歩。まずは、中華街から一駅だけ地下鉄に乗って、馬車道へ。前回9月23日には見なかったヨコハマ創造都市センターへ。

 旧第一銀行横浜支店の建物左はしっこに写っている二人が、娘と息子



 横浜創造センターの建物は、ふたつの部分から出来ています。高層ビル部分は、槇文彦(1928~)の設計。その前面に1929(昭和4)竣工。元第一銀行の横浜支店、設計は、西村好時(1886~1961) を貼り付けた、いわゆる「かさぶた方式復元」の建物です。(近年のかさぶた方式の例。歌舞伎座がこの方式で前面に古い歌舞伎座の趣を残して後方に高層ビルを建てました。

 高層化もしたいし、観光目玉になりそうな古い建物も残したい、という折衷策がこのかさぶた方式です。かさぶたとして貼り付けられた旧第一銀行横浜支店。槇文彦が高層部分の設計者だったおかげか、表面だけでなく、古い建物部分の内部もきちんと復元してあるという評価がされています。横浜市には近代建物が数多く残存しているのですが、取り壊されてしまったものもあり、改修後再利用しているのもあり、第一銀行横浜支店のように移築復元もあります。

 地階と3階のトリエンナーレ会場を見ました。娘息子は「現代アート、さっぱりわからん」という感想。
 
 モノクロ写真をたくさん並べて構成されている作品。タイトル忘れた


 馬車道からみなと未来駅まで歩くかどうか協議の結果、歩いていると横浜美術館を見る時間がなくなってしまう、という娘の意見で一駅だけ地下鉄に乗って移動。

 横浜美術館の入り口にある巨大なガラスの箱。階段が組まれていて、上から、芸術家達たちが、失敗作や不要になった作品などを放り投げて箱を埋めていく、というパフォーマンスを含んでいる作品なんですと。ようわからぬが、、、、、
 上野の森美術館で「描いたいものを自由に描いて20年」という展覧会で「アーティストキナシ」を大いにアピールした木梨憲武も、「アート作品の失敗作自転車」を放り込んだ、ということをまっき~さんから教わって、探しました。9月23日には、まだ放り込まれていなかったのか、私が気づかなかったのかわかりませんけれど、どんどん「アートごみ」は増えているようでした。


 木梨憲武が「アートごみ」として捨てた自転車アート


 閉鎖的な地下空間に泥を広げた泥アート。
閉所恐怖症気味の私には、息苦しくなる閉塞感がおそってきました。閉所恐怖症ではないはずの娘も、「閉じ込められる嫌な気分」だったというので、そういう気分を起こさせるためのアートだったのかも。

 娘は、一族の写真をべたっと貼り付けた壁や風船を持った人が「飛ばなければよかった」というタイトルのもとに空中に浮かんでいるアートも「圧迫感」を感じたのですって。
 私は、飛んでいるほうは、どうってことなかった。


 結局親子で一番なじめたのは、旧釜ヶ崎のおっちゃんらが集まって「アート」している空間を再現したコーナーでした。そうそう、こういう空間がなじめるの。山谷や釜ヶ崎って、そこにいるだけでアートなんだ、たぶん。


 私が気に入った新港ピアのほうには行く時間がなくなったので、トリエンナーレ見物、横浜美術館の巨大烏フィギュアと、体半分はハムで出来ていて、私たちが日頃食べているお肉は、確かにもとは豚なんだと知らしめるブタフィギュアなどをながめて、5時の閉館チャイムを聞きました。

3mくらいある巨大烏

豚ハム


 最先端アートをめぐる親子遠足。アンチアート派の娘息子にとっては、中華ランチがおいしかったから、それで十分という一日でしたし、母にとっては、子どもといっしょにお出かけできればそれで十分という一日でした。

<つづく>
コメント (4)
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