都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
『ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―』 麻布台ヒルズギャラリー
『ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―』
2024/11/1〜2025/2/2
国立工芸館にはじまり、日本各地やアメリカを巡回して話題を集めた『ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―』が、東京・虎ノ門の麻布台ヒルズギャラリーにて開かれています。
満田晴穂『自在ギャラドス』 2022年
今回の展覧会では、若い世代から人間国宝までの20名のアーティストが、ポケモンをテーマにした工芸の作品を制作していて、陶芸、漆芸、木工、金工、染織などの多様なジャンルが一堂に公開されていました。
また単にポケモンがテーマといえども、姿かたちを模ったものから、気配を呼び起こした作品、さらに技などのゲームを引用したものなど多様なモチーフが展開していて、想像以上にバリエーションが豊かでした。
葉山有樹『森羅万象ポケモン壺』 2022年
有田に生まれた葉山有樹は『森羅万象ポケモン壺』において、更紗で知られる「アラス・アラサン文様」に着想を得ると、無数の植物と500匹を超えるポケモンを壺の表面に染付の技法にて描きました。
吉田泰一郎『ミュウツー』 2024年
金属彫刻を手がける吉田泰一郎は、イーブイと進化形の3匹を造形化すると、東京会場での新作として全長約2メートルにも及ぶミュウツーを展示していて、迫力のある姿を見ることができました。
今井完眞『フシギバナ』、『キングラー』 ともに2022年
フシギバナやコイキングなどをリアルに表現した、陶芸家の今井完眞の作品も大変な力作といえるかもしれません。
須藤玲子『ピカチュウの森』 2023年
このほか、綿とニードルレースなど素材に、アーチ型の小道に小さなピカチュウが吊した須藤玲子の『ピカチュウの森』や、金色に輝くタイルと大小さまざまなカップやボウルにピカチュウを転写した桑田卓郎の作品も目立っていました。
⚡️ポケモン×工芸展 展示替え作品7点&新作のご紹介⚡️展覧会後期となる12/26(木)より一部作品の入れ替えを行います。さらに、新作の公開も決定!同日から展示される作品をご紹介します✨💡水橋さおりさん《友禅訪問着「雲の間に」》《友禅帯「煌めき」》💡小宮康義さん《江戸小紋… pic.twitter.com/PvR6hhZBPY
— 麻布台ヒルズ ギャラリー (@ah__gallery) December 18, 2024
12月26日からの後期展示より植葉香澄の『星氷裂文ミミッキュ』といった新作の展示が開始されるほか、7点の作品の展示替えが行われます。
桑田卓郎、作品展示風景
ポケモンを通して、アーティストの卓越した技と工芸の新たな魅力を感じられるような展覧会だったかもしれません。金沢や巡回先にて大変な人気を博したということにも納得させられました。
東京での会期がスタート! 大人気の『ポケモン×工芸展』の見どころとは?|Pen Online
葉山有樹『キューブ型「バイオレット未来と現在の共存」』 2024年
2025年2月2日まで開かれています。
『ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―』 麻布台ヒルズギャラリー(@ah__gallery)
会期:2024年11月1日(金)〜2025年2月2日(日)
休館:12月31日。
時間:月/火/水/木/日 10:00〜19:00、金/土/祝前日 10:00〜20:00
料金:一般1600円、専門・大学生1400円、高校・中学生1100円、4歳〜小学生400円。
*前売チケット料金(日時予約制)
*チケット在庫が残っている場合にのみ、当日窓口にて「窓口チケット」を販売
住所:港区虎ノ門 5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザ A MB 階
交通:東京メトロ日比谷線 神谷町駅5番出口地下1階から直結
『かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還』 市原湖畔美術館
『かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還』
2024/10/19~2025/1/13
紙を素材に作品を手がける3名のアーティストを紹介する展覧会が、千葉県の市原湖畔美術館にて開かれています。
それが『かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還』で、会場では布施知子、安部典子、柴田あゆみが三者三様に多彩な作品世界を見せていました。
まず無限折りなどの折りの作品で知られ、世界的折り紙作家として活動する布施知子は、『むくむくとねじねじ』と題したインスタレーションを展開していて、多様な折りによる紙が縦横に連なっては、さも美術館の周辺の里山のような景色を作り上げていました。
紙を重ねては切り込み、彫刻的な表現を手がける安部典子は、特殊照明作家の市川平とコラボレーションした『White Niget(白夜)』と題した作品を展開していて、紙によって生み出された地層が大陸のように広がる光景を見ることができました。
吹き抜けの空間へ繊細かつ大掛かりなインスタレーションを展示した、柴田あゆみの切り絵による『いのちの詩』も見応えがあったかもしれません。
わずかに揺れながら、シャンデリアのように吊るされた切り絵を見ていると、あたかも生命の源が地の底から噴き上がる光景を前にしているかのようでした。
紙が織りなす神秘の世界を体感!『かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還』が開催中|Pen Online
紙が織りなす神秘の世界を体感!『かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還』の見どころhttps://t.co/2xwCMin0RM
— Pen Magazine (@Pen_magazine) December 10, 2024
12月21日(土)には、市原鶴舞バスターミナルと市原湖畔美術館を行き来する無料のシャトルバスが運行されます。
シャトルバス運行のお知らせ(12/21)
東京駅、及び横浜駅からの高速バスにて市原鶴舞バスターミナルまで行くことができます。詳しくは上記リンク先をご覧ください。
撮影も可能です。2025年1月13日まで開催されています。
『かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還』 市原湖畔美術館(@LSM_ICHIHARA)
会期:2024年10月19日(土)~2025年1月13日(月・祝)
休館:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月29日〜1月3日)。
時間:10:00~17:00(月~金)、9:30~19:00(土曜・祝前日)、9:30~18:00(日曜・祝日)
*入館は閉館の30分前まで
料金:一般1000(800)円、65歳以上、大学・高校生800(600)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:千葉県市原市不入75-1
交通:JR線五井駅から小湊鉄道にて高滝駅下車、徒歩約20分。
2024年12月に見たい展覧会【永遠のミュシャ/カラーズ/歌川国芳】
展覧会
・『レオ・レオーニと仲間たち』 板橋区立美術館(11/9~2025/1/13)
・『没後100年 中村彝展―アトリエから世界へ』 茨城県立近代美術館(11/10~2025/1/13)
・『平安文学、いとをかし』 静嘉堂@丸の内(11/16~2025/1/13)
・『ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展〈童堂賛歌〉』 千葉市美術館(11/16~2025/1/13)
・『グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ』 ヒカリエホール(12/3~2025/1/19)
・『西川勝人 静寂の響き』 DIC川村記念美術館(9/14~2025/1/26)
・『ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』 森美術館(9/25~2025/1/19)
・『唐ごのみ』 三井記念美術館(11/23~2025/1/19)
・『眠れよい子よ よい子の眠る/ところ』 神奈川県民ホールギャラリー(12/15~2025/1/25)
・『田村友一郎 ATM』 水戸芸術館現代美術ギャラリー(11/2~2025/1/26)
・『小杉放菴展』 八王子市夢美術館(11/16~2025/1/26)
・『三菱一号館美術館 再開館記念 『不在』―ソフィ・カルとトゥールーズ=ロートレック』 三菱一号館美術館(11/23~2025/1/26)
・『儒教のかたち こころの鑑―日本美術に見る儒教』 サントリー美術館(11/27~2025/1/26)
・『須田悦弘展』 渋谷区立松濤美術館(11/30~2025/2/2)
・『ひとを描く / ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて』 アーティゾン美術館(11/2~2025/2/9)
・『古筆切』 根津美術館(12/21~2025/2/9)
・『そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠』 東京都庭園美術館(11/30~2025/2/16)
・『漫画家・森薫と入江亜季展』 世田谷文学館(11/2~2025/2/24)
・『特別展「鳥 ~ゲノム解析で解き明かす新しい鳥類の系統~」』 国立科学博物館(11/2~2025/2/24)
・『HAPPYな日本美術―伊藤若冲から横山大観、川端龍子へ』 山種美術館(12/14~2025/2/24)
・『小西真奈 Wherever』 府中市美術館(12/14~2025/2/24)
・『歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力』 大阪中之島美術館(12/21~2025/2/24)
・『生誕120年 人間国宝 黒田辰秋―木と漆と螺鈿の旅―』 京都国立近代美術館(12/17~2025/3/2)
・『読み解こう!北斎も描いた江戸のカレンダー』 すみだ北斎美術館(12/18~2025/3/2)
・『T2 Collection「Collecting? Connecting?」/奥中章人「Synesthesia ーアートで交わる五感ー」展』 WHAT MUSEUM(10/4~2025/3/16)
・『MOTアニュアル2024 こうふくのしま』 東京都現代美術館(12/14~2025/3/30)
・『坂本龍一 | 音を視る 時を聴く』 東京都現代美術館(12/21~2025/3/30)
・『動き出す浮世絵展 TOKYO』 寺田倉庫 G1ビル(12/21~2025/3/31)
・『カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ』 ポーラ美術館(12/14~2025/5/18)
ギャラリー
・『ささめきあまき万象の森』 Yutaka Kikutake Gallery Kyobashi(11/2~12/21)
・『ヴァジコ・チャッキアーニ「Big and Little hands」』 SCAI THE BATHHOUSE(11/6~12/21)
・『千住博・四代田辺竹雲斎 二人展「Beyond Nature」』 YUKIKOMIZUTANI(11/6~12/21)
・『野田幸江展「きれいな場所」』 ミヅマアートギャラリー(11/20~12/21)
・『杉戸洋 「apples and lemon」- 「りんごとレモン」』 小山登美夫ギャラリー京橋(11/2~12/27)
・『髙山陽介 個展「かえり」』 ANOMALY(12/14〜2025/1/18)
・『ミスマルノタマ - 神聖幾何学 Flower of Life -』 GYRE GALLERY(12/7~2025/1/26)
・『菊地敦己 グラフィックデザインのある空間』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(12/10~2025/2/1)
まずは近年人気の高まる没入型(イマーシブ)の展覧会です。渋谷・ヒカリエホールにて『グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ』が開かれます。
『グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ』@ヒカリエホール(12/3~2025/1/19)
これはパリのグラン・パレ・イマーシブとミュシャ財団の監修のもと、アルフォンス・ミュシャの作品世界を大画面の映像と音楽にて紹介するもので、あわせてミュシャのアトリエ写真とともに、作品のモデルの写真を映像で紹介するコーナーや、ポスターの人物像を実在する俳優に置き換えた3Dアニメーションなども公開されます。
ミュシャの神秘的な世界観に没入できる! 体験型展覧会『グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ』が、12月3日から東京・渋谷のヒカリエホールにてスタート!https://t.co/qq2rWU4A6L pic.twitter.com/f1cprdKk5J
— madame FIGARO japon (@madameFIGARO_jp) October 22, 2024
パリでは人気を博した展覧会を日本向けにアレンジした内容ということもあり、今回だけのオリジナルなコンテンツにも期待が持てそうです。
続いては箱根のポーラ美術館の展覧会です。『カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ』が行われます。
『カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ』@ポーラ美術館(12/14~2025/5/18)
ここでは19世紀の印象派以降、フォーヴや抽象、そして現代へ至るアート作品を色に着目して紹介するもので、色彩論や素材との関係にふれながら、色彩の役割について解き明かします。
今週末の紅葉風景をお届けます。カフェ チューンのピクチャーウィンドウからの眺めは、例年よりも色づきはゆっくりなものの、日ごとに目に鮮やかに🍁✨紅葉を眺めながらのティータイムにぴったりな季節です😊エントランス付近では落葉が進んでいますが、 #森の遊歩道… pic.twitter.com/LiszebAGE2
— ポーラ美術館【公式】 (@promotion_pma) November 23, 2024
定評のあるポーラの絵画、彫刻コレクションを、シンプルに色の視点より改めてじっくり向き合える良い機会となりそうです。
ラストは大阪では実に13年ぶりとなる大規模な国芳の展覧会です。大阪中之島美術館にて『歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力』が開催されます。
『歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力』@大阪中之島美術館(12/21~2025/2/24)
これは武者絵・説話、役者絵、美人画をはじめとする7つのセクション、及び特別展示の肉筆などにて約400点の作品を公開するもので、 『流行猫の変化』といった新発見の作品も展示されます。
【#歌川国芳展 作品紹介】国芳といえば大の猫好き。そんな彼は猫を描いた作品も制作しています🖌️例えば、《日本駄右ェ門猫之古事》には大きな化け猫が!大きな化け猫に目がいきますが、手前には愉快に踊る猫の姿も🐈よく見ると、他にも猫の姿が…?👀… pic.twitter.com/eKKqtQ2Mjb
— 歌川国芳展 ー奇才絵師の魔力 (@kuniyoshi2024) November 20, 2024
国芳の作品を見る機会は少なくありませんが、まさに質量ともに回顧展の決定版といえる内容になるかもしれません。
ブログは不定期での更新となります。今月もどうぞよろしくお願いします。
『若冲激レア展』 福田美術館
『開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』(略称:若冲激レア展)
2024/10/12~2025/1/19
伊藤若冲『鶏図押絵貼屏風』 1797年
ヨーロッパで新たに発見された伊藤若冲の『果蔬図巻』が、京都・嵐山の福田美術館にて公開されています。
それが『開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』(略称:若冲激レア展)で、会場では『果蔬図巻』など若冲の作品約30点をはじめ、影響関係にあった画家など約50点の作品が展示されていました。
沈南蘋『花鳥図』 1731年
まずはじめは若冲、および影響の受けた中国の画家の作品が並んでいて、とりわけ沈南蘋や宋紫石、熊斐などに優品が少なくありませんでした。
熊斐『松竹梅鶴亀図』 18世紀
このうち沈南蘋の直弟子で長崎にて活動した熊斐の『松竹梅鶴亀図』とは、3幅の画面に松や竹、それに鶴や亀など吉祥主題のモチーフを描いた作品で、精緻でかつ立体感のある描写は師の沈南蘋の画風を思わせるものがありました。
伊藤若冲『蕪に双鶏図』 18世紀
若冲では30代の最初期に描いた『蕪に双鶏図』が充実していて、蕪畑の中でうずくまる雌鶏と、まるでポーズをとるように頭部を下に捻った雄鶏を巧みに描いていました。穴のたくさん空いた蕪の葉の描写なども若冲ならではの表現と言えるかもしれません。
伊藤若冲 画 梅荘顕常(大典) 跋『果蔬図巻』 1790年以前
『果蔬図巻』とは若冲76歳の時に描いた全長3メートル余りの図巻で、ウドやクワイ、瓜に茄子、苦瓜や葡萄、それに柘榴やスモモといったさまざまな野菜や果物を淡く美しい色彩にて表していました。
伊藤若冲 画 梅荘顕常(大典) 跋『果蔬図巻』 1790年以前
巻末には若冲と親しかった相国寺の僧・大典の直筆の跋文が添えられていて、野菜などのモチーフも共通することから、翌年に描いた『菜蟲譜』との関係も指摘されていました。
『乗興舟』展示風景
今回の『若冲激レア展』で特に感銘を受けたのは、若冲が大典とともに京都から大阪へと舟で下った時の風景を版画にした『乗興舟』の展示でした。
伊藤若冲 下絵 梅荘顕常(大典) 短辞『乗興舟』 1767年頃
ここでは『乗興舟』(一部欠落)そのものとともに、大典の詩の読み下しと訳文、さらに当時の風景を伝える浮世絵や現代の写真を掲載したパネルを展示していて、若冲と大典が淀川の舟旅で何を感じ、また表したのかを臨場感のあるかたちで見ることができました。
『乗興舟』解説パネル
これまでも何度か『乗興舟』を見る機会がありましたが、今回ほど面白く、また興味を持って見たことはなかったかもしれません。大変に充実した展示でした。
#福田美術館 では5周年記念ガチャを設置しております。 #福美コレクション の中から5作品、どれも《#果蔬図巻》の野菜とコラボしております!🎰ぜひ回してみてください。1回300円です。
— 福田美術館 Fukuda Art Museum (@ArtFukuda) November 24, 2024
@fukuda_art_museum #福美ガチャ#ミュージアムガチャ#伊藤若冲#若冲激レア展… pic.twitter.com/QvujocOeAd
12月3日に一部の屏風において、右隻と左隻の入れ替えが行われます。
展示室内の撮影もできました。2025年1月19日まで開かれています。
『開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!』(略称:若冲激レア展) 福田美術館(@ArtFukuda)
会期:2024年10月12日(土)~2025年1月19日(日)
休館:12月3日(火)、12月30日(月)~1月1日(水)
時間:10:00~17:00。最終入館は16時半まで。
料金:一般・大学生1500(1400)円、高校生900(800)円、小中学生500(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
交通:嵐電(京福電鉄)嵐山駅下車、徒歩4分。阪急嵐山線嵐山駅下車、徒歩11分。JR山陰本線(嵯峨野線)嵯峨嵐山駅下車、徒歩12分。
『特別展「はにわ」』 東京国立博物館・平成館
『挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」』
2024/10/16~12/8
『特別展「はにわ」』展示風景
「埴輪 挂甲の武人」の国宝指定50周年を記念し、全国各地より埴輪の名品を集めた展覧会が、東京国立博物館にて開かれています。
それが『挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」』で、人物や動物、それに家形などさまざまなかたちを見せる埴輪が約120件ほど展示されていました。
『埴輪 踊る人々』 埼玉県熊谷市 野原古墳出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館
まず冒頭で来場者を迎え入れていたのが、同じ片手を上げるポーズをしたペアの『埴輪 踊る人々』で、2022年からの解体修理を今年3月末に終えて以来、初めて公開されました。
『円筒埴輪』 奈良県桜井市 メスリ山古墳出土 古墳時代・4世紀 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
古墳に並べられていた埴輪のうち、最も大量に立てられたのが円筒埴輪で、古墳の巨大化によって時に数万本にも及ぶ埴輪が一つの古墳に置かれました。今回の展覧会でも大小さまざまな円筒埴輪が並んでいましたが、中でも高さ2メートルを超える強大な埴輪が特に目立っていたかもしれません。
『埴輪 挂甲の武人』 群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀 東京国立博物館
ハイライトを飾るのは、国宝「埴輪 挂甲の武人」と、同じ工房にて制作された可能性もある4体の兄弟埴輪が史上初めて一度に並んだ展示でした。
『特別展「はにわ」』展示風景
このうちの1体は国内では見る機会の少ないアメリカのシアトル美術館の所蔵品で、一概に兄弟埴輪とはいえども、細部に異なる意匠などを見比べることができました。
埴輪 挂甲の武人(彩色復元)』 2023年 制作:文化財活用センター
一連の「埴輪 挂甲の武人」ともに、制作当時の彩色を復元した埴輪も興味深かったかもしれません。白、赤、灰色の3色で塗り分けていた埴輪を目にすると、現代に残された埴輪のイメージとはまた異なって映りました。
『特別展「はにわ」』より「動物埴輪大集合」展示風景
こうした人物を含む形象埴輪の中でも特に愛らしいのが、鶏や鹿、猪、犬、水鳥のほか、さまざまな動物を模った動物埴輪でした。
『特別展「はにわ」』より「動物埴輪大集合」展示風景
会場では「動物埴輪大集合」と題し、数多くの動物の埴輪を並べていて、とりわけ辺りを警戒するように振り返る鹿の埴輪と、捕まえた魚を咥える鵜の埴輪に魅せられました。
🌜夜間開館情報🌛#はにわ展 は通常午後5時閉館ですが、毎週金・土曜日は午後8時までご覧頂けます😊お仕事や学校の帰りには #はにわ展 で癒やしの時間を☺️特別展「はにわ」🗓️10/16(水)~12/8(日)📍 #東京国立博物館 平成館チケットの購入はこちらから⤵️https://t.co/qTkOVkESke pic.twitter.com/8e0OpxRZKT
— 特別展「はにわ」 (@haniwa820_ten) November 21, 2024
最後に混雑の情報です。12月8日の会期末が迫り、連日多くの人で賑わっています。特に土日は混み合い、最大で30分から40分ほどの入場の待ち時間が発生しています。
混雑情報については同展の公式SNSアカウント(@haniwa820_ten)が発信しています。これからお出かけの方はSNSアカウントをご参照ください。
『埴輪 正座の女子』 群馬県高槻市 綿貫観音山古墳出土 古墳時代・6世紀 文化庁(群馬県立歴史博物館保管)
会場内の撮影もできました。12月8日まで開かれています。
『挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」』(@haniwa820_ten) 東京国立博物館・平成館(@TNM_PR)
会期:2024年10月16日(水) ~ 2024年12月8日(日)
休館:月曜日。ただし11月4日(月)は開館、11月5日(火)は本展のみ開館
時間:9:30~17:00
*毎週金・土曜日は20時まで開館
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般2100円、大学生1300円、高校生900円、中学生以下無料。
*当日に限り総合文化展も観覧可。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR線上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分。
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