都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
『アブソリュート・チェアーズ』 埼玉県立近代美術館
埼玉県立近代美術館
『アブソリュート・チェアーズ』
2024/2/17~5/12
石田尚志『椅子とスクリーン』 2002年
1982年の開館時から近代以降のデザイン椅子を収集してきた埼玉県立近代美術館は、椅子を館内に設置するだけでなく、教育普及事業や展覧会の開催を通して椅子の魅力を発信し続けてきました。
その埼玉県立近代美術館が、デザインの視点ではなく、現代アートの観点から椅子の持つさまざまな意味を考察するのが『アブソリュート・チェアーズ』で、国内外の28組の作家による平面や立体など83点の作品が展示されていました。
ジム・ランビー『トレイン イン ヴェイン』 2008年
まず冒頭では「美術館の座れない椅子」と題し、デュシャンや高松次郎、それにジム・ランビーなの文字通り座れない椅子を用いた作品が並んでいて、既製の椅子を素材に取り込みつつも、それぞれの手法によって機能を変容させ、コンセプチャルな問いを発するようすを見ることができました。
クリストヴァオ・カニャヴァート(ケスター)『肘掛け椅子』 2012年
また「権力を可視化する」のセクションではウォーホルの『電気椅子』などが目立っていて、死や暴力、あるいは権力と椅子の関係を問い直したアーティストらの表現を知ることができました。
名和晃平『Pix Cell-Tarot Reading(Jan.2023)』 2023年
こうした権力の象徴などとは対照的に、日常の生活の延長線にある役割としての椅子を表した作品も面白いのではないでしょうか。
YU SORA『my room』 2019年
そのうちYU SORAは無造作に置かれた椅子を白い布と黒い糸をもとにして表現し、座るはずの椅子が時折物置き台として使われることを示しました。
宮永愛子『waiting for awakening -chair-』 2017年
さらにナフタリンで象られた椅子を樹脂に封入した宮永愛子のオブジェなども、椅子の記憶や物語を呼び起こす作品といえるかもしれません。
副産物産店による「美術館の座れる椅子」
山田毅と矢津吉隆によるユニット・副産物産店がによる作品輸送用のクレートや過去作品の残材などを再利用して作った風変わりな椅子も設置され、展示室内にて自由に座ることも可能でした。
ミシェル・ドゥ・ブロワン『樹状細胞』 2024年
カナダ出身のミシェル・ドゥ・ブロワンが、約40脚の会議椅子を用いて作った『樹状細胞』もハイライトを飾っていたかもしれません。
オノ・ヨーコ『白いチェス・セット/信頼して駒を進めよ』 1966 / 2015年 タグチアートコレクション/タグチ現代芸術基金
椅子という存在がアーティストらにさまざまなインスピレーションを与え、それが新たなイメージとして作り出されていくようすを楽しむことができました。
現代アートを通して、椅子が持つ多様な意味を考察。『アブソリュート・チェアーズ』が面白い!|Pen Online
5月12日まで開催されています。なお埼玉での展示を終えると、愛知県美術館(会期:7月18日〜9月23日)へと巡回します。
『アブソリュート・チェアーズ』 埼玉県立近代美術館(@momas_kouhou)
会期:2024年2月17日(土) ~5月12日(日)
休館:月曜日。ただし4月29日、5月6日は開館。
時間:10:00~17:30
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300(1040)円 、大高生1040(830)円、中学生以下は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*MOMASコレクション(常設展)も観覧可。
住所:さいたま市浦和区常盤9-30-1
交通:JR線北浦和駅西口より徒歩5分。北浦和公園内。
『アブソリュート・チェアーズ』
2024/2/17~5/12
石田尚志『椅子とスクリーン』 2002年
1982年の開館時から近代以降のデザイン椅子を収集してきた埼玉県立近代美術館は、椅子を館内に設置するだけでなく、教育普及事業や展覧会の開催を通して椅子の魅力を発信し続けてきました。
その埼玉県立近代美術館が、デザインの視点ではなく、現代アートの観点から椅子の持つさまざまな意味を考察するのが『アブソリュート・チェアーズ』で、国内外の28組の作家による平面や立体など83点の作品が展示されていました。
ジム・ランビー『トレイン イン ヴェイン』 2008年
まず冒頭では「美術館の座れない椅子」と題し、デュシャンや高松次郎、それにジム・ランビーなの文字通り座れない椅子を用いた作品が並んでいて、既製の椅子を素材に取り込みつつも、それぞれの手法によって機能を変容させ、コンセプチャルな問いを発するようすを見ることができました。
クリストヴァオ・カニャヴァート(ケスター)『肘掛け椅子』 2012年
また「権力を可視化する」のセクションではウォーホルの『電気椅子』などが目立っていて、死や暴力、あるいは権力と椅子の関係を問い直したアーティストらの表現を知ることができました。
名和晃平『Pix Cell-Tarot Reading(Jan.2023)』 2023年
こうした権力の象徴などとは対照的に、日常の生活の延長線にある役割としての椅子を表した作品も面白いのではないでしょうか。
YU SORA『my room』 2019年
そのうちYU SORAは無造作に置かれた椅子を白い布と黒い糸をもとにして表現し、座るはずの椅子が時折物置き台として使われることを示しました。
宮永愛子『waiting for awakening -chair-』 2017年
さらにナフタリンで象られた椅子を樹脂に封入した宮永愛子のオブジェなども、椅子の記憶や物語を呼び起こす作品といえるかもしれません。
副産物産店による「美術館の座れる椅子」
山田毅と矢津吉隆によるユニット・副産物産店がによる作品輸送用のクレートや過去作品の残材などを再利用して作った風変わりな椅子も設置され、展示室内にて自由に座ることも可能でした。
ミシェル・ドゥ・ブロワン『樹状細胞』 2024年
カナダ出身のミシェル・ドゥ・ブロワンが、約40脚の会議椅子を用いて作った『樹状細胞』もハイライトを飾っていたかもしれません。
オノ・ヨーコ『白いチェス・セット/信頼して駒を進めよ』 1966 / 2015年 タグチアートコレクション/タグチ現代芸術基金
椅子という存在がアーティストらにさまざまなインスピレーションを与え、それが新たなイメージとして作り出されていくようすを楽しむことができました。
現代アートを通して椅子がもつ多様な意味を考える展覧会『アブソリュート・チェアーズ』が開催中(~5/12)マルセル・デュシャンやアンディ・ウォーホルほか、国内外の作家28組による、平面や立体、映像作品の計83点が公開。▶︎ https://t.co/3ZZLhNIP0j pic.twitter.com/MjDmE0i9Nu
— Pen Magazine (@Pen_magazine) March 9, 2024
現代アートを通して、椅子が持つ多様な意味を考察。『アブソリュート・チェアーズ』が面白い!|Pen Online
5月12日まで開催されています。なお埼玉での展示を終えると、愛知県美術館(会期:7月18日〜9月23日)へと巡回します。
『アブソリュート・チェアーズ』 埼玉県立近代美術館(@momas_kouhou)
会期:2024年2月17日(土) ~5月12日(日)
休館:月曜日。ただし4月29日、5月6日は開館。
時間:10:00~17:30
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300(1040)円 、大高生1040(830)円、中学生以下は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*MOMASコレクション(常設展)も観覧可。
住所:さいたま市浦和区常盤9-30-1
交通:JR線北浦和駅西口より徒歩5分。北浦和公園内。
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