『ホー・ツーニェン エージェントのA』 東京都現代美術館

東京都現代美術館
『ホー・ツーニェン エージェントのA』 
2024/4/6〜7/7



1976年にシンガポールで生まれ、同地に在住して活動するアーティスト、ホー・ツーニェンは、東南アジアの歴史的な出来事や思想、またアイディンティティなどを綿密にリサーチしながら、映像やインスタレーションなど多様な作品を発表してきました。

そのホーの作品世界を紹介するのが『ホー・ツーニェン エージェントのA』で、最初期を含む6点の作品、および国内初公開となる最新作が展示されていました。


『ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり』 2003年

まずデビュー作『ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり』とは、シンガポールの国家の起源に着想を得た作品で、13世紀末にサンスクリット語で「ライオンの町」の意味する「シンガプーラ」と名付けたとされるバレンバンの王子、サン・ニラ・ウタマを取り上げ、多様な物語を表現していました。


『ヴォイス・オブ・ヴォイド―虚無の声』 2021年

またVRと6面の映像からなる『ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声』とは、山口情報芸術センター[YCAM]とコラボレーションして制作された作品で、1930年から40年代にかけて大きな影響力を持った京都学派の哲学者たちの戦争の倫理性や死といった思想を題材としていました。


『時間(タイム)のT』 2023年

このほか、42章の映像とテキストを用い、時間のさまざまなあり方を表した最新作の『時間(タイム)のT』も見応え十分といえるかもしれません。


『ホー・ツーニェン エージェントのA』展示風景

ホーといえば2021年、豊田市美術館で開かれた『ホー・ツーニェン 百鬼夜行』展に接し、妖怪を引用したアニメーション作品に大いに心引かれましたが、今回も時間にまつわるさまざまな素材を用いながら、会場全体を連動させるような展示に魅了されました。

東南アジアの多元的な歴史を紐解き、時間のパラレルなあり方を表現する。ホー・ツーニェン展の見どころ|Pen Online

なお会場では、6つの作品が3つの展示室において交互に上映されています。よって時間によって鑑賞できる作品が異なります。詳しくは公式サイト上のタイムテーブルをご参照ください。


7月7日まで開催されています。

『ホー・ツーニェン エージェントのA』 東京都現代美術館@MOT_art_museum
会期:2024年4月6日(土)〜7月7日(日)
休館:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日。
時間:10:00~18:00
 *展示室入場は閉館の30分前まで。
料金:一般1500(1200)円、大学・専門学校生・65歳以上1100(880)円、中高生600(480)円、小学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *コレクション展も観覧可。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分。都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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