2021年11月に見たい展覧会【篁牛人/奥村土牛/フランソワ・ポンポン】

朝晩を中心に冷えるようになり、関東でも紅葉の便りが北から伝えられています。



緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されて約1ヶ月を経過しましたが、新型コロナウイルス感染症は一定の収束を見せていて、大規模イベントに関しても条件が緩和されようとしています。また美術展においても、延期されていた展覧会に再開の動きが見られるようになりました。

2020年に中止となった「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス2020+」は、11月19日から12月26日にかけて開催されることになりました。また同じく中止された「ボストン美術館展 芸術×力」も再開となり、来年、2022年7月23日から10月2日にかけて行われることが決まりました。

11月も興味深い展覧会が続きます。今月に見たい展示をリストアップしてみました。

【展覧会】

・「サウンド&アート展 ―見る音楽、聴く形」 アーツ千代田 3331(11/6~11/21)
・「ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス」 Bunkamuraザ・ミュージアム(9/18~11/23)
・「棟方志功と東北の民藝」 日本民藝館(10/1~11/23)
・「学者の愛したコレクション —ピーター・モースと楢﨑宗重—」 すみだ北斎美術館(10/12~12/5)
・「ゴッホ展—響きあう魂 ヘレーネとフィンセント」 東京都美術館(9/18~12/12)
・「白井晟一 入門 第1部/白井晟一クロニクル」 渋谷区立松濤美術館(10/23~12/12)
・「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」 パナソニック汐留美術館(10/9~12/19)
・「和田誠展」 東京オペラシティ アートギャラリー(10/9~12/19)
・「河鍋暁斎 ―躍動する絵本」 太田記念美術館(10/29~12/19)
・「鈴木其一・夏秋渓流図屏風」 根津美術館(11/3~12/19)
・「ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術」 DIC川村記念美術館(10/9~2022/1/10)
・「篁牛人展~昭和水墨画壇の鬼才~」 大倉集古館(11/2~2022/1/10)
・「開館60周年記念展/千四百年御聖忌記念特別展 聖徳太子 日出づる処の天子」 サントリー美術館(11/17~2022/1/10)
・「つくる・つながる・ポール・コックス展」 板橋区立美術館(11/20~2022/1/10)
・「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」 国立科学博物館(10/14~2022/1/12)
・「アナザーエナジー展:挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人」 森美術館(4/22~2022/1/16)
・「梅津庸一展 ポリネーター」 ワタリウム美術館(9/16~2022/1/16)
・「イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン」 三菱一号館美術館(10/15~2022/1/16)
・「戸谷成雄 森―湖:再生と記憶」 市原湖畔美術館(10/16~2022/1/16)
・「戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡」 川崎市岡本太郎美術館(10/23~2022/1/16)
・「記憶は地に沁み、風を越え 日本の新進作家 vol. 18」 東京都写真美術館(11/6~2022/1/23)
・「松江泰治 マキエタCC」 東京都写真美術館(11/9~2022/1/23)
・「開館55周年記念特別展 奥村土牛」 山種美術館(11/13~2022/1/23)
・「開館20周年記念 フランソワ・ポンポン展」 群馬県立館林美術館(11/23~2022/1/26)
・「佐藤雅晴 尾行―存在の不在/不在の存在」 水戸芸術館(11/13~2022/1/30)
・「大林コレクション展 安藤忠雄 描く/都市と私のあいだ/Self-History」 WHAT(9/25~2022/2/13)
・「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」 東京国立近代美術館(10/26~2022/2/13)
・「Viva Video! 久保田成子展/クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]/ユージーン・スタジオ 新しい海」 東京都現代美術館(11/20~2022/2/23)
・「生誕160年記念 グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生」 世田谷美術館(11/20~2022/2/27)
・「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」 ポーラ美術館(9/18~2022/3/30)

【ギャラリー】

・「奈良原一高 写真展 宇宙への郷愁」 東京工芸大学写大ギャラリー(9/13~11/20)
・「ヒルミ・ジョハンディ Landscapes and Paradise: Poolscapes」 オオタファインアーツ(10/2~11/20)
・「シュシ・スライマン 赤道の伝承」 小山登美夫ギャラリー(10/22~11/20)
・「風間サチコ展 ディスリンピアン2021」 無人島プロダクション(10/30〜2021/11/20)
・「日本のアートディレクション展 2020-2021」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー、クリエイションギャラリーG8(11/1~11/30)
・「Life is beautiful : 衣・食植・住 “植物が命をまもる衣となり、命をつなぐ食となる”」 GYRE GALLERY(11/3~11/30)
・「名和晃平 TORNSCAPE」 SCAI THE BATHHOUSE(11/2〜12/18)
・「大竹伸朗 : 残景」 Take Ninagawa(10/30〜12/18) 
・「第15回 shiseido art egg 中島 伽耶子 展」 資生堂ギャラリー(11/23~12/19)
・「ギルバート&ジョージ《CLASS WAR, MILITANT, GATEWAY》」 エスパス ルイ・ヴィトン東京(10/14~2022/3/6)
・「妹島和世+西沢立衛/SANAA展 環境と建築」 TOTOギャラリー・間(10/22~2022/3/20)

まずは日本美術です。いま、この絵師の名を知る人は少ないかもしれません。大倉集古館にて「篁牛人展~昭和水墨画壇の鬼才~」が開かれます。



「篁牛人展~昭和水墨画壇の鬼才~」@大倉集古館(11/2~2022/1/10)

1901年に生まれた篁牛人(たかむらぎゅうじん)は、水墨画を制作するも、画壇に属さず、また一時放浪生活を送るなど孤高を貫き、晩年は病に倒れると10年あまり作品を制作できずに世を去りました。


その牛人の画業を紹介するのが今回の展覧会で、初期の図案家として活動した作品から、水墨画の大作などが一堂に公開されます。牛人の画風は、渇いた筆で麻紙へ擦り込むように墨を定着される「渇筆」の技法を特徴としていますが、その個性的ともいえる絵画表現はチラシの表紙の作品からして伝わるかもしれません。

続いては現代美術です。「ロトスコープ」(*)と呼ばれる技術によるアニメーション作品で知られ、2019年に45歳の若さで亡くなった佐藤雅晴の回顧展が、水戸芸術館にて開催されます。



「佐藤雅晴 尾行―存在の不在/不在の存在」@水戸芸術館(11/13~2022/1/30)

それが「佐藤雅晴 尾行―存在の不在/不在の存在」で、1999年に初めて制作した映像から亡くなる直前まで描き続けた「死神先生」のシリーズなど、映像26点と平面36点の作品が展示されます。


佐藤といえば生前の2016年に原美術館でも個展があり、実写とアニメ、言い換えれば現実と非現実が交錯する映像世界に引き込まれましたが、改めて作品をまとめて見る良い機会となりそうです。*ビデオカメラやスチルカメラで撮影した日常の風景をパソコン上でペンツールを用い、なぞるようにトレースしてアニメーション化する。(公式サイトより)

ラストは西洋美術です。かわいらしい動物の彫刻に誰もが心を惹かれるのではないでしょうか。群馬県立館林美術館にて「開館20周年記念 フランソワ・ポンポン展」が開催されます。



「開館20周年記念 フランソワ・ポンポン展」@群馬県立館林美術館(11/23~2022/1/26)

20世紀前半のフランスの彫刻家、フランソワ・ポンポンは、古代エジプト美術にならった単純化された形態の動物彫刻で人気を集め、生涯にわたって様々な動物の作品を作り続けました。そして国内では今年、京都市京セラ美術館を皮切りに、名古屋市美術館などポンポンの展覧会が巡回していて、11月23日より群馬県立館林美術館へとやって来ます。


同館は国内で唯一まとまったポンポンの作品と資料を所有していて、アトリエを一部に再構成した別館「彫刻家のアトリエ」も公開されています。そちらと合わせてポンポンの芸術を楽しみたいところです。

WEBメディア「イロハニ・アート」にも今月のおすすめの展覧会を寄稿しました。そちらもご覧いただければ嬉しいです。


「おうこくさん」からポンポン、それに民藝まで。11月に見たい展覧会おすすめ5選(イロハニアート)

それでは今月もよろしくお願いいたします。*一番上の写真は10月末に五色沼(福島県)にて撮影しました。
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