都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』 Vol.5 嶋臺(しまだい)ギャラリー・ASPHODEL・両足院
京都市中心部・二条城・両足院・光明院
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』
2023/4/15~5/14
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Vol.4 世界倉庫・藤井大丸ブラックストレージ・Sferaより続きます。
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朝、ホテルをチェックアウトし、まず向かったのは『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』の開催エリアではない嵐山でした。というのも、この日は写真祭だけでなく、福田美術館と嵯峨嵐山文華館にて開かれている『橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU』の鑑賞を予定していたからでした。
よって先に関雪展を見終えた上にて、昨日、クローズしていたために見ることができなかった嶋臺(しまだい)ギャラリーと両足院へ行くことにしました。
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嵐山にて関雪展を見て、嶋臺ギャラリーの位置する烏丸御池に着くと、ちょうど昼の12時前になっていました。嶋臺ギャラリーとは17世紀に生糸商として創業した老舗に所縁のある場所で、幕末に焼失したのちに、明治になって再建された建物をギャラリーとして用いたものでした。
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ここではスイス人フォトグラファー、ロジャー・エーベルハルトが、最新作シリーズ『Escapism』(エスカピズム/現実逃避)と題する展示を行っていて、スイスのコーヒーフレッシュの蓋に印刷された風景写真に着想を得た作品を公開していました。
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エーベルハルトは、小さな蓋に印刷された風景写真を、さらに高解像度のカメラを用いて撮影していて、クローズアップされたイメージを大きく引き伸ばしてプリントすることで、もともとのクリーム容器の蓋の写真へ新たな世界を作り上げていました。
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明るい光の差し込む広間と暗い土蔵の壁を残す2つの空間とのコントラストも面白かったかもしれません。クリーム容器の蓋という身近でありながらも意外な素材より引き出された、驚くほどに色彩鮮やかで多様なイメージに見入りました。
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このあとは建仁寺塔頭の両足院を目指すべく祇園へと向かいましたが、その途中にて昨日、両足院にも近いASPHODELでのココ・カピタンの展示を見逃していたことに気づいたため、先にASPHODELへと行くことにしました。
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京都の10代の若者のポートレートを制作したカピタンは、大西清右衞門美術館、光明院、ASPHODELの3会場にて展示を行っていましたが、その中ではASPHODELの会場が質量ともに最も充実していたかもしれません。
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禅僧を目指す学生から舞妓、または制服姿の高校生など、京都に生きる若者たちの多様なすがたを見ることができました。
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枯山水庭園や池泉回遊式庭園などを有する両足院にて展示を行っていたのは、コートジボワールを拠点に活動するビジュアルアーティストで写真家のジョアナ・シュマリでした。
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シュマリは日課とする朝の散歩の際、風景を写真に撮ることを習慣としていて、その写真へコラージュや刺繍、ペインティングやフォトモンタージュといった技法を組み合わせつつ、何枚もの薄い布のレイヤーを重ねて作品を制作しました。
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淡いパステルカラーに彩られたシュマリの作品は、日常の光景でありながらも、詩的でかつ幻想的な雰囲気もたたえていて、細部のコラージュといった手業の感触も魅力に感じました。
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時間やスケジュールの都合で出町桝形商店街の会場には行くことができませんでしたが、結局2日間にて『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』のほぼすべての展示を見ることができました。
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京都ならではの歴史的建造物やモダンな近現代建築を会場としつつ、国内外の写真家らが現代的なテーマを扱った作品を公開していて、会場の趣きはもちろん、作品そのものも想像以上に見応えがありました。
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』は5月14日まで開催されています。
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』(@kyotographie_) 京都市中心部・二条城・両足院・光明院
会期:2023年4月15日(土)~5月14日(日)
休館:各会場により異なる。
時間:10:00~19:00
*「インフォメーション町家」の開館時間。各会場により異なる。
料金:Eパスポート、紙パスポートチケット6000円(学生3000円)、平日限定パスポート4500円。
*単館チケット(一般1200円~800円、学生1000円~600円)を販売。
*無料展示あり。
住所:京都市中京区三条町340
交通:地下鉄烏丸線・東西線烏丸御池駅6番出口から徒歩5分。
*住所、交通は「インフォメーション町家」(八竹庵 旧川崎家住宅)
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』
2023/4/15~5/14
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Vol.4 世界倉庫・藤井大丸ブラックストレージ・Sferaより続きます。
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朝、ホテルをチェックアウトし、まず向かったのは『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』の開催エリアではない嵐山でした。というのも、この日は写真祭だけでなく、福田美術館と嵯峨嵐山文華館にて開かれている『橋本関雪 生誕140周年 KANSETSU』の鑑賞を予定していたからでした。
よって先に関雪展を見終えた上にて、昨日、クローズしていたために見ることができなかった嶋臺(しまだい)ギャラリーと両足院へ行くことにしました。
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嵐山にて関雪展を見て、嶋臺ギャラリーの位置する烏丸御池に着くと、ちょうど昼の12時前になっていました。嶋臺ギャラリーとは17世紀に生糸商として創業した老舗に所縁のある場所で、幕末に焼失したのちに、明治になって再建された建物をギャラリーとして用いたものでした。
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ここではスイス人フォトグラファー、ロジャー・エーベルハルトが、最新作シリーズ『Escapism』(エスカピズム/現実逃避)と題する展示を行っていて、スイスのコーヒーフレッシュの蓋に印刷された風景写真に着想を得た作品を公開していました。
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エーベルハルトは、小さな蓋に印刷された風景写真を、さらに高解像度のカメラを用いて撮影していて、クローズアップされたイメージを大きく引き伸ばしてプリントすることで、もともとのクリーム容器の蓋の写真へ新たな世界を作り上げていました。
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明るい光の差し込む広間と暗い土蔵の壁を残す2つの空間とのコントラストも面白かったかもしれません。クリーム容器の蓋という身近でありながらも意外な素材より引き出された、驚くほどに色彩鮮やかで多様なイメージに見入りました。
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このあとは建仁寺塔頭の両足院を目指すべく祇園へと向かいましたが、その途中にて昨日、両足院にも近いASPHODELでのココ・カピタンの展示を見逃していたことに気づいたため、先にASPHODELへと行くことにしました。
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京都の10代の若者のポートレートを制作したカピタンは、大西清右衞門美術館、光明院、ASPHODELの3会場にて展示を行っていましたが、その中ではASPHODELの会場が質量ともに最も充実していたかもしれません。
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枯山水庭園や池泉回遊式庭園などを有する両足院にて展示を行っていたのは、コートジボワールを拠点に活動するビジュアルアーティストで写真家のジョアナ・シュマリでした。
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シュマリは日課とする朝の散歩の際、風景を写真に撮ることを習慣としていて、その写真へコラージュや刺繍、ペインティングやフォトモンタージュといった技法を組み合わせつつ、何枚もの薄い布のレイヤーを重ねて作品を制作しました。
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淡いパステルカラーに彩られたシュマリの作品は、日常の光景でありながらも、詩的でかつ幻想的な雰囲気もたたえていて、細部のコラージュといった手業の感触も魅力に感じました。
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時間やスケジュールの都合で出町桝形商店街の会場には行くことができませんでしたが、結局2日間にて『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』のほぼすべての展示を見ることができました。
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京都ならではの歴史的建造物やモダンな近現代建築を会場としつつ、国内外の写真家らが現代的なテーマを扱った作品を公開していて、会場の趣きはもちろん、作品そのものも想像以上に見応えがありました。
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』は5月14日まで開催されています。
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023』(@kyotographie_) 京都市中心部・二条城・両足院・光明院
会期:2023年4月15日(土)~5月14日(日)
休館:各会場により異なる。
時間:10:00~19:00
*「インフォメーション町家」の開館時間。各会場により異なる。
料金:Eパスポート、紙パスポートチケット6000円(学生3000円)、平日限定パスポート4500円。
*単館チケット(一般1200円~800円、学生1000円~600円)を販売。
*無料展示あり。
住所:京都市中京区三条町340
交通:地下鉄烏丸線・東西線烏丸御池駅6番出口から徒歩5分。
*住所、交通は「インフォメーション町家」(八竹庵 旧川崎家住宅)
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