『美術館の春まつり』 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
『美術館の春まつり』
2022/3/18~4/10 *作品の展示は〜5/8



東京国立近代美術館の所蔵作品展「MOMATコレクション」(10室)にて、桜にちなんだ作品などを展示する『美術館の春まつり』が開かれています。


菊池芳文『小雨ふる吉野』 1914年

まず目を引くのが菊池芳文の『小雨ふる吉野』で、雨の降る中、雲に紛れつつも、満開の花を開く吉野の桜を描いていました。


菊池芳文『小雨ふる吉野』(部分) 1914年

白い胡粉を重ねているのか、一枚一枚の桜の花びらの質感も丁寧に表されていて、吉野の山々を望むような鳥瞰的な構図も魅力に思えました。


川合玉堂『行く春』 1916年

この『小雨ふる吉野』と同じくらいに存在感があるのが、長瀞の渓谷へ桜が散る光景を示した川合玉堂の『行く春』でした。まるで岩肌を削るようにして水が流れる渓谷は、それこそ飛沫の音が聞こえるようにダイナミックに表されていて、一方での桜の散る光景は細かに描かれていました。まさに散り際ならではのはかない情感も感じられるかもしれません。


跡見玉枝『桜花図巻』 1934年

25の画面に桜の枝を描きこんだ跡見玉枝の『桜花図巻』も魅惑的ではないでしょうか。40を超えるという桜を描き分けた表現は、図鑑などを連想させるほど真に迫っていて、画家の博物学的な視点を思わせるものがありました。


松林桂月『春宵花影図』 1939年

松林桂月の『春宵花影図』にも目を奪われるかもしれません。満月の夜なのか、月明かりの中で咲き誇る桜は、まるで夢幻の世界の中のように表されていました。私もかねてより大好きな作品の1つですが、その美しい佇まいに改めて魅了されました。


浅見貴子『梅に楓図』 2009年

また直接、桜を主題とした作品ではありませんが、浅見貴子や日高理恵子といった現代の作家の日本画も見応えがあったのではないでしょうか。


日高理恵子『樹を見上げて Ⅶ』 1993年

樹木を下から見上げた光景を描いた、日高理恵子の『樹を見上げて Ⅶ』におけるシンプルながらもダイナミックな光景にも心を引かれました。


ピエール・ボナール『プロヴァンス風景』 1932年

さて東京国立近代美術館の所蔵作品展「MOMATコレクション」では、『美術館の春まつり』にあわせて、2020年度に収蔵されたピエール・ボナールの『プロヴァンス風景』が初めて公開されています。*会場は2階ギャラリー4


佐伯祐三『雪景色』 1927年

この新収蔵&特別公開『ピエール・ボナール《プロヴァンス風景》』と題した展示では、同作のみならず、同時代の日本人画家の風景画や現代絵画なども公開されていて、互いに見て楽しむことができました。


東京での桜は見頃を終えましたが、美術館にて桜にちなんだ作品を愛でるのも良いかもしれません。*『美術館の春まつり』は、新収蔵&特別公開『ピエール・ボナール《プロヴァンス風景》』を含め、所蔵作品展「MOMATコレクション」のチケット料金にて観覧することができます。



『美術館の春まつり』は4月10日までの開催です。なお桜にちなむ所蔵作品の展示、および新収蔵&特別公開『ピエール・ボナール《プロヴァンス風景》』は5月8日まで開かれています。

『美術館の春まつり』 東京国立近代美術館@MOMAT60th
会期:2022年3月18日(金)~4月10日(日)
時間:10:00~17:00。
 *金・土曜は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し3月21日、28日は開館、3月22日(火)は休館。
料金:一般500(400)円、大学生250(200)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *『没後50年 鏑木清方展』のチケットにて観覧可。
住所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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