青森の美術館をめぐる旅:十和田・青森・弘前 Vol.3弘前レンガ倉庫美術館・弘南鉄道アート列車



青森の美術館をめぐる旅:十和田・青森・弘前 Vol.2青森県立美術館・国際芸術センター青森

青森駅を9時過ぎに発車する特急つがるに乗って弘前駅へと着くと、まずは弘前れんが倉庫美術館へと向かいました。


弘前駅

弘前では『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展を鑑賞するのと、11月13日まで弘南鉄道弘南線にて運行されているアート列車に乗ることを目的としていました。


弘前れんが倉庫美術館

弘前れんが倉庫美術館は、戦前の酒造工場や戦後の倉庫跡に由来するれんが造りの建物で知られ、田根剛の設計のもとに2020年に美術館としてオープンしました。


弘前れんが倉庫美術館

シードル・ゴードルの屋根が特徴的な建物の内部には、5つの展示室をはじめ、貸出用の3つのスタジオ、市民ギャラリーなどが整備されていて、同じくれんが造りの別棟にはカフェとミュージアムショップが入居していました。


『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展 展示風景

現在開催中の『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展とは、美術館の前身の煉瓦倉庫時代に開かれた奈良美智の3度の展示を振り返るもので、一連の展示に関する資料や写真、また出展作品などが公開されていました。


『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展 展示風景

一連の膨大な資料とともに強く感じたのは、3度の展示をきっかけに多くの人々のつながりが生まれたことで、ボランティアスタッフの記録写真などからは、当時の弘前に渦巻いた熱気すら伝わってきました。


『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展 展示風景

また「弘前エクスチェンジ」と題し、ボランティアに参加してアーティストの道へと進んだ佐々木怜央のガラスの作品や、若い世代が「奈良美智展弘前」をリサーチし、短い演劇を創作する「もしもし演劇部」といった市民参加型の活動も行われていて、単に過去を振り返るだけでなく、未来へとつながるような取り組みも目を引きました。*『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』についてはPenオンラインに寄稿しました。


『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展 展示風景(佐々木怜央作品)

きっかけは一本の電話から?奈良美智の弘前での3度の展覧会を振り返る|Pen Online

『もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?』展を鑑賞したのちは、隣のカフェ『CAFE & RESTAURANT BRICK』にて少し早いランチタイムとすることにしました。


『CAFE & RESTAURANT BRICK』にて

開館時の2年前にも一度、美術館を訪ねたことがありましたが、その際は偶然にもカフェが貸切営業として利用できませんでした。人気の同カフェはパーティ等にて貸切になることも少なく、事前に公式サイトにて営業状況を確認するのをおすすめします。


『CAFE & RESTAURANT BRICK』にて

ワンプレートをいただきながらのんびりと過ごしたのちは、弘南鉄道アート列車に乗るために起点の弘前駅へと向かいました。


『青森をアートでたどるプロジェクト』よりアート列車(弘前駅にて)

弘南鉄道アート列車とは、沿線をアートの視点で見直し、住民や観光客へ新たな体験を提供しようとする『青森をアートでたどるプロジェクト』の企画で、現代アーティストの原高史がタイムトラベルをテーマにしたピンク色のアート列車を制作しました。


『青森をアートでたどるプロジェクト』よりアート列車

アート列車は弘前と黒石の間を1日約9往復していて、車内の窓はおろか、天井の扇風機や吊り革の広告部分などもピンク色のカッティングシートにて覆われ、想像以上にピンク色に染まっていました。


『青森をアートでたどるプロジェクト』よりアート列車

そして床や窓には西暦の数字や「どの時代に行きたいですか?」といった言葉が記され、それぞれの乗客が記憶などの中で時間を行き来するような空間が作られていました。


『青森をアートでたどるプロジェクト』よりアート列車

それとともにピンクに染まった窓から景色も美しく、雄大な岩木山のすがたも目にすることができました。*弘南鉄道アート列車についてはイロハニアートに寄稿しました。

弘南鉄道がピンクに染まる?!青森でアート列車に乗ってみよう | イロハニアート


『青森をアートでたどるプロジェクト』よりアート列車(黒石駅にて)

弘前と黒石の間をアート列車で1往復すると、初日の十和田市現代美術館にはじまる青森の美術館をめぐる旅も終わりに近づいてきました。


スターバックスコーヒー弘前公園前店(登録有形文化財)

2年前に弘前に来た時はちょうどお城でお祭りが行われ、どこも大変な人出だったため、あまりゆっくり観光することができませんでした。


土手の珈琲屋 万茶ン

よって今回は東北では最古の珈琲屋で知られる万茶ンにてコーヒーをいただきながら、帰りの電車の時間まで弘前の街を散歩しました。


弘前れんが倉庫美術館

次に青森に出向く際は、スケジュールの関係で立ち寄れなかった八戸市美術館もあわせて巡りたいと思います。


『「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」奈良美智展弘前 2002-2006 ドキュメント展』 弘前れんが倉庫美術館@hirosaki_moca
会期:2022年9月17日(土)~2023年3月21日(火・祝)
休館:火曜日。12月26日(月)~1月1日(日) ※3月21日(火・祝)は開館
時間:9:00~17:00
 *入館は閉館の30分前まで
料金:一般1300(1200)円、大学・専門学校生1000(900)円。
 *( )内は20名以上の団体料金
住所:青森県弘前市吉野町2-1
交通:JR弘前駅より徒歩20分。弘南バス(土手町循環100円バス)「中土手町」下車徒歩4分。

『青森をアートでたどるプロジェクト 原 高史 〈AOMORI MAPPINK MEMORY 「記憶の未来」〉』  弘南鉄道弘南線車両及び主要駅(弘前駅・平賀駅・ 黒石駅)ほか
会期:2022年9月14日(水)~11月13日(日)
時間:1日9往復を予定。
 *車両点検で運休となる日あり
 *電車の最新の運行状況は弘南鉄道 Twitter(@konantetsudo)にて要確認
料金:周遊チケット:「わのパス MAPPINK TICKET」1100円
 *弘南鉄道弘南線1日乗車券 + プロジェクトの特別冊子付き
 *「わのパス」持参で弘前れんが倉庫美術館が100円引など特典あり
交通:弘南鉄道弘南線―JR奥羽本線「弘前駅」より乗り換え。
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